蛙汁とBM

六月二十一日(火)雨
村の公民館のようなところで映画の上映があるという。二本同時に上映され、どちらを見てもよいのだが、ひとつの方はスープのふるまいがある。私は最初スープを取らずにその映画を見るつもりでいたのだが、あまり勧められるので大きめのカップに入ったスープを貰って座席で飲み始めると意外と旨い。やがて映画が始まると、小さな青蛙を一度干物にしてそれをお湯で戻したものが飲んでいるスープであったことがわかる。丁度それと知らずに一匹を口の中に入れるところだったので吐き出すと、たしかに黄緑色をした2センチほどの蛙である。ぬめっとしていて目だけがやけに白い。気持ち悪くなったので席を立ち、歩いているうちフィールドアスレチックのような施設の中に入り、順に進んで行くと最後の屋根の上でキャンドルを貰える。いくつかある中から選んで下に降りるとき、イタリア人のイケメン・インストラクターが何を選んだかと聞く。私はシナモンと答えると同時に、臼杵に行く最後のバスが九時に出ることを思い出し、慌てて家族ふたりをせきたてて支度を始めるがずいぶんと時間がかかってしまう。私が心配し出すと40歳くらいの優しそうな宿の主人が、もしバスを逃しても自分が送っていくから大丈夫と言うが、私はそんな好意に甘える訳にはいかないと思う。なんとか間に合いそうで、バス停まで主人の車で送ってもらうことになったが、車窓からは絶景の海岸線の景色が広がっていて私はうっとりとする。バスに乗り込むとそれはロケバスで、小木矢作を含むテレビでよく見るお笑い芸人が何人か乗っている。私は彼らとは知合いらしく軽口をたたき、撮影が始まると出川のリアクションにダメだしをしたり、猫ひろしと街中でばったり出会ったが全くオーラがなかったことをトークしたりしている。それからロケで皆で街に繰り出すと、どこからかベビーメタルの曲がながれて来て、それに合わせて踊っている女の子がいる。近づくとそれは会社のO嬢で、私は嬉しくなって握手をする。ああ、あっちのユニットではなくやっぱりこの娘と組むべきだったと思うのと同時に、いつまでも握手のまま手を握っているので、このままではこの娘のことを本気で好きになって大変なことになるかも知れないと心配し始めていた。