漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ニュース三連発

■最近気になるニュースその一。都議会の女性蔑視野次のこと。発言が差別的なことと、それが議会の場で野次として出てきたのが問題なのだから、都議会は議員一人の発言として幕引きはかってる場合じゃないだろう。議会の運営の仕方を点検して議員に周知徹底しないとならない。また、女性議員の過去の発言を引っ張り出して「こういう人物だから、野次のこととどっちもどっち」と語る人がいるが、女性議員の人格をいくら非難したところで、野次の差別性は変わらない。別次元の問題として考えなきゃならない。

■その二。解釈改憲のこと。少子高齢化の進むうちの国で貴重になる若者を、他国の戦争にお付き合いして死んでこいと言えるようにしてどうすんの。二度の世界大戦の如き、国家の総力をあげた戦争はどの国も起こせないだろうし、限界集落だらけになり地震の危険性も高まってくる将来の準備として戦闘行為をできるようにしておくことなど、無駄だ。そしてなにより、政権の解釈によって憲法を左右できるとなれば、国民が政府をコントロールする術が無くなるではないか。欧米と対等に国交を結ぶために明治政府が憲法制定・法体系の整備をしたわけだが、いくら文書があってもそれが機能しない国なら、見限られることも覚悟しておいた方がいい。無法国家の仲間入りしたね、と言われても真っ向から否定はできないよ。

■その三。子ども若者育成推進法案のこと。この記事に詳しいが、子どもの権利条約憲法との関連性は、まるっと無くなっている。おかげで子ども・若者に保障されねばならない様々な権利は削除。「自分たちのことを自分たち抜きで決めない」という福祉の現場では当然となっている当事者主体の原則もなくなる。代わりに、家庭と学校で育成をするということが出てくる。なんのことはない「ぼくのかんがえたさいきょうのわかものしえん」が大手を振ってまかり通り、それが成果を上げないのは家庭のしつけと学校教育の不十分さとなる下地を準備しているだけなのだ。内閣府厚労省で若者育成支援をしていた人たちの実践はどこへやらだ。

少子高齢化して社会構成が大変化し、エネルギー問題にも緊急で取り組まなければならないこの先数十年なのに、「男性が働いて女性が家を守って子育てさせて、命令すれば戦いにも行ける国民」を目指しているのは、さっぱり理解できない。北朝鮮の「強盛大国」なんてスローガンを笑えないよ。あそこは経済もテクノロジーもぼろぼろなのに何言ってんのというところだけど、うちの国も大概だ。爺さん婆さんが国民の半数以上で、大都市圏以外じゃ子育ても労働もできない世の中になっていき、百年に一回くらいは首都が壊滅する地震が起こる国だってことを、分かって国づくりをしようよ。(火曜日)