- 作者: 高田侑
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2004/01
- メディア: 単行本
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2003年、第4回ホラーサスペンス大賞受賞。2004年1月、単行本刊行。
今一つ中途半端な感があったホラーサスペンス大賞であったが、本作は特に中途半端というか何というか。小さいころから意に沿わぬ能力のせいで虐められるというシーンが苦手なせいもあり、冒頭からページをめくる手がなかなか進まなかった。変に描写力がある分、読んでいてどんどん気が重くなっていった。特に長谷川瞳という存在が、とにかく重い。こういう女性と不倫をしてしまうと、大変だ。
ただ、途中から話が迷走し出す。結局作者が何をやりたかったのかわからなくなってくる。ホラーなのか、サスペンスなのか、超能力SFなのか、不倫メロドラマなのか、それとも犯人探しなのか。主となるテーマが絞り切れていないため、話が迷走しているのだ。そして最後は家族という存在がテーマになってしまうし、いやはや、ここまで来るともう何が何だか。もうちょっと内容を整理して、主眼を絞るべきだった。
テーマが重いだけならまだしも、全ての点について重い作品は読みづらい。作者がやりたいことを何もかも突っ込んでしまった、処女作にありがちの失敗作という気がする。認められるのは筆力だけだった。