未来のいつか/hyoshiokの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2017-04-20

濫読日記風、その6

勉強会には一時期ほどじゃないけど時々行く。セミナー形式の、エライ先生お話ししてそれをありがたがって聴くというのには、それほど魅力を感じない。やっぱり、ワークショップ形式というか、参加者が実際に手を動かす形式の方が楽しいし、印象に残る。実際に何かを作るというほど大げさじゃなくても、参加者同士で少人数のグループを作って、対話したり、アイデアを出し合ったりする、いわゆるアイデアソンみたいなもの面白い

アイデアソンに関する類書というのはほとんど見たことがない。ハッカソンアイデアソンというのは見よう見まねで色々な人が行っていると思うが、言語化すれば、それを元に様々な改良が加えられ、より良くなっていく。その意味で本書は貴重な一冊になっている。

第1部でアイデアソンとは何かを紹介し、第2部でアイデアソンの運営方法などのポイントを紹介している。第3部は様々なアイデアソンの実態運営者にインタビューしている。第4部は様々なアイデアの引き出し方メソッドを紹介したパターン集になっている。

参考文献とウェブサイトリンクがあるので、そこから孫引きするといいと思った。

読了せずに返却

昨今流行りのAI (Artificial Intelligence 人工知能)って一体なんなんだというのがずっと気になっている。第二次ブームと呼ばれている頃に就職したので、その頃と今のブームは何が違って何が違わないのか興味がある。

人工知能と直接的に結びつくかはわからないのだけど、遺伝とか意識とかに関する書籍をあれやこれやなど。

意識とか遺伝にまつわることとか色々知りたくて図書館面白そうな本を借りてきた。

意識はいつ生まれるのかは最新の脳科学の成果から説明している。

生物の社会進化社会生物学という学問分野の解説自然選択遺伝学、性選択などなど。

人間の本性については1979年ピュリッツァー賞受賞作。

野蛮な進化心理学は心の仕組み、記憶などなど解説する。

残念ながらどれも読了するには至らなかった。


濫読日記

2017-04-18

濫読日記風、その5

図書館で「読書」についての本を幾つか借りてきた。小学校などでの読書ワークショップを行うときの手引書などだ。読み方の参考になる。

楽しみで読む小説と何らかの知識を得るために読む実用書や技術書教科書などは読み方が異なる。だけど、正確に著者の意図を汲み取る技術はそれほど違わないと思う。

読書会と言っても、自分で読んできた本を紹介するタイプ、例えばスゴ本オフとかビブリオバトルみたいなものから対象となるテキストをみんなで少しずつ読む、ゼミ形式というか勉強会形式のものまで様々な形態がある。

小説なんかは楽しめばいいので、どのような形式でもいいっちゃいいのであるが、他の人の感想を聞くと、へーそういう読み方があるんだなあとか、自分と違った読み方を発見できて参考になる。自分が気がついていなかった自分の読み方の癖とか限界(?)など知ることができたりする。

数学と仲良くなりたいので、数学の本を読んでいて、よくわからないところに出会ったりすると、それほど悩まずにスルーして先にずんずん進むことが多い。技術書もとりあえず先に進んでみると後ろの方で詳しく説明してたりして、それはそれで書き方というか構成が読みにくいということでもあるのだけれど、疑問が解決することがなくはないので、そんな読み方をすることがある。

人によっては、疑問点でつまずいて、前に進まないという読み方をする人もいる。

読書会をすると、そのような読み方の癖というかパターンみたいなものが見えて面白い

リーディングワークショップ」は授業として読書ワークショップをするときの手引きだ。

「読む力」はこうしてつけるは、読むことを子供に教えるという立場で書かれている。

読書会運営している人などは「読書がさらに楽しくなるブッククラブ」が参考になると思う。実践的なガイドになっている。


読書会読書

170ページまで読んだ。この本はAI人工知能)に関する本なのではないかと思ったり思わなかったり。


2週間に一回のペースで精密に読み解いている。一回10ページ行くか行かないかくらいのペース。現在180ページのあたりを読んでいる。



濫読日記

2017-04-15

濫読日記風、その4

芥川賞作家村田沙耶香消滅世界を読んだ。

殺人出産 (講談社文庫)も怖い小説だったが、本書も同系列である

消滅世界は、子供セックスではなく人工授精で作る近未来を舞台にしている。交尾気持ちの悪いものとして考えられていて、家族の形も変わってくる。

パートナーを選ぶ基準って、収入家事の分担のバランス感覚の一致、信頼できそうな人か、雑談相手に向いているか……それくらいの直感でしょ。」

子供を持って育てるという価値観を揺すぶられる不気味さがある。村田沙耶香という作家は恐ろしい作家だと思った。

濫読日記

2017-04-11

右利きのヘビ仮説、読了

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)を読んだ。

なにこれ面白い

右利き、左利きというのは小さい頃からの習慣でそうなるのか、遺伝的にそのような利き腕が決まっているのか、謎だ。よくわからない。人間だけではなく動物にも利き腕があるのかないのか。本書は生き物の「右と左」に関する進化物語だ。

著者はひょんなことからカタツムリを食べるヘビの話を聞いて、それに興味を持つ。カタツムリは右巻きと左巻きがあって、ニッポンマイマイ族は左巻きが何種類もいるらしい。そして左巻きのカタツムリ進化してきた理由はよくわかっていない。

ここで右向きのカタツムリを捕食する生き物がいれば左向きのカタツムリ進化しやすくなるはずだ。という発想から研究を始めたという物語である

著者はそのような捕食者を求めて西表島にフィールドワークに行く。

そしてイワセキセダカヘビというのがカタツムリを食べるらしい。そしてその頭部の図を見ると下顎の鱗が左右非対称ということがわかった。その情報をもとに歯の形状を調べてみると、予想通り非対称で右向きのカタツムリを捕食しやすい。

ヘビとカタツムリを用いて実験をしていくのだけど、フィールドワークで餌となるカタツムリを探したり捕食者であるヘビを探したり、そして捕まえたヘビに右巻き左巻きのカタツムリを餌として与えたり、言葉にすると簡単だけど、実際やるのは大変だ。読者は、単にすげー、面白いーとお気楽でいい。

適応進化は、変異選択遺伝の三つの条件が揃うと自動的に進行する現象である。(59ページ)

変異というのは、同種の個体間に見られる表現型の変異で、うわべの違い(例えば毛の色や走る速さなど)のこと。この違いが原因となって、生き残る確率や残せる子供の数に違いが生じることがしばしばある。これが選択である。そして、進化する形質は遺伝するものに限られている。例えば足の速さが遺伝して、それによって生き残る確率が高くなると、適応進化する。

セダカヘビの歯の本数が左右で異なる。これには機能的な意味があるはずだ。そして、それが右巻きのカタツムリを食べるための特殊化だと結論するには、行動実験を行って証拠を得る必要がある。

200ページに満たない本なので、すぐに読める。若手生物学者のフィールドワークの実際などもわかって面白い。夜中に亜熱帯の密林に入っていくなんていうのは自分には絶対できないと思った。おすすめである

2017-04-09

濫読日記風、その3

勉強会とか専門書の読書会に行って良いことの一つはその道のエキスパートお勧め書籍を教えてもらうことだ。

「この分野は門外漢なんですが、お勧め入門書はなんですか?」というのが私の定番質問だ。これはどこでも使えるので是非活用してほしい。

先日もenPiT WiTシンポジウム *1 というのに出かけて鳥井さんにお勧め参考書を聞いてみた。

を教えてもらった。図書館で前者2つを借りてパラパラと眺めてみた。

メタプログラミングRubyRubyによるメタプログラミングイロハを平易に解説している。後半はRailsに置いてメタプログラミングがどのように利用されているか解説している。Rails実装を深く理解するための入門書となる。

RubyのしくみはRuby実装について解説した。かつて「Rubyソースコード完全解説」という良書があったがRubyバージョンも古いのでYARVについては全く触れていない。本書は現行バージョン理解するために参考になる。言語処理系について理解したい人には良い入門書だ。

自分が利用している道具の仕組みのついて理解することは道具を上手に使うためには必須知識だ。

ソースコードを読みながら本書を読むと深い理解が得られるのではないかと思った。


濫読日記

2017-04-08

ゲーデル、エッシャー、バッハ始めました

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版読書中だ。

スゴ本オフを下北沢のB&Bでやった時に本棚の奥に鎮座している本書をゲットした。30年以上前に書かれた本の20周年記念版の翻訳である

20周年記念版には、著者による序文が付いている。本書は何について書かれた本なのか?

評判は昔から聞いていたいのでいつかは読んでみたいと思って今に至るわけであるが、何の本なのだろうか?数学の本かなと予想しつつも読み始めた。Facebookで知人たちは、デザイン、数学Art思考の本だとか何とか。

序文で、著者は1980年に本書(ゲーデル、エッシャー、バッハGEBと略す)がニューヨークタイムズベストセラーリストに載った時(それもすごい話であるが)、タイトルの下の『実在相互につながった組みひものシステムだとする科学者の論考』という要約がついたのだが、それについて全くもってたわごとなので講義したということを記している。

表題がすべてを語っていると多くの人が考えた。数学者と画家と音楽家についての本だと。著者はGEBはこの三人についての本などではまったくないという。ではGEBとは何なのか?何に関する本なのか?

序文の4ページ目(P-4)によると「GEBは、生命のない物質から生命のある存在がどのように生まれるかを述べようとするたいへん個人的な試みだ。自己とは何であり、石や水たまりのように自己をもたないものからいか自己が生まれるのか。(中略)。GEBは、ゆっくりアナロジーを組み立てることによってこうした問題に取り組む」

何に関する本なのか?読み解くことによって徐々に明らかになるのだろうか?自分は本書の謎を読み解けるのだろうか?興味は尽きない。

20周年記念版で追加された序文だけで40ページある。索引も含めると本文は763ページある。鈍器にもなる大著だ。

序論、第1章、第2章(79ページ)まで読んだ。時間はかかるが読み進めるのが楽しみだ。どんな世界が待っているのだろうか。

時々、感想をここで報告するつもりである。かつて「虚数の情緒―中学生からの全方位独学法」の感想を書いたのと同様に。

虚数情緒

2017-04-04

濫読日記風、その2

備忘録的に濫読日記風を続けてみる*1

積読解消に役に立っているのかいないのかがわからない感じがいいね

チェスや碁のような対戦型完全情報ゲームのプログラムについての解説書。人工知能そのものの入門書というよりも対戦型ゲームの発展の歴史を記したものだ。

途中、回帰分析、主成分分析など数式が出てくるが、本書を読むのにあたって、難しかったら読み飛ばしても構わない。

チェッカーの棋譜の読み方など知るわけはないのだけど(88ページ)、127ページに読み方が書いてあるので、頭からずんずん読むタイプだと戸惑ってしまう。

内容は平易に解説されているので、コンピュータによる対戦型完全情報ゲームの実装について知りたい向きにはおすすめである

碁のチャンピオンに勝ったAlphaGoアルゴリズムの概説を知りたい人にもおすすめである

ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>LIFE SHIFT(ライフ・シフト)代表される、人生が100歳時代生き方、働き方をどうするかというお話である

さすがに、いまどき、「いい大学を出て、大企業に就職し、結婚し、子供を持って、年功序列出世し、定年退職をして、老後は年金で過ごす」なんていう職業観を持っている人は少ないと思うが、私が大学卒業した1980年代は、そのような価値観マジョリティであった。自分大学時代同級生なども、工学部所属したこともあって、就職先のほとんどは大手メーカーでだった。私は多くの人にとっては馴染みの薄い米国のコンピュータメーカーDECという)の日本法人就職したのだけど、それは例外的就職先だった。

組織から個人とか、先進国から新興国とか、ストックからフローとかのメガトレンドなどは特に目新しい指摘ではないが、自分がその波の中でどのように職業選択し、人生を生きていくのかということを自分ごととして捉えるのは簡単ではない。

寿命が伸びれば、60歳定年というのも人生の通過点だし、一つの会社に定年までいるというのは考えにくくなる。職業についても人生二毛作になれば、常に学び続けることが必須だし、家庭の在り方も随分変わってくることになる。

ワークシフトライフシフト参考書にしつつ本書を読むと理解が深まると思う。問題は知っていることではなくて、行動なのだけど。自分ごととして、どのような人生を生きられるか。そのような問いに答えるのは自分だ。

