平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-04-29

[][]柚月裕子最後証人』(宝島社文庫21:57 柚月裕子『最後の証人』(宝島社文庫)を含むブックマーク

最後の証人 (宝島社文庫)

最後の証人 (宝島社文庫)

検察官の佐方貞人は刑事事件専門の敏腕弁護士。犯罪の背後にある動機を重視し、罪をまっとうに裁かせることが、彼の弁護スタンスだ。そんな彼の許に舞い込んだのは、状況証拠、物的証拠とも被告人有罪を示す殺人事件の弁護だった。果たして佐方は、無実を主張する依頼人を救えるのか。感動を呼ぶ圧倒的人間ドラマとトリッキーミステリー的興趣が、見事に融合した傑作法廷サスペンス。(粗筋紹介より引用

2010年5月宝島社より書き下ろし刊行2011年6月文庫化


『臨床真理』で第7回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作者の受賞後第一作となる長編で、主人公となる佐方貞人弁護士は後にシリーズ化される。

つの物語が交互に語られる。一つは佐方弁護士が弁護人を務める裁判員裁判、もう一つは地元建設会社社長・島津が酔っ払って運転する車に小学5年の息子が轢かれた高瀬夫妻の物語である

裁判はホテル内で起きた刺殺事件で、被告無罪を主張するものの、状況証拠も物的証拠もそろって検察側有利の状況で、切れ者ヤメ検である佐方がどのような弁護をするかが焦点となる。高瀬夫妻の方は、一人息子がひき殺され、しかも息子の信号無視が原因とされたことに落ち込んだ七年後、癌にかかった妻の美津子が復習を計画する話である子供を失った悲しみ、夫婦のつながり、家族愛といった要素がちりばめられ、さらに敏腕弁護士がどのようにして被告無罪に導くか、タイトルにある最後証人とは誰か、どのような証言をするのか、といった話題満載の長編……と言いたいけれど、内容は三文ドラマレベルだった。特に、裁判そのものが作者に都合よくねじ曲げられている点は大いに問題である小説から現実とはある程度異なる部分が出てくるかもしれないが、社会や法律といった抜本的な部分を変えてはいけないし、変えるならその旨を事前に説明しなければいけない。裁判の初歩ぐらい勉強してきてから小説を書いてほしいものだ。佐野洋がいたら、怒りまくっていただろう。


申し訳ないが、ここからネタバレ有りで話をする。

裁判中、被告名前が出てこない時点で、ああ、被告建設会社社長の島津だな、死んだのは高瀬の妻だな、と簡単想像が着いてしまう。それぐらいならいいが、佐方は事件の真の「動機」を暴くことで、島津無罪に導こうとする。いくら何でも被告を守る弁護士が被告の隠された罪を暴き立てるのは、弁護士倫理として問題である。これ一つで懲戒処分を受けたとしても、文句は言えない。

その点は「正義の弁護士」という言い方でごまかしがきくかもしれない。ただ、問題点は他にもある。ありすぎるぐらいある。

雨が降るのがわかっているのに、子供自転車で送り出す母親というのがまず信じられない。仕事で忙しいわけでもないのに。いくら男の子でも、夜の10時なら車で迎えに行くのが普通じゃないだろうか。

本来酔っ払い運転であったはずの島津を警察が捕まえなかったのは、島津が公安委員長だから、という理由だが、公安委員長なんて警察外部の人間から、かばうということがまずあり得ない。かばった人間、よっぽど金でももらっていたのか、と言いたくなるぐらい。

解剖しているのだから被害者=妻が癌にかかっていることなど、すぐにわかるだろう。そんな人物不倫をするかなんて、警察だってそこまで間抜けじゃない。

鑑定内容から、刺されたかどうかぐらい、わかるはず。素人の弁護士ですらわかるものを、プロの警察や鑑定医が分からなかったなんて有り得ない。

しかも、警察がたかが7年前の過去を調べられなかったなんて考えられない。別の県ならまだしも、同じ市内の話なのに。

佐方は「最後証人」にこだわったが、旦那である高瀬をなぜ証人に呼ばないか、理解に苦しむ。高瀬に過去事実を突きつければ、いくらでも弁護は可能だろう。

検察側の論告の後、最終弁論の途中で証人を呼び出すなんてまず不可能だし、できたとしてもその裏を取るために検察側の反対尋問だって必要。それが事実だったとしたら、検察側の論告はやり直しだ。そんな当たり前の手続すら取られていない。法律違反そのもの

