平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』(ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく――全読者人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。(粗筋紹介より引用)

2005年発表、英米でベストセラーとなる。2006年4月、早川書房より単行本刊行。2008年8月、文庫化。



2017年、ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの代表作の一つ。ノーベル賞を受賞したからではなく、2016年1月にTBSでドラマ化されるので購入した一冊。結局ドラマは見ていないし、読むのは今頃になったが。

主人公、キャシーの一人称による回想で、施設ヘールシャム、そして「提供者」の真実と、その運命に振り回されながらも生きるキャシーたちの姿が描かれる。

「提供者」やヘールシャムの真実は途中で明かされるし、例え明かされなかったとしても容易に想像がつく。何とも感想が書きづらいし、作者が何を語りたかったのかも私には理解できなかったが、人と社会の繋がりを書きたかったのだろうか。小説から迫ってくるものは何もなかったが、それでも不思議な感覚に包みこまれる。何とも形容し難く、それでいて目が離せない作品。うーん、言葉にできない。

文春の『東西ミステリーベスト』海外編のベスト100に入っていたので読んでみたが、これってミステリなのだろうか?

犯罪の世界を漂う

「高裁係属中の死刑事件リスト」「死刑執行・判決推移」を更新。
さすがにこれだけ状況証拠がそろっていると、弁護側の無罪主張は無理があるだろう。その辺に対し、弁護側がどう主張していたかが気になる。さすがに警察の捏造とは言えないだろうから、誰かが罪をなすりつけたとでも訴えたのだろうか。