この本面白い

統計を取っている人にとってはいたって真面目なデータでも、自分にとってはどーでもいいようなことの都道府県ランキングが載っている。

例えば、卵の消費量世帯当たり年間)なんてのを知っていたところで日々の生活には関わらないし、自分仕事にも関係ないし。日本で一番消費量が少ない都道府県はどこでしょうか?答えは下記参照*2

消費量相関関係があるのが、マヨネーズ・マヨネーズ風調味料消費量というのはわかりやすいが、その次に相関関係があるのが信仰祭祀費となっている。卵とどう関係するのか。反比例するのが茶類消費量、その次がセブンイレブン店舗数だ。

眺めるだけで楽しい一冊である

読書

鈍器を読書である。何についての本なのかは読む人によって見解が分かれる。一応数学の本かと思いつつ読み始めた。(よくわかっていない)

20周年記念版の序文を読んだ。結構ちんぷんかんぷんなことが書いてあるが、自分はよくわからないところはよくわからないままずんずん読んでいくので、わかってもわからなくても読むというスタイルは難読書には必要テクニックではないかと思った。そして理解できるところに来ると若干安心する。

そんなこんなで第一章(62ページ)まで到達した。


勢いで買った第5版(日本語訳)を頭から読んでいる。次回の読書会議論するあたりまでは読了したい。





2017-04-03

代替医療解剖、サイモン・シン他を読んだ。おすすめ

代替医療解剖 (新潮文庫)を読んだ。

科学的根拠に基づく医療テーマに、様々な代替医療についてその有効性と危険性について検討している。検討している代替医療は、鍼、ホメオパシーカイロプラクティック、ハーブ療法である付録代替医療便覧として30種類ほどの代替医療有効性について書かれている。

医療祈祷師による経験と勘によるものから科学的な実験観察によって発展してきた歴史を概観する。

医学研究に関わる全ての者にとって、結果を発表しないことは重大な職務怠慢である。なぜなら情報の公開には二つの点で大きな影響があるからだ。第一に、他の研究者に対し、結果の再現に取り組むように促すことになる。第二に、新しく得られた結果を広く知らしめることで、その知識をみんなが利用できるようになる。46ページ」

「《科学的根拠にもとづく医療》は信頼性の高い情報提供することによって医師を助け、最適な治療を受けられる可能性を高めて患者利益を与える。二十一世紀私たちにとって、医療についての決定を下す際、科学的根拠普通ランダム臨床試験で得られる根拠)を用いるのは当然のように思えるかもしれないが、《科学的根拠にもとづく医療》の出現は、医療の歴史における大きな展開点だったのである。50ページ」

サイモン・シン説得力のある記述によって、馴染みのない分野が生き生きと描かれている。

代替医療側の主張に対し、一つ一つ丁寧に反論を加えている。信じるも信じないも読者次第だが、私は筆者の主張には説得力があると感じた。

ネタバレになってしまうのだけど、本書で取り上げた代替医療効果科学的根拠はないと言い切っている。あったとしてもプラセボ効果の域を超えない。

文庫本あとがきに本書刊行後の事件も載っていて興味ふかい。一つは英国カイロプラクティック協会から名誉毀損で訴えられたこと。それをきっかけに様々な運動が始まり、科学的な根拠がないまま治療効果をうたって、子供施術しているカイロプラクターを見つけだし、告発するという摘発キャンペーンなどが行われた。

詳細は本書を読んでいただきたい。オススメの一冊である





2017-03-28

東海道五十三次(その10)。岡部から金谷まで歩いた。大井川を超えたよ。

青春18きっぷを使って、久しぶりに東海道五十三次を歩いた。前回は夏の真っ盛り。熱でやられて3日かけて静岡で旨いものを食っただけの印象しかない。 *1

今回は前々回ご一緒した大学時代の友人と歩いた。 *2

0529 品川発で、横浜0548車内で友人と合流し、沼津乗換で 0830 に静岡に到着する。移動だけで3時間かかる。どんどん移動時間が増えていくので、歩く時間が減っていく。

品川0529発の東海道線は沼津まで直通で乗り換えが一回少ないので(通常はJR東日本とJR東海の境目である熱海乗り換え)、おすすめである

岡部宿までは静岡からバスで移動した。バススイカを使えるので便利だ。丸一日かけて歩いたところをバスだとあっという間だ。安倍川餅屋やとろろ飯屋の前を通過。あーとろろ飯うまかったなあと思い出に浸る。

岡部宿から歩きを再開した。顔ハメ写真を撮って、ひたすら東海道を歩く。

今回の行程のハイライトは大井川越である。川幅広い。てくてく。広い。てくてく。まだ向こう岸につかない。てくてく。江戸時代は関所になっていたので、橋もなければ船もない。増水すれば何日も足止めをされてしまう。難所である

青春18きっぷは経済的でいいのだが、片道3時間以上の移動時間がだんだん重くなってくる。できれば、往復の移動時間節約のため、一泊ないしは二泊して歩く時間を増やしたい。一泊すれば、次の日の開始時間を7時くらいにできるので、2時間程度は前倒しで出発できる。

そろそろ行き帰りは新幹線で楽をするという流れに落ち着きそうである


参考文献

下記の参考文献は今回携帯しなかった。だんだん歩きに慣れてきてガイドブックをあてにしなくなった。ガイドブックを参考にしすぎると歩き方が制約されてしまう。歩きながらガイドブックを見るのが危険なのは歩きスマホ危険なのと一緒だ。

前回、静岡のジュンク堂で見つけて購入した。旅手帳となっているので、メモ書きや歩いたところを塗りつぶすようになっている。鉛筆片手に書き込みながら歩くと面白いそうだと思った。

東海道散歩の友にお勧めである

街道の概略と地図からなっている。地図はそれほど詳しくないが一里塚や宿の位置が記されているので大体の目安になる。

地図に東海道の解説をつけたという形式だ。1万分の1の縮尺はちょっと詳しすぎるかもしれない。歩くには25000分の1の縮尺でいいかもしれない。



風景

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顔ハメ写真を撮った。今回唯一の顔ハメである岡部から金谷まではあまり観光資源として東海道五十三次を売り出そうというような押し付けがましさは感じられなかった。

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藤枝宿

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島田宿

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大井川橋。予想以上に長い。歩行者用の橋は車道の横に後から付けられたかのような印象がある。川面まで距離があるのでちょっと怖い。

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金谷宿川越し場跡。向かって左が江戸方面、右が京都方面。

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金谷宿

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金谷宿一里塚

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金谷駅まで来た。

今回、24キロ強を6時間くらいで歩いた。(スマホの歩数計で3万3千歩ほど)。金谷から静岡まで電車で30分程度だ。鈍行でトコトコ半時間の距離を丸一日かけて歩くという感覚である山手線一周よりははるかに短い。アップダウンもなかったので難易度は低かった。道も単調だった。

東海道五十三次シリーズ

日本橋から金谷まで。

宿場名 現在の住所 日本橋から距離 次の宿場までの距離
江戸(日本橋 東京都中央区 - 2里(7.9km)
品川 東京都品川区 2里(7.9km) 2.5里(9.8km)
川崎 神奈川県川崎川崎 4里18町(17.7km) 2.5里(9.8km)
神奈川 神奈川県横浜市神奈川区 7里(27.5km) 1里9町(4.9km)
程ヶ谷(保土ヶ谷) 神奈川県横浜市保土ヶ谷区 8里9町(32.4km) 2里9町(8.8km)
戸塚 神奈川県横浜市戸塚 10里18町(41.2km) 2里(7.9km)
藤沢 神奈川県藤沢 12里18町(49.1km) 3.5里(13.7km)
平塚 神奈川県平塚市 16里(62.8km) 27町(2.9km)
大磯 神奈川県中郡大磯町 16里27町(65.8km) 4里(15.7km)
小田原 神奈川県小田原市 20里27町(81.5km) 4里8町(16.6km)
箱根 神奈川県足柄下郡箱根町 24里35町(98.1km) 3里28町(14.8km)
三島 静岡県三島市 28里27町(112.9km) 1.5里(5.9km)
沼津 静岡県沼津市 30里9町(118.8km) 1.5里(5.9km)
静岡県沼津市 31里27町(124.7km) 3里22間(11.8km)
吉原 静岡県富士市 34里27町22間(136.5km) 2里30町23間(11.2km)
蒲原 静岡県静岡市清水区 37里21町45間(147.7km) 1里(3.9km)
由比(油井・由井) 静岡県静岡市清水区 38里21町45間(151.6km) 2里12町(9.2km)
興津 静岡県静岡市清水区 40里33町45間(160.8km) 1里2町(4.1km)
江尻 静岡県静岡市清水区 41里35町45間(164.9km) 2里25町(10.6km)
府中 静岡県静岡市葵区 44里24町45間(175.5km) 1里16町(5.7km)
丸子 静岡県静岡市駿河区 46里4町45間(181.2km) 2里(7.9km)
岡部 静岡県藤枝市 48里4町45間(189.0km) 1里26町(6.8km)
藤枝 静岡県藤枝市 49里30町45間(195.8km) 2里8町(8.7km)
島田 静岡県島田 52里2町45間(204.5km) 1里(3.9km)
金谷 静岡県島田 53里2町45間(208.4km) 1里24町(6.5km)

東海道53次距離表 ―350ml.net―より

2017-03-26

濫読日記風

あれやこれや本を買い込んで並行して読んでいると積ん読が増えてくる傾向にある。図書館で借りることが多かったのだけど、色々な読書会に参加する機会も増えてきたので、それをきっかけに購入する本も多くなった。

読んだ本の感想を記しておかないと記憶がどんどん風化していく。読むスピードと書くスピードだと前者の方が早いので書くことを溜めてしまうと書かないうちに記憶が風化してしまう。書くことによって記憶を少しでも定着させたい。

感想を書いた本が必ずしもオススメのすごい本(スゴ本)というわけでもないけど、その玉石混交な感じもまたよろしいかと。

睡眠に関する最新の研究成果に基づいて書かれている。自分は夜眠れないというようなことはあまり(ほとんど?)ないのだけど、そのような人は本書を読むと快眠のヒントをもらえるかもしれない。

眠れない時に羊を数えるというのは、羊 sheep と眠り sleep の語呂が似ているからという豆知識も得られる。

未来予測するな、創造しろ。計画のためではなく、行動のためのツールと言われている。第5章の「準備はいいか?」が刺さった。人口動態調査からもわかるように、私たち人生は長くなっている。人生100歳時代だ。その準備をシナリオプランニングで乗り越えたいと思った。

スゴ本オフで教えてもらった。なにこれ。ひたすら鉄塔写真構成されている小説(?)だ。鉄塔愛に満ちている。環状線一周を歩いて回るマニアに似ている。

ケヴィンケリー講演会資料ベースにまとめたもので、元の本は下記。12の法則について簡潔にまとめた。

〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則

これからの動向で不可避なことをこれでもかこれでもかと書かれている。講演会資料を眺めながら本書を読むと理解が深まると思う。

インターネットには回答が溢れているが、回答よりも質問価値があるという指摘には共感した。

読み終わらなかったので返却本。

パラパラめくって豆知識を得たいと思ったのだが、読まないうちに期限がきた。残念。

読了せず。返却後また借りたい。

読了せず。返却後また借りたい。

読書

スゴ本オフを下北沢のB&Bでやった時に購入した一冊。昔から読みたいと思っていた憧れの書である。800ページ弱2段組。1キログラムくらいはありそうだ。鈍器である

何についての本なのかは読む人によって見解が分かれるらしい。楽しみだ。

ヘネシー博士大川賞を受賞した記念で来日講演があったので久々に読み返してみたところ、読書会があるということを発見して、勢いで第5版(日本語訳)を購入した。自分が持っていたのは第4版(英語版)で内容も随分変わっているので、読むのが楽しみだ。読書会で読むと疑問点などについてみんなで議論できるので、理解が深まっていい。翻訳誤植誤訳)などにも突っ込みを入れられて楽しい

その他、いくつか読了書籍があるのだけど、それは別途、詳しく紹介したい。


2017-03-08

宇宙創成〈上、下〉 (新潮文庫)、サイモン・シン、読了

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)、 宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)を読んだ。

宇宙誕生について、天動説からまり地動説ニュートン力学を経てアインシュタイン相対性理論、そしてビッグバンとして知られる理論までを丁寧に解説した良書だ。

科学というのは小さな変化(発見)が積み重なって発展していくものだが、時々従来の理論では全く説明がつかない現象が発生する。

クーンは、「しばらく平穏が時期が続いた後、知的な暴力革命が起こるということが繰り返される」とした、それがパラダイムシフトとして知られる現象だ。理論突然変異して自然淘汰されるような進化過程と言ってもいい。(下巻、150ページ)

