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横浜国大 松田裕之 公開書簡

2007-09-18

[]50年後の日本の人口空間分布予測の専門家を求む

Date: Tue, 31 Jul 2007 21:13:09 +0900

 サンノゼより松田です

 来春の生態学会福岡大会で下記の企画シンポジウムを開催する準備を進めています。

http://d.hatena.ne.jp/hymatsuda/20070731

S-007「日本の国土の超長期ビジョン 中山間地問題」

その中で、下記のような予測をしたいと思っています。

(COE MLでの議論)・GIS的な日本の人口動態・空間分布予測(これをできる人がほしいですね。上記二つのシナリオでやる人。出生率や生存率をいじらない人口動態予測ならあるはず。それに、両シナリオで居住適地をGISで大胆に仮定して単純に割り振ってみればよい。それほど難しい作業には見えないのですが。

 単純に、人口動態予測をフォローし(現在の簡易生命表と男女別年齢分布から予想すればよいでしょう)、現在の土地区分、人口密度、標高、河川(これが私にはあいまい)などのGISデータがあれば、かなりのことができると思います。

 居住適地(これがすぐには難しいかもしれないが、日本の人口の空間分布を記述する既存のGISモデルはないのでしょうか? なければ上記のGISデータから作ればよいと思っているが)から、それぞれの居住適地での人口密度(これは所与のものとせずに、後からいじれるようにしたほうがよいでしょう)を入れると、将来の人口密度の空間分布が出るようなGISモデルは作れないでしょうか?

 本来は、人口の移住モデル(過去の人口密度分布に影響される)が必要でしょうが、これは手に負えないので、単純に考えてみたいです。

 場合によっては、COEとして委託業務として発注も考えられると思います。

 関心ある方のご助言をお待ちしています。

2007-08-24

[]絶滅リスク比較の指標

Date: Thu, 23 Aug 2007 09:13:11 +0900

 【平均絶滅(待ち)時間を使う場合、必ずしもすべてのシミュレーションの試行で絶滅しないとき(絶滅確率100%にはならないとき)にはどうするか、平均でなく絶滅待ち時間の中央値を使えばよいのではという質問に対して】Good question だから割引平均余命T*がよいと言うのが私の論文で書いた主張です。それ以外だと、平均絶滅時間Tが無限大になったら、確かに比較できません。Tが無限大でも、T*は有限です。

 中央値を使えば、短期間での絶滅リスクが5割以上ならTの中央値は短期になるが、5割未満ならやはり無限大になります。数学的に一般的でないという意味では、平均値の欠点を克服できていません。

 割引平均余命を用いることの問題は、割引率次第で値が変わることです。岡さんはIUCN基準で100年より先の絶滅を見ていないことから、割引率は1/100年がよいと言っていたと思います。少なくとも、経済的割引率3−5%/yrでは、高すぎて、自然を守ることはできません。

2007-08-13

[]生態系サービス劣化の非線形性

Date: Fri, 29 Jun 2007 10:39:03 +0900

ご意見感謝。

人が生態系サービスを求める順序は,第一に食糧や燃料などの供給サービス,以下,調整サービス,文化的サービスと続き,栄養塩類の循環や土壌形成などの基盤サービスはあまり意識されることはありません(Rodriguez et al. 2006, "Trade-offs across Space, Time and Ecosystem Services" Ecology and Society ).供給サービスを求めれば,生態系サービス間でトレードオフが起こり,例えば,全ての生態系サービスの基盤である「基盤サービス」の劣化が進みます.農地への施肥による栄養塩類の蓄積と流出は,時間的にゆっくりと,かつ,あまり気づかれること無く進みます.このようなゆっくりと変化する変数がある臨界点に到達すると,土壌生態系あるいは水域生態系に,不連続で急激な非線形的な変化が起こり,今まで受けていた生態系サービスを受けることができなくなることもMA【ミレニアム生態系評価】の中で指摘されています.

