平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-02-07

[][]北村薫『盤上の敵』(講談社文庫22:21 北村薫『盤上の敵』(講談社文庫)を含むブックマーク

盤上の敵 (講談社文庫)

盤上の敵 (講談社文庫)

我が家に猟銃を持った殺人犯が立てこもり、妻・友貴子人質にされた。警察とワイドショーカメラに包囲され、「公然の密室」と化したマイホーム! 末永純一は妻を無事に救出するため、警察を出し抜き犯人と交渉を始める。はたして純一は犯人に王手をかけることができるのか?誰もが驚く北村マジック。 (粗筋紹介より引用

小説現代別冊『メフィスト』に1998年5月〜翌年9月まで5回連載された作品に加筆修正を加えたもの1999年9月講談社より単行本が刊行。2001年10月、ノベルス化。2002年10月文庫化

タイトルエラリー・クイーン『盤面の敵』からによる。


出版された当初から話題になっていた、ノンシリーズ長編作品。当時、北村作品は全て単行本で購入して読んでいたはずなのに、なぜか買うのをためらった作品だった。今回初めて読んでみて、その理由がやっとわかった。面白くないという直感が働いたからだった。

作者がノベルス版で「今、物語によって慰めを得たり、安らかな心を得たいという方には、このお話は不向きです」と断っているとおり、これまでの北村作品では有り得ないような、救いようのない悪意を持つ人物が登場する。確かに読み終わっても、思い出すだけで嫌になるような人物だ。そういう点でも「読まなければよかった」と思わせるような作品ではあるのだが、本作品で面白くなかったのはその点ではない。

粗筋紹介で書かれている「北村マジック」が、私には全く感心できないものだったのだ。

本作品は、白のキングである主人公が、白のクイーンを救い出すべく、色々と動く作品である物語は、白のキングの行動と、白のクイーンによる回想が交互に並べられ、キングクイーンの話から、“盤上の敵”が鮮やかに浮かび上がってくる。その手法や構成、最後の“北村マジック”に至るまでの手腕はすごいと思う。ただ感心しないのは、事件発生に至る偶然性や後始末はどうするかといった点も含め、都合がよすぎるとしか思えないところだ。将棋の例えで言うと、相手(読者)は普通に並べているのに、自分(作者)だけ都合の良いように駒を配置し、さらにそれを目隠し将棋よろしく隠しているところである

そんなことを言ったら、どのミステリでも一緒じゃないの、と言われそう。だが普通の本格ミステリなら「あっ、やられた」と膝を打つのだが、本作品は「何だよ、これ」と呆れてしまったのである本格ミステリが100%フェアでなければいけないというつもりはないし、叙述ミステリならほとんどは作者の都合に合わせて書いているだろう。そんなことは十分わかっているのだが、それを抜きにしたところで全く感心しなかった作品だったのである。なんだろうね、この読後感。まあ、少なくとも本格ミステリじゃないでしょう。「論理的」謎解きなんかないのだから

ということで、多分本能でこの作品を避けていたのだろうなあ。そのまま従っていればよかったのに……と今更ながら後悔。いや、ほとんどの人が絶賛している(ですよね)作品を、こんな感情的なことで貶すのもどうかなあ、と思うんだけど、そういう読後感なのだから仕方がない。だまされたという爽快感のかけらもない作品だった。

[]阿佐吉広被告上告審判決期日ってもう指定されたのか? 22:21 阿佐吉広被告の上告審判決期日ってもう指定されたのか?を含むブックマーク

光市母子殺人事件の元少年被告は簡単に判決期日が指定されて報道されたけれど、阿佐吉広被告判決期日が決まったという報道は未だに見つからない。昨年の12月20日弁論だから、とっくの昔に指定されているはずなのだが。無罪主張やそれを裏付ける新証言が出てきたこともあり、それなりに注目されているはずだから、期日が決まったら報道されないはずがない。まさかまだ決まっていないのか? 判決でもめているのか? もっとも、差し戻された森健被告のケースでは、最高裁弁論が3月26日で、判決4月27日正月を挟むかどうかの違いはあるが、やはり弁論から1か月程度で判決が出るのが普通。うーん、何かあるのだろうか。