そもそも、裁判官権限被告でもない人を証人として引っ張りだすことは可能なのか。相当の越権行為なのだが。

検察側も弁護側も、推論ばかりで腹が立つ。最後の佐方の弁論なんて、手続の取っていない証人の、裏を取っていない証言を元に述べたものでしかない。それを元に裁判官が判決を下すというのも問題だし、しかも裁判官が別の事件について証拠もないまま一証言だけを元に被告を断じるなんて論外。今まで検察側が示していた証拠って何だったの? それだったら、最後証人なんか出さなくても、無罪が出たでしょう。弁護側も、旧悪を暴かなくても十分弁護できただろうに。

裁判員裁判で、しかも有罪無罪を争っている裁判で、最終弁論のわずか4時間後に判決を出すわけがない。議論紛糾するのが当たり前じゃないか。有罪の争いがない裁判でも、殺人事件の裁判だったら普通論告・弁論と判決の期日は分けているし、審議の時間を取っている。

横山秀夫が絶賛していたらしいけれど、自分、『64』で交通事故加害者名前を警察が明かさなかった、と言って記者から責められている主人公の話を書いているだろう。いくら子供の不注意(という警察の見解)だからといっても死亡事故なのだから加害者名前隠蔽できるわけがない。マスコミから名前を明かせと責められるのが当たり前。


なんか、他にもあったと思うが、ありすぎて思い出せない。それぐらい呆れる内容が多かった。一つや二つぐらいなら笑って許せるかもしれないが、ここまで並べられるとどうにもならない。これを出版させる方もさせる方。ドラマ化されたらしいけれど、よく突っ込まれなかったものだ。あ、テレビドラマなんてそんなものか。

こういう作品、どう評価すればいいかなあ。駄作、じゃなくて愚作かね。

いやー、久しぶりに突っ込みどころ満載な作品を読んだ。ここまで不勉強作品も、本当に珍しい。

[]犯罪の世界を漂う 21:57 犯罪の世界を漂うを含むブックマーク

求刑無期懲役判決有期懲役 2017年度」に1件追加。

求刑越えの無期懲役判決を受けていた東竜二被告、高裁では有期懲役判決だった。となると求刑無期懲役ではないので、ここのリストに入れること自体がおかしいのだが、まあ一審は無期懲役だったので、ここに入れておきます。

[]風邪をひいていた 21:57 風邪をひいていたを含むブックマーク

東京で遊び過ぎたか、先週の土曜から咳が止まらない。月曜日の残業でとどめを刺され、火曜日は熱を出して見事早退。今週はひどかった。今でも咳が止まらない。

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2017-04-23

[][]鮎川哲也『王を探せ』(光文社文庫20:45 鮎川哲也『王を探せ』(光文社文庫)を含むブックマーク

から、どの亀取二郎犯人なんだ!? ――その亀取二郎は、二年前の犯罪をネタに恐喝されていた。耐えきれず、彼は憎き強請屋・木牟田を撲殺する……。警察が被害者メモから掴んだのは、犯人が「亀取二郎」という名前であること。だが、東京都近郊だけで同姓同名が四十名。やっと絞りだした数人は、みなアリバイをもつ、一筋縄でいかない亀取二郎ばかり。鬼貫・丹那のコンビが捜査するなか、犯人は次なる兇行に及ぼうとしていた!(粗筋紹介より引用

野性時代1979年4月号に中編「王」として発表。1981年12月、加筆改題の上、カドカワノベルズより刊行1987年7月、講談社文庫化。2002年5月光文社文庫化。


