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横浜国大 松田裕之 公開書簡

2006-12-28

[]生態学会自由集会【W-019】地域生態系の保全・再生・・・

Date: Sat, 23 Dec 2006 09:08:06 +0900

生態学会自由集会 講演者各位

講演日程が3月19日の夕方18-20時になりました。楽しみにしています。

日本生態学会愛媛大会(2007年3月19日18時ー20時) 自由集会W03 (講演者と演題)

「地域生態系の保全・再生に関する合意形成とそれを支えるモニタリング技術の開発」

企画者: 松田裕之(横浜国大環境情報)・矢原徹一(九大理)

概略 地域生態系の保全・再生事業においては、目標設定をめぐってしばしば意見の対立がある。我々は2004年から2006年度にかけて、環境環境技術開発等推進費により、「全野生種を存続させる」という基本目標と、事業立案から合意形成・事業実施の各段階において保全・再生事業が守るべき諸原則を提起し、これらの目標・原則によって、意見の対立をいかに解消しえるかを検討してきた。合意形成には、基本目標が達成できるという保証が必要であり、そのためのモニタリング技術(調査方法と評価モデル)の開発、モニタリング調査そのものを異なる価値観を持つ利害関係者の間で協働で担う体制が重要である。その具体事例として/∧・水生生物・哺乳類の全野生種の保全を基本目標とする九大移転用地問題、外来魚の駆除と集水域の管理事業を実施する深泥池、そしてシカの食害が深刻化し植物種の絶滅リスクを高めている屋久島の3つを選んで調査研究ならびに合意形成を進めてきた。その結果、合意形成における科学者の役割、客観的な調査結果に基づく共通認識の構築ならびに利害関係者の振る舞いに関する社会学的取組みの重要性についての諸原則をまとめつつあるので、本自由集会で報告し、参加者と意見交換を行う。

2006-10-08

[]10月23日 横浜国大/国環研シンポジウム

Date: Sun, 8 Oct 2006 06:34:55 +0900 (JST)

jeconet wildlife ece-ml biometry Suisan-kaiyo, kaiseki各位(重複受信の方お許しください)

 横国COEでは10/23に、国環研との連携を記念する下記のシンポジウム東京フォーラム(有楽町)にて開催します。皆様の参加を歓迎します(参加無料。収容人員に限りがありますので、お手数ですが参加申し込みをお願いします=10.18満員御礼キャンセル待ち。参加を取り消される方は、お手数ですが公式サイトにある連絡先へ連絡お願いします)。

 ザクリ所長の講演は、World Resource Instituteのミレニアム生態系評価(MA)の内容紹介ですが、横浜国大では来年2月にMAの報告書「Ecosystem and Human Well-being: Synthesis」の訳本を出版する予定です。この本では、生物多様性保全が生態系サービスを支え、それが人間の福利にいかに貢献しているかをまとめています。

 西岡理事は地球規模で起こりつつある生態系の変化がわれわれの社会文明に及ぼす影響についてIPCCの報告書と上記MAの報告書に基づき講演されます。

 ベルク教授は西洋思想である「自然」「環境」と和辻哲郎の風土論に基づく考え方を紹介されます。

 私は横浜国大COEの取組みの成果と今後の課題として、不確実で複雑な生態系を保全する方途としての順応的管理のさまざまな事例(化学物質の生態リスク評価、アライグマの侵入予測と対策、レッドデータブックの絶滅リスク評価、丹沢の土壌浸食、ニホンジカの保護管理、サバの漁獲可能量制度、知床世界遺産管理計画)と、我々が提案した科学だけでは答えがでない自然保護価値観にかかわる部分を社会的に合意し、その実現可能性や客観的評価の手法と基準を定める作業を科学者が担うという「リスクマネジメント手続きの基本手順」を説明します。(要旨

2006-09-24

[][]9.22オホーツク実学市民公開講座のお礼

Date: Sun, 24 Sep 2006 22:42:29 +0900

 昨日は「2006年度 第2回 オホーツク実学市民公開講座シンポジウム)」という中身の濃い企画をありがとうございました。

 最後に感想を4点、述べさせていただきます。

 まず、知床世界遺産登録の際にIUCNから指摘された点のうち、ダムとサケの問題に触れることができませんでしたが、河川工作物の影響を調査し、報告することになっています。2008年には横浜で世界水産学会議が開かれます。そのときも、サケとダムの関係と種苗法流の天然魚への影響について、世界中に大きく取り上げられることは必至です。知床が取り上げられる可能性も考えられます。この点をもう少し意識していただきたいと思います。

 第2に、3つの自然遺産地域に共通して、自然遺産地域における人間活動の存在が強く意識されたことに注意していただきたいと思います。これは、世界的には当たり前のことではありません。手付かずの自然を守るのではなく、人が関与している自然を、その人間も含めて維持することが問われているのです。

 第3に、それと関連して、不適切な人間活動があれば改めるべきです。白木さんの話では、観光船が海鷲を客に間近でみせるために餌を撒いているといいます。ただでさえ海鷲類は人間に強く依存し、生態系の頂点にいる指標種としての役割が損なわれています。世界遺産地域でこのような「餌付け」が行われていることは、世界の非難を浴びるでしょう。この点は強く改善を求めるつもりです。

