平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-06-26

[][]米澤穂信夏期限定トロピカルパフェ事件』(創元推理文庫23:47 米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』(創元推理文庫)を含むブックマーク

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避立場を取るべし。さかしらに探偵役を務めるなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を! 恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある小鳩君と小山内さんは、今日も二人で清く慎ましい小市民を目指す。そんな彼らの、この夏の運命を左右するのは<小佐内スイーツセレクション・夏>――? 大好評『春期限定いちごタルト事件』に続く待望のシリーズ第二弾、いよいよ登場!(粗筋紹介より引用

ミステリーズ! 』vol.13,14に掲載された短編2本を組み込み、新たに書き下ろしを加え、2006年4月創元推理文庫より刊行


春期限定いちごタルト事件』に続く「小市民シリーズ第2作。前作より1年後の話。「序章 まるで綿菓子のよう」「第一章 シャルロットだけはぼくのもの」「第二章 シェイク・ハーフ」「第三章 激辛大盛」「第四章 おいで、キャンディーをあげる」「終章 スイート・メモリー」を収録した連作短編集。

高校2年になった小鳩常悟朗が夏休み互恵関係にある小佐内ゆきに誘われ、「小山内スイーツセレクション・夏」を制覇しながら、遭遇した謎(と言えるかどうか不明ものもある)をとき、最後に誘われた理由の謎を解き明かすというお話し。

最後ブラックな展開がある点は前作よりよかったかもしれないが、謎と推理という部分では証拠らしい証拠もないまま推理が流れ去っていくだけなので、はっきり言ってつまらない。

頭でっかち子供たちの青春物語として読む分にはまあまあ読めるけれど、ミステリとしては面白さが足りない。それ以上、言いようがないなあ。次作を読んだら、少しは感想が変わるかもしれない。

[]犯罪の世界を漂う 23:47 犯罪の世界を漂うを含むブックマーク

無期懲役判決リスト 2017年度」に1件追加。

死刑確定囚リスト」「死刑執行判決推移」を更新

浜田武重死刑囚もとうとう逃げ切ったか。

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2017-06-25

[][]藤田宜永ダブル・スチール』(光文社文庫19:12 藤田宜永『ダブル・スチール』(光文社文庫)を含むブックマーク

ダブル・スチール (光文社文庫)

ダブル・スチール (光文社文庫)

八百長球界を追われた名投手本多陽一郎は、パリで地味な生活を営む。とはいえ世話になった組織のしがらみで、町の裏側に精通し、闇の仕事を踏むこともある。……そんなある日、一人の少年と出会った。アマ・チームの剛腕投手本多の内に潜む、野球への熱き思いが燃えた。彼をプロ投手に育て、日本へと導く。――「男」たちがいる、「気分のいい」物語。(粗筋紹介より引用

1988年角川文庫より書下ろし刊行1995年6月光文社文庫化。


犯罪小説私立探偵小説を書きまくっていたころの作品で、藤田のこの手の作品では代表作の一つといってよいと思われる。それにしても、光文社文庫のこの粗筋紹介、だいぶ印象が違うなあ。

本多はパリでギャング組織に入り幹部にまでなったが、6年前に組織を抜け、ボスの情婦が名義となっている日本料理店を営む。とはいえ、組織の隠れ家として今も使われており、関係が切れているわけではない。ある日、自分組織に誘った若者、ジャン・イヴと、元組織の一兵だった年寄り、ルイジが宝石店を襲い強奪、さらに主人と愛人殺害し、警察に追われて本多の店に逃げてきた。本多はかくまうが、その仕事組織ボス、コロンボには内緒仕事だった。コロンボにそのことを報告すると、縄張り相手である組織ボス、アルフォンジーの義弟だったことが判明。事態を解決するために、本多組織幹部に復帰する。アルフォンジーとの交渉前にルイジは匿った先で、家の夫婦とともに殺害された。アルフォンジーとの交渉結果、日本企業JCEフランス工場の工員の給料を積んだ現金輸送車を襲う計画を宝石とともにアルフォンジーに引き渡し、ジャン・イヴの命は助けてもらう。

