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横浜国大 松田裕之 公開書簡

2007-10-27 数名の専門家へのお願い

[]至急のお願い 環境技術国際比較 海洋管理・再生技術

Date: Sat, 27 Oct 2007 19:49:16 +0900

11月中旬までにあるところが進めている「科学技術研究開発の国際比較」の一環として海洋管理・再生技術について、私が担当することになりました。

 いわゆる技術力を、今年と2-3年のトレンドの国際比較(日本、米国、欧州、中国、韓国など)を問うています。他の比較する分野も見たところ、農林水産業技術ライフサイエンス(バイオなど)以外ほとんどありません(海洋汚染対策は汚染にあり、CO2吸収は温暖化にあります)。社会制度等は含まないということなので、海洋保護区自体は含まれず、それに付随する技術が含まれます。また、海洋を含むモニタリング技術は【別の人が】集約していますが、必要なら伝言します。

 大学・研究所研究、 民間の研究水準、 産業の技術力 に分けて評価します。

 【】皆さんのご専門分野で、ぜひご意見をお願いします。【】また、全体コメントおよび1200字の説明ができますので、皆さんが書いていただいたことをそこに反映できます。すべての内容を評価することは不可能ですから、評価の具体的根拠(生物名、技術名など)を書いていただくと助かります。

 ご多忙のところ恐縮ですが、【】きちんと評価して、【】政策に反映させることは極めて重要と思いますので、どうかよろしくお願いします。韓国、中国など埋められない部分はかまいません(気づいたところのみ埋めていただくと助かります)。

 ご不明の点は何なりとご質問ください。できれば、来月初旬までにお願いします。

2007-09-20

[][]水産資源学者水産業界に貢献できるか?

Date: Thu, 22 Mar 2007 19:55:44 +0900

これから日本の水産業界に貢献するという視点からみて、研究者が果たす役割は大きいといえるのでしょうか。特に「水産業界における研究者の立場」という観点で

 それは研究者の振舞い次第です。

 あなたの希望は、水産業界を盛り立てたいという事だと思います。そのためにあなた自身が何をすべきかと言う質問と理解します(違ったらごめんなさい)。

 結論から言えば、以下のどの道を歩んでも、大きく貢献できる可能性は統計的には少ないでしょう。等身大の貢献という意味では、当然、業界そのものに進むのが確実です。しかし、一人でできることは限られます。大志を抱くならば、どの道でもさまざまな可能性があると思います。

 水産業界に勤めるといってもいろいろな道があるでしょう。たとえばMSC水産物認証制度】を成功させる、持続可能な漁業の技術革新を伴う起業を成功させるなど、大いに貢献できる道はあると思います。

 研究者になっても、業界に貢献したといえる人はわずかだと思います。邪魔をしている人もいるでしょう。私が何をしたかといえば、

1.海洋研と中央水研の共同研究で、マサバの資源回復確率と乱獲の関係を明らかにしたこと。この論文の後、水研の資源評価表で92,96年級群への多獲が資源回復を妨げたことが明記され、まき網業界もマサバの資源管理の必要性を認めるようになりました。

2.マグロの絶滅リスク評価によりレッドリストの問題点を明らかにしたこと。IUCNの評価は変わりませんでしたが、CITESへの掲載などはまだ提案されていません。

3.管理捕鯨の可能性を明言したこと。これでWWFジャパンもそれを認めるようになりました。

4.サンマ選別機への批判を2000年に気仙沼で講演し、選別機への見直しを促したこと。すぐには撤廃されなかったが、冷凍工業界への期待にこたえ、最近、諸般の事情の変化により選別機が撤去されました。

5.知床世界遺産の科学委員として漁業者との合意形成に努め、遺産登録を実現したこと。

 これらのことは、科学者でなければできないことが多かったと思います。知床については若い○○君の貢献も大きいです。かりにあなたがにそれ以上の役割を水産業界で果たせるかといえば、それにはさまざまな才能が必要でしょう。

 公務員試験を受けて官僚になるという道もあります。ただし、この場合の個人の自由度は当分封印されます。あなたがほれ込むような官僚指導者がいれば、その指導者に貢献するという道がありえますが、あなたでなければできない役割かといえば、当分はそうではないでしょう。

 政治家を使えという○○さんの意見は実感できません。科学者は、業界の針路を示すことだと私は思います。しかし、これは○○さんの世界を知らないからかもしれませんが。

2007-03-31

[][]生態学会長のページ「ゴルフ場」 感想

Date: Fri, 30 Mar 2007 20:23:22 +0900 (JST)

 菊澤生態学会長のページ(最初は「会長な日々」といういい題名だった)に今年の生態学会での「開発につける薬」のセッションの紹介が載っている。私はこのセッションにでたことがない。生態学者が開発側に薬をつける医者の立場という言い方が首をかしげる。そもそも、医学というのは患いの自覚症状のある人に対して治療を施すのであって、勝手に「敵」に薬をつけるのは医学を知らない発想だ。今年のセッションではゴルフ場が槍玉に上がり、討論のなかで「ゴルフ場など無くったって生きていける」という意見がでたことに、菊澤会長は「確かにそのとおりだなと思いつつも、いささかゴーマンな意見ではあるな、と、思った」そうである。

