未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

How do you think?

先日CNET Japanの人気BLOGの梅田さんのオフラインミーティングがあったのだが、所要でドタキャンをしてしまいました。不義理をしてごめんなさい>梅田さん、山岸編集長。

罪滅ぼしに本日の梅田さんのコラム http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001282.html へのコメント。

「「人間の介在」の程度においてGoogleと他者の考え方を比較して眺める」という設問を立てているが昔のAI(人工知能)の議論との類似性を感じた。

AIの研究は、非常に大雑把に言うと1)「人間の知性」というものはどのようなメカニズムによって成り立っているのか?その原理原則を発見したいという立場、2)「人間の知性」あるいは「知的活動」をどのように機械でシミュレーションするか、知的振る舞いをする機械を構築するという立場、があったように思う。(よしおかのいい加減な分類方法による)

1)の立場をつきつめていくと生まれたばかりの赤ん坊(知性がないというモデル)から発達していって大人になる(知性を持つ)までの過程のなかになにかしらの秘密があるのではないか、いわゆる学習するとは何か、そのメカニズムを突き詰めるという話になる。認知心理学の世界とかまあいろいろ難しい話である。

2)の立場はもっと実利的で人間が頭の中でどう考えようが極論すれば知ったことはなくて、人間より強いチェスのマシンを作れればOKなわけである。ここでチェスをするということは知的な活動であるという認識に立っている。

非常に乱暴な言い方をすると1)は科学的なアプローチで2)は工学的なアプローチと言えなくもない。

まあ、それも相対的な話で、AIが学問として生まれたころはチェスとかチェッカーをするということが人間と機械を分別する一つの判断基準になっていて、まじめにAIの分野として議論されていたりした。50年後にIBMがチェスの名人をやぶるコンピュータを作ったわけだけれど、それは技術の勝利ではあるがAI(人工知能)の到達点という風には受け取られてはいないように思う。名人をやぶる機械を作ったところで人間の脳のメカニズムの動作原理の理解に多大な貢献したという感じではない。(なんてことを素人が書いているわけだけど、AIの専門家の皆さんのご意見を拝聴したい)

日々利用する技術で言うと「仮名漢字変換」もかつてはAIの分野だったのだけど、いまや誰もそんなことは言わない。大規模な辞書と賢いアルゴリズム、一番最近の変換結果を覚えていて、次回の変換時に最初に候補としてそれを提示するという戦略(学習なんていう言葉をよく使っているが、厳密な意味での学習でもなんでもない)が、仮名漢字変換を実用的なものに育て上げた。いくつかの重要な工学的なブレークスルーが実用化には不可欠であったが、我々自身は自分の脳がどのようなプロセスでかなを漢字に変換するかそのメカニズムを理解しているわけではない。

人間にとって役に立つ情報というのはどのようなものか?それを理解しているのは機械なのか人間なのか?もちろん人間である。しかし人間のコストは非常に高いしスケールしない。そこで工学的に適正なコストでそこそこ役に立つ情報を提供しようとするとどのようなアプローチがありうるか?その線上に、よりどちらに重きを置くかという話である。

わたしがどちらの立場により近いかというのは読者の想像にまかせるとして、まあ、そんなようなことを思ったしだいである。

「To me, the key core philosophical difference between Yahoo! and Google is the level of involvement of the human beings. How do you think?」

梅田さんの How do you think? というのは日本語で「どう思う?」というようなニュアンスかなと勝手に想像するが、英語的には What do you think? というのが正しいのではないかなあ(英語のワンポイントレッスン)