未来のいつか/hyoshiokの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2014-01-10

国会図書館の著作権切れの図書の公開の件

著作権切れ書籍データネット公開停止 出版社からの抗議に国会図書館が折れる」という記事が話題になっていた。 *1

国立国会図書館が「近代デジタルライブラリー」でインターネット無料公開していた著作権の切れた書籍が、当分の間、館内での閲覧だけに制限されることになった。

ネット公開について出版社から抗議があり、国会図書館検討会議をした結果、「出版事業の維持に直接の影響を与える可能性を現時点では否定できない」として、当面インターネットでの提供を停止する。

著作権が切れているので、それのネットでの公開は法的には問題がない。

一方で、出版社の社長は下記のような立場を取っている。

http://blog.calil.jp/2013/06/digital.html

大正新脩大蔵経』全88巻が突然近デジ上に公開されたのが2007年。この本は現在も刊行中で、1冊2万円もする高価なものです。国会図書館にすぐ抗議しましたが、著者没後50年を経ており著作権保護期間が切れている、正当だという理由で取り合ってもらえませんでした。

(略)

大蔵出版大正時代出版された『大正新脩大蔵経』をきちんと復刻して出版するという趣旨の会社。それを否定されたら残るものがありません。

(略)

大正新脩大蔵経』の現物はずっと売られ続けているし、ワンセット149万円(税抜)もする資料です。本書は1960年1979年の19年もかけて復刻したもの。昔の本の写真を1枚1枚撮って、本当に手間をかけている。1977年に遺族から著作権も買い取った。遺族との絆もある。そういう意味では、その50年後の2027年までは大蔵出版著作権保護期間であると考えることもできます。

(略)

今回の出版協の申し立てでは、著作権切れでも実際に流通しているものについては、近代デジタルライブラリーで公開しないでほしい旨を国立国会図書館に伝えました。また、著作権者がわからなくなっているものは、最初に復刻した出版者に著作権を付与するべきではないかとも伝えました。

なんか、著作権法をオレオレ解釈していてすごいとしかいいようがない、

著作権が切れたものを発掘して復刻すれば出版社著作権を得るというのは、西部開拓時代みたいに、空き地最初に塀を立てたものがその所有権を主張するというのに似ていて、むしろ微笑ましい主張ですらある。

復刻するには当然コストがかかるので、それを回収したいというのはビジネスとしては当然であるしかし、一巻2万円という値段が妥当な金額なのかは、ビジネスモデルによる。著作権が切れた書籍は誰が出版しようが自由にできるので、それに適した値段付けをするしかない。

今回のように誰かが無償公開したら、それ以上の付加価値がない限り、ビジネスとしてはなりたたない。

百科事典はかつては書籍として流通していたが、現在電子媒体オンラインが主流である

インターネットという隕石百科事典業界を徹底的に破壊してしまった。そして、その変化は不可逆的である

今回の大蔵出版という会社は隕石によって氷河期が来た時代に滅びてしまった恐竜のような存在に思える。

出版電子化出版界にとっては隕石だ。

KoichiYasuokaKoichiYasuoka 2014/01/11 23:19 「著作権が切れているので」って部分が、そもそも私個人としては疑問だったりするのですけどね。

hyoshiokhyoshiok 2014/01/12 11:53 http://slashdot.jp/~yasuoka/journal/576586
↑安井さんの主張。ありがとうございます。
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2013/report140107.html
の報告書によると、「『大正新脩大蔵経』の著作権保護期間が満了していることについては、同社も争っていない。15ページ」とのことです。当事者が争っていない以上、第三者があれこれ言ってもしょうがないような気がします。

KoichiYasuokaKoichiYasuoka 2014/01/12 23:11 「安井さん」って誰かしら、と思いつつも、まあ、それは置いといて。『南伝大蔵経』の翻訳権に関する著作権保護期間が満了しているなんていう主張は、さすがに大蔵出版も国会図書館もしていないはずなんですけど、どういうことなんでしょう?

dakusuidakusui 2014/01/13 09:47 「『南伝大蔵経』の翻訳権」とは何を指してらっしゃいますか?
(21) 1冊の図書に含まれる全ての著作物について著作権者の調査を行った上で、全ての著作物について、
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2013/report140107.html 6ページ脚注に
1冊の図書に含まれる全ての著作物について著作権者の調査を行った上で、全ての著作物について、
?保護期間満了を確認、?著作権者が許諾、?文化庁長官裁定のいずれかが成り立つ場合にインターネット提供を実施している。

とあります。漢文に点を打った椎尾辨匡博士およびその遺族が持つべき著作権は件の書物においては公開の妨げにならないというのが国会図書館の見解ということかと理解しています。

hyoshiokhyoshiok 2014/01/13 10:20 安岡さん、お名前間違えて失礼いたしました。深くお詫びいたします。

KoichiYasuokaKoichiYasuoka 2014/01/14 09:40 『南伝大蔵経』はパーリ語原典を日本語に翻訳した書籍なんですけど…。パーリ語原典の著作権はもちろん切れてますが、翻訳者(たとえば水野弘元や干潟龍祥)の著作権が切れているとは思えません。

dakusuidakusui 2014/01/14 12:51 slashdot.jp上の安岡さんの言及に沿って前回のコメントを書いていましたが却ってわかりにくくしてしまい申し訳ありません。
国会図書館が行なっているという調査(脚注21)に間違いがあるというご主張でしょうか?しかし仮に著作権が切れていなくても著作権者が許諾または文化庁長官の裁定があれば公開するのが国会図書館のスタンスですし、水野弘元氏らが生前の高楠順次郎氏に著作権を譲渡していたかもしれませんし、他の事情があるかもしれません。当事者が誰も問題にしていない以上それを議論しても仕方ないと思います。
しかし国会図書館が不明瞭な理由で本来国民全体で共有さるべき宝である『大正新脩大蔵経』のインターネットでのアクセスを取りやめたことは問題だと思います。翻訳者の著作権が問題になるので公開しないならそう言うべきです。そうでないならばこの種の問題について悪しき前例を残すことになります。というのが私の考えでした。

dakusuidakusui 2014/01/14 14:10 大事なところを間違えておりました。国会図書館が公開をとりやめたのは『南伝大蔵経』ですね。ご寛恕の程を。

KoichiYasuokaKoichiYasuoka 2014/01/18 19:06 この問題に対して、京都大学時計台記念館で1月24日(金)に、緊急シンポジウム「近デジ大蔵経公開停止・再開問題を通じて人文系学術研究における情報共有の将来を考える」を開催することにいたしました。よければお越し下さい。

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