2年前、子供を車で跳ねて死亡させた上、河原に埋めた亀取二郎が、犯行現場を見ていた何でも評論家の木牟田盛隆に脅迫されて毎月金を払っていたが、耐えきれなくなり、殺害デスクの卓上ダイアリーに亀取二郎との約束が書かれていたこから犯人名前はすぐわかったが、目撃者証言から同姓同名4人が容疑者として残るも、皆アリバイを持っていた。捜査中、無職の河井晩介がアリバイは偽である証拠写真を持ってきて亀取を脅迫。亀取は河合殺害した。河合が残したダイイングメッセージは「王」。

"亀取二郎"という聞き慣れない名前が都内に40人もいるか、とかの突っ込みは作者もわかっていたことだろうからいいが、計画殺人からデスクメモぐらい気づきそうなものだと思うし、ダイイングメッセージだってチェックしそうなものだ。この奇妙な設定を生かそうとする点が、あまりにも作り物めいていて、興味を削いでいる。

4人のアリバイを聞いた時点で、誰が犯人かわかってしまうところが非常に残念。となると後はどうやってそのアリバイを崩すかなのだが、ちゃちすぎて呆気にとられてしまう。5人目の"亀取二郎"が出てくる点も、警察ならすぐに調べられるだろうと突っ込みたいのだが、それは置いておくと、こちらのアリバイが見破られてしまう話の方がまだ楽しめた。

実質5人の容疑者が同じ名前という点が趣向といえば趣向なのだが、別に名前の取り違いによる混乱などがあるわけではないし、同姓同名を使ったトリックがあるわけでもないので、別の名前で5人の容疑者を挙げても大して差がない。タイトルは第二の殺人におけるダイイングメッセージからなのだろうが、はっきりいってこじつけに近いもので、さして面白くもないし、すぐに解かれてしまうため、タイトルに持ってくる必然性にも欠けている。

まあ、鮎川が書いたから、と褒める人がいるかもしれないが、はっきりいって凡作鮎川哲也、老いたり、という作品であった。

[]『お笑いスター誕生!!』の世界を漂う 20:45 『お笑いスター誕生!!』の世界を漂うを含むブックマーク

「お笑いスター誕生!!」新規情報を追加。象さんのポットネタ。今でも検索数が高いんだよね、このコンビ

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2017-04-22

[][]守大助・阿部泰雄『僕はやってない! 仙台筋弛緩剤点滴混入事件 守大助勾留日記』(明石書店21:26 守大助・阿部泰雄『僕はやってない!  仙台筋弛緩剤点滴混入事件 守大助勾留日記』(明石書店)を含むブックマーク

僕はやってない! 仙台筋弛緩剤点滴混入事件守大助勾留日記

僕はやってない! 仙台筋弛緩剤点滴混入事件守大助勾留日記

本書は仙台筋弛緩剤点滴混入事件犯人として逮捕された守大助の拘留日記、並びに弁護団団長である阿部泰雄による、警察側の捜査の疑問点、並びに北陵クリニック側の行動についての疑問ならびに事件の「真相」を記した一冊である。もちろん、ここでいう「真相」は彼らが訴えているもので、現時点では世間から認められていないももだけれども。

守大助は確かにマスコミから殺人鬼と徹底的に叩かれた。疑惑が膨らむたびに、批難の声は大きくなっていった。しかし、最初こそ守大助は罪を認めたが、その後は徹底して無実を主張している。そして弁護団もそんな守を信じ、弁護活動を続けている。

ただ、その後の報道を読んでみると、本当に守が犯人か、微妙なところがあるのも事実。そもそも再鑑定に必要サンプルがすべて消費されていることも問題だし、物証はない、目撃証言もない。最初自白したのが大きな証拠となっているが、冤罪事件ではよくあることである。裁判ですら、女児以外の4件については「確定しがたい」と述べている。ただし、最初自白したものの、怖くなって無罪を主張し続けるというケースがあるのも事実なので、こればっかりは何とも言い難い。