[]今日は北方領土の日 22:21 今日は北方領土の日を含むブックマーク

今年は国会が開かれているからか、全然話題に上っていない。日本政府として、それでいいのか。

けいけい 2012/02/08 17:44 お久しぶりです。
昨日、安承哲被告の求刑があったはずなんですが、報道されていないでしょうか?
恐らく無期求刑だと思うのですが、今のところ記事が見当たりません。
期日の変更があったか問い合わせたのですが、あとは13日の判決のみだそうです。
発生当時はかなり大きく報道された事件だと思うんですが…裁判の報道はこんなものでしょうか。
死刑の求刑の可能性もあるのではと思っていました。

最高裁といえば、謝依俤被告も依然として期日が指定されていません。
証拠品の一部紛失が影響しているのでしょうか…
後藤良次被告や影山博司被告が長引いているのも気になっています。

hyouhakuhyouhaku 2012/02/08 22:00 安承哲被告はもう裁判が始まっていたんですね。気が付きませんでした。それにしても1月16日初公判で、昨日が求刑ですか。件数が多いせいか、ちょっと長いですね。私も死刑求刑の可能性があるんじゃないかと思っていましたが、報道がないところを見ると無期求刑っぽいですね。大阪地裁じゃなかったら求刑死刑もあったんじゃないでしょうか。

謝依俤被告は明らかに紛失が影響しているのでしょう。後藤被告や影山被告もそうですが、私としては中村国治被告がどうなったか気にかかります。ご本人には申し訳ないですが、個人的な心象は黒に近いんですけれどね。

ところで、藤川雅己、鈴木勝明、岡田浩幸、矢野裕一の各容疑者はどうなったかご存知でしょうか。

けいけい 2012/02/08 23:28 気になっている事件(主に死刑求刑が予想される事件等)はちょくちょく期日を問い合わせています。
藤川・鈴木・岡田・矢野各被告は起訴されていますが、1か月くらい前に問い合わせた時点では期日は入っていませんでした。
中村被告は棄却なり弁論なりがあれば報道があると思うので確認はしていないです。一審判決でも「シロではない。灰色かもしれないがくろとは断言できない」といったようなことを言っていましたね。

あと、八王子の警備員刺殺事件の容疑者がどうなったのかも気になってます。まだ精神鑑定中でしょうか。

zzzzzz 2012/02/09 22:32 >阿佐吉広被告の上告審判決期日
個人的には「結論を出していない裁判官がいるから遅れている」と思う。
それまでは「死刑判決上告の口頭弁論が指定されれば、裁判官の間で結論は決まっているもの」と思ってたけど。

>八王子の警備員刺殺事件
2011年9月25日の61歳の警備員が刺殺された事件なら、
2012年1月20日に56歳の無職・坂本正利が殺人と銃刀法違反の罪で起訴されている。

けいけい 2012/02/10 08:22 >zzzさん
ありがとうございます。起訴されていたんですね。

けいけい 2012/02/10 12:11 阿佐被告は問い合わせましたが期日は入っていませんね…
岩森被告は3月2日15:00判決です。

shunshun 2012/02/11 01:13 はじめてコメントを書かせていただきます。よろしくお願いします。

阿佐被告の件はおそらく何人かの裁判官が差し戻しするべきだと言い張って譲らないのでしょうね。僕個人としては差し戻しにするべきだと考えています。

通常、口頭弁論を経て結論を出したら即、判決期日指定ということなのだと思います。オウムの事件なんかは判決期日指定がかなり早かった気がします。

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2012-02-06

[][]佐々木譲『笑う警官』(ハルキ文庫21:33 佐々木譲『笑う警官』(ハルキ文庫)を含むブックマーク

笑う警官 (ハルキ文庫)

笑う警官 (ハルキ文庫)

札幌市内のアパートで、女性変死体発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令がでてしまう。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちとともに、極秘裡に捜査を始めたのだったが…。北海道道警を舞台に描く警察小説金字塔、「うたう警官」の文庫化。(粗筋紹介より引用

2004年12月、『うたう警官』のタイトル角川春樹事務所より単行本で発売。2007年5月文庫化にあたり改題。


改題したのは、映画化時の監督である角川春樹の助言によるものらしいが、何が「笑う」なのかさっぱりわからず、元のタイトルである「うたう」(警察用語で自白意味する)の方がよっぽどよかったと思う。やっぱりタイトルは作品の顔なのだから、安易な改題はよくない。