「里山がみなゴルフ場になってしまう社会は困った社会だとおもうが、ゴルフの出来ない社会が幸せであるとは思えない」という指摘には全く同感だ。上記のような意見が出る場が、果たして学会のシンポジウムに相応しいのだろうか。夜行う自由集会ならいざ知らず、とても学問的な議論とは思えない。

 今年の自由集会には、学問的水準の高い、新たな息吹を感じるものも多々あった。シンポジウムにしてもっと大勢の人を集めないともったいない。また、「微生物群集の不均一性」のシンポジウムはとても面白かった。発表者の多様性は発展途上だったが、大勢詰め掛けた会場からの質問が多様で、若々しかった。この分野はこれから大いに発展すると思う(ただ、ブルーギルの多型がすべて適応現象だという説明は半信半疑だった。手を挙げたけど質問できずに残念)。例年よりシンポジウムが少なかったが、おかげでこの「マイナーな」分野でも聴衆が集まったのはよかったと思う。

2007-02-07

[]科学者環境コンサルタント担当者の役割について

 瀬口さん、コンサルの位置づけについては、12・16宮城県アセスメント協会主催の講演会でも質問がありました。私は以下のように答えたと記憶しています。

 科学者は、研究費で地域に関わる場合、しばしば研究費の切れ目が縁の切れ目になるが、地元市民から見て「落下傘」と反感を買うことがある。科学委員会などで関わる場合、短期的に意見を述べるだけでなく、長期的に関与し続けることが重要といわれる。科学者は不適切な助言をしても通常、法的経済的責任を問われることはないから、長く関与し続けることで責任をまっとうできる側面がある(鷲谷・松田1998)。

 科学者は自由意志で忌憚ない意見を述べることができるが、コンサルは発注先の不利益になるようなことはいえない。しかし、コンサルが発注者(行政など)と同じ気持ちでいるとは限らず、むしろ最も事情をよく知る当事者として、さまざまな解決の糸口を知っている場合がある。水面下で科学者や利害関係者に根回しすることは十分に可能である。私は天皇制を支持しないが、天皇制を存続させた日本人の「風土」にはよい側面があると思う。(過去に女帝はいたがすべて男系であった。直系が断絶したときに数代さかのぼった「庶民」を即位させた継体天皇の例もある。女系天皇を認めることは、天皇制の1500年以上の歴史の中で初めてであり、天皇制廃絶への一歩だと思う。まして、愛子様の場合には長子優先とはしないというに至っては、さらなる精神的苦痛を呼びかねない)

鷲谷いづみ・松田裕之(1998)生態系管理および環境影響評価に関する保全生態学からの提言(案). 応用生態工学 1:51-62

2007-02-01

[]個体群生態学会の齢構成と永年会員問題

Date: Fri, 21 Oct 2005 15:06:48 +0900

70歳以上で会員歴30年だと、それほどたくさんの数にはならないと思います。2002年の会員名簿で10名ですから、せいぜいでも近い将来に20人程度くらいでしょう。

 私の実感とはかなり違いました。個体群を長年支えてきた会員には、すでに55歳を超えているかたがかなり(少なくとも数十名)いるように思っていました。全員が30年以上会員でい続けているとは限りませんが。私は、この制度があと20年持続するとは思っていませんでしたが、データがないので、なんともいえません。

 近い将来(10年程度?)に問題がなければよいのでしょうか?それとも、あと20年は問題ないと判断されているのでしょうか。

 皆さんがデータをもとに、あるいはデータを見なくても、今後20年間(70歳以上で長期在籍の永年会員該当者)数%以内に維持されることが自明と考えられていらっしゃるなら、それでかまいません。よく知らないので、不安に思いました。また、本当は永年会員の資格があるのに、退会されている方は他にいらっしゃらないのでしょうか。本人からの申請があればということでしたか?

Date: Fri, 21 Oct 2005 17:03:26 +0900

 現在、既に【永年会員】制度はあるのですから、問題があるとしても、それが顕在化してから見直すよりないのでしょう。それは10年後かもしれません。見直す時機にどのような状態にあり、どのように説明して見直すかは、ちょっと想像しづらいことです。

 個体群生態学会とは、人口予測、年齢分布将来予測のプロ集団のはずです。他の行政、環境問題ならば、先見の明を持って問題点を予見し、対策を早めに立てることを常に重視しているつもりです。いつまで成り立つ制度なのかの見通しが立っていないままでいるのは、私としては釈然としません。

 データがないので、上記は杞憂かもしれませんが、この制度を作るときに、もう少し考えるべきだったと反省しています。

 個体群管理計画で行政がこんな見通しで計画を立てたら、私は間違いなく強く異論を唱えることでしょう。

 ただし、学会創設期・黎明期を担っていた会員は特別であるという趣旨で、たとえば10年間のみ施行するというのであれば、それなりに筋は通ると思います。