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横浜国大 松田裕之 公開書簡

2007-04-03

[]2度上昇という数値の確度

Date: Thu, 29 Mar 2007 18:51:52 +0900

不都合な真実について、横浜国大環境研のメンバーで議論したことを下記にのせています。

 世界平均気温2度という温度上昇予測は不確実性が高いと思います。温暖化が事実であるという確度は増していますが、上昇幅についてはむしろ今後下方修正される可能性さえあると思います。その場合、2度上昇という数値目標を一人歩きさせるべきではなく、2度上昇を防ぐためとして定めたさまざまな行動計画は、それによって温暖化が1.5度だろうが3度だろうが、維持すべきだと思います。【ですから2度という数字が一人歩きしないようにすべきでしょう。】

2007-04-02

[]田中宇さんの「ニセ科学」論への安井至さんの批判

Date: Sat, 31 Mar 2007 10:02:47 +0900

田中宇さんの温暖化批判に対して、

安井至さんは下記のように一刀両断です。【第2段落はやや同情?】

http://mntrav.cocolog-nifty.com/kankyo/2007/03/post_89ac.html

 お題は、読者のお1人から情報をいただいた、「温暖化【は】ニセ科学」という田中宇氏による指摘への反論です。先に結論があって、それに合う論説だけを選択する、という手法を取れば、世の中、どんな結論でも主張できそうです。【】

 何を結論とすべきか、予見を持たず、できるだけ客観的に情報を集め、そして総合的に判断すること、これが科学者に対して、あるいは、あらゆる専門家にも求められていることなのですが、時間が無いとなかなかやれないのが実情。また、科学者と言えども、あるいは、科学者だとますます(??)、自分の短期的利益に引きずられた結論を導きやすいことは、過去の流行した環境問題の中に実例を多数見ることができる。

下記サイトに詳しい批判があります。

http://www.yasuienv.net/GWPoliticsTanaka.htm

 コメントには数々の指摘があります。一部には、【田中さんは】かなり評判の悪い人のようですね。

Date: Sat, 31 Mar 2007 20:50:01 +0900

やっぱり素人では分らないことが多いのです。・・・しかしPCシミュレーションの中でどのようなパラメーターを使い、どういう計算をさせて行ったのか、プログラムの中までこじ開けて各々の係数調べることは、誰もやっていないのではないでしょうか?

 安井至さんも、自分が【温暖化の】専門外だと認めています。

 通常、科学論文は同業者が追試できるように記述するのが原則です。疑義が出た場合、追試実験を公開でさせられることもある。地球温暖化予測の場合には、プログラムを公開すれば【第3者が】追試できますから、疑義があれば、再現性があります。野外調査結果などは、二度とデータが取れないこともあります。その場合でも、似たような状況で再現できないときは、後で批判されたり、否定されます。

 では実際に追試しているかといえば、追試できる人が世界で数人しかいない場合も良くあります。【あまりにも新奇な研究は、誰にも検証できない、理解されない場合もあります。その場合は後世正しいことがわかる研究でも、しばしば原著論文としては却下されます。】地球温暖化の重要な結果については、もう少し多いでしょう(国際捕鯨委員会もそうです)。

 その外側に、論文の著者が性善説捏造などせず、十分論拠を固めて発表している】と仮定して、その結果の意味や限界を解釈できる人がいます。これはおそらく100人-1000人程度いるでしょう。その程度【の人数】が専門家です。自分の専門外の研究成果については、専門家に聞きます。田中さんはこの作業をしていないと思います。安井さんのサイトを見ると、この作業の途中であることが読み取れます(自分の解釈でよいかとサイト上で問いかけている)。これは、私が「トンデモ論文の10に9はごみです。しかし、10に1つは宝石があると思っています。問題は、その真贋を見極める才能と体制です。【田中さんが】さまざまな分野での真贋をどうやって見極めているのか、よくわからないですね。一人で判断できないことは明らかです。」http://d.hatena.ne.jp/hymatsuda/20070220と述べたことと同じです。

 同時に、田中さんのいうことが全部うそということではないと安井さんのサイトにも書いてあります。大事なことは、自分で判断できないことまで一人(もしくは専門外の仲間)で判断しようとしている態度が危ないということです。また、安井さんのいうように「結論を決めてから論理を組み立てる」とすれば、これも危険です。私には田中さんがそうかどうかはまだわかりません。報道関係者にはそういう人をよく見かけますが、だからといって田中さんがそうだと決め付けるのは、これまた「結論を決めた議論」かもしれません。私はまだ田中さんの記事を一つしか読んでいないので。

Date: Sun, 1 Apr 2007 11:48:06 +0900

温暖化については、私が歯がゆいのは、温暖化をさけるため、二酸化炭素排出権を売り買いする、という、この方法、これでいいの?じゃあ風力発電にして同じように成長し続ける経済というのを維持すればいいの?というところなど、人類は価値観を変換しなくてもよいのか

 デンマークのように風発で全電力の2割を実現するとしても(日本では目標で一桁低く、今はさらにはるかに低い)、風発と成長経済はまったく別です。CO2排出抑制の過程で電力消費を増やすのは専門家によればかまわないそうです。ガソリンより燃料電池!

