未来のいつか/hyoshiokの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2009-06-01

仕事で文書を書く必要がある人は理科系の作文技術を読むべきだ

仕事で文書を書く必要がある人は「理科系の作文技術」(ISBN:9784121006240)を読むべきだ。

ここでいう仕事で書く文書というのは他人に読んでもらう文書をさす。他人に読んでもらうことを前提としないメモの類や狭義の日記などはこれにあたらないので、どう書こうが構わない。他人に読んでもらうことを前提とした文書は、相手に内容が伝わらなければ意味がないのだから、間違いなく相手に通じるように表現しなければならない。

小説、詩などの文学作品は、ここでいう「仕事で書く文書」に含めないことにする。文学作品と対比して、仕事で書く文書の特徴はどこにあるのか。それは、読者に伝えるべき内容が事実意見にかぎられていて、心情的要素を含まないことである。

仕事の文書を書くときの第一の原則は、「必要なことは洩れなく記述し、必要でないことは一つも書かない」ことである。何が必要かは目的により、また相手の要求や予備知識による。推敲によって必要でないことを削るという作業を忘れてはならない。

第二の原則は、事実意見(判断)との区別を明確にすることが重要である。

第三の原則は、記述の順序について二つの要求にこたえることである。すなわち、一つは文章ぜんたいが論理的な順序にしたがって組み立てられていなければいけないこと。そして、もう一つは読者はまっさきに何を知りたがるか、情報をどういう順序にならべれば読者の期待にそえるか、ということに対する配慮にこたえることだ。

第四の原則は、明快・簡潔な文章をこころがけることだ。

本書は仕事で書く作文の技術が、明確にわかりやすく述べられている。わたしは、学生時代読んで、初めてパラグラフ機能を知った。それまでは、なんとなく文章が長くなったから、ここらへんで段落を入れておくかくらいの意識しかなかったが、本書で、その機能を明確に教えてもらった。

本書を読んだからといって、書かれていることをすぐに実践できるというわけではない。水泳の教科書を読んだからといって泳げるようになれるとは限らないのと一緒だ。しかし、いくつかの原理原則を理解し、それを心にとめながら文書を書くのと、無頓着にだらだらと記すのでは、長い目でみればずいぶん違うところにたどり着くと思う。もちろんこのブログエントリーも「理科系の作文技術」で学んだことを意識して書いた。

本書は、タイトルに「理科系の」と書かれているので、文系の人が、自分には関係ないと思ってしまう可能性があるが、「他人に読んでもらう文書」を書くことに文系理系もないので、文系の人にも参考になると思う。確かに例としている文が物理学論文から引いているものや、実験報告書の類からのものがあるので、ちょっととっつきにくい感じがあるかもしれないが、仕事で文書を書くときの心得として抑えておかなければいけないヒントに満ちている。

仕事の文書を読む機会が多いが、何を言いたいのかよく分からない文書を読まされるたびに、最低限、「理科系の作文技術」で紹介されていることぐらい理解しておいて欲しいと思う。内容の精選、事実意見の区別、記述の順序、明快・簡潔な文章を心がけて欲しい。

今回、このエントリーを書くにあたって、各パラグラフトピックセンテンスを最初の文としたので、各段落の最初の文を取り出すと要約になる*1


まとめ

  • 仕事で文書を書く必要がある人は「理科系の作文技術」を読むべきだ。
  • ここでいう仕事で書く文書というのは他人に読んでもらう文書をさす。
  • 小説、詩などの文学作品は、ここでいう「仕事で書く文書」に含めないことにする。
  • 仕事の文書を書くときの第一の原則は、「必要なことは洩れなく記述し、必要でないことは一つも書かない」ことである。
  • 第二の原則は、事実意見(判断)との区別を明確にすることが重要である。
  • 第三の原則は、記述の順序について二つの要求にこたえることである。
  • 第四の原則は、明快・簡潔な文章をこころがけることだ。
  • 本書は仕事で書く作文の技術が、明確にわかりやすく述べられている。
  • 本書を読んだからといって、書かれていることをすぐに実践できるというわけではない。
  • 本書は、タイトルに「理科系の」と書かれているので、文系の人が、自分には関係ないと思ってしまう可能性があるが、「他人に読んでもらう文書」を書くことに文系理系もないので、文系の人にも参考になると思う。
  • 仕事の文書を読む機会が多いが、何を言いたいのかよく分からない文書を読まされるたびに、最低限、「理科系の作文技術」で紹介されていることぐらい理解しておいて欲しいと思う。