簡単に見えた現金輸送車強奪だったが、奪ったケース事態自体なのに、中身の札束はいずれも粉々か燃えいるか、赤いインクがべったりついていた。JCEが開発したケースだった。コロンボたちはその結果を見て、再度強奪を行うことを企てる。


とまあ、主人公本多はどっぷりと犯罪に携わることとなる。一方、その途中で知り合ったフランスとのハーフ若者と偶然出会いトレーニングを行う。またJCEのタイピストをしている若者の姉と深い関係になる。その後、八百長事件で唯一庇ってくれた当時のキャッチャーで今は別チームの監督若者を紹介する。

パリに10年住んでいた作者なので、パリの情景が浮かんでくるような描写は見事。流されるままに生きている本多が、野球への情熱が少しずつ湧き上がるところは、読者の心をも燃え上がらせる。パリの二つの組織の争いに巻き込まれる本多、情報漏えい、探り合い、出し抜き。謎を抱えたままの輸送車強奪への流れも見事。そして若者をフランスから日本へ連れてきてからの急展開も、読者の目を引き付けて離さない。やはりこの作品は傑作である

当時それほど騒がれなかったようだが、それでもこのミスでは9位だった。大作・傑作が多数出版されていた時期だから仕方がないが、埋もれるには惜しい。いや、それらの大作にも引けを取らない傑作である。30年近く前の作品だが、傑作は色褪せない。

[]『お笑いスター誕生!!』の世界を漂う 19:12 『お笑いスター誕生!!』の世界を漂うを含むブックマーク

「お笑いスター誕生!!」新規情報を追加。

とんねるずのネタ。この頃はちょっとスランプだったと思う。

通りすがり通りすがり 2017/06/26 17:57 死刑確定囚(1986〜1990年)浜田武重の項、「知人」が「痴人」になっています。

hyouhakuhyouhaku 2017/06/26 23:48 本日修正しました。ご指摘、ありがとううございました。

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2017-06-24

[][]東川篤哉殺意は必ず三度ある』(実業之日本社 ジョイ・ノベルス) 19:49 東川篤哉『殺意は必ず三度ある』(実業之日本社 ジョイ・ノベルス)を含むブックマーク

殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)

殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)

敗退を続ける鯉ヶ窪学園野球部グラウンドから、なぜかベースだけが盗まれた。オレ(=赤坂通)が在籍するお気楽探偵部員の総力を結集しても謎は解けない。後日、野球部ライバル校との練習試合終盤に事件は起きた。衆人環視球場発見された野球部監督死体――。動機は不明球場ではアリバイ実験も行われるなど混迷を極める事件に、オレたち探偵三人が首を突っ込んだ。しょうもない推理合戦の先に待つものは……?(粗筋紹介より引用

2006年5月書き下ろし刊行


『学ばない探偵たちの学園』に続くシリーズ。前作は一応読んでいたが、あまり感心する出来ではなかった。いくらユーモアミステリはいえ、高校生がホイホイと殺人事件に絡むというのがどうもダメだったのだが、その印象は本作でも一緒。練習試合見学中にバックグラウンドで見つかった死体。明らかに他殺。さらに二番目、三番目の事件も発生。内容としてはかなり深刻なのに、登場人物たちは警察も含めあっけらかんとしたもの。緊迫感も悲愴感も全くないというのは、さすがに受け容れ難いな。事件トリックも、もともとの球場の設定が頭に入りきらないから、いざ解かれても大した感動も驚きもない。ベースを盗むという設定は確かに活かせたが、感心したかと聞かれるとこれも微妙。とりあえず、そういう結末なのね、という終わり方でしかなかった。