天動説から地動説ニュートン力学から相対性理論宇宙創成のビッグバンモデル科学理論パラダイムシフトの間隔が近年短くなっている。

IT産業パラダイムシフトも(というほど大袈裟じゃないかもしれないけど)、メインフレーム中心の垂直統合モデルからワークステーションを前提とした水平分散モデル、そしてクラウドへと変化していった。それに適応した企業が旧世代の企業を淘汰していった。

ソフトウェア開発パラダイムウォーターフォールモデルからアジャイルモデル突然変異している。

イノベーションのジレンマはある世代の種が日常的に改良を続けても、突然変異によって新しく登場したそれより劣る種に淘汰されるということを示している。

パラダイムシフトを暴力革命と考えると旧世代とのコンフリクトが生じるのはしょうがないように感じる。

太陽中心モデルは、十八世紀が進むにつれて天文学者に広く受け入れられていった。そうなった理由ひとつは、望遠鏡の精度が高くなるにつれて観測上の証拠が増えたからだが、もうひとつ理由は、モデルの背後にある物理現象説明するための、理論上の進展があったからである。また、それとは別の大きな要因として、上の世代天文学者たちが死んでいったことが挙げられる。死は、科学進歩する大きな要因のひとつなのだ。なぜなら死は、古くて間違った理論を捨てて、新しい正確な理論を取ることをしぶる保守的科学者たちを片付けてくれるからだ。(上巻、117ページ)

本書は宇宙創成をテーマとした科学方法論についての優れた入門書となっている。科学方法とは、従来の理論説明できない現象を、仮説を立て、観測によって検証していく方法だ。パラダイムシフトが起こるためには、多くの科学者を巻き込んだ科学的論争によって旧来の理論を打破していく必要がある。再現可能観測必須である

多くの科学者の支持を得るためには、エビデンスの地道な積み重ねが必要になる。

本書は、そのような方法論について、宇宙創成を題材にして興味深いエピソードを交えて紹介している。

写真というテクノロジーは、観測を正確かつ客観的に記録する上で計り知れない価値を持つことが明らかになったが、天体写真分析するため、明るさや位置特定する、多くの人々を集めた。このデータ操作したり計算を行ったりする人のことを「コンピューター」と呼ぶそうである。(上巻、303ページ)

上下巻なのでちょっと長いけど、オススメの一冊である

2017-02-24

「ルポ トランプ王国」、「階級「断絶」社会アメリカ」読了

ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)をイッキに読んだ。

この本スゴい。

トランプについて全く知らないし、どんな人がトランプを支持しているかも全く知らない。自分の知り合いにトランプ支持者は多分いないと思う。

大統領選の時の失言放言などが面白おかしく報道されて、究極の泡沫候補と、少なくとも日本でのメディアを見る限りは、思っていた。(自分が)

本書は、新聞記者トランプ支持者が多い地域を歩き回って、そこに住む人にいろいろ話を聞いたものをまとめたものだ。2015年ごろから大統領が決まる頃まで選挙戦を地道に取材していく。

トランプを支持する人はどんな人なのか。どのような人がなぜトランプを支持するのか。それを様々な人に取材してエピソードをすくい上げていく。

記者が歩いた「トランプ王国

多くの日本人はカリフォルニア州とかニューヨーク州を聞いたことがあっても、ウィスコンシン州やオハイオ州がどこにあるのかよく知らない。自分もそんな一人だ。トランプを支持する人がどんな人かなんかは考えたこともなかった。

日本のメディアトランプ放言などを面白おかしく報道することはあっても、どんな人たちがなぜトランプを支持するかはほとんど報じていなかったように思う。少なくとも自分観測範囲ではなかった。究極の泡沫候補としてしか報じていなかったし、そのようなイメージを持っていた。

読書会で本書を紹介されて、面白そうだと早速読んでみた。

かつての米国を支えて製造業、すなわち製鉄所、自動車工場炭鉱などで栄えた地域が、グローバリゼーションの名の下にどんどん工場などが海外移転していく。

そのような場所を「ラストベルト」と呼ぶ。

ラストベルトは50年代70年代の豊かなアメリカを支えた場所だ。

高校卒業し、地元の製造業、工場就職する。車を買って、結婚して、郊外に家を買って、子供を育てる。真面目に働いていれば給料は上がり、休暇で家族旅行をする。そのような典型的アメリカ中流生活がそこにあった。それこそがアメリカンドリームだった。

アメリカンドリームを支えた人々を丹念にインタビューする。

工場が縮小して雇用が失われていく。雇用がないので子供達は町を離れていく。町が寂れていく。

そのような町を著者は訪れてインタビューをする。

かつての栄光アメリカを支えた製造業にいた白人中流階級はなぜトランプを支持するのか、そのヒントが本書にある。

階級「断絶」社会アメリカ が、トランプ王国実像を教えてくれる

アメリカ白人中流階級がどのように崩壊していったか、丁寧にデータから分析したのが階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現である

階級「断絶」社会アメリカを補助線にして、トランプ王国を読むとその背景が深く理解できる。

グローバリゼーションの名の下に、強欲な資本主義が高度に発達して、新上流階級が生まれた。アメリカ世帯所得の上位1%が1990年前後から急速に世帯所得を伸ばすなか、新下層階級形成されていった。

その新下層階級は、従来のコミュニティが持っていた、勤勉、正直、結婚信仰が失われていく。

アメリカの社会が崩壊していく様がこれでもかこれでもかとデータをもとに語られている。本書に米国の問題解決するような処方箋はない。

隣国問題を間接的にでも理解することは、よき関係を保つための最初の一歩だと思う。

シリコンバレーやIT産業栄光だけではない、アメリカの苦悩と実像がそこにある。

ともに強くお勧めする良書だ。



2017-02-23

進化は万能である、読了

進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来を読んだ。

入念な計画成功の鍵だと私たち直感的に考えるが、それは間違っている。

ロシア革命、世界大恐慌、ナチス政権第二次世界大戦2008年の金融危機――

比較的少数の人による、トップダウン意思決定の結果なされたことはことごとく失敗した。

一方、世界所得増加、感染症消滅、食料供給河川大気浄化

富裕な国々の大半における再植林インターネットといった、大きな変化を起こす意図のない

無数の人々によってもたらされた「ボトムアップ」な、偶然で予想外の現象はあまりに多い。

それらの広範な現象共通する原理が「進化」だ。

生物界に限らず、宇宙のなりたちから人間の生み出した文化・経済・制度・イノベーションにいたるまで、

あらゆる物事原動力である進化原理の強力さを説き語る、

  1. プロローグ 一般進化理論
  2. 宇宙進化
  3. 道徳進化
  4. 生物進化
  5. 遺伝子進化
  6. 文化進化
  7. 経済の進化
  8. テクノロジー進化
  9. 心の進化
  10. 人格進化
  11. 教育進化
  12. 人口進化
  13. リーダーシップ進化
  14. 政府の進化
  15. 宗教進化
  16. 通貨の進化
  17. インターネット進化
  18. 未来進化

誰かがデザインして生み出されるという世界観ではなく、それは試行錯誤の末、進化してきたという世界観である生物は「神」によって創造されたのではなく、自然淘汰によって進化してきた。ダーウィン提唱した進化論を本書では特殊進化論と呼び、様々な現象一般進化論とした。進化するのは生物だけはないということを主張している。

進化という文脈では、ケビンケリーテクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?や、〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則がある。

シングラリティを考える上で、「進化は万能である」はお勧めである

進化は万能である



2017-02-18

図書館の使い方

自分図書館が大好きなので、しょっちゅう図書館に行っている。中学時代可愛いこが図書委員をやっていたので、その頃から図書館が好きだ。図書館短大女子合コンをしたこともある(関係ないけど)

通勤の行き帰りに図書館に寄るのがもはや日常と言っても過言ではない。

ネットのおかげで図書館に直接行かなくても本を予約できる。

図書館好きならば誰でも使っている、日本最大の図書館検索サイト・カーリルを使いこなそう。

https://calil.jp/

  1. 面白そうな本を見つける
  2. ネット図書館検索をする
  3. ネットで予約する
  4. 忘れた頃に予約した本が借りられる
  5. 図書館に行って借りる
  6. 図書館でぶらぶらして関係ない本も借りる
  7. 感想ネットに書く
  8. 読んでも読まなくても期限がきたら返却するので積ん読にはならなくてネット感想だけが残る。

予約してすぐ借りられる本もあれば、予約が殺到していて何ヶ月も待つ本がある。すぐに読みたくていてもたってもたまらない場合は、近所の本屋に行くかネットで購入すればいい。

読みたい本、読まなければいけない本が決まっていれば、上記で事足りるが、それだけだとどうしても自分の興味だけになってしまう。

本の出会いを増やさないと、面白そうな本に出会えない。自分選択眼は偏っているので、すごい本を見つけられない。入力大事である

本屋でぶらぶらして、面白そうなものを買うというのもありだが、自分フィルターの壁は越えられない。自分の守備範囲を広げたい場合友達お勧め書評ネットで評判のものあたりで広げる。自分だったら決して手に取らないような本が意外に面白くて掘り出し物を発見した感じが嬉しい。掘り出し物に出会うために本を読んでいるとさえ言える。

本好きが集まる読書会お勧めである。いい本に出会うには多量の本を読む必要がある。多読以外にいい本と出会方法はない。多量に読んだ人の選球眼は、それなりにつまらない本をいっぱい読んでいるので、最低限のラインを超えたものを知っている。その人たちが薦める本は自分にあった本になる確率は高くなる。

本は相性なので、ある人にとってベストでも自分にとってはスカということは当然ある。そのような合う合わないも一度読んだ人のフィルターを通ってくるので、読む前からある程度のあたりがつく。

図書館本屋に比べると、その蔵書の豊富さと古い本の網羅性が高いので、新刊本を今読みたいという状況でない限りは、使い出がある。

良い読書体験を得たいのならば、図書館を使いこなせるようになりたい。

新刊本を多読しまくりたいのであれば本屋積読候補をどんどん買うというのもアリではある。

王様のブランチのブックコーナー(毎週土曜日9時半過ぎ)でお勧めされている本などもよく読むが、一度も読んだことがない作家を知る機会になるので、こちらもお勧めである

本の読解力(識字力)を高めるには多読して読むことの訓練を積む必要がある(残念ながら学校教育ではほとんど誰も教えてくれない)。読書会などで感想を言い合うと、自分が読み取れていないことを発見する機会にもなって、読み方の訓練にもなる。

本を楽しみで読む場合誤読などは、それはそれで面白い実用書に関してはきっちりと理解したいので、識字力を高める訓練はしておく必要がある。

本は自分のできない経験知識を教えてくれるので、人生を豊かにするし、様々な考え方に触れることもできるので、人としての幅も広げてくれる。

図書館を使いこなして豊かな読書ライフを送りたい。

2017-02-08

記憶力を強くする、池谷裕二著、読了

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)を読んだ。

記憶術とか速読術とかかなり胡散臭いと感じているのだけど、ついつい読んでしまう。斜に構えて読んだのだけど、ごめんなさい。最近脳科学研究成果に基づいた入門書だった。予想といい意味で違った。おすすめである

忘れないうちにメモっておく。68ページ

  1. 短期記憶 30秒から数分以内に消える記憶、7個ほどの小容量
  2. 長期記憶

プライミング記憶という耳慣れない言葉が出てくるが、ここでは無意識記憶ないしは勘違いによる記憶としておく。(詳細は本書を読んでください)

エピソード記憶意味記憶は、「何を」を記憶しているのに対し、手続き記憶は「いかにやるか」を記憶している。後者は、俗に体で覚えるタイプの記憶である

それぞれの記憶には脳の特定の部位が関係していて、例えば短期記憶は脳の海馬というのがそれを司る。海馬機能が衰えてくると短期記憶ができなくなる。しかし、それ以外の機能は正常なので、昔の記憶は覚えているし、日々の生活には特段支障がない。

海馬を損傷した人を研究してみると、記憶をするのには支障があるが、思い出すことはできるということから記憶海馬には保存されていない。ということが研究によってわかってきた。76ページ

記憶」という現象も細分化して観察すれば、単純な化学反応、ないしは巧妙な精密機械によって運営されている。121ページ

その精密機械がどう組織化されているのか。興味は尽きない。

そして本書の真髄が第6章「科学的に記憶力を鍛えよう」である

6章までに、神経細胞シナプス神経伝達物質などの説明があって、ふむふむ、そーやって、脳は記憶しているんだな、考えているんだなというのが素人にもわかるように平易に解説されている。