 これ、MAの何ページでしたっけ?一般論として正しいと思いますが、いつも非線形と言う抽象表現だけでなく、具体的な事例があると説得力が俄然増してきます。そういう例を普段から探しておくと良いでしょう。

Date: Fri, 29 Jun 2007 11:09:21 +0900

MAレポートの中では,「KEY QUESTIONS IN THE MILLENNIUM ECOSYSTEM ASSESSMENT」のP.89,右下に記載されています.(ここには水域の富栄養化について藻類の増殖と栄養塩の関係について記述があります.)オーム社の訳本では,p.152の中段です.尚,原著は,MAのシナリオ作成グループのレポート(S.13)「Lessons Learned for Scenario Analysis」を参照する必要がございます.

 MAのこの部分は、まぁ、話半分と言うか、話十分の一ですね。

環境問題では誇張される表現が多々見られます。上記がそうかどうかはわかりませんが、専門家としては、常に慎重な態度を示しつつ、大事な点で警告を発し続けると言う姿勢が評価されると思います。非線形性一般では、その迫力が足りないと思います。(どんな大きなものも考えられてしまいます)

 後は、技術を開発することでしょう。これがあれば、評論家ではなくなりますから。(私にはまねできない境地になります。期待しています)

2007-08-11

[]トド管理案への意見

Date: Tue, 19 Jun 2007 21:39:38 +0900*1

 現在の採捕頭数制限を実施してから、1960年代から1990年代にかけて大きく減少していたトドの推定個体数は漸増に転じました。採捕制限だけの効果とは言えませんが、トドの絶滅リスクは大幅に減ったといえるでしょう。したがって、現在よりさらに採捕数を引き下げる必要はありません。

 より科学的な管理をするためには、採捕数、混獲数、海没数などのデータと、資源量推定値の精度を向上させ、科学的根拠に基づく透明性の高い採捕枠の決定ルールが必要です。海外に対してもきちんと説明できる根拠が必要であり、今後、【混獲数や捕獲の実態把握など】その条件を整備したうえで、採捕数を見直すことができるでしょう。

 120頭という採捕枠は、現時点で科学的に答申できる妥当な結果だと思います。

 海没数については、【】ご指摘通り、わかる範囲で記載すべきです。それが採捕数の内数の場合には,採捕数からは海没数を引くべきでしょう。【】皆様の努力に敬意を表します。

Date: Tue, 24 Jul 2007 20:29:48 +0900

 もうすぐ漁業調整委員会が終わりますね。*2

 すぐにトドのPBR(+管理の考え方)を論文にして投稿していただけないでしょうか?【】英語にするならば、少し時間がかかるでしょうが、ぜひ進めてください。こちらで、それを引用した論文を準備したいと思っています。どうかよろしくご検討ください。

Date: Mon, 11 Jun 2007 09:00:18 +0900

捕獲枠を上方修正する【のは】たいへんです。将来的にはよいと思いますが、肝心の捕獲頭数、混獲頭数、死亡頭数の情報が見当たりません。116頭で増え続けていたといいますが、これは上限であり、かつ、水没などを除いた頭数のはずです。

 まぐろの過少申告が暴露された年にこのような修正を行うことは、【国際世論の】火に油を注ぐものです。

*1:8月10日の漁業調整委員会の水産庁記者発表資料を経て、下記書簡を公開します。この記者発表には過去の捕獲統計がないようですので、後日掲載します。トド問題は、知床世界遺産の評価も含めて、国際的な衆目の的にあります。

*2:実際には8月10日開催

2007-08-09

[]伊豆沼マガン個体数

Date: Tue, 3 Jul 2007 22:57:24 +0900

環境省調査はご存知の通り調査時間がねぐら立ち後のことも多く、正確な個体数を反映できていませんが、レンジャーさんのデータよりも古くからあるという利点もあります。そのため、両方のデータの中から多いほうを使って経年変化のグラフを描いたそうです。

 これはあまり感心しませんね。せめて、記憶のあるうちに両方のデータを併記してほしいです。そうしないと、増加率などに偏りが生まれるでしょう。

 不正確でも、一貫した調査、これが鉄則です。