とりあえず手に取ってみたけれど、この作者、ユーモアにとらわれ過ぎな気がしないでもない。

[]「推理クイズ」の世界を漂う 19:49 「推理クイズ」の世界を漂うを含むブックマーク

「このクイズの元ネタを探せ」に推理クイズを2問追加。

とりあえず、100問収録を目指そうかと。

[]忙しい 19:49 忙しいを含むブックマーク

今週1週間、忙しかった。来週も忙しいが、少しは更新したい。

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2017-06-17

[][]真保裕一誘拐果実』上下(集英社文庫20:52 真保裕一『誘拐の果実』上下(集英社文庫)を含むブックマーク

誘拐の果実 (上) (集英社文庫)

誘拐の果実 (上) (集英社文庫)

誘拐の果実 (下) (集英社文庫)

誘拐の果実 (下) (集英社文庫)

病院長の孫娘が誘拐された。犯人からは、人質の黒髪と、前代未聞の要求が突きつけられる。身代金代わりに、入院中の患者を殺せ、というのだ。しかもその人物は、病院スポンサーでもあり、政財界を巻き込んだ疑獄事件で裁判を待つ被告人だった。悩む家族、後手に回る警察。人質救出の極秘作戦病院内で幕を開ける。そこに第二の事件が――。(上巻粗筋より引用

身代金の代わりに「殺人」を求める異常な事件に続いて起こった第二の誘拐。今度の人質は19歳の大学生だった。犯人の周到な計画翻弄される警察。試練を受け、新たな歩みを始める家族。謎は深まり、やがて恐るべき秘密が浮かびあがる……。スリリングな展開、迫真描写。そして感動のラストへ! 最後誘拐果実を手にする者は誰なのか。(下巻粗筋より引用

2002年11月集英社より書き下ろし刊行2005年11月文庫化


元々は1990年、第36回江戸川乱歩賞に応募して最終候補作に残った『代償』を書き直した作品乱歩賞が上限550枚、本作が1200枚だから、相当量書き足している勘定になる。作者自身、『代償』は一発ネタで最終候補作に残ったと言っているから、この「前代未聞の要求」がその一発ネタだったのだろう。

第一章 十七歳の誘拐」では17歳である病院長の孫娘が誘拐され、身代金の代わりに、病院スポンサーで、株譲渡事件起訴されて入院中の会社会長殺害しろと要求。「第二章 十九歳の誘拐」では、駅前にある本屋の孫息子である19歳の青年誘拐され、7000万円分の株券を身代金として要求。「第三章 誘拐の接点」で、二つの誘拐の接点が明かされる。そして「第四章 誘拐果実」ですべてが明らかになる。

身代金の代わりに特定人物殺人要求する、というのは変わった設定のように見えるが、実際のところ、人質を取って代わりに殺人を犯させたり物を盗ませるなどはサスペンスでよくある話なので、それほど珍しいというわけでもない。とはいえ、二つの誘拐を結びつけたアイディア面白いものだし、その真相も意外なところに落ち着いて心地よい読後感を与えてくれる。確かにこのストーリーを550枚にまとめるのは、難しい。

ただ、警察の捜査の部分がやや冗長な感があった。尋問のやり取りなどを減らし、もうちょっと浮かび上がった事実だけを書き連ねた方が、テーマがより明確になったんじゃないかと思う。

書下ろしということもあり、作者が書きたいと思ったことをとにかく書き連ねたのだろう。第一部の誘拐を通して、家族関係を見直すところもなかなかだと思うが、テーマを盛りすぎた気もしないではない。第三章と四章は、一つにまとめられただろうし、第二章ももっと短くできた気がする。面白いけれど、ちょっとくどさが残った仕上がりだった。