そして6章で、脳の性質に沿った効率的記憶方法について科学的な見地から検証している。186ページ

加齢とともに記憶力が衰えるという話はよく聞く。自分も実感として最近物忘れがひどいような気がする。そもそも人の顔と名前が一致しなくて失礼なことをしたことが多い。どうにかしたい。だからこのような本を読んでいるわけである

本書は戒める。加齢とともに神経細胞は減っていくが、シナプスはむしろ増えている。つまり神経回路は年齢を重ねるに従って増えていくのである。この事実は、若い頃よりも歳をとった方が記憶の容量が大きくなるということを意味している。187ページ

うわー。そうなんだ。

物覚えが悪いというのは著者から言わせれば単に覚える努力をしていないというだけである学生の頃は一つのことを覚えるのに大変な努力をしたはずである。それが強制的にやらされた勉強であろうとなかろうと覚えるために大変なコストをかけていたわけで、それを忘れて「ただただ老化を嘆くのはとても愚かな行為」だと言う。

しょえー。おっしゃるとおりである。たいして覚える努力もしていないのに、人の顔と名前が一致しなくてとか言い訳するな、そのとおりである。深く反省したい。(とほほ

もの忘れがひどい」というグチをこぼす人もいるが、それもまた、忘れてしまって思い出せないのではなく、単に初めから覚えていないということではないでしょうか。187ページ

おっしゃるとおりである。そもそも覚えていないのだから思い出せるわけがない。

まあとはいものの年齢によって記憶力が全く変わらないということでもないので、記憶には様々な種類があるのでそれに合った記憶方法がある。

例えば、かけ算の九九などは10歳になる前、意味記憶が発達している頃に暗記させることは理にかなっている。中学生になる頃はエピソード記憶が完成され、論理だった記憶力が発達してくる。188ページ

歳をとると、しばしばものごとに対する情熱が薄れてきます。一つのことに熱中できなくなります。感動も薄くなってきます。すると記憶力はてきめんに低下します。実は、歳をとって記憶力が落ちたように錯覚してしまう最大の原因はここにあるのです。感動できない大人になっているのです。191ページ

中略

刺激の多い環境生活することはLTP(脳の記憶のこと)にとって都合が良いというだけではありません。歯状回の顆粒細胞も活発に増殖を始めるのです。つまり記憶必要神経細胞が増加するのです。もちろん、その結果、記憶力は増強されます。そして、記憶力が増強されれば、またさらに多くのことに興味を持つことができます。より好ましい方へ脳が順応していくわけです。つまり、脳は使えば使うほどさらに使えるようになるのです。192ページ

やばい普段から刺激と興奮を求めていないと脳機能が低下する。一度低下してしまった脳機能を元に戻すのには並大抵な努力では無理だ。「好奇心」と「探求力」が記憶にとって大切なビタミンということだ。

夢の効用についても解説している。

夢は記憶を強化するために必要だということである。新しいことを知識技法を身につけるには、覚えたその日に6時間以上眠ることが欠かせないという研究結果がある。212ページ

テスト前夜の徹夜意味がないということだ(ふむふむ)

失敗は恥ずかしいことではなく、恐れることでもない。大切なことは失敗して「後悔」することではなく、失敗して「反省」することだ。失敗を次に活かせることが、曖昧記憶をする人間の脳の素晴らしいところである。214ページ

こうして考えると、物事習得において、最も大切な心得は「努力継続であることがわかります努力を続けて初めて報われるわけです。ですから、なかなか結果が現れないからといって、すぐに諦めてはいけないのです。もちろん、周囲の天才たちを見て躊躇することもいけません。彼らと自分能力を単純に比べることは無意味です。なぜなら、努力と成果は比例関係にあるのではなく、累乗関数関係にあるからです。自分自分。今は差があっても、努力を続けていれば、いつか必ず天才たちの背中が見え、そして彼らを射程距離内に捕らえることができます。こうした成長パターンを示すのが脳の性質なのです。たとえ効果が目に見えなくとも、使えば使った分だけ着実に、能力の基礎が蓄積されていくのです。時に勉強が辛くなったら、この事実を思い出して自分鼓舞してください。いつかきっと効果が表れるからもっと頑張ろうと。

正座して読みたい一冊であった。人生100歳時代にどう生きるか。記憶力そして脳についての理解が深まればより良い人生を生きやすくなる。より幸せ人生を送れるのではないかと思った次第である

2017-02-06

ヒトはどこまで進化するのか、読了

社会生物学ウィルソンヒトはどこまで進化するのか読んだ。

史学は先史学を抜きにしてはほとんど意味をなさず、先史学生物学を抜きにしてはほとんど意味をなさない。先史学生物学知識は急速に増加し、その結果、人類いかにして誕生し、なぜ私たちのような種がこの地球存在するのかに光が当たっている。5ページ

本書は、人間存在する意味、知の統合、アザーワールド、心の偶像人間未来という大項目からなっていて、前半で様々な解くべき問題提示され、後半でそれに対応した著者の見解が示されている。

  1. 人間存在する意味
  2. 知の統合
  3. アザーワールド
  4. 心の偶像
  5. 人間未来

著者は、「人間宇宙特別地位を占めているのだろうか。個人の一生にはどんな意味があるのだろう。こうした問いに検証できる形で答えられるに十分なほど、宇宙私たち自身についての知識は進んだと私は思う。」と生物学者でありながら、従来は哲学者領域と思われているようなものまで踏み込んで議論している。

著者は人類はどこから来て、どこへ行くのか、自然科学の中からいくつかの段階を経て人文科学の分野に分け入り、それから再び、「私たちはどこへ行くのか」という、より難しい問いと、「それはなぜか」という最大の難問に立ち返る。(8ページ)

現在人間の有り様を把握するには、種の生物学進化と、人間先史時代に導いた環境とを合わせる必要がある。人間理解するこの仕事は、人文科学だけに任せるにはあまりにも重要で、あまりにも厄介だ。」(13ページ)

人間本来善だが悪の力によって堕落するのか、それとも逆に、本質的には罪深いけれども善の力で救うことができるのか。(中略)、科学的な証拠によれば、私たちはその両方を併せ持っているらしい。」(23ページ)

神は存在するのか。宗教必要なのか。著者は神の存在否定するが、宗教必要性は認めている。

いろいろと考えるヒントが満載だ。強いAIについて議論するときに役に立つフレームワーク提供されているように思った。オススメの一冊だ。




下記の同じ著者のものだ。合わせて読んでみたいと思った。

2017-01-29

爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った (新潮新書) 読了

爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った (新潮新書)を読んだ。

生命誕生して40億年。「ヒトには眼もあるし足もあるし脳もある。それらどれ一つとして、ただ変化するだけでできたものはない。眼ができるにも足ができるにも脳ができるにも、それぞれに奇跡必要だ。」

  1. 第一章「膜」 生物と無生物のあいだに何があるのか
  2. 第二章「口」 よく噛むことはいいことか
  3. 第三章「骨」 爆発的進化はなぜ起きたのか
  4. 第四章「眼」 眼がなくても物は見えるのか
  5. 第五章「肺」 酸素をどう手に入れるか
  6. 第六章「脚」 魚の脚は何をするのか
  7. 第七章「羽」 恐竜は空を飛べたのか
  8. 第八章「脳」 脳がヒトを作ったのか
  9. 第九章「性」 男は何の役に立つのか
  10. 第十章「命」 生命物質から作れるか

仮説が幾つかあるときには、なるべく単純な仮説を選ぶ。こういう考え方を「オッカムのかみそり」と言い、科学における原則とされる。(96ページ)

生物進化し続けている。おびただしい奇跡によってヒトが生まれた。その奇跡について平易に解説している。読んでいて楽しいおすすめの一冊だ。

2017-01-23

和歌山県立和歌山商業高校が楽天IT学校甲子園で高校生が選ぶ特別賞を受賞した件

楽天IT学校で担当した和歌山県立和歌山商業高校楽天IT学校甲子園で高校生が選ぶ特別賞を受賞した。 *1

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楽天IT学校というのは、すでに何回かこの日記でも紹介したが、主に商業高校の生徒向けに、楽天店舗施設ホテルなど)と協力して、電子商取引実践を教える授業である。毎年5月ごろスタートして、生徒と一緒に、楽天市場や、楽天トラベル販売ページを作っていき、それぞれの高校選抜チームが、東京楽天IT学校甲子園というところで発表し競い合う。

今年は67校から1937人の高校生が参加した。年々、参加校、参加生徒数など規模を拡大している。

高校生が電子商取引の授業で販売ページを作った話

インターネットのパワーと可能性を高校生に伝えたい(楽天IT学校)

生マグロがすごい

自分担当した和歌山県立和歌山商業高校高校生が選ぶ特別賞を受賞したのでそのことについて記す。

和歌山県立和歌山商業高校が作ったページ

授業のコンテンツ

楽天市場販売ページを、商業高校の「電子商取引」授業の一環として店舗さんの協力のもと生徒さんたちと一緒になって作成するというのが楽天IT学校だ。授業なのでもちろん学校の先生方に協力いただき、最終的には成績もつく。

通常の「電子商取引」の授業では、情報通信技術の進展とビジネスという観点から座学でコンテンツの制作、ウェブデザイン電子商取引概要を学ぶわけだが、楽天IT学校では、それだけではなく、制作した販売ページを店舗さんの協力のもと実際に販売するところまで行う。

実際に販売するので、当たり前であるが、売れれば売上がたつ。

授業のコンテンツ楽天販売店舗向けに作成したもの事務局がアレンジして作ったもの担当講師がそれぞれの高校へ展開する。

全8回の講義を月に一回くらいのペースで行う。今年の場合は下記のようなスケジュールだった。

和歌山商業高校担当になった

楽天IT学校の講師は、業務として市場ないしはトラベル事業部から参加するものと、社内公募本業とは別に応募して選ばれるものからなる。私の場合は、自ら公募に手を挙げてなった。

担当の学校は事務局が選んだ。私の場合は和歌山商業高校であった。縁もゆかりもないし、和歌山県に行くのも生まれて初めてなので、正直どうなるか若干不安であったが、意外とどうにかなった。

和歌山県は陸路で行くと午前中の授業の開始には間に合わないので前日入りをした。前日から和歌山にいることをいいことに、先生店舗上野さん、楽天から大山さん、私たちで、毎回事前打ち合わせの飲み会を行った。

学校側の担当江口先生川口先生、丹下先生店舗紀伊国屋文左衛門本舗、とち亀物産上野社長の皆さんとは今回初対面であった。 *2

和歌山についてアレヤコレヤ毎回教えてもらった。

電子商取引教科書江口先生に手配いただき入手した。教科書を読んでみると実務では重要なことがあまりふれられていなかったり、逆に実務ではそれほど重要ではないことが詳しく解説されているなど、学校とは違った立場からレビューできた。

生徒の名簿もあらかじめ共有いただいた。自分自身もっと名簿を活用して生徒の名前を全員覚えて、積極的声かけなどをすればよかったと反省している。努力が足りなかった。

授業とやったこと

授業内容については、事前に事務局から資料が共有され、社内で講師向け講習会竹下知代美さんが講師になるので「たけちよ塾」と呼ばれていた)で、授業の流れについて確認した。授業の時間配分、強調するポイントアイスブレークなどなど、様々なノウハウが共有された。(たけちよ塾に参加できなくてもビデオがのちに社内で公開された)

私は今回初めて講師として参加するので、たけちよ塾で授業の進め方のコツを伝授いただき大変助かった。

授業は講義の部分とグループで行うグループワークの部分があって、グループワーク用の配布物などは事前に学校に配布をお願いした。

授業当日は、三者で事前に当日の授業の大まかな流れ(時間配分)、配布物、アンケートなどをざっと確認して、授業に臨んだ。

講義大山さんないし私が担当して、タイムキーパー、グループワークの時の声がけなどを行った。店舗上野さんには、適宜コメントをいただき、ネット販売でのリアルな声を高校生に伝えた。

授業については担当江口先生などの指導のもとスムースに行われた。

毎回、授業について、満足度とわかりやすさを5段階評価、自由形式で感想を記入してもらった。大変満足(大変わかりやすい)、満足(わかりやすい)の評価だと嬉しいが、不満(わかりにくい)の評価だと若干凹む。コメントを読むのが授業を行う時の励みになった。

