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横浜国大 松田裕之 公開書簡

2013-10-28

[]岩尾別川クマとカメラマン

2013年10月15日(火) 01:41:46

【カメラマンがクマに接近しすぎて人慣れの危険がさらに増しているという】情報感謝。

すぐに解決策が実施できないにしろ、万一に備え、事故などが起こったときの対応方法を想像、検討または準備しておくほうがよいでしょう。その警告を発することはできるかもしれません。以下のようなことですか?

  • このような熊が人なれしてよそに出没して駆除される(これはすでにおきている)
  • 現場にいた人が襲われる
  • このような熊が人なれしてよそに出没して人を襲う

送信日時: 2013年10月28日(月) 14:49:39

声明ありがとうございました。

また、環境省、林野庁、知床財団が早速現地でビラ配りされたとのこと、敬服します。

ご存じでしょうが、毎日新聞全国版?に【】記事がでましたので、お知らせします。まだ、知床財団や環境省サイトにはないようですので、勝手ながら松田のサイトに載せました。

先日申したかもしれませんが、10/5-8にかけてアムールオホーツクコンソーシアム(AOC)会議でウラジオストクに参りました。その折、ウスリスキー保護区も視察しました。そのあとの会議で知床のシカ捕獲、クマ問題を紹介したところ、ロシアは保護Protection重視だったようで、このような世界遺産の取り組みを高く評価し、今後もAOCの保護ネットワークを作りたいということになりました。

2010-06-11

[]知床世界遺産5周年記念シンポジウムに寄せて

Date: Thu, 3 Jun 2010 06:04:26 +0900

 科学者の役割とは何か、世界遺産登録の過程は我々にとってはその模索でした。2008年の視察団に対して行政でなく科学者や漁協が説明するという構図は、2005年当時には考えもつかなかったと私は思います。そして、【この構図】が評価されたと理解します。

 これは単に科学者の意見が尊重されるということではありません。むしろ逆で、利害関係者にWin Winの関係を導き、かつ自然を適切に管理するSolutionを提案する調停者としての科学者の役割【が評価されたの】だと思います。最も端的なのは、「規制なき海域拡大」「漁協自らが海域の保護レベルを上げる」という解だと思います。

 この解は、政府と道知事漁協に約束したこととIUCNの審査意見の両方の「制約」を満たす【論理的に唯一の】解でした。科学者が自由に理想を語るなら、この解は生まれなかった。そして本当に、漁協はスケトウダラ季節禁漁区を拡大しました。それが、図らずも【】日本漁業の共同管理の有効性を世界英語で説明する機会となりました(これは結果論だが、偶然ではありません)。

 初期の頃は【】新聞の変なすっぱ抜き記事で右往左往しましたが、この過程で信頼関係が醸成され、昨年の海中公園報道のときは地元もきわめて冷静だったと聞いています。

 河川工作物においても、結論をはじめから決めずに、期限を区切った評価体制とモニタリング体制を作り上げ、その結果を見ながら順応的に必要な対策を講じるという方法が奏功したと思います。

 シカ対策は、最も原生的な知床岬での大量捕獲という壮大な実験を行いました。最初は「とても地域の合意を得られない」という意見が多かったですが、「科学者は必要なことを提案し、地域の判断に委ねる」という立場に徹【し】、比較的早く合意が得られつつあると思います。【】森林更新がほぼ完全に阻害されているというデータが、今までの世界遺産管理の「常識」を覆す合意をもたらしたのだと思います。

 こ【うした】科学委員会の役割は、自明のものではありません。たとえば生物多様性条約における科学者(DIVERSITAS)の立場はだいぶ違います。科学者の役割を増やそうという表面を見れば同じですが、地域社会や利害関係者との調停という意味ではむしろ逆です。気候変動枠組条約やワシントン条約のこの1年間の一連の対立をみると、科学者は締約国の対立を調停するどころか、【】現場を見ないで理想を語り、その一方を煽っているだけにも見えます。この点は【COP10】事前会議で彼らに壇上から指摘したのですが、たぶん理解されていないでしょう。

 COP10も ワシントン条約以上の対立の場になると【心配して】います。まだ「知床方式」は国際条約には取り入れられていませんが、紛糾すれば、我々の出番が来るかもしれません。

 もう一つ、日中露オホーツク生態系保全共同宣言・コンソーシアム設立も大きな一歩でした。これも、科学者の大きな役割の一つだと思います。

Date: Thu, 3 Jun 2010 21:18:43 +0900

 そういえば、CoP10対応の「環境省生物多様性総合評価報告書」(Japan Biodiversity Outlook)も、本来は環境省名義で公表する予定だったと思いますが、検討委員会(中静座長)名義で公表しました。省庁間の調整がたいへんで、科学者に下駄を預けたのかもしれません。Public Commentを募って意見集約を図りましたから、【】私はこれでよいと思っています。

