表具師かっぱの「脱 三日坊主 宣言!」 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006年08月30日(水) 今日の出来事

[]方針決定!

今回の掛軸に使う裂

22日に本紙の肌裏打をしたまま、あーでもない、こーでもないと考えてる内に、気が付くと1週間が過ぎてしまいました。とは言え、競技大会*1の搬入まで1ヶ月を切ったので、そろそろ本腰をいれて制作にかからねばまずい状況に陥っています。(笑)

今回の本紙「鞭聲粛々夜渡河」は漢詩とはいえ、「第四次 川中島の合戦*2」を詠んだものですから大和表具に仕立てようと考えました。しかし、本紙の高さが4尺6寸以上あるので、普通の三段に仕立てると床の間に掛けられないほどの高さになりそうです。そこで、まず、我が家の床の間を基準に最大の仕上がり寸法(高さ)を決める事にしました。我が家の床の高さが6尺9寸5分なので、最大の寸法は6尺8寸です。ただ、本紙の幅が狭いのでできるだけ短くしようと考え、6尺6寸(約2m)以下に収めることにしました。次に幅ですが、本紙の幅は6寸ほどしかありません。でも、高さが6尺6寸なので最低でも1尺くらいはないと巻物みたいになってしまいそうです。それに、細長い本紙だと暴れる*3虞もあるので、少し太めの柱をつけてやるほうが良さそうだと考えました。そして、書いてある字が立派なので、茶掛けにも使う事を考えて、様式は「幢褙茶掛け(行の行)」に決定しました。

[]制作開始

なんとか方針が決まったので、いよいよ作品の制作にかかります。

寸法出し

ここからは電卓の出番です。本紙の上下の余白を可能な限り落としたとして、4尺3寸ですから、残りが2尺3寸。京表具の比率で上が1尺4寸ほど、下を8寸ほどにすればさらに仕上がり寸法が1寸縮まって良い感じになりました。柱は2寸くらいにするとバランスも良さそうです。この計算に従って紙に寸法書きを入れた完成予想図を書いてみました。

裂の選定

様式と寸法が決まったので次は裂の選定です。合戦があったのは旧暦の長月(9月)ですから季節は晩秋です。9月10日*4の未明、川霧に包まれた真っ暗な千曲川を粛々と渡る上杉軍をイメージして、中廻しは雲に近い川波の模様にする事にしました。色目は晩秋の夜明け前ということで濃い茶色系です。

裂取り

使う裂が決まったので、寸法書きに従って裂取りをします。今回は寸法を先に決めたので、裂は柄合わせをするために少し贅沢に使う事になりました*5

縮(ちぢみ)

中廻しの柱と上下、一文字と風帯の金襴、上下と風帯裏の無地の裂を寸法書きに従って裁断したら、縮(ちぢみ)*6をかけるために全体に霧を吹いて湿らします

今日はこのあと出掛けるので縮をかけた状態で一晩放置。明日は裂の肌裏打です。

*1兵庫県表具内装組合連合会主催の第35回表装美術展と併催される第33回青年技能者技能競技大会。

*2:永禄4年9月9日(1561年10月17日)から10日(18日)の戦いで、信玄と謙信の一騎打ち伝説がある川中島最大の合戦。

*3:左右が後ろの反ったり、前に出てきたりすること。

*4:10日ですから月は午前2時過ぎに沈んでいます。

*5:本紙の大きさに幅を持たせ、柄のパターンにあわせて本紙の大きさを調節する事もあります。

*6:表具用の裂は衣料品の布と違い、糸に縒りがかかっていないため、濡らして縮めてやる必要があります。

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