授業の後、三者で簡単に振り返り、宿題確認、次回のスケジュール確認などを行った。

44名で8班に分かれてグループ作業を行った。販売商品みかん、梅干し、生マグロなどで、各班授業で習ったフレームワークをもとに販売ページを作成していった。

10月の授業で販売ページを完成させ、いよいよ実際の販売となった。

11月の授業で約一月間の販売実績を発表した。8チーム中4チームの売り上げが0だった。現実は厳しい。売れると思ってもなかなか売れない。なぜ売れないのか?どうやったら売れるのか?などの考察をもとにページの改良を行った。ページの改良ともに集客案についてもアイデア出しなどを行った。ページの改善では、写真は1)アップで撮る、2)シャープに撮る、3)暗いよりも明るく撮るなどのヒントをもとに改善を行った。扱った商品は食品だったのでシズル感のあるものにするなどの改善を行った。

楽天IT学校甲子園

12月に授業で楽天IT学校甲子園(2017年1月開催)の参加チームを決定した。

評価ポイント販売ページ、売り上げ、プレゼンテーション判断した。

今回選抜された三班は冬休みに発表資料作成練習などをクラスの仲間の協力も得つつ行った。

前日(1月12日)に東京まで来て、楽天本社見学、発表練習を行った。

当日(1月13日)は午前中に5会場で予選会、予選から上位12校が本選に出場した。

和歌山商業高校は無事に予選を勝ち抜き本選に出場した。

Youtubeに本選の様子があるので見て欲しい。

9分10秒あたりから

当人たちは、すごく緊張したけど、何度もなんども練習をしていたのでミスはなかったと言っていた。江口先生も、練習より予選、予選よりも本選が良かったとおっしゃっていた。練習は嘘をつかないという言葉を思い出した。高校生すごい。

f:id:hyoshiok:20170123152240j:image (本選発表前)

f:id:hyoshiok:20170123152242j:image(受賞が決まって舞台で)

そして順位発表で、「高校生が選ぶ特別賞」を受賞した。嬉しかった。

http://corp.rakuten.co.jp/csr/it-school/2016/live.html

最後の授業と幾つかの感想

授業を円滑に進めるためには、学校、店舗さん、我々(楽天)のコミュニケーション重要だ。そのためにFacebookグループの作成、前日の飲み会、授業の事前打ち合わせ、振り返りなどを行った。

前日入りできたのはラッキーだった。和歌山県に関するアレヤコレヤ、学校のことなどとりとめのない話の中にも授業を進める上でのヒントがあった。時間を見つけて、地元の図書館などに行った。和歌山県に関する資料なども参考になった。

那智勝浦漁港見学も生マグロについて知る上で大変勉強になった。

地元のことを知って、好きになって、誰かに伝える。モノを売ることも一緒だ。高校生と一緒にそのような経験ができて良かった。

高校生も地元のミカン、梅干し、生マグロなど、馴染みはあるけど、実はそれほど良く知らなかったモノを、今回の授業で深く知ることになって、愛着を持ったと思う。

最後の授業で、楽天IT甲子園の発表を見て、それぞれが一年を振り返った。

たけちよさんは楽天IT学校を始めた時、県知事に会うという目標を掲げ、当時の東国原英夫知事に会いに行ったそうだ。やるなあ。

来年度も何らかの形で関わっていきたいと思う。

f:id:hyoshiok:20170123152241j:image

関係の皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました。とっても楽しかったです。

f:id:hyoshiok:20170123132131j:image感想をくれた。嬉しかった。

2017-01-02

ITカンブリア紀の眼はIoTで、インターネットは神経回路網で、クラウドは脳だ

インターネットによって地球規模の神経回路網が出来上がって、ITカンブリア紀が始まったというような世界観に我々はいる。

カンブリア紀生物の種が爆発的に増えた時代と言われているが、その爆発には眼の発達が深く関わっていると言われている。生物が眼を持つことによって、他の生物を容易に捕食することができるようになって生存競争において圧倒的に有利になったという説だ。捕食される側も眼を獲得することによって捕食者から逃げるという、ある種の軍拡競争によって生物の種は爆発的に進化・発展していった。

ITカンブリア紀の眼はIoTで、インターネットは神経回路網で、クラウドは脳だ。AIビッグデータによってバラバラだったものが結線する。世界ソフトウェアでできている。そのような時代に生きている。わくわくする。

2016-12-18

ジョイ・インク、読了

川口さんが持っていたジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメントを読んだ。

著者が2001年設立CEOをやっている会社(以下メンロー社と呼ぶ)を題材に、ソフトウェア開発のマネジメント手法について書かれている。本書をソフトウェア開発手法解説書だと捉えるのは狭すぎる。広い意味での組織マネジメント実践である。そのユニークなことは「喜び」を追求していることだ。

「喜び」をマネジメントの主眼に置いているだって意味がわからない。お前は何を言っているのだ状態である

詳しくは本書を読んでいただきたいのだが、本書で紹介されている手法の多くは、XPエクストリームプログラミング)、スクラムなどアジャイルソフトウェア開発として知られている。

それらの手法を愚直に実践しているところが著者の会社の強みであり、凄みである

例えば、ペアプログラミングで毎週メンバーを入れ替えるとか、XPの導入も徹底している。

3章で、実際の作業について詳細に紹介している。ペア作業で新しいことを学んだり、ラーニングランチと称する社内勉強会を開催したりしている。それぞれのプラクティスは、ちょっとしたことかもしれないが、それを持続しているところがすごい。

採用方法エクストリームだ。(5章)

従来型の採用プロセスは双方がウソを言い合う。これは双方にとって不幸な結果を生むことは経験値としてもよくわかる。

メンロー社の採用プロセスユニークだ。候補者を集めて30名〜50名で集団インタビューをする。最初に会社の理念や集中的なインタビューする意義を説明する。候補者がペアを組む。そのペアにはメンロー社員が観察者として参加する。そしてペアを替えて3つの演習に取り組む。ソフトウェア開発者場合は、ソフトウェア見積もりをすることが多い。演習の狙いはチームワークを見ることで技術的なスキルを確かめることではない。パートナーが困っていれば助ける。そのようなことだ。

観察者は、毎回別々のペアを観察する。30人候補者がいれば、15人の社員が観察者として参加することになる。候補者それぞれについて5分ほど話す時間を取る。ある候補者について3人の観察者が投票する。一緒にペアを組んでもいいか、十分なチームワークスキルがあったか、などの観点から投票をする。3人がOKを出したら二次インタビューに招待する。3人ともNGなら次はない。そして、それ以外の場合賛否両論)は、議論必要になる。この議論自分たち文化についての明示的な理解を助けることになる。

二次インタビューに招かれた人は丸一日実際の仕事ペアでしてもらう。もちろん一日分の賃金は支払う。社員ペアを組むことによって、チームワークや技術スキルが正確に把握される。そして、社員評価によって、三週間の有償契約を結ぶか決める。そのトライアルがうまくいけば採用される。

候補者はトライアルを通じて会社の文化を知ることになるし、会社は候補者の性格スキルをかなり的確に理解する。双方にとってメリットはある。

このような組織運営スケールするのだろうか?(12章)

「喜んで報告しよう。ブルックスの法則は打破できる」(242ページ)

ブルックスの法則とは、遅れているソフトウェアプロジェクト人員を追加するとますます遅れるというもので、ソフトウェア開発業界では広く知られている法則である

メンロー社はブルックスの法則を何度も打ち破っているという。本当か?そんなことは可能なのか?50年以上真実として知られていた法則を打ち破っているという。

その秘訣ペア作業だという。ペア作業をすることによって、学ぶ機会、練習する機会が与えられる。ペアを組む、ペアを組み替える、参加する、離脱することなどによってチームはスケールするようになる。

そして、スケーラビリティは両方向に使えるという。スケールアップ(人員の増加)とスケールダウン(人員の減少)。これも目からウロコの話である。通常はキーパーソンが抜けると、プロジェクトは立ち行かなくなるが、ペア作業を続けていると、誰でも離脱可能になる。

本書の驚きの幾つかを紹介したが魅力が全く伝わっていない。ぜひ、一読をお勧めする。自分仕事に喜びを導入すること。それが可能か。本書にはそのヒントが詰まっている。

誤植らしきもの

誤「大学の人類学部でなはい」(153ページ)

正「大学の人類学部ではない」


2016-11-13

眼の誕生、カンブリア紀大進化の謎を解く。読了

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解くを読んだ。

ダーウィンの悩んだ謎についてそれを解き明かしている。カンブリア紀は、生物が突如、爆発的に進化したことで知られる。

ダーウィンは「5億4300万年前、カンブリア紀の始まりと同時に、生物は突如、爆発的に進化した。カンブリア紀の爆発として知られるこの急激な進化は、なぜ起こったのか?」という疑問と、「なぜカンブリア紀以前の地層から化石が見つからないのか?」という疑問を終生悩んだらしい。

ネタバレになるのだが、その回答が「眼の誕生」らしい。眼という複雑な器官の発生とそれを処理する脳の働きによって、生物は劇的に進化した。眼があることによって、生物は捕食できる。一方で捕食者から危険を察知して逃げることができる。眼による攻撃と防御の軍拡競争が淘汰圧としての生物進化を加速したという説である

インターネットという神経回路網にとって、膨大な記憶装置と、眼としてのIoTとか検索エンジン、そして人工知能としての脳によって、21世紀カンブリア紀大爆発が起こる予感に満ちている。

本書は「眼の誕生」という奇跡によってカンブリア紀大爆発が起こったということを興味深く解説している。おすすめです。

2016-10-26

人工知能の入門書を読んだ。「人工知能は人間を超えるか」松尾豊著、「脳・心・人工知能」甘利俊一著

人工知能入門書

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)と、脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす (ブルーバックス)を読んだ。どちらも入門書として平易に書かれているので、門外漢でも読み進めることができる。

私が、就職した頃(80年代半ば)は、まさに第二次AIブームということで、高度成長を謳歌した日本は、怖いものなしで、AIの分野でも世界を席巻しようとしていた。

第五世代コンピュータプロジェクトという汎用AIを作るという意欲的なプロジェクト実施されていたのもその頃だ。AIが、強いAI志向するというよりも便利な道具としてエキスパートシステムなどがもてはやされていた。論理的推論によって問題解決を行う。問題を明示的に記述できれば、あとは機械自動的に推論して結論を導き出す。限定的問題については一定の成果を得られたが、知識ルールという形式にして記述することは簡単ではないし、それが数千という規模になるとそもそもルール自体矛盾があったりして壁にぶつかっていった。

前者は人工知能の歴史を俯瞰する内容になっていて、後者ニューロコンピューティング立場から人工知能の発展を記している。

前者の人工知能立場論理的演算記号を扱うことによって人の知能に迫ろうとするのに対し、後者は脳のメカニズムを定式化することによって、知能に迫ろうとしている。長いことこの二者は接点がなく発展して行ったのだが、昨今、ディープラーニングなどで、両者の接点が急速に広がっているように感じる。

ディープラーニングに関しては、2012年画像認識コンペティションでカナダのチームが従来の手法とは異なる手法認識率を飛躍的に挙げたことによって注目を集めた。機械学習ボトルネックニューラルネットワークによって解決した。

この第三次AIブームによって人工知能研究者ニューラルネット研究者が交わったように見える。

第三次AIブーム理解するためには両者の立場視点理解することが重要だが、その意味でこの入門書コインの表と裏を理解するための最適なものになっている。

良著だ。

2016-10-20

高校生が電子商取引の授業で販売ページを作った話

インターネットのパワーと可能性を高校生に伝えたい(楽天IT学校)(id:hyoshiok:20160914:p1) で書いた通り、高校生インターネットのパワーと可能性を伝える授業をやっている。

その授業の成果が本日15時からアップされている。

http://item.rakuten.co.jp/bunza/c/0000000956/

高校等で電子商取引の授業をするときの難しさは、HTMLなどで商品ページを作ることを教えることはできたとしても、それを実際に販売することは簡単にはできない。商品選択在庫の確保、受注、入金、発送、クレーム対応、などなどインターネット店舗運営に関わる、様々なことを高校が準備するというのは現実的には難しい。

集客マーケティングなども実際にやってみないことにはわからないし、理屈の上で学ぶのとやってみることのギャップは大きい。

インターネット上の店舗を借りて実際に販売実習をするところが、楽天IT学校の意義だ。売れるか売れないかの真剣勝負高校生体験する。販売することは簡単ではない。簡単ではないが、それを体験することで大きな学びを得る。どのように集客し、接客し、販売に結びつけるのか。その理論実践を学ぶ。