2010-06-05

[]知床世界自然遺産登録5周年記念シンポジウム

Date: Sat, 05 Jun 2010 09:51:00 +0900

 6月12日、13日に横浜ランドマークで表記シンポジウムを開催します。

 12日には知床世界遺産登録時の顛末「規制なき海域拡大」「知床岬シカ密度操作実験」「河川工作物問題」「ヒグマ問題」「エコツーリズム」などとともに科学委員会の足取りも議論されるでしょう。知床岬のシカ問題の最新情報は、私自身も驚愕の事態となっています。

 13日には屋久島、白神の議論も含め、小笠原の行方も論じられるでしょう。そこでも、順応的管理がテーマとなります。また、私個人としては、世界遺産とともに人間の利用と自然保護の両立を図るユネスコMAB計画との関係も討論で提起したいと思っています。

 皆さんの参加を歓迎します。

詳細は以下をご覧ください。

http://hokkaido.env.go.jp/kushiro/pre_2010/0518a.html

【お知らせ】知床世界自然遺産登録5周年記念シンポジウム等の開催について

2010.05.18 釧路自然環境事務所

1.知床世界自然遺産登録5周年記念シンポジウム

シンポジウム1日目(6月12日)では、知床が抱える課題への取組や、世界遺産委員会やIUCN等の指摘にどう対応してきたかについて、5年間を振り返るとともに、今後の知床のあるべき姿について考えます。

 シンポジウム2日目(6月13日)では、平成5年に世界自然遺産に登録された屋久島と白神山地の関係者、さらに今年1月に世界自然遺産登録に向けて推薦書が提出された小笠原諸島の関係者も交え、世界自然遺産の保全管理のあり方について議論を深めます。

[2.]概要

(1) 開催日時:平成22年6月12日(土) 13:00〜17:00

6月13日(日) 13:30〜16:30 (2) 開催場所:神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 横浜ランドマークプラザ5階 ランドマークホール (3) 主催:環境省釧路自然環境事務所、林野庁北海道森林管理局、北海道、世界自然遺産登録5周年・知

床旅情誕生50周年記念事業実行委員会※ (4) 共催:NHK北見放送局(13日のみ)

(5) 入場料:無料(事前申込制) (6) 定員:300名(各日) (7) 申込先: 詳細は上記サイト参照

2009-11-08

hymatsuda2009-11-08

[]大成功!日中露オホーツク保全Consortium

Date: Mon, 09 Nov 2009 01:03:20 +0900

皆さん

 本当に素晴らしいシンポジウムでした。「オホーツク海の環境保全に向けた日中露の研究者による共同声明」が採択されて良かったです。感動しました。これも、白岩さん始め、このアムールプロジェクトのかたがたのご尽力の賜物です。

 私としても、PewFellowとしての研究計画が十分に果たされ(私の力ではありませんが)、報告書が書きやすくなりました。 アムールプロジェクトと知床科学委員会を兼ねる人間として、感動を共有できて光栄です。

 白岩さんの温厚かつ信念を成し遂げる行動力が、今回の成功を導いたことは、疑いありません。最後まで丁寧に対応され、とても良かったです。

 今年3月の日露専門家会合は、知床世界遺産の流れで、大泰司科学委員会座長と外務省、環境省が呼びかけましたが、その際にも今回のシンポジウムは大いに注目されました。一連の流れとして、このような大きな成果に結びつき、たいへんよかったとおもいます。

 私の講演に対して、いくつか批判をいただきました。答える機会がなかったので、この場でお答えします。

  1. 漁民と漁協を混同している =はい、直します。しかし、羅臼漁協世界遺産と無関係に禁漁区を拡大したという漁協の見解は、私の分析(解釈)とは関係ありません。IUCNも、禁漁区拡大を受けて登録を認めたとは書いていません。私が説明したような解釈【海域保護強化を求めたIUCNに対して、唯一応えたのが漁協の禁漁区の自主的拡大であり、これが遺産登録の決め手となった】ができるということです。その解釈が荒唐無稽かどうかの判断は、皆さんにお任せします。私は、最も自然な解釈だと思っています。
  2. TAC制度はUNCLOS制定前からロシアも実施しており、米国だけ引用するのは不適切 = はい、日米比較のスライドをそのまま借用しました。
  3. ウルップ島まで入れたら解決すると思うのは大間違い = そうは言っていない。ウルップ島まで含めて保護区があると述べたはずです。いろいろな解があると思いますが、どちらにしても、そんなに簡単に世界遺産拡大ができるわけではありません。どのような形であれ、この海域の生態系保全を進めることがたいせつです。
  4. スケトウダラを日露共同では獲っていない = 同じ資源を利用していると述べたつもりですが、舌足らずだったなら訂正します。
  5. ロシア漁業に先住民の知恵などない = 日本では、先住民の概念さえ十分認知されていない。しかし、それは重要です。零細漁業の復権こそ重要。現在の漁業に反映されていないことと、伝統知の重要性を否定することは別の話です
  6. 日露漁業共同自主管理など非現実的 = 政府間協定ができないなら、そのような解もありえると述べたまで。 知床の自主管理強化も、始めは誰にも相手にされなかった。斬新な仮説ほど、既存の権威に叩かれる。私の論文の中で最も引用されている進化生態学の論文は、数回Rejectされました。批判されるのは、斬新な仮説と言う証拠です(だから正しいとは言えないが)

以上です。

2009-07-25

[]知床をMAB/BRに!!