本作品は、作者の道警シリーズ第1作。組織的「やらせ捜査」疑惑も持ち上がった稲葉事件と、道警裏金事件にヒントを得て書かれたという。本作品の発端となった事件は稲葉事件と重なるところがあるし、主人公である佐伯警部補や、容疑者として追われる津久井巡査部長が行った「おとり捜査」については、稲葉事件で捕まった稲葉警部の経歴にもつながるところがある。

ストーリーは、佐伯が有志とともに、ミス道警と呼ばれた女性巡査殺害の容疑をかけられ射殺命令を出された元恋人の津久井を、翌日開かれる道議会の百条委員会証人と出席するまで匿い、同時に真犯人を一晩で探す、という展開であるタイムリミット・サスペンスの要素もあるせいか、展開は極めてスピーディーで、ページをめくる手は早い。ただ、佐伯、津久井、若手の新宮刑事、総務係の女性小島を除くと、誰が誰なんだかさっぱりわからない。もう少し書きようがあったのではないかと思う。その不満を除けば、結末に至るまでは面白く読めた。

ただ、読み終わってみると不満点も多い。そもそも、この容疑でSATが出てくることが信じられないし、射殺命令を出すこと自体もおかしい。それを不思議に思わない警察官がいることも異常だ。また、表にばれず、簡単に犯人に辿り着くという展開も、よくよく考えてみると都合良すぎ。真犯人は簡単に自白するし、その後の佐伯たちの行動にも疑問点が多い。ラストちょっとわかりづらい終わり方である。それにあんな場所で派手な騒ぎを起こして、秘密を覆い隠せるとでも思っていたのだろうか。1日で全てを終わらせるために、色々な疑問点・矛盾点を押し込めてしまった感がある。安っぽいドラマならこれでいいかもしれないが、佐々木譲にこんな作品を書いてほしくなかった。

シリーズものにするため、このような作りにしたのかもしれないが、道警の、というか官僚の闇を暴こうという警察小説を書きたいのであったなら、ここはもっとじっくり書いてみても良かったと思う。せっかくの題材を、安っぽく料理して終わった感が強い、残念な作品。

人間やじろべえ人間やじろべえ 2012/02/07 00:19 未読者の無責任な発言ですが、『笑ゥ警官』とパクって、尚且つシリーズ化して『黒ィ警官』に改題したら確信犯ですね。それにしても間違った方向性を妄想するのは我ながら楽しい。

hyouhakuhyouhaku 2012/02/07 22:22 どうせそこまで書くなら、『黒ィ警官』→『黒ィ景観』って、何も見えないじゃないか! ぐらいまで突っ込んでほしかったですね。妄想だけでなく、どんな時でも笑いを取れるように考えないと!

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2012-01-30

[][]宮部みゆき『楽園』上下(文春文庫21:50 宮部みゆき『楽園』上下(文春文庫)を含むブックマーク

楽園 上 (文春文庫)

楽園 上 (文春文庫)

楽園 下 (文春文庫)

楽園 下 (文春文庫)

未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳で亡くした息子、(ひとし)が“超能力”を有していたのか、真実を知りたい、というのだ。かくして滋子の眼前に、16年前の少女殺人事件の光景が立ち現れた。(上巻粗筋より引用

16年前、土井崎夫妻はなぜ娘を手にかけねばならなかったのか。(ひとし)はなぜその光景を、絵に残したのか? 滋子は二組の親子の愛と憎、鎮魂の情をたぐっていく。その果てにたどり着いた、驚愕の結末。それは人が求めた「楽園」だったのだろうか――。進化し続ける作家宮部みゆきの最高到達点がここにある!(下巻粗筋より引用

産経新聞2005年7月1日2006年8月13日連載。2007年8月、加筆・改稿の上単行本化。2010年2月文庫化


宮部みゆきの代表作の一つである模倣犯から9年後を舞台とし、真犯人の正体を暴いたフリーライター・前畑滋子を主人公とするスピンオフ作品。 冒頭から、誰もが知らない秘密を絵に描くという「予知能力」を持つ少年の話が登場するため、これは宮部お得意の超能力ものかと思わせた。上巻は、母親からの依頼を受けた滋子が延々と取材を続ける。取材と言っても、発表するつもりはないのだから捜査といってよいかも知れない。16年前に発生し、既に時効となった娘殺人事件の謎を追うようになる。

それにしても長い。滋子が等の超能力を信じるまでに丸々上巻分を使っているぐらいである。底の部分を丁寧と見るべきか、冗長と見るべきかによって、本作品の評価は少し変わるかもしれない。ちなみに私の評価は後者である。それは、下巻もだらだら続いているから思ったことなのかもしれない。