今まで意識していなかった、インターネットものを売るという体験をすることによって、それを意識する。

地元の名産品を売るという経験で地元で当たり前だったと思っていたことを深く理解するようになる。地元の魅力とは何かを深く考える。そしてそれを言葉写真やデザインで明示的に表現するという経験をする。地元のことを知り、理解し、好きになって、インターネットを使って伝える。そのような経験をする。

インターネットのパワーと可能性を知るような実習になっている。

ぜひ、一度、販売ページに訪れて欲しい。そして、そのページを作った高校生たちを想像しながら彼らが学んだことに思いを馳せて、可能であれば、どれか一つ実際に買ってみていただきたい。

それが彼らへの応援になる。

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2016-09-22

生マグロがすごい

この歳になるまで生マグロがどのようなものかということを知らなかった。生まれてこのかた意識して生マグロを食ったことがなかったからだ。あったかもしれないけど記憶にない。

日頃食べるマグロの多くは冷凍マグロだ。マグロと言ってもいろいろあるのだが、漁場で釣ったマグロ漁船上で急速に冷凍され三崎や築地などの市場を経由して流通する。

話が長くなるので忙しい人は次行ってください。

楽天IT学校の縁で那智勝浦町にある木下水産物株式会社にお邪魔することになった。高校生が生マグロ販売ページを作るためにその取材をするので同行した。那智勝浦に行くのも初めてだし、生マグロの話を聞くのも初めてだ。*1

上野さん(紀伊国屋文左衛門本舗店長)が生マグロを食べたら他のマグロは食べられなくなりますよという話を聞いていたことは聞いていたのだけど*2、正直言っていやそれは大げさだろう程度にしか思っていなかった。

那智勝浦漁港に水揚げされるマグロの漁法は大きく分けて二つあって、一つがはえ縄漁、もう一つがまき網漁である

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はえ縄漁というのは長い縄(幹縄)に餌をつけた多数の縄(枝縄、はえ縄、釣り糸みたいなもの)で釣る漁法である

まき網漁は大きな網で釣る漁法である

はえ縄は長いものだと数十キロ以上のものになるらしい。

まき網は一気にガサッととるのでスケールするし多量の魚を確保するのには適している。コストダウンにもつながる。一方はえ縄はまき網ほどスケールはしない。

釣られる魚にとってみるとまき網だと稚魚も成魚もお構いなしに一網打尽だが、はえ縄だと稚魚はかかりにくく主に成魚がかかる。環境に対する負荷は前者の方が大きい。

網にかかってから釣られるまでの間、まき網だと過密な網の中でおしくらまんじゅう状態で魚にストレスがかかるが、はえ縄だと釣り針にかかったままだが泳いでいられるのでストレスがそれほどかからないらしい。マグロ場合ストレスがかかると体温が上昇して70度近くまでなる場合があるらしい。体温上昇に伴って「やけ」と呼ばれるものが生じ食感を損なう。*3

釣られた魚を漁船急速冷凍する場合と、船上で殺して冷蔵保存して漁港に運搬する場合がある。後者は一度も冷凍していないので生マグロと呼ばれる。

那智勝浦漁協取引されるマグロのほとんどがはえ縄漁で採られた生マグロだ。冷凍マグロはほとんど取引されない。焼津、清水、三崎などは冷凍マグロ漁港として知られている。*4

東京で食すマグロの多くは冷凍マグロスーパーで売られているもの解凍)と言われている。三崎、清水、焼津各漁港流通しているもの冷凍ものだ。

さて、はえ縄の場合マグロをとらえたら一尾づつ神経を壊し血抜きなどをして冷蔵する。一方、まき網の場合は多くは船上で急速に冷凍するか、そのまま冷蔵して漁港まで運ぶ。

冷蔵場合冷凍していないので生マグロと呼ばれる。

那智勝浦漁港では生マグロを扱う。(冷凍マグロはほとんど扱っていないそうだ)

マグロは一度も冷凍しないまま流通する。はえ縄量で一尾ずつ〆ているので味も落ちない。

冷凍もの解凍するときにどうしても細胞破壊され旨み成分が出てしまう。

お題目はいいのだが、こればかりは食べてみないとわからない。言語化することが簡単ではない。もちもちだと言われているが、生マグロを食べたことがなければそれも伝わらない。

というようなわけで、生マグロがすごいということがよくわかった見学会だった。



那智勝浦漁協 紀州勝浦産生まぐろ http://marinesoft.sakura.ne.jp/page2.htm

『紀州勝浦産生まぐろ

『紀州勝浦産生まぐろ』は、100%はえ縄漁船による天然まぐろであり、漁獲されたまぐろを一本一本丁寧に活け締め処理し、船内において冷水保存(氷温)することにより、漁獲された直後の新鮮さと品質を保ったまぐろです。

*1id:hyoshiok:20160914:p1

*2http://www.rakuten.co.jp/bunza/

*3http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/458401/manual.pdf

*4http://www.market.jafic.or.jp/suisan/ 水産物流通調査漁港別主要品目別の上場水揚量データがある。これを見ると生のマグロ類(クロマグロ、びんなが、めばち、きはだ、みなみまぐろなど)も多く流通している。めばち、きはだは冷凍ものが多く、びんながは生が多い

2016-09-14

インターネットのパワーと可能性を高校生に伝えたい(楽天IT学校)

弊社がやっている楽天IT学校というのがあって、自分講師役で関わっている。

http://corp.rakuten.co.jp/csr/it-school/

楽天IT学校というのは、主に商業高校の生徒向けに、楽天店舗施設ホテルなど)と協力して、電子商取引実践を教える授業である。今年は、5月ごろスタートして、生徒と一緒に、楽天市場や、楽天トラベルのページを作っていき、来年1月にその成果を発表する。*1

私は、和歌山県立和歌山商業高等学校担当になったので、月に一回程度、高校にお邪魔して、授業を行っている。

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(講師大山さんと和歌山商業高校生徒の皆さん)

高校生にとってみれば、今まで使うだけだったインターネットで、実際のページを作りながら、実際のモノを売る機会を得られるというのが一番大きいと思う。使うだけのインターネットでモノを売る、商売をするインターネットになるという経験は、なかなかない。店舗ホームページを作ってみることによって、何にも考えずに使っていたページに様々な工夫がされていることを知り、モノ売ることの難しさ、楽しさ、面白さなどを実際に体験する。

通常の電子商取引の授業では、ホームページの作り方などを学ぶが、実際の商品販売するところまでは実践できない。そこで楽天楽天に出店している店舗などと協力して、実際の商品楽天を通じて販売するところまでを授業でカバーする。

年々参加校、参加高校生が増え、今年は、全国の67校から2000人近くの生徒が参加している。

実のところ、和歌山に行くのは人生初めてだった。全く土地勘のないところに行って高校生と一緒になって市場販売ページを作るというのも初めてだし、商業高校先生店舗さんとのやりとりももちろん初めてだった。これまで、4回の授業を行い、生産者さんへの見学も行った。

協力を仰ぐ、紀伊国屋文左衛門本舗(株式会社とち亀物産)の上野社長は、みかん社長として楽天市場の中でも有名な方だ。

http://www.rakuten.co.jp/bunza/

今回販売する物品は、和歌山名物みかん、梅干し、生マグロとなる。この商品を8チーム44名の高校生がチームごとに創意工夫をして販売ページを作って、売れる商品にする。

商品機能、優れているところ、利益などを、販売ページで訴求するのであるが、実際にそれを作っていくと全く上手くいかないことを高校生経験する。写真の配置、キャッチコピー、購買に結びつくような動線など、今まで意識したことがなかったことを初めて意識して作っていくことになる。

インターネットでモノを売る経験をする。

商品を知ってもらう、興味を持ってもらう、購買してもらう、それにはどのような難しさがあるのか販売ページを作りながら経験する。

学校の先生方にとっても電子商取引の授業を教えることはできても、販売経験がほとんどないので、実践的なコーチングがなかなか難しい。

店舗さんのインターネットでの販売経験が授業に厚みを加える。

誰がなぜその商品インターネットから買うのか?どのような人にこの商品を売りたいのか?なぜその人はその商品を買うのか?売り手、買い手、それぞれの立場で考えに考える。

みかん、梅干し、生マグロ、和歌山県の銘品だ。高校生にとっても馴染みがある地元の品である。当たり前に食べているみかんの優れたところを意識して言語化する経験を「初めて」する。梅干しはどんな人がどうやって作っているかを学ぶ。生マグロとは何なのか冷凍マグロとどう違うのかを知り、それの利点をどのようにインターネットで訴求していくのか。それを実習で学ぶ。

高校生と一緒になって販売ページを作っていくのは楽しい自分が一番楽しんでいる。自分高校生だったら、絶対この授業を取りたい。

学校の授業が無味乾燥面白くないということはない。何かを学ぶことはめちゃくちゃ楽しい。そして、その学びの中から職業観などがおぼろげながら湧き出てくる。

県庁所在地の駅前ですらシャッター街になっている。若者は大都市へ出ていく。地元に雇用の受け皿は少ない。生まれたところの良さを知る機会というのは、ありそうであまりない。

インターネット販売ページを作るということは、地元の良さを言語化することだ。地元の店舗が売っている商品をよく理解して、好きになって、誰かに勧めることだ。地方が元気になるお手伝いをインターネットを利用して行う。そのパワーと可能性を高校生に伝えたい。

*1楽天IT学校甲子園。2017/1/13開催予定。

2016-08-21

Netscapeがすごい会社だった頃の話(1996年前後)。

夏休みなので、たまたま読んでいたCoders at Work プログラミングの技をめぐる探求という本の中にJamie Zawinskiのインタビューが載っていた。この本は著名なプロラグマを集めたインタビュー集で、Unixを創ったKen ThompsonやらDonald Knuthやらすごい人たちが登場している。

その中でJamie Zawinskiはそれほど著名でもなければ誰もが使っているすごいシステムを開発したというわけでもない。私が彼の名前を知ったのはNetscapeソースコード公開時にMozilla.orgを仕切っていた頃なので、20年近く前である

彼はxemacsの開発者としても著名で、当時GNU Emacsではなくてxemacsを日常的に使っていたので馴染みにある名前だった。xemacsとGNU Emacsはのちにマージされるのだけど前者が今で言う所のバザール型開発で、後者Richard Stallmanを頂点とする伽藍型開発だった。(その当時はそのような名前はなかった。のちにEric Raymondが「伽藍とバザール」というエッセイでそのようなソフトウェア開発方法論について書いた)

Netscape社は1995年くらいのインターネット商用化の黎明期に突如登場した破壊イノベーションを具現するベンチャーだった。

今でこそウェブブラウザーは当たり前だが、1993年頃にNCSAにいた若者たちが作ったX Mosaicというブラウザ世間を席巻していて、それを作ったマークアンドリーセンらが立ち上げたのが、Netscape社だった。Microsoft社はWindows 95を発売したばかりでインターネット可能性については過小評価していた。

突然変異と言ってもいいベンチャーNetscape社だ。

当時私は、Oracle社で日々コードを書いていた。大きなソフトウェア会社の典型的な大規模ソフトウェア製品開発現場の一員だった。CIという言葉はなかったけど、毎日ビルドして毎日テストして毎日デバッグしてという日々を送っていた。

Netscape社とOracle社はビジネス領域では全く競合していなかったので、インターネット面白いよねーと無邪気に感じている日々だった。

ビルゲイツ率いるMicrosoft社は当初はインターネット可能性を過小評価していたが、すぐにそれの重要性に気がつきあっという間に方向転換をする。それがWindowsへのブラウザバンドルである

当時のソフトウェア製品はパッケージを電気製品を売ってる販売店やパソコンから買ってきてCDとかに焼かれたソフトウェア製品ユーザーがいちいちインストールするものだった。WindowsなんかもCDで買ってきてPCにいちいちインストールする。

さすがにそれだと面倒なので、PCベンダーDELLとかIBMとか)がWindowsをあらかじめインストールした製品を売っていた。逆に言うとWindowsインストールしていないPC普通に売られていたのである

Windowsが圧倒的なシェアを持つとPCにはWindowsがおまけで付いてくるように見えるのであるが、Windowsの画面にいろいろとバンドルされるものが出てくる。その一つがウェブブラウザである

サードパーティーソフトウェア製品を作っているベンダーはいかにしてMicrosoft社と競合しないかと頭を悩ますのは、MSWindowsに競合製品バンドルした瞬間、そのビジネスモデルは終焉を迎えるからである

