- 作者: ドンウィンズロウ,Don Winslow,東江一紀
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1997/03
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
1992年作品。1997年翻訳。
そういえばこれも評判が良かったから買ったんだよな、などと昔を思い出しながら読んでみた。
前作では傷つきながらも胸のすくような活躍を見せたニールだったが、本作ではサンフランシスコから香港、中国まで流れることとなる。事件を解決する、というよりも事件の鍵を握る中国娘を追うことと周囲の状況によって、という結果ではあるが。いくら仕込まれているとはいえ、二十代の青年にここまでの活躍が可能なのか、と思っちゃダメなんだろうな。色々な方面からの思惑があったとはいえ、減らず口をたたきながらも一途な活動を続けるニールに共感したところで、作者の勝ちなんだろう。
中国に関して述べている部分は、作者が興味のあったところを生でぶつけてきた感があったので、話の流れを損なわないようにスマートな描き方をしてほしかったと思うが、それを除けば十分楽しめる作品。解説の茶木則雄がいうような、ベストテンは決まり、というには荒唐無稽なところがあったかとは思うが。
どうでもいいが、茶木の解説のタイトルを目次で見たときは、またこの人の芸風が始まったかと思った。しかし、本文を読んだらニールの台詞の引用だったことがわかり一安心。