Date: Sat, 25 Jul 2009 16:19:29 +0900 (JST)

 7月23日の知床世界遺産科学委員会では、世界遺産とMAB/BRの二重登録に大変前向きな意見をいただき、ありがとうございます。

 知床をMAB/BRに登録するには3つの利点があると思います

1.隣接地域(BRでいう移行帯)での取り組みを世界遺産・BRの取り組みの一環として、統一的に扱いやすくなる

2.もともと、知床では登録地で沿岸漁業が行われるなど、MABの理念により合致していると考えられる。保全と持続可能な利用の取り組みを統一して扱うという日本の自然保護の取り組みを世界に説明することができる。(里山Initiativeの取り組みでも、MABを位置づけて然るべきだと私は思います)

3. 地域振興の利益と、核心地域の保全を結びつけ、政府資金のみに頼らず、地元の取り組みとしての世界遺産の維持の取り組みが進められる。

 知床をMAB/BRに登録する上で、いくつかの条件があるでしょう。最大の問題は【核心、緩衝地域を知床世界遺産登録地に定めている】Zoningです。

 まず、事実経緯を踏まえるべきです。我々はMABの概念を援用し、その核心地域と緩衝地域を明記して遺産登録申請し、認められたのです。その後で、遺産条約のほうが、核心と緩衝と言う用語を使わないように変えたのであり、遺産条約の趣旨が「進化」したのです。

 我々の選ぶ道は、元の核心・緩衝地帯を設けた理念を継承して知床の自然の価値を認めるのか、遺産条約の変化に応じて設計図を変えるのかと言うことです。無論、両者は必ずしも矛盾するとは限りません。世界遺産とMABの両方の価値を知床で守ることも可能です。しかし、緩衝地域は登録地の外に設けるという2008年決議に忠実に従うなら、地図の変更は避けられません。

 4つの解がありえると思います。

1)今までの経緯を最も忠実に守る解は、旧核心地域のみを登録地とするよう、登録地を縮小することです。その上で、MABに登録し、旧緩衝地帯のほか、現登録地の外側に移行帯を設ける。 私は、これが最もすっきりすると思います。

2)これと逆なのは、登録地全体を核心地域のように扱い、その外側に新たに緩衝地帯を設けると言うものです。もともと、核心・緩衝と言う図面を明記して申請し、登録されたのですから、その後の決議に従って、登録地の地図だけを変えずに考え方のほうをを変えると言うのは、合理的ではないでしょう。登録地と言う図面は、それをどのように扱うかも含めて議論されたものです。向こうの考えが変わったために、旧緩衝地域を核心地域に機械的にかえると言うのは現場を見た意見とは思いません(もともとZoningが間違っていたと言うなら別ですが)。また、地元の合意も踏みにじるものだと思います。

3)最後の解は、世界遺産としての地図は変えず、呼称も使わない。しかし、核心・緩衝と言うZoningは我々がこの場所の自然を守る上で最適と考えたものだから、実質的にはその理念に概ね沿って考える。その上で、その外側(遺産登録地外)にTransition areaを設け、人間活動の場とする。そして、登録時のZoningに最も相応しいMABに登録し、MABの中でこのZoningを明記する。

4)実質的に3と同じことをするのだが、MABに登録すると矛盾が目立つので、MABには登録しないで進める。

 3の場合は世界遺産の定期審査の際に矛盾を指摘される可能性がありますが、その場合には1の解(登録地の縮小)を行うことになるなら、登録時には認めていたのですから、強くは言われないと思います。

 外側に新たに移行帯を設けるということは、新たに保護地域を広げるという意味ではありません。むしろ、地域経済の活性化を図るという新たな知床(核心・緩衝地域)の目的が明確になるということです。

 上記の議論(核心・緩衝地域が遺産登録されていること)が周知されるほど、知床は世界遺産よりもむしろMABに相応しいことが明確になるはずです。だからといって、世界遺産から外す必要はありません。世界無二の場所のみ登録し、人間の利用と自然保護の関係が明記されていないという世界遺産条約【】は、20年も経てば新たな風が吹くかもしれません。それまで、MABの理念と制度も活用しつつ、世界遺産の取り組みを進めていけばよいと思います。

 MAB/BRと二重登録した場合、世界遺産とMABは一体のものとして管理運営する必要があります。なぜなら、もとの核心・緩衝地帯と言う概念はMABの概念であり、それを生かすならば、両者は不可分のものだからです。

 要するに、2005年に我々が核心・緩衝地帯とZoningした地図を示して遺産登録が認められ、2008年世界遺産条約で、核心・緩衝と言う概念を用いないように決議された経緯から、我々は、MABに登録することで、我々の今までの取り組みを最も合理的に継承発展させることができるといえるでしょう。