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横浜国大 松田裕之 公開書簡

2007-03-10

[]浦野・松田編「生態環境リスクマネジメントの基礎」完成!

Date: Fri, 9 Mar 2007 14:24:48 +0900

 おかげさまで、浦野・松田編「生態環境リスクマネジメントの基礎−生態系をなぜ、どのように守るのか−」が完成しました。 私のサイトで紹介しています。

 手前味噌ですが、著者陣の多様性が最大の魅力です。これだけ多くの著者が生態リスクテーマについて持論を展開する教科書は、傑出したできばえだと思います。読み返すたびに、メンバーたちの議論の集大成として、本COEの「生態リスクマネジメント学」が出来上がってきたという過程がわかります。熟読する読者にもわかることでしょう。教科書として広く使われることを、自信を持ってお勧めできます。

 この教科書は、浦野リーダーをはじめとするCOEの活動内容を実証する成果の一つに過ぎません。私がかかわらなかった「ミレニアム生態系評価」総合報告書の訳書(オーム社)があります。これも、多くの訳者の共同作業として進めたことに、拠点形成としての価値があります。この国際標準の報告書を熟読吟味したメンバーが本拠点に大勢いるということに価値があります。さらに、小池文人さんがIUCNの活動の一環としてまとめた外来種国際シンポジウムの報告書もできました。

2007-01-22

[]一般化線形モデルより一般線形モデル

Date: Sun, 21 Jan 2007 18:36:07 +0900 (JST)

一般線形モデルによる 生物科学のための現代統計学

書籍紹介。気になったので原著のサイトを見ましたが、たしかに、以下は一般化線形モデルではなく、一般線形モデルを扱っているようですね なるほど。。。来年度から、勉強会教科書も何か、こういうのを探しましょうか。

Several books have already appeared on the topic of generalized linear models, but these have been aimed at professional statisticians and users of statistical methods who have a more mathematical turn of mind. This is the first book, to my knowledge, that attempts to present the commoner statistical methods listed above within this general framework to biologists, and so is very welcome. Because the authors are dealing with the

more elementary sub-set of the above topics, they refer to present their subject as ‘general linear models’ as opposed to ‘generalized linear models’. The book is mid-way between a ‘cookbook’ and one that deals with the underlying statistical theory; where it is necessary to explain some of the theory it is done graphically, and mostly well done at that.

【書名】一般線形モデルによる 生物科学のための現代統計学

――あなたの実験をどのように解析するか――

Alan Grafen,Rosie Hails 著

野間口謙太郎・野間口眞太郎 訳

B5,356頁,定価本体4800円(税込み5040円)

詳細な目次・序文・内容紹介などは次にあります。

http://www.kyoritsu-pub.co.jp/shinkan/shin0701_05.html

1月25日前後に全国の書店に並びます。

2006-09-08

[]「日常生活のクリティカル・シンキング−社会学的アプローチ」

木村邦博著「日常生活のクリティカル・シンキング−社会学的アプローチ」(河出書房新社)

 社会学の「教科書」は、えてして門外漢にはとっつきにくい。しかし、この本はたいへんとっつきやすい。すっと読める本である­。なぜなら、テーマが日常的でわかりやすい。初めに冬季五輪のジャンプなどスポーツの国際ルールが、日本が金メダルをとるたびに日本選手に不利なように変わると­いうのは本当かという問題、次に非科学的な血液型性格学はなぜ流行るかという問題、後のほうでは離婚する家庭と非行少年が出る家庭の相関という「生態学的虚偽」­に関する議論などがある。後半の事例は他の社会学の本にも出てくるかもしれないが、最初の二つは斬新だ。これらの話題を通して、社会学の基本概念と社会調査法の­基本が習得できるようになっている。

鈴木大地のバサロ泳法禁止が不利といえないというのは納得した。しかし複合ジャンプ­の配点変更や純ジャンプのV字ジャンプの禁止と許可は、私は日本トップ選手への嫌がらせだと以前から思っていた。その認識は本書を読んでも変わらない。

最後はかなり「自虐的」反省から、社会学に対する批判を列挙している。社会学とは当たり前のことを難解な言葉でいうだけ(物理学者ファインマン)、価値や実践の­問題を避けている(コメディアンの小堺一機、ジャーナリストの本多勝一、倫理学者の加藤尚武)。そして社会学者から想定される7通りの弁明を紹介している。現実­を生き生きと語るのではなく無味乾燥な数字で語る、日本では欧米の学説の受け売りだけという批判もある。