今でこそ、そんなことは当たり前だろうと思うわけであるが、ウェブブラウザーがない時代にウェブブラウザ製品を一から作ってその市場開拓した側から見ればたまったものではない。いかにしてMSに見つからないで波風を立てないうちに市場占有するかというのが当時のソフトウェア製品ベンダーの戦略であった。

幸いなことにOracle社はMSと競合しないこともなかったがデータベース製品の主戦場はエンタープライズサーバー(主にUnix市場)だったし、当時はまだWindows NTもそれほど力を持っていなかったのでブラウザ市場ほどの競合関係にはなかった。

時代背景を説明すると長くなるね)

さてNetscapeである創業のメンバーがほとんどNCSA/Mosaicから来た。創業者にはSGI CEO歴任したJim Clarkがいる。彼がNCSA/Mosaicのメンバーに声をかけて創業したと言われている。

Jamie Zawinskiはその中でNCSA/Mosaicのメンバーではない初期の従業員だ。新規ブラウザを作っていくのだが、セカンシステム症候群にもかかることなく最初バージョンは完成する。(セカンシステム症候群というのは組織が二つ目の製品を作るとき完璧を求め不必要に複雑化する現象を言う。人月神話を書いたブルックスよって広く知られるようになった)

ザウィンスキー 私たち宗教的なくらいにデッドラインに集中していました。もし6ヶ月以内に完成できなかったら終わりだと思っていました。(p15)

(聞き手)最初リリース日を決めたら、スコープ品質限定する必要がありますね。どのようにしたんですか。

ザウィンスキー 機能については長い時間をかけて話し合いました。まあ、長い時間ではありませんでしたが、長い時間に思えました。1日に一週間分のことをするような生活をしていたからです。機能を削り落としました。ホワイトボードアイデアを書き出し、線を引いては消していきました。6人か7人くらいでやっていました。正確には覚えていませんけど、部屋に頭の良い自己中な連中が集まって、一週間くらい怒鳴りあっていたんです。

一週間が長い時間という時間感覚がそのスピード感を表している。スコープ品質限定するという常識が共有されている。素人がやると人員がいない、人員追加だという話になるが、プロがチームを作ると徹底的に話し合って、機能を削り落とす。それができるのがプロだ。

チームは少数精鋭だ。ピザを食えるくらいの人数に抑えるということでピザチームと呼ばれることになるのだが、スモールチームでデッドライン優先の製品開発をする。その現場感がハンパない

Netscape 0.96がダウンロードされていく様子を眺めていく。200万ダウンロードされ人々が自分の書いたソフトウェアを動かしていく。信じられなかった。報われた。(ダウンロードした)彼らの1日が自分達がした仕事によってより面白く、より快適で、より楽なものになった。

その当時のことを私は日記に書いている。(1998/09/03のシリコンバレー日記)

http://web.archive.org/web/19990417035415/http://www.best.com/~yoshioka/d/98/i980903.html

実のところシリコンバレーにいてもベンチャーに勤めているわけではないから,そのクレージーさっていうのは実感していなかったりする.

http://www.jwz.org/gruntle/nscpdorm.htmlネットスケープ社のJamie Zawinskiのエッセイがある.彼はネットスケープ創業からプログラマで,Unix版のネットスケープを開発した.

それをざっと読んでみよう.従業員が20人とか30人のころの話である.時は1994年夏から秋にかけて.インタネットが爆発する直前である

これは古きよき時代の話である.時は痛みを和らげ,実際より物事を楽しかったように見せる.だけど誰がすべてのものは楽しくなければいけないといったのだ.痛みは人格を作る.(時には,製品だって作るのだ)

スタートアップで働きたいって?この物語はひょっとしたらおとぎばなしとして聞いてほしい.

Tuesday, 26 July 1994, 4am.

俺がモザイクで働きはじめてから一月とちょっとたった.良く眠れない.というか,家に帰っていなかったりする.

ルーとロブがひがなラジコンの車を組み立てて遊んでいる.うるせーったらありゃしないぜ.

...

マークは俺にSGI版をIrix5.3の出荷と同時に出せと言っている.それって2ヶ月以内ってことだ.俺と来た日にゃ,まだコードはほとんど書いていねーし,本当のところ出来るか出来ねーかなんてことはわかりゃしねー,それに全体像だってわかっちゃいねー.俺にうんといわせるのなんかマークにとっちゃ朝飯前ってことだ.だけど俺だって失敗したくなかった.掛け金はすげー高かった.世界中が俺達がやるかやらないか注目してたんだ.

Thursday, 28 July 1994, 11pm.

昨日は会社で寝た.机の下で2時間爆睡したぜ.朝の11時から1時半まで.起きた時気がついたのだけど,カラーマップとディサーリングについてのミーティングに遅れちまった.ま,どーでもいいっちゃいいんだけど,ミーティングを遅らせただけだから.実際,仕事し過ぎでぶっ倒れているやつ抜きでミーティングをするつーのは不可能だってことだけどね.

Sunday, 5 August 1994, 5am.

家に帰った.前帰ったのはっていうと,...,39時間前だ.疲れてはいなかった.気力回復ってやつだ.

...

原文見てみて下さい.めまいがします.シリコンバレーのスタートアップ

そんなこんなのクレージーさはその後ビジネス的にはMSに負け今やNetscape社はない。

Netscapeはそのソースコード1998年に公開し、オープンソースOSS)という革命破壊イノベーション引き起こした。

OSSクラウドシェアリングエコノミー、フリーミアムIoTそのような言葉すらなかった時代の話である

Jamie Zawinskiのインタビューを読むだけでも価値がある一冊だ。若いプログラマお勧めしたい。熱いよ。

2016-08-14

東海道五十三次(その9)。由比から岡部まで歩いた。

青春18きっぷを使って、久しぶりに東海道五十三次を歩いた。夏休みを利用して由比から岡部までダラダラと歩いた。初日8月10日)は由比から府中まで、二日目(8月11日)は静岡でさわやかのげんこつハンバーグ*1を食って、三日目(8月12日)に府中から岡部までを歩いた。

0626 品川発で、熱海、沼津乗換で 0916 に由比に到着する。移動だけで3時間弱かかる。どんどん移動時間が増えていくので、歩く時間が減っていく。

初日銭湯は柚木の郷*2 東静岡駅のそばだった。2016年開業なので新しかった。夕食は熱海まで戻って囲炉茶屋に行った。*3

夏、炎天下。体力を消耗する。自分は暑さに弱いというのを実感した。

丸子宿の丁子屋*4で食べたとろろご飯は美味しかった。お勧めである

どんどん移動時間が長くなるのであるが、各駅停車をダラダラと宴会をしながら移動するというのも楽しそうだと思った。ほぼ電車の中で宴会して、東海道を数時間歩いて(20km以内)宴会しながら帰ってくる。

品川6時集合で0616熱海行きに乗って乗り継いで行けば、名古屋に1212に到着するのでギリギリ41番目の宮宿までは行ける。新幹線で行くとなるとやはり泊りながら距離を稼ぐという作戦になるので、どっちが楽しいか。まとまった休みを取れるのであれば、ずんずん歩くのがいいが、日帰りを繰り返すというのであれば青春18きっぷでのんびり行くというのもありかなと思う。


参考文献

今回、静岡のジュンク堂で見つけて購入した。旅手帳となっているので、メモ書きや歩いたところを塗りつぶすようになっている。鉛筆片手に書き込みながら歩くと面白いそうだと思った。地図として利用したのだが、前半の由比から府中(静岡)までの区間は持っていなかったので、興津の一里塚を見過ごしてしまった。長津一里塚跡も見過ごしてしまった。

東海道散歩の友にお勧めである

街道の概略と地図からなっている。地図はそれほど詳しくないが一里塚や宿の位置が記されているので大体の目安になる。



地図に東海道の解説をつけたという形式だ。1万分の1の縮尺はちょっと詳しすぎるかもしれない。




風景



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由比の駅前。駅前には何もない。


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(西倉沢)一里塚。薩埵峠まで1.3kmだ。

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薩埵峠。駿河湾を望む

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雲の向こう側は富士山。もやっていて写真ではよく見えない。冬の空気が澄んでいた時期なら絶景だったと思う。

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興津駅。旧東海道から外れたせいか、興津の一里塚を見逃してしまった。

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興津宿。

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名古屋まで197km、浜松89km、藤枝36km。一歩一歩歩いていけば、距離はどんどん減っていく。

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稚児橋。江尻宿は特に看板などがなくてそのまま通過してしまった。


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草薙の一里塚

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さわやかのげんこつハンバーグ

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府中宿。

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(府中)一里塚

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弥勒(みろく)。府中宿はするが最大の宿場町で南北約3kmだったらしい。

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安倍川の手前に安倍川もちのお店があった。

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安倍川を渡る橋。水深が浅かった。河川敷は広かった。

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浜松まで74km、藤枝17km。国道208号。

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丸子宿

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丸子とかいて「まりこ」と読む

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丸子宿本陣跡

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とろろ汁。慶長元年(1596年)創業丁子屋(ちょうじや)。

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とろろご飯。酒のつまみの塩辛、はんぺん、畳鰯などが美味しかった。ごろごろのんびりしたいと思った。

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国道1号線のポスト日本橋から188km。京都三条まであと300kmちょっと。ずいぶんきた気もするしまだまだ遠い気もする

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宇津ノ谷峠。

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明治トンネル

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街道が整備されている。

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民家の壁に昔ながらの金鳥看板キンチョールと対になっている。サラ金のポスターは情緒がないがけど。


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岡部宿案内図。

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岡部宿


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川原バス停。本日2016年8月12日)はここまで。

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藤枝駅までバスで移動。

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焼津駅そばの黒瀬温泉で一風呂浴びた。

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ビールとつまみ。タイムセールで安くなっていた。地元の常連客で賑わっていた。



東海道五十三次シリーズ

日本橋から由比まで。

宿場名 現在の住所 日本橋から距離 次の宿場までの距離
江戸(日本橋 東京都中央区 - 2里(7.9km)
品川 東京都品川区 2里(7.9km) 2.5里(9.8km)
川崎 神奈川県川崎川崎 4里18町(17.7km) 2.5里(9.8km)
神奈川 神奈川県横浜市神奈川区 7里(27.5km) 1里9町(4.9km)
程ヶ谷(保土ヶ谷) 神奈川県横浜市保土ヶ谷区 8里9町(32.4km) 2里9町(8.8km)
戸塚 神奈川県横浜市戸塚 10里18町(41.2km) 2里(7.9km)
藤沢 神奈川県藤沢 12里18町(49.1km) 3.5里(13.7km)
平塚 神奈川県平塚市 16里(62.8km) 27町(2.9km)
大磯 神奈川県中郡大磯町 16里27町(65.8km) 4里(15.7km)
小田原 神奈川県小田原市 20里27町(81.5km) 4里8町(16.6km)
箱根 神奈川県足柄下郡箱根町 24里35町(98.1km) 3里28町(14.8km)
三島 静岡県三島市 28里27町(112.9km) 1.5里(5.9km)
沼津 静岡県沼津市 30里9町(118.8km) 1.5里(5.9km)
静岡県沼津市 31里27町(124.7km) 3里22間(11.8km)
吉原 静岡県富士市 34里27町22間(136.5km) 2里30町23間(11.2km)
蒲原 静岡県静岡市清水区 37里21町45間(147.7km) 1里(3.9km)
由比(油井・由井) 静岡県静岡市清水区 38里21町45間(151.6km) 2里12町(9.2km)
興津 静岡県静岡市清水区 40里33町45間(160.8km) 1里2町(4.1km)
江尻 静岡県静岡市清水区 41里35町45間(164.9km) 2里25町(10.6km)
府中 静岡県静岡市葵区 44里24町45間(175.5km) 1里16町(5.7km)
丸子 静岡県静岡市駿河区 46里4町45間(181.2km) 2里(7.9km)
岡部 静岡県藤枝市 48里4町45間(189.0km) 1里26町(6.8km)

東海道53次距離表 ―350ml.net―より

2016-06-26

継続的インテグレーション(CI)と継続的デリバリー(CD)について知りたかったら、闘うプログラマを読め

継続的インテグレーション(CI - Continuous Integration)と継続的デリバリー(CD - Continuous Delivery)について知りたかったら、闘うプログラマー[新装版]を読もう。

