平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

加藤元浩『Q.E.D. iff−証明終了−』第3巻(講談社 マガジンコミックス)

今回は、被害者/犯人として出演できる特別企画「あなたを殺します」の当選された読者が2作品にチョイ役を含め登場する。もっともあくまで名前が使われるだけなので、選ばれた読者以外にとっては面白くもなんともない企画である(苦笑)。
美術品の悪徳投資会社社長に騙され、金や土地などを奪われた女性三人。美術品購入のパーティにて社長を殺そうと、それぞれ計画を立てる三人。そして見つかったのは、応接室で倒れている社長の姿。そばに凹んだ銅の壷があり、胸元には大量の血があった。そして2階の社長の部屋のベッドにも大量の血が。さらに封鎖して警察を呼んだのに、社長の死体があったのはなぜかプールだった。「三人の刺客」。三人の殺人計画が絡み合って、かえって不可能犯罪が浮かび上がるという設定で面白いが、警察はわりと簡単に答えがわかったんじゃないだろうかという気がしなくもない。
小学生の7月、わずか3週間だけ家族と日本にいた燈馬。友人の兄がやっていたなんでも屋でアルバイトをしていた燈馬だったが、自転車泥棒と疑われた。そして今、当時の友人に頼まれ、廃屋の立会人として再びその土地へ行く。「自転車泥棒」。燈馬の過去が絡む話で、過去とはいえ燈馬の両親の姿がついに登場。ただ、両親に謎があるわけではなく、ここまで引っ張るほどのこともなかったかな。謎自体は単純でも物語としては面白く、いろいろ考えさせられるものがある。
毎度書いているが、そろそろ新しい展開はないだろうか。

加藤元浩『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』第31巻(講談社 マガジンコミックス)

Q.E.D. iff−証明終了−』第3巻と同様、後半2本には被害者/犯人として出演できる特別企画「あなたを殺します」の当選された読者がチョイ役を含め登場する。もっともあくまで……以下同文。
東京に近い田舎ということでハイキングに人気の村で土砂崩れが起き、死後の世界の入り口、と言われた地獄穴が見つかった。一方村では人がどんどん消え、そしてテレビ局が取材に現れる。「地獄穴」。アイディアとしては面白いが、普通は●●●を提出させられるはずなので、実現不可能だと思う。
森羅が友人たちといったキャンプ地で、アルファロメオが崖下から落ちて木に引っかかっていた。2ドアはともに木に引っ掛かっており、鍵は付いたまま、ガラスも割れていない。足跡はある。運転手はドアも開かずに外へ出て崖をのぼったのか。しかもその車は半年前にも崖に落ちており、その時は崖の上にあった山荘の主人が事故死していた。「ゴーストカー」。車の謎から遺産相続争いにつながる展開は面白い。ちょっとオチが弱いか。
アパートに住む四人の男性の一人が殺害された。残り三人の男性は自分の部屋に死体が放り込まれ、別の男性に押し付ける。結局巡り巡って、死体を担いだ三人の男性は、森羅の元に死体を担ぎ、どうすればよいか助けを求める。「動き回る死体」。殺人事件とはいえユーモラスな展開だが、謎解きがあっさりしているのは残念。
年2回開催、賞金100万円の推理ゲームに集まった人々。提出された謎は、実際に起きた人気マジシャンが、水槽脱出トリックに失敗して死亡した事件。事故死として扱われたが、実は殺人ではないか。容疑者は後継者候補の2人の弟子。マジシャンは自分の名をどちらかに継がす予定だった。犯人はどちらか。「第27回探偵推理会議」。舞台裏はあまりにも見え見えだったが、トリックも含めてなかなかの出来だったと思う。

肥田公明被告の初公判がようやく決まった

9月20日に初公判。昨年の10月2日に予定されていたが、「証拠調べの関係で急きょ検討が必要な事態が生じた」として期日を取り消していた。2012年12月の遺体発見からすでに3年6か月以上経っている。動機はあるし、事件後の借金返済など不審な点はいくつかあるが、被告は逮捕当初から犯行を否認。裁判で被告側がどのように否認するのか、気になるところである。