*1トピックセンテンスとはパラグラフで主張する事柄について述べた文である。そしてパラグラフには一つの主張しか書いてはいけなのである

そのほかそのほか 2009/06/01 21:30 そーいう、意見と理由で成り立つ文章の書き方って、教える事ができるはずなのに、
いまはあんまり学ぶ機会ないですよね。
同じ系統で山田ズーニーさんの「伝わる、揺さぶる!文章を書く」も引けをとらない内容でしかもとっつきやすいと思うんですがどーでしょーか。

suno88suno88 2009/06/01 22:06 『理科系の作文技術』といえば、三重大の奥村晴彦先生の『LaTeX 入門 ─美文書作成のポイント─』でも絶賛推薦されていた古典的名著ですね。「古典」と言っても 30 年も経っていませんが。
なぜかトラックバックが二重に送られてしまったので、片方を削除していただけると助かります。お手数をお掛けしてすみません。

odakinodakin 2009/06/02 09:01 仰るとおり理科系に限った話ではなくて、たぶん他の先進国のジャーナリズム学部・報道学部では普通に教えられてる事ばっかりなんだろうけど、日本の新聞記者の書く文章は教育水準が低すぎてこういう「仕事の文章」になってないですよね。

norinorisan42norinorisan42 2009/06/02 12:40 本多勝一『日本語の作文技術』なんかも
よい本だと思います。

sho73sho73 2009/06/02 22:14 バーバラミント『考える技術・書く技術』も非常に良い本かと思われます。

t2y-1979t2y-1979 2009/06/02 22:58 前々職で議事録や設計書を書くお仕事をしていました。
山田ズーニーさんの本はたくさん読んだし、メールの書き方や心理学の本も幾つか読みました。もう1つ原則を加えるとしたら「その文章を読んだ人が起こす行動が自分が期待したものかどうか」を意識すべきかなと思います。お仕事ならば、本当の本当は相手に伝わることが目的ではなくて、その後に相手が何らかの行動を起こしてもらうケースが多いと思います。

coltwarecoltware 2009/06/03 10:16 私も雑誌(Java-Press)に記事を書いたときにすごく勉強になった一言が、最初はわかりやすいのに、だんだん難しくなっており、誰が対象なのか不明確だ。と言われガツンとなった。しかし、理由は読んでいる人はまずはじめに自分が読むべきなのか、そうでないのかを冒頭で理解させなければいけない。と言われなるほどーと思った。
仕事の文章でも第三者によって関係ない人も集まった場所で渡さなければならないので、こういうことは大切だと思う。
ただし、仕事でそのようなことをしても、変ないちゃもんがつくので、さらに冒頭には「目的・背景」で対象者じゃない人は読んでも意味がないよ。ということをやんわりと伝えるようにはしております。

madowaserumadowaseru 2009/06/03 23:42 こうやって書かれると、シンプルで簡単そうなんだけど、
いざ実際自分が書くとなると、うまくいかないんだよな〜

alphoalpho 2009/06/21 04:08 「まとめ」なのに長い…

yoneyone 2009/08/25 08:46 私もまったく同意見です!机には必ず常備しておきたい本です。
やる気が起きない時にパラパラとめくって、モチベーションを高めるなんて
用途にも使っています。

特になんかしらのwikiに書くとき。記号をうまく使って、
テキストに一覧性をもたせたいときなどに重宝しています。

ZEROZERO 2009/09/28 19:41 ちょっと微妙にずれて、文章の書き方だけじゃなくなっちゃいますが、「これから論文を書く若者のために」酒井聡樹著 もいいかなと。

技術的文章の書き方って、体系的に習ったことがない…いまでもそうなのかな。
大学の実験レポート書くときに、いきなり「概要」「目的」「手法」…「結論」「まとめ」というのに何をどうかいて、対応付け、論理的に整合性があるかというのをはじめていきなり知らされるというものでしたが、私の場合。
理不尽だと思った。あとだしじゃんけんみたいで、いきなり怒られたので。
それはともかく、最近のPC関連雑誌、テクニカルライティングとかまとめ方(マニュアルの?、報告書の?、指示の?)というのを見かけるのは、技術を使うだけじゃダメで、使えるだけじゃダメで、まとめたり記述したり記録できてわかってもらえないと技術関連な人だってだめなんだよ、そういう点の文章力は必要なんだよ、ってことを言ってるのだと思うのでした。