第一章と第二章は、逮捕されてからの守の日記であるが、この取り調べ状況を読むと、無罪の人でも「やりました」と言いたくなってしまうと感じた。一日中、刑事たちから色々と責められては、気が狂いそうになってしまうだろう。警察って怖いなと思うと同時に、取り調べ状況は可視化すべきだと改めて思ってしまった。

これは弁護側から一方的な内容になっているため、本当に守が犯人だったかどうかを知りたいのであれば裁判記録を取り寄せ、自ら調べるべきだろう。ただ、本書を読む限りでは、守は無実だと思い込ませるには十分の内容であった。


北陵クリニックは2001年3月10日に閉鎖されているが、先に記した通り、管理杜撰さ、医療ミス隠しなどが発覚している。また守が犯行を行ったとされる1999年7月2000年11月までの間に不審死が続いていたのに、内部調査を行った形跡すらない。それに1998年時点で13億円の借金があり、閉鎖寸前であったことも明かされている。例え守が犯人であったとしても、クリニックに問題がなかったとは言えないだろう。事実女児と両親は2001年2月、クリニックを運営していた医療法人などに約1億8200万円の損害賠償を求めて提訴。守の一審判決翌日の2004年3月末、クリニック側が1億円を支払うことなどで和解している。

後にクリニックの運営者は、本書で守を犯人に仕立てたとする内容について1000万円の損害賠償を求めた。2011年7月5日、仙台地裁は共著者の阿部泰雄弁護団長に100万円の支払いを命じた。謝罪広告掲載請求は退けた。


守大助は今も再審請求を続けている。そして母親は息子の無罪を信じ、活動している。阿部も引き続き、支援を行っている。

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2017-04-18

[][]トマス・ウォルシュ『深夜の張り込み』(創元推理文庫23:27 トマス・ウォルシュ『深夜の張り込み』(創元推理文庫)を含むブックマーク

三人の刑事が、凶悪な銀行強盗逮捕のためニューヨークのアパート街に張り込みを開始する。しかし、犯人が強奪した四万ドルの大金に目がくらんだ刑事シェリダンは、ひそかに犯人を射殺して、死体と現金を犯人自動車の中に隠す。シェリダンの行動に不信の念を抱く同僚の刑事。犯人自動車発見に全力を挙げる警察の捜査網。その手のうちを知り尽くしたシェリダンは、たくみに警戒陣の裏をかいて脱出の機をうかがう。愛とにくしみ、友情裏切り人間模様を織りまぜて、殺人鬼と化していく悪徳警官心理をヴィヴィッドに描く野心作。(粗筋紹介より引用

1950年アメリカで発表(中島河太郎解説だと、1952年になっている。どちらが正しいのだろう)。1961年2月翻訳刊行


作者は1930年代から雑誌短編ばかりを発表。デビューは『ブラックマスク』で1933年とのこと。1950年に初めての長編『マンハッタンの悪夢』を発表。本作品は、『殺人者はバッジをつけていた』(原題Push-over)のタイトルで映画化されている。

この頃結構流行っていたと記憶がある、悪徳警官物の一冊。といっても最初から悪人だったわけでなく、目の前に大金がくらんで悪の道に染まったという方が正しいが。

移り気で喧嘩っ早いリチー・マコ―リスター、気が小さくて用心深く酒好きのパディー・エイハーン、そして主人公のウォルター・シェリダンという三人の刑事が銀行強盗の妻の部屋の張り込みをするところから物語は始まる。

テンポは非常に速いし、登場人物それぞれの心情はよく描かれていると思うのだが、視点が三人の刑事を中心にころころ変わるので、物語に没頭できないまま話がどんどん進んでいく。こういう悪徳刑事ものは、主人公一人をじっくり描いた方が感情移入しやすいと思うのだが、いかがだろうか。

ページの薄さもあるだろうが、どことなく海外ドラマを読まされているようだった。まあ、昔のパルプ雑誌を思い出すのならそれでもいいのだろうが、この展開はどちらかといえば犯罪心理小説としてじっくり読みたかったところ。方向違いの感想だが。