なんというか、本来は等の超能力について調べていたはずなのに、いつの間にか土井夫婦による娘殺人事件の方に主題が移ってしまい、さらにこの娘とかかわっていた三和明夫の話に流れ、最後はすべてが一つに集約する。その流れがまどろっこしい。遠回りしているわけではないのだろうが、読み終わってみればもっと短くできたんじゃないかと思わせる部分も多い。

それもこれも、結局は主人公が前畑滋子という点にあるのではないだろうか。このストーリーなら、主人公がで滋子ある必然性はなく、単純に著名な女性ジャーナリストというだけでよかったはず。そうすれば、もっと早くゴールをむかえていただろう。滋子が『模倣犯』の過去に囚われるシーンが、この作品でははっきり言って余計である。多分この作品を読む人で、『模倣犯』を読んでいない人はいないだろうと思うけれど、読んでいない人から見たらわけのわからない部分が多く、読んだ人から見たら結局はファンサービスでしかなかった。そこがなければ、このラストで書かれた「楽園」の意味も、もう少し明確に浮かび上がったに違いない。

個人的な評価としては微妙。読んでいて退屈はしない作品ではあるが、それ以上ではなかった。

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2012-01-27

[][]天乃忍ラストゲーム』第1巻(白泉社 花とゆめコミックス22:53 天乃忍『ラストゲーム』第1巻(白泉社 花とゆめコミックス)を含むブックマーク

ラストゲーム 1 (花とゆめCOMICS)

ラストゲーム 1 (花とゆめCOMICS)

完璧少年・柳の前に、転校生・九条が現れ、勉強運動で惨敗! 柳は人生初の挫折を経験し、九条への雪辱を誓う。同じ中学、高校に進学する中、「惚れた方が負け」という言葉を耳にし、柳はあることを決意する。10年にわたる2人の勝負が、今始まる!!(粗筋紹介より引用) 短編「きみと、しあわせ」「ひだまりの庭」も収録。

恋愛に無関心な男の子に対し、女の子必死に頑張ろうとする話は多いけれど、逆のパターンって珍しくない? しかも一方的にライバル視していた相手に惚れるというパターンもかみ合わせるとは、なかなかの腕かも。続編が決まったとのことだが、ありきたりな終わり方はやめてほしいなあ。いや、結末はハッピーエンドがいいけれど、せっかくなので一ひねりがほしいところである

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2012-01-23

[][]網本善光・南一平岡山ぶらりスケッチ紀行』(日本文教出版岡山 岡山文庫22:42 網本善光・南一平『岡山ぶらりスケッチ紀行』(日本文教出版岡山 岡山文庫)を含むブックマーク

岡山ぶらりスケッチ紀行 (岡山文庫 272)

岡山ぶらりスケッチ紀行 (岡山文庫 272)

ともに笠岡市に住む二人が、笠岡や井原線、そして金田一耕助の舞台となった場所を文章とイラストで紹介。

中国新聞で連載されたみちくさ紀行シリーズ、「鴨方往来笠岡路」(平成11年5月11月)、「井原線各駅停車」(平成12年8月12月)、「金田一耕助の影を追って」(平成15年8月平成16年5月)のシリーズ3本をまとめ、2011年6月に刊行。


網本さんは岡山で行われる横溝正史関連のイベント金田一耕助のコスプレで登場し、その軽妙な語り口で楽しい案内を行っている。トークショーなどでも、現役の作家とともに横溝ワールドを語る、四十年以上の横溝ファンである新聞雑誌、テレビなどにもコスプレ姿で登場しているので、そちらの方で見られた方がいるかも知れない。『横溝正史研究』などにも執筆されているので、知っている方もいるだろう。

本書はそんな網本さんの暖かく優しい視線の文章と、同じく岡山に在住する漫画家南一平さんによる柔らかいタッチのイラストで綴られる紀行文である

新聞連載ということもあり、それぞれの文章がちょっと短いことは残念なのだが、お二人の人柄がそのまま伝わってくる素敵な文とイラストが、読者の心を優しく包み込んでくれる素敵な一冊である

横溝ファンなら、「金田一耕助の影を追って」を是非読んでもらいたい。岡山県を舞台とした金田一作品のすべてが描かれている。あのとき読んだ、金田一耕助の姿が、現場の風景が、再びあなたの脳裏に浮かんでくるはずである

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