これはWindows NTの開発物語だ。大規模基盤ソフトウェア現場葛藤を生々しく描いていて、ソフトウェア開発に従事しているものには必読書といっても過言ではない。

デスマーチドッグフードを食う、ビルド業界人なら誰でも聞いたことがあるジャーゴン業界用語)がちりばめられている。本書によって、それらの用語を覚えた人も少なくないと思う。

「カトラー(開発の総責任者、伝説プログラマー)は、オペレーティングシステムを開発するときは、機能を増やすより、スケジュールを短縮するべきだと考えている。最初バージョンは、機能を減らしても、早くリリースしたほうがいい。最初機能を最小限にして、つぎから増やせばよい」183ページ、ドッグフード

これはリーンソフトウェア開発でよく言われるMVP(minimum viable product)の考え方だ。先にMVPの考え方があったのではなくて、様々なソフトウェア開発プロジェクトがあって、それでうまくいったもの行かなかったものパターン抽出して、言語化したものMVPだ。

CI継続的インテグレーション)のコンテキスト理解するときに、歴史に立ち返ってみるのは無駄ではない。様々な大規模プロジェクトでの成功や失敗のエッセンスがそこにあるからだ。

Windows NT開発プロジェクトでは日々ビルドを行う。毎日毎日ビルドを行う。CIのものであるバグがあってもなくても毎日動くもの存在する。それを自分たちで利用する。それを毎日行う。そのリズムCIである

大規模ソフトウェアプロジェクトではビルドしたもの正義であるビルドに失敗するようなチェックインは許されない。バグがあろうがなかろうがビルドが、動くもの正義である。そのような価値観をメンバー全員が共有している。

SIでの開発的な要求を出す人と作る人が分かれているソフトウェア開発のコンテキストと、ソフトウェア製品自分たちで利用するという文化でのソフトウェア開発とのコンテキストの違いである

Windows NT時代ソフトウェア製品インストールするものだったので、それをMTフロッピー、CDROM、DVDなどの媒体に記録して配布していたがインターネット時代はそれをインターネット経由で配布するようになった。

さらにウェブサービスだと、媒体で配布する必要もなく、サービスを公開すればそれが配布になって、CD(継続的デリバリー)になった。

今や死語になったWeb 2.0オライリー定義にあたってみると、delivering software as a continually-updated service that gets better the more people use it *1 とあるように継続的更新されているサービスとして配布されるサービスである

Salesforceが No Software というコピースローガン)で提供している価値は、そのようなものである

CDを語るときに、自分の開発しているソフトウェアインストールするタイプであったならば、デリバリーのコストがかかるので、ネットを前提とした配布コストがゼロのものとの差分意識した方がいい。

昨今のアジャイルやDevOpsの流れの中でウェブ業界での適用がすすんだのもビルドして計測して学ぶというサイクルを高速に回せるのが、配布コストゼロのソフトウェア開発だったからである

あなたが作っているソフトウェアがそのようなタイプのものでなかったなら(組み込みだったり、インストールするタイプのもの)、CIはすぐにでも導入できるが、DevOpsのプラクティスの導入には若干時間がかかると思う。(不可能ではないけど)

世界ソフトウェアでできている。エンタープライズと呼ばれる分野も、遅から少なかれそのような価値観に収斂していくと考えている。

2016-06-08

チームで学ぶ

PBL(Project Based Learning)の授業を持っていて、その教員が集まってあーだこーだという会に参加している。PBLという手法は必ずしも教員にとっても経験豊富なものではないので学生指導方法とかに悩みが多いので、いろいろな立場の人が集まって、あーだこーだ試行錯誤や悩みについて披露し合う。

産業技術大学院大学でのPBLはウェブアプリケーションの作り方を学ぶというもので、モダンソフトウェア開発手法クラウドを前提としたツールなどを利用してチームで実際にものを作る。 *1

キーワードとして、Continuous Delivery (CD), Test Automation, Continuous Integration (CI), Version Control System, Test Driven Development (TDD), Platform as a service (PaaS), API, Agile, Scrumとか、ツールとしてgit, github, heroku, Travis CI, VirtualBox, vagrant, linux, Ruby on Rails, chef, Rakuten API, Trello, slackなどを使う。

数名程度のチームが数チームあって、各チームはそれぞれ自分たちが決めたサービス11週で作っていく。

産業技術大学院大学学生社会人が多く授業も夜間に行われる。平日の夜に集まってチームごとに進捗を管理していく。土曜日の午前中に全体で集まって、チームごとに、今週やったこと(実装したこと)、作ったものデモ、困っていること、来週やることなどを10分強で発表する。それを毎週行う。

ウェブアプリケーションなので、URLを叩けば作ったものが誰でも確認できる。みんなでいじっていると簡単にクラッシュしたりする場合もあるが、それを含めてのデモである。Demo or Die であるインストールしなくてもいいので「自分ローカル環境では動くんですけど、インストールしたら動かなくなっちゃいました」というような言い訳は通用しない。Continuous Delivery (CD)ってなによというようなことを実際に経験する。

PBLというのは座学と違って、実際に何かをやってみて、経験することによって学ぶという方法であるソフトウェア開発などは座学でいくら教えたところで実際にやってみないと身につかないことが多いので、10週程度の時間、期間をかけて学ぶことは多い。

チームで開発することに関しても社会人ですら経験値は高くない。そのような場合大学の授業という人工的な環境の中でいろいろな実験試行錯誤)をしながら実際にプロジェクトを回しながら学んでいくことの価値は大きい。

例えば、リポジトリマージしてビルドを壊しちゃうことなんかよくある。ローカルで試してからpushすればいいだけの話であるが、それができない。理屈ではわかっているが習慣として手に馴染んでいないといきなりpushしたりする。そーゆー瑣末なことから始まって、様々な経験を積んでいく。コミットの塊は小さくするとか、コミットログの書き方がどうだとか、ソースコードの読み方、テストの書き方、デバッグの仕方、トラブルシューティング方法バグレポートイシューの書き方などなど、ちょっとしたことなんだけど、必ずしも明示的に言語化されているとは限らないが、重要なことを経験していく。

同じペースで他のチームもプロジェクトを回していて、週に一度、全部のチームが集まって、報告をする。デモ必須なので、綺麗なパワポを作る暇があったら、デモを完成させろという価値観になる。実際プレゼンパワポはいらない。Demo or Dieだし、Done is better than perfect実践する。

進捗が全然はかばかしくないチームもあれば、すごく進んだチームもある。githubコミットを見れば一目瞭然なので隠しようがない。全然コミットがないチームはなぜ進まなかったか、何に困っているかテーブルの上に出す。大きな機能実装であるとか、マージしたら壊れちゃいましたとか、様々なことがある。

他のチームのデモを見て自分以外のチームから学ぶ。チーム内での経験から学ぶことは多いが、それ以上に他のチームの経験からも学ぶことは多い。11週間で経験できることを1とすると5チームあれば5倍学べる。やってみないとわからないことを学ぶのは時間がかかる。その学びを加速するために、他のチームが経験したことを疑似体験する。実際にやったわけではないのだけど、座学で学ぶことよりもはるかリアル経験則を共有する。コンテキストや事情を共有しているので理解が腹落ちする。

githubログを見ていれば、コミットが多い週、少ない週、その差が激しいチームもあればコンスタントに進んで行くチームもある。その差はなんなのか。学びのヒントがある。いつコミットしたのか、残業や徹夜禁止して、頑張らないで開発していくにはどうすればいいのか。何かにつまづいて延々悩んでいることに何か価値があるのか。1時間調べたり試してみてうまくいかなかったことは誰かに聞いた方が早いのではないか。チーム内で解決できなければ、毎週のデモの時に困っていることを相談してみるというようなこともできる。

PBLにおいてはチーム内の学び以上にこのチーム間での学びに本質的な何かがあるような気がしている。少なくとも授業という人工的な環境においては、様々な実験ができるだけに、チーム間の学びを加速させるような仕組みというか工夫が必要だと思う。

教員の中でそのような議論をした。

2016-05-25

虚数の情緒、読了。バーチャル読書会がやりたい

かれこれ二ヶ月かけて虚数の情緒―中学生からの全方位独学法を読んだ。読み終えた。一山超えた感じである

前半が自然数から虚数まで、後半が物理の話になる。

i = ¥sqrt{-1}

約1000ページ。キッチン秤で重さをはかってみた。1260gだ。重い。ゴロゴロ寝ながら読むことはできない。物理的な威圧感だ。

e^{i¥theta} = cos¥theta + i sin¥theta

a = - ¥omega^2x p826

12章で波動方程式を学ぶのだけど正直ちゃんと理解した気がしない。うーむ。残念だ。それでもどうにか先に進んだ。最後まで読んでもう一度読み返してみるといいような気がしている。ネタバレなのであるが、ちゃんと理解できれば新鮮な驚きや感動があると思う。

著者は別解探しの重要性を繰り返し述べている。(p919)

いろいろな方法で解を求めることができる。それが数学醍醐味だ。自分の目で見て考える。その楽しみを味わいたい。その意味で、もう一度読み直して自分なりの別解を考えてみるのが本書の楽しみ方なのかもしれない。他の数学書を読んで周辺を散歩してみたいと思った。

本書の読書会をしてみたい。SNSを使ってバーチャルに、読んだところの感想質問を書いていく。物理的な読書会と違って、同じペースで同じ場所を読むのではなく、自分のペースで、じっくり時間をかけて読めるところがいいと思う。

皆さんも本書を読んでみよう。一月だろうが半年だろうがどんなに時間がかかろうがのんびりゆっくり読み進むむことによって、新しい発見絶対あると思う。本の読み方に正解はない。本書の読み方の別解を探してみたいと思った次第だ。

虚数情緒

目次

http://www.press.tokai.ac.jp/bookpub.jsp?isbn_code=ISBN978-4-486-01485-0
虚数情緒
中学生からの全方位独学法

第I部 独りで考える為に
0章 方法序説学問散歩道

第II部 叩け電卓!掴め数学!
1章 自然数:数の始まり
2章 整数符号を持つ数
3章 有理数:比で表せる数
4章 無理数:比で表せない数
5章 実数連続な数
6章 実数拡張を待つ数
7章 虚数想像された数
8章 指数の広がり
9章 虚数狭間:全数学の合流点

第III部 振子の科学
10章 物理学の出発点:力学
11章 重力と振子の饗宴
12章 波と粒子の狭間索引

誤植と思しきもの

199ページ、6段落目。

誤:平行線の内側にある二重丸で示された角が互いに等しい事である

正:平行線の外側にある二重丸で示された角が互いに等しい事である

あるいは

誤:平行線の内側にある二重丸で示された角が互いに等しい事である

正:平行線の内側にある丸ないしは黒丸で示された角が互いに等しい事である

333ページ

誤:次第に4に近づいていく数の平方根を取る作業を重ねていくと、

正:次第に2に近づいていく数の平方根を取る作業を重ねていくと、

910ページ

¥frac{p^2}{2m}+¥frac{1}{2}m¥omega^2x

¥frac{p^2}{2m}+¥frac{1}{2}m¥omega^2x^2

2016-05-22

山手線を歩いて一周した

ヤマソンというイベントに参加して、山手線を歩いて一周した。*1

f:id:hyoshiok:20160522205955j:image

東京駅側のカフェ前からひたすら山手線を歩いて行って駅ごとに駅名の入った写真を撮りつつ一周するという変なイベントである。なぜか外国籍の人が多く参加している。

ヤマソンの参加は2回目であるが、自主的に何度か山手線を歩いているので(確か3回くらい歩いている)コース取りには自信がある *2

おそのいさんの会社の新人も参加して20名くらいの規模でテクテク一周した。

8時のスタートで順調に進んで、新大久保のあたりでお昼をとったのが12:40くらい。小一時間ほど昼食休憩で、その後は小グループに分かれて進んだ。小先さんチームと私のチームがずんずん行って、おそのいさん、伊藤さん、新人チームがゆっくり目のペースで回った。わたしたちは9時間30分ほどで一周した。おそのいさんたちも10時間くらいでゴールだ。初参加で10時間で一周というのはすごいと思う。

その後、銀座湯で一風呂浴びて、有楽町のサイゼリアで打ち上げをした。ワインをがぶ飲みしすぎて二日酔いが辛かった。

https://www.google.co.jp/maps/place/%E9%8A%80%E5%BA%A7%E6%B9%AF/@35.6744819,139.7680351,17z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x60188be3d29ab291:0x224124727a4a5e48!8m2!3d35.6744819!4d139.7702238

自撮りをもう少し上手になりたいと思った。