けれども、その内容には賛成できない。論文が客観的な記述に終始して無味乾燥なことが、果たして悪いことだろうか。その反論として、皆が現場に密着した研究をし­ていないという反論も意味不明だ。現場に密着した研究をして、結果を淡々と客観的に論文にするのが普通ではないか。もちろん、講義や市民向けの講演、あるいは一­般向けの解説文で無味乾燥ではいけないと思う。その違いをわきまえることは大切だ。しかし、社会学の方法論自体を否定する必要があるのか。門外漢が触れるのは原著論文ではなく、本や講演のはずである。

私の率直な印象では、多くの社会学者は、本当に社会的に重大な問題、具体的な問題に真っ向から取り組んでいないという不満がある。スポーツルールの差別や血液型­は、重大とはいえないが、問題としてはわかりやすい。そのような問題に明確な成果を挙げる社会学者は、他の重大な問題でも専門家として良識あるコメントを発する­ことができると思う。

この本からは、社会学者が、自分の学問を判りやすく伝えよう、世間の批判に答えようという真摯な態度はよく伝わってくる。この本を読んだ社会学の学生、あるいは­この本を書く際に著者に影響を与えただろう若手の学生たちには、大いに期待できると感じる。著者は副読本と序文で位置づけている。その言葉通り、この本ならば、­他分野の、例えば私の学生に社会学の入門書として一読を勧めることができる。

2006-05-09

[]「世界遺産をシカが喰う」書名が決まるまで。

Date: Mon, 10 Oct 2005 17:12:49 +1200*1

○○さん

Y案は「シカと森の現在と未来:世界遺産に迫る危機」。この副題、いいですね。

松田修正案 「シカが森を壊す?世界遺産に迫る危機」

 ○○さん、いかが?これ以外の案でもよいですから、ご意見よろしく

 壊すのは、小泉【首相】だけでなく、今流行ると思います。

Date: Tue, 11 Oct 2005 11:13:44 +1200

○○様、○○様

私は主題に「壊す」などのメッセージが必要だと思います。これは、不安ではなく、予測です。【】大事なことは言うべきです。しかし、副題には要りませんね。

松田第1案 「シカが森を壊す?大台ケ原シンポの記録」

Y案は「シカと森の現在と未来:世界遺産に迫る危機」。松田第2案 「シカが森を壊す?世界遺産に迫る危機」【】あとは【編集者】にお任せします。私の趣味にとらわれずにお願いします。

Date: Wed, 12 Oct 2005 12:24:36 +0900

○○さん

案> 「世界遺産をシカが喰う シカと森の生態学」

 これは「くらう」ですか「くう」ですか? 

 ちなみに、私が今アクアネット誌連載中の原稿タイトルは「リスクを食らう:魚の水銀含有量」でした。

Date: Wed, 12 Oct 2005 16:17:35 +0900

関係者のみなさま。ここは一つYさんのご意見で決めましょう。

「世界遺産をシカが喰う シカと森の生態学」>シカが食べているのは植物であって、世界遺産ではありません。「世界遺産をシカが喰う」というような表現は、新聞の見出しなどによく使われますが、不正確なので、私はあまり好きではありません。

 まぁ、私の連載で喰うのも魚であって、リスクではないかもしれませんが、一般書なのだし、私はそこまで気にしません。【】

松田案 「シカが世界遺産を壊す? シカと森の生態学」

 文一案に対して、少し修正するくらいのものがたぶんよいのだと思います。【】いずれにしても、序章は題名が決まった時点で、若干修正が必要でしょう。

Date: Wed, 12 Oct 2005 17:53:31 +0900

皆さん はい。湯本さんと私の意見はほぼ同じです。【書名候補の優先順位の】順番は多少違いますが、それくらいは出版社の判断を尊重するというのが私のやり方です。○○さんの厳格な科学者としてのセンスにはそぐわないかもしれませんが、これは編者二人のセンスということで、お許しください。

 それでは、【編集者】さんの最終判断をお聞かせください。それを受けて、湯本さん、若干、序章に手を入れていただければ幸いです。

*1:おかげさまで、湯本・松田編「世界遺産をシカが喰う」が重刷になりました。その書名が決まるまでの議論を紹介します

2006-04-27

[]岡敏弘「環境経済学」

Date: Wed, 26 Apr 2006 16:18:45 +0900

岡敏弘様

ご高著「環境経済学」(岩波書店)ありがとうございました。索引に新古典派も制度派もマルクスもエントロピー経済学も全部書いてあるとは、すごい情熱ですね。これぞ教科書、というものを感じました。期待多様性損失(ELB)から外来生物(セイヨウオオマルハナバチ)まで取り上げていただいたので、勉強させていただきます。

 ますますのご活躍に期待しています。