 今、第3次環境基本計画【では】、GDPあたり温暖化ガス排出量というのがあります。これは私も同じ意見です。私はGDPを上げるなとは言いません。しかし、一人当たりCO2排出を下げてもGDPを上げることはできるはずです。【】

 田中宇さんのサイトにある米英主義=ナショナリズムと多極主義=キャピタリズム、ゴアがいまさら大統領を狙っているというのは半信半疑ですね(これは彼の専門でしょうが)。【素人考えですが、】本人がその気だとしても、無理でしょう。しかし、大接戦を演じた大統領候補がここまで環境に熱心だったというのは、すごいことだと思いました。ブッシュとゴアが対決した大統領選は、本当に二極化した対立だったのですね。【普通は中道層を取り込むために、双方とも中間によってくるのが政治学理論】

2007-03-05

[]雪のない兼六園

3月1日、金沢城と兼六園に行く。ここは北陸なのに全く雪がない。庭掃除をしている人に聞くと、この季節にはふつうは雪に覆われているという。梅はきれいだった。今年の暖冬は、1993年の異常冷夏に匹敵する異常気象の年だと思う。

3月5日、札幌の路上の雪はほぼ融けていた。この季節の札幌は、転倒を気にしていつもゆっくりとしか歩けないが、素早く歩くことができた。札幌から羽田に戻ると、異常に暑い。セーターと外套を着込んでいたら汗をかいた。強風のためJRが遅れ、満員状態で、なおさら暑い。電車内に冷房(除湿?)が効いていたようである。

2007-02-26

[]専門家との議論

Date: Wed, 21 Feb 2007 00:03:32 +0900

建設的なご意見ありがとうございます。

IPCC AR4 では、近年気温が上昇していることは疑い得ないと言っています。

問題は、「不確実性のある科学的知見をいかに伝えるか」であって、これは旧来からのリスクの考え方に通じるところがあるのだろうと思います。

 そうですね。疑い深い私も、今回、【近年の気温上昇】は認めざるを得ないと思いました。

 【不確実な知見の伝え方については】まさにそのとおりです。1992年の時点での判断と、今の判断では根拠が違います。大事なのは(温暖化の)確実さが増したことであって、それは温暖化影響がより深刻になったことを意味しません。温度上昇が6度ではなく1.5度であったとしても、それが確認されたことは重要なことです。

 いつの時点でどう判断すべきか、それを論じることがリスク管理です。これは環境問題では実践的な責任と社会的影響力をもつ問題です。

2007-02-24

[]議論の続き

Date: Thu, 22 Feb 2007 13:03:55 +0900

【田中宇氏のニュ−スに「9.11テロは米政府は予知していたのに、あえて防がなかった。・・・真珠湾攻撃の時と同じだ。」という記事があるという指摘に対して】

 これはある著名な学者(テレビによく出てくる人)からも聞きました。ユダヤ系米国人学者にメールで紹介したらかなり憤慨されて【しまい、証拠もないのに流言蜚語を伝えるのはよくないと謝罪したことがあります。】

Date: Fri, 23 Feb 2007 07:24:15 +0900

【二酸化炭素濃度の継続的測定を普通は有名なKeelingが始めたことになっ

ていますが、ゴア氏はRevelleがKeelingを雇って測定を始めたと記してい

るが、Revelleが理事をしていたScrippsにKeelingが雇われた事実はあるもの

の、それだけではRevelleがこの測定を始めたとはいえないという指摘。】

「不都合な真実」の中にも、「不都合な真実」または「都合のよい誤解」が含まれていることですね。

 自分の恩師を誤報すれすれの解釈で持ち上げるというのは、政治家やマスコミとしては(あるいは一般市民としては)それほど悪くはないのでしょう。【海面】6m【上昇という予測】も同様です。「わざと」(これはいただけないが)古い説で大げさに言ったと。

 いずれにしても、大げさに言う政治的効果より、 不正確な情報を批判される負の効果のほうが重要だと認識すべきです。 「不都合な真実」という題名は、それをわきまえた人が使うべき題名でしょう。その意味では、残念ですね。