未来のいつか/hyoshiokの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2017-03-08

宇宙創成〈上、下〉 (新潮文庫)、サイモン・シン、読了

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)、 宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)を読んだ。

宇宙誕生について、天動説からまり地動説ニュートン力学を経てアインシュタイン相対性理論、そしてビッグバンとして知られる理論までを丁寧に解説した良書だ。

科学というのは小さな変化(発見)が積み重なって発展していくものだが、時々従来の理論では全く説明がつかない現象が発生する。

クーンは、「しばらく平穏が時期が続いた後、知的な暴力革命が起こるということが繰り返される」とした、それがパラダイムシフトとして知られる現象だ。理論突然変異して自然淘汰されるような進化過程と言ってもいい。(下巻、150ページ)

天動説から地動説ニュートン力学から相対性理論宇宙創成のビッグバンモデル科学理論パラダイムシフトの間隔が近年短くなっている。

IT産業パラダイムシフトも(というほど大袈裟じゃないかもしれないけど)、メインフレーム中心の垂直統合モデルからワークステーションを前提とした水平分散モデル、そしてクラウドへと変化していった。それに適応した企業が旧世代の企業を淘汰していった。

ソフトウェア開発パラダイムウォーターフォールモデルからアジャイルモデル突然変異している。

イノベーションのジレンマはある世代の種が日常的に改良を続けても、突然変異によって新しく登場したそれより劣る種に淘汰されるということを示している。

パラダイムシフトを暴力革命と考えると旧世代とのコンフリクトが生じるのはしょうがないように感じる。

太陽中心モデルは、十八世紀が進むにつれて天文学者に広く受け入れられていった。そうなった理由ひとつは、望遠鏡の精度が高くなるにつれて観測上の証拠が増えたからだが、もうひとつ理由は、モデルの背後にある物理現象説明するための、理論上の進展があったからである。また、それとは別の大きな要因として、上の世代天文学者たちが死んでいったことが挙げられる。死は、科学進歩する大きな要因のひとつなのだ。なぜなら死は、古くて間違った理論を捨てて、新しい正確な理論を取ることをしぶる保守的科学者たちを片付けてくれるからだ。(上巻、117ページ)

本書は宇宙創成をテーマとした科学方法論についての優れた入門書となっている。科学方法とは、従来の理論説明できない現象を、仮説を立て、観測によって検証していく方法だ。パラダイムシフトが起こるためには、多くの科学者を巻き込んだ科学的論争によって旧来の理論を打破していく必要がある。再現可能観測必須である

多くの科学者の支持を得るためには、エビデンスの地道な積み重ねが必要になる。

本書は、そのような方法論について、宇宙創成を題材にして興味深いエピソードを交えて紹介している。

写真というテクノロジーは、観測を正確かつ客観的に記録する上で計り知れない価値を持つことが明らかになったが、天体写真分析するため、明るさや位置特定する、多くの人々を集めた。このデータ操作したり計算を行ったりする人のことを「コンピューター」と呼ぶそうである。(上巻、303ページ)

上下巻なのでちょっと長いけど、オススメの一冊である

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