- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/12/18
- メディア: 文庫
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2004年12月、文庫書下ろしで刊行。
ここ数年、米澤穂信作品が絶好調なのだが、最初の印象が悪く、どうも読む気が起きない。それだったらライトな作品から呼んでリハビリをして、それから挑もう、と思って読み始めた作品。「羊の着ぐるみ」「For your eyes only」「おいしいココアの作り方」「はらふくるるわざ」「孤老の心」を収録。
いわゆる連作短編集だが、一冊の中全体を通した謎があるわけではない。もっとも、途中で盗まれた自転車が絡む話が、最後に出てきて、なぜ二人が小市民を目指しているのかがわかる。ここまでくれば、もう恋愛関係でいいじゃないか、その方がよっぽど小市民だぞ、などと思うのだが、それはおじさんの感想か。
目の前に現れる奇妙な謎は、本当に小さな日常の謎ばかりであり、「おいしいココアの作り方」なんかは気にしない人には本当に気にしないだろう、という程度のものでしかない。一応推理はあるけれど、そこまでドラマティックな解決方法があるわけでもなく、本格ミステリファンから見たらやや不満の残る仕上がりではないか。
気のせいかも知れないが、作者の方が勝手に先走りしているんじゃないか、という印象をもった。なんかもっと描写を足せばいいのに、と思うところが多々ある。
いかにも、という感のライトノベルな仕上がりのように見えるが、今時のライトノベルから見たら、かなりおとなし目の印象。昔のジュニア小説といった方がピンと来そうだ。まあ、そういう意味では楽しめることができる作品かもしれない。小山内さんの過去は、さすがに気になるし。