[]なぜか知らないが忙しい 20:52 なぜか知らないが忙しいを含むブックマーク

いや、理由は分かっているんだが。

[]国会も終わったし 20:52 国会も終わったしを含むブックマーク

全然いいところが無かった金田法相が、一発逆転を狙って何かしそうな気がする。どうせ次はないだろうし。

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2017-06-08

[][]伊坂幸太郎死神の精度』(文春文庫00:28 伊坂幸太郎『死神の精度』(文春文庫)を含むブックマーク

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

?CDショップに入りびたり?苗字が町や市の名前であり?受け答えが微妙にずれていて?素手で他人に触ろうとしない――そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神千葉出会う六つの人生。(粗筋紹介より引用

2003年2005年、『オール讀物』他に掲載2005年6月文藝春秋より単行本刊行2008年2月文庫化


一週間前に対象者と接触し、二、三度話を聞き、報告が「可」なら対象者は八日目に死が実行され、「見送り」ならそのまま生き続ける。それが死神。なんかこう書いていると、あまり読んでいないがえんどコイチの『死神くん』を思い出すなあ……。もっと名前だけは決まっているが、姿や年齢は毎回変わるところは全然違う。ちなみに素手で他人に触ろうとしないのは、素手で触った人間寿命一年縮むからとのこと。雨男という設定もあるが、こちらはあまり生かされていなかった様子。

大手電機メーカー本社苦情処理係をしている藤木一恵は、最近名前指名して苦情を言ってくる客に悩まされていた。「死神の精度」。

任侠を重んじるヤクザの藤田は、兄貴分を殺害した別の組を率いる栗田を殺害しようとしていた。死神千葉は、栗田の隠れ場所を知っていると近付く。「死神藤田」。

山奥の洋館宿泊客吹雪で閉じ込められた。その洋館で、殺人事件が発生する。「吹雪死神」。

ブティックに勤める荻原は、バーゲンに来た古川朝美に一目惚れし、引っ越し先で向かいのマンションに朝美が住んでいることを知り、熱い視線を投げている。一方、朝美はストーカーに悩まされていた。「恋愛死神」。

渋谷喧嘩をして殺害した森岡耕介は、千葉運転する車に乗り込み、十和田湖へ向かうように命令した。「旅路を死神」。

太平洋に面した高台美容院経営する七十過ぎの老女は、客として髪を切った千葉に「人間じゃないでしょ」と言い当てた。老女は千葉に、「一生のお願い」をする。「死神対老女」。

死神千葉狂言回しにした連作短編集。突飛な設定の多い伊坂にしては、今更手垢が付いた題材を取り上げなくても、と思って読み始めた。第一話は普通に過ぎたのだが、第二話で首をひねり、第三話でびっくり。まさか話毎に趣向を変えて来るとは思わなかった。特に第三話の「吹雪死神」は雪の山荘もの。その意外な真相は、本作でしか使えないものであり、まさにしてやられたと言ってしまった。正直言ってここがピークだったので、以後はややトーンダウンしてしまったが、ここまで趣向を変えながらも、「死神ものらしさを残しているところはさすがとしか言いようがない。

やっぱりこの作者はうまいなあ、と唸らせる短編集。次は長編らしいが、読んでみようと思う。

名無し名無し 2017/06/15 22:43 関光彦死刑囚の再審請求についてですが、請求時期・内容の詳細や請求先(千葉地裁だとは思いますが)こそ不明なものの、
インパクト出版会の『年報・死刑廃止』に掲載されている死刑囚リスト(フォーラム'90の調査)によれば、
2015年9月20日時点(2015年版掲載)では「再審請求中」となっていましたが、翌2016年9月25日時点の調査結果(2016年版掲載)ではその旨の記述はなく、その間に棄却されたのでは?と思います。

名無し名無し 2017/06/15 22:45 連続コメント失礼いたします。
控訴中の平野達彦の控訴先が「大坂高裁」と誤字になっておりますので、「大阪高裁」に修正お願いいたします。

hyouhakuhyouhaku 2017/06/17 20:56 >名無し様
 2016年版のリストでは、だれも再審請求について触れられていなかったので、たんに載せない方針に買えただけと思われます。
 それと、誤字の指摘、ありがとうございました。

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