世界遺産科学委員会海域作業部会での松田の意見

第3回 知床遺産候補地科学委員会 海域ワーキング 会議記録
日時:平成17年(2005年)12月21日13:30〜17:30
場所:道庁赤レンガ庁舎 2階
松田:科学委員会としては、帰山委員を河川工作物WGの科学委員にもすべきであると思っている。具体的な議論をしなければいけない。河川WGで話すのは、河川工作物があることによって、サケ科魚類の遡上を阻害されているが、それがサケ科魚類の個体群にどのような影響を与えているのかを明らかにする事。そこから、河川と陸域の生態系の相互作用への影響を考える。今後どのようなモニタリングを行ってどのようなデータを取り、何年後に評価をするのかを考え、モニタリング計画を作らなければならない。ただ、それを行っても、孵化放流事業の影響は分からない。孵化放流されたものと天然サケとの比率等を今後評価し、孵化放流事業の評価を今後海域WGでやらなければならないと考える。
松田:海域の保護レベルを上げるようIUCNは言ったが、自主管理以外の事をしなさいと言った訳ではない。我々が言ったのは、自主管理として保護レベルを上げるということ。1年以内に素案を出すためには、生態系全体の管理計画を含めるのではなく、漁業者の自主管理が基本になると思う。1年以内で素案を出さなければならないので、急ぐ必要がある。その時に必要なのは、今どういう家が建っているかというようなことを漁業者に聞き取りをして、こういう家が建っているということを説明できることが先決だと思う。
松田:海洋生態系の良い指標は、漁業自身にあると思う。漁獲物の統計、体長組成等を上げれば、極めて良い指標になりうると思う。保護管理の取り組みの中に漁業を取り入れて良いのではないかと思う。
松田:何をあげるべきかについて、予算も何も無しに専門家だけが言っても実行不可能。どうしても必要だと言う事で議論する事が望ましい。管理する上で単に漁獲対象魚種の資源をあげるだけではなく、漁業の形態そのものも含めて守った方が良いと思う。サケは守れても漁業は守れないことになる。
松田:指標種に上げたもののみをモニタリングにあげている。これは良くない。例えば、トドを指標種にしたとしても、トドだけを見ていては良くなく、同時に餌も見ていく必要がある。
松田:モニタリングの項目では、対象種をあげているだけで、これに何をすべきか、どう守るかの目標を決めないと本質的な部分が決まらない。元来、モニタリングは達成できているか否かを調べるためのもの。資料6が具体的に述べている。帰山委員はある程度、サケ科魚類に対する、どう守りたいと言う目標があると思う。どのような目標を達成するためのモニタリングか、「時空間構成」という言葉が分かりにくいので、説明をお願いしたい。
松田:枠組みは多岐に渡っていて立派だが、実際こんなに多く出来るのか疑問。やらなければいけない事は2点あり、1つは素案を作る。もう1つは、2年後の査察、5年後の評価に答えられるモニタリングは最優先次項として今考える。サケ科魚類に関するモニタリング等を行い、きちんとした保全ができると言う実証研究が必要と思う。
松田:満たされているか否かが盛り込まれていなければ。例えば「トドを守る」だけでは分からない。理念等を具体的に書く必要がある。