[]出張です 23:27 出張ですを含むブックマーク

週末まで出張します。次の更新は、多分日曜日の予定。

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2017-04-16

[][]東野圭吾虚像の道化師 ガリレオ7』(文藝春秋23:27 東野圭吾『虚像の道化師 ガリレオ7』(文藝春秋)を含むブックマーク

虚像の道化師 ガリレオ 7

虚像の道化師 ガリレオ 7

新興宗教「クアイの会」の本部週刊誌取材中、教祖の連崎至光から横領の指摘を受けた第五部長が連崎の念を受け、窓から飛び降りて死亡した。連崎は自分のせいと言い張り自首する。所轄は扱いに困り、依頼を受けた草薙聞き取りを始めるも、現場を一部始終見ていた女性記者とカメラマンは、連崎が何一つ手を触れていないことを証言事件自殺に落ちつくかに見えた。事件が評判を呼び、「クアイの会」には信者殺到する。「第一章・幻惑す(まどわす)」。

最近、羽虫が飛び回るような音に悩まされている脇坂睦美の上司である早見達郎営業部長が、自宅マンションから飛び降りて死亡。草薙内海は捜査で、3ヶ月前に不倫相手自殺したなどを突き止めるも、殺人証拠は見つからなかった。その後、風邪を引いた草薙病院で暴れた男を取り押さえるも、ナイフで刺されてしまい入院。警察学校の同期である所轄の北原から犯人の加山幸宏が幻聴に悩まされていたこと、さらに早見と同じ会社の営業部であることを知る。「第二章・心聴る(きこえる)」。

大学のバトミントン部の友人であり、地元の町長でもある谷内祐介が結婚するので、山中のリゾートホテルまで来た湯川と草薙ホテルの上にある別荘で、有名作詞家の桂木武久と妻の亜紀子殺害された。道が土砂崩れで封鎖されたため、結婚式に来ていた熊倉警察署長の依頼で現場を見た草薙と湯川。桂木は弟子で音楽プロデューサーの鳥飼修二が自身の詩を盗作したと主張し、別荘で話し合うこととなっていたため、鳥飼が疑われる。一方湯川は、現場の状況から発見者である娘の多英に疑いの目を向ける。「第三章・偽装う(よそおう)」。

劇団「青狐」主宰で俳優の駒井良介をナイフで刺して殺害した、元恋人で脚本家兼女優の神原敦子は、駒井の携帯電話を利用してアリバイを作るとともに、同じ劇団の女優・安部由美子とともに第一発見者となる。草薙内海は、捜査の過程で神原のアリバイトリックがあると判断。一方、かつて神原が舞台の脚本を書く上で知り合い、劇団のファンクラブ特別会員となっている湯川は、なぜ神原が劇団の小道具であるナイフを使ったのか、疑問を抱く。「第四章・演技る(えんじる)」。

オール讀物』他掲載2012年8月文藝春秋より刊行ガリレオシリーズ7作目。


草薙ないし内海が湯川に捜査の協力を依頼し、主に科学知識を用いて事件を解決する、というパターンはそれほど変わらない。ただ、『ガリレオの苦悩』の時にも書いたが、湯川や草薙に血が通うようになったため、物語に深みが増している。そのプラスアルファがあるからこそ、犯罪と謎、解決が映えてくるのであり、登場人物人生にもスポットが当てられ、読後の余韻が読者に残るようになる。

第一章・幻惑す(まどわす)」では今でも続く新興宗教の問題スポットを当ててているが、たまたまトリックを思いついて舞台を設定しただけに過ぎないとしても、時事的な話題も取り入れるあたり、作者に余裕が出てきた証拠だろう。

「第四章・演技る(えんじる)」は珍しい倒叙物。裏に隠された動機などが実に興味深く、本作品中のベスト

やはり東野圭吾は、読者を飽きさせないツボを完全につかんでいるのだろう。シリーズ物でも飽きが来ないというのはさすがだ。

[]「推理クイズ」の世界を漂う 23:27 「推理クイズ」の世界を漂うを含むブックマーク

「このクイズの元ネタを探せ」に推理クイズを1問追加。

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