 第4に、北方領土ならびにロシアとの関係です。IUCN評価書にも生態系の連続性が描かれています。宇仁先生が指摘されたように、東アジアの視点が必要です。(北方領土や千島ではなく)知床が先に認められたのですから、ユネスコに認められた知床の価値を周辺海域の保全とともに考えていけばよいのです。また、日本の漁業管理や人と自然の関係のよい面を世界に説明することが大切です。

 以上です。

オホーツク実学市民公開講座

「知床-世界自然遺産登録と環境共生−地域活性化 の課題を展望して−」

東京農大網走, 2006年9月23日

世界遺産の保護のあり方について

講演要旨

 知床世界自然遺産の保護管理政策には、2つの注目すべき点がある。第一に、沿岸漁業が営まれる海域をそのまま世界遺産に登録した。第二に、知床岬など核心地域でエゾシカの個体数調整を検討している。絶滅危惧種であるトドは漁業被害を与え、知床周辺でもそれを捕獲し、かつ、肉として利用している。駆除と利用は今後も続けるが、主要な漁業資源であるスケトウダラはトドの餌でもあり、生態系管理の観点からも魚を守る「多利用型総合的海域管理計画」を策定中である。欧米でも、漁場への自由参入と政府の上意下達の管理ではなく、漁協の共同管理という考え方が見直されつつある。知床は、世界遺産になったことで、図らずも日本の沿岸漁業における共同管理の見本として、世界に英語で説明する役目を負うことになった。

 陸域では、エゾシカは過去1世紀にも激減と大発生を経験し、知床半島ではいったん絶滅し、再分布したと考えられている。シカの仲間は世界各地、日本各地で大発生しているが、ほとんどの自然公園では禁猟のため、希少植物を食いつくし、植生を一変させている。知床科学委員会では、現在の大発生が過去に繰り返された増減過程の繰り返しか、前例のない不可逆的影響を植物に与えつつあるかで論争になった。議論に決着はついていないが、もし不可逆的影響がある場合には、予防原則の観点から遺産核心地域でも個体数調整が必要であるとの認識に立ち、捕獲を提案している。

 知床といえども、人為から隔絶した自然ではない。自然の恵みを持続可能な形で子孫に残すための方策を考えるために、日本のほかの世界遺産にない科学委員会が組織され、検討を重ねている。自然だけでなく、地域の生活も同時に守ることが大切である。

2006-09-15

[]9.12河川自然再生共生シンポジウムのお礼

Date: Wed, 13 Sep 2006 14:23:36 +0900

○○様、・・・

昨日のシンポジウムその後の懇親会と、たいへん楽しく、また刺激的な一日を過ごすことができました。主催者のリバーフロントのかたがたにはたいへんお世話になりました。お心づくしに厚くお礼申し上げます。

 本日は弊学にて国際食物網ワークショップを開催しています。全く異なる「象牙の塔」の刺激ですが、今後とも、皆様と議論して現実のさまざまな問題に引き戻していただければ幸いです。

2006-09-10

[]9.13-14 横浜国大食物網国際Workshopのお知らせ

Date: Sun, 10 Sep 2006 19:14:48 +0900 (JST)

jeconet biomath, biometry, wildlife, Suisan-kaiyo. kaiseki各位(重複受信のかたはお許しください)

9月8日に横浜国大−国環研での今年度からの環境リスク関係の新組織設置にともなう「第1回合同ゼミ」を開催しました。他のリスク関係の関係機関も含めて50名以上の参加があり、活発な討議が行われました。遠方より参加いただいた多くの方に感謝します。

 9月13日と14日には、横浜国立大学において、Advances in Food-Web Theory and its Application to Ecological Risk Assessmentという国際ワークショップを開催します(主催者は横浜国大21世紀COE生物・生態環境リスクマネジメント」、組織委員は横浜国大AxelRossberg、Jamstec石井励一郎、国環研吉田勝彦)。Joel Cohen, Louis-Flix Bersier, Alan McKane, 時田恵一郎、近藤倫生、ke Brnnstrm, Carlos J. Melin, Owen Petchey, Ulf Dieckmann, Bo Ebenman,難波利幸など、食物網理論に関する内外の著名な専門家が一堂に会し、二日間にわたり活発な討議を行う予定です。彼らの多くはその直後に福岡で開かれる数理生物学会にも参加しますが、特に東京近辺の方は、ぜひこちらにも参加ください。

 まだAbstractを見ていませんが、プログラムを見る限り、今回の食物網Workshopの鍵は表現型の制約、進化と持続可能性でしょう。

 食物網理論に進化という概念を持ち込んだ研究としては、Matsuda & Namba(2002Ecology)が先駆的な位置にあります。この論文では突然変異は餌選択性に限り、その後の我々の論文でも餌選択と被食回避に限って論じていますが、最近の研究ではニッチ空間上の突然変異を明示的に考慮したものが多いようです。

 Abstractは明日ころサイトから参照できると思いますが、常に食物網理論の先端を切り開いてきた「頓知の効いた」Joel Cohenと、多様性と安定性の古典論争に一定の解を与えたAlan MaKane、Invasion Plotなど進化力学の議論を食物網理論に持ち込むUlf Dieckmannらとどんな議論になるか、楽しみに質得ます。

 これはWorkshopですから、単に発表と質疑応答だけでなく、その場の議論がたいせつです。将来の食物網理論の研究の針路を決めるような議論をしたいと思っています。

 また、13日夜には懇親会も予定しています。まだ十分に参加できます。

 皆様の参加を心より歓迎します。

松田裕之