第19回世界コンピュータ将棋選手権 2次予選 5回戦

5回戦の相手は「WILDCAT」。
WILDCATのディスプレイで作者の方と一緒に観戦していました。


この対局は勝又先生に解説していただきましたが、お互い手出しをせずにじりじり様子を見ているだけ、という状態が長く続きました。
解説「なんかいろんなことがあったみたいですね…ああ、仕掛けらんなくなったから、わかんなくなっちゃったんですね。なるほど、指し方がお互いに分からず、と。」


次の局面はすでに77手目まで進んでいます。

後手:WILDCAT
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
・v桂v金 ・ ・ ・v角v桂 ・
v玉v銀v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・
v香v歩v歩v歩 ・v銀 ・v歩v香
v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩
・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・
歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・
・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩
・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・
香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香
                                                        • +
先手:ymshogi 先手の持駒:歩  手数=77 ▲7九角 まで 後手番


後手はいったん穴熊に囲ったものの、その後なぜかすこし前にずれています。
解説「こういうとき、(後手が)どっかで三間飛車に回って△35歩と突くと、3筋のところに(飛車を)回しておくというのがあるんですけど、わかんなくなっちゃたんですね」


この後、△64歩と突かれたところで▲24歩△同歩▲同飛△同飛▲同角と先手から飛車交換し、さらに△65歩▲同銀となったのが次の局面。

後手:WILDCAT
後手の持駒:飛 歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
・v桂v金 ・ ・ ・v角v桂 ・
v玉v銀v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
v香v歩v歩 ・ ・v銀 ・ ・v香
v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 角v歩
・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・
歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・
・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩
・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・
香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香
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先手:ymshogi 先手の持駒:飛 歩三  手数=85 ▲6五同銀 まで 後手番


解説「で、穴熊じゃない側から飛車交換で」
取った飛車をお互い打ちあい、△27飛打▲23飛打。これに後手は△32銀。

後手:WILDCAT
後手の持駒:歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
・v桂v金 ・ ・ ・v角v桂 ・
v玉v銀v金 ・ ・ ・v銀 ・ ・
v香v歩v歩 ・ ・ ・ ・ 飛v香
v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 角v歩
・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・
歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・
・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・v飛 歩
・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・
香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香
                                                        • +
先手:ymshogi 先手の持駒:歩三  手数=88 ▽3二銀 まで


解説「これはいきなり…(先手の)飛車が行く場所がないし」
戻って▲23飛打のとき、ym将棋の読み筋は△29飛成▲21飛成△66桂打▲88玉、評価値はここで急落して、-700くらい(後手有利)でした。
実戦では、後手WILDCATがいきなり△29飛成とせず、△32銀としたことで、▲13角成△23銀▲31馬で、飛車と角香の交換になりました。
解説「ああ、なるほど、あったよ。結構おもしろいですね」


しかしその後、△29飛成と後手が桂を入手したことで、▲21馬のあと、待望の△66桂打。

後手:WILDCAT
後手の持駒:飛 歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
・v桂v金 ・ ・ ・ ・ 馬 ・
v玉v銀v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
v香v歩v歩 ・ ・ ・ ・v銀 ・
v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩
・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・
歩 ・ ・v桂 歩 ・ ・ ・ ・
・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩
・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・
香 桂 ・ 金 ・ ・ ・v龍 香
                                                        • +
先手:ymshogi 先手の持駒:角 桂 香 歩三  手数=94 ▽6六桂 まで


▲21馬のとき、最初に▲68香打と△66桂打を受ける手を読んでいたのですが、結局21の桂を取る手を指しています。
詳しい理由は分かりませんが、おそらく▲68香打では桂損が確定してしまうので、ここで桂を取っておこう、という評価関数のためだと思われます。
つまり、△66桂打は打たれてもいい、それで負けることまではない、という判断ですね。
ただ実際はこれで負けだったようです。


解説「将棋の評価関数で一番難しいのは、この桂馬という駒だと思うんですけど、終盤だとここ(この場合はは66の地点)に桂馬さえ打てれば勝ち、という将棋になってしまうので、今桂打ったから勝ちになりましたけど、これ金銀だったらまだ大変ですよね。
こういう風に、終盤だと突然現れて王手して、しかも逃げるしかない、というのは桂馬だけなので、終盤の桂馬の価値は、たぶん持ち駒(の桂馬)は盤上の桂馬に比べて倍くらい以上にしても、おかしくなんないような気はしてますけどね。持ち駒の桂っていうのは相当強力なので、いきなりこう、パラシュート部隊のように現れて、相手が逃げるしかないっていうのは桂馬だけなので。大駒なら合駒できるし、金銀なら取ることができるんですけど。
特定の条件によりますけれども、桂馬で王手できるとかいうときの、桂馬取った時は相当価値高めてもよい気はしますけど」


これで一気に先手玉は寄ってしまい、この後20手ほど続きますが、112手で投了。

後手:WILDCAT
後手の持駒:歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
・v桂v金 ・ ・ ・ ・ 馬 ・
v玉v銀v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
v香v歩v歩 ・ ・ ・ ・v銀 ・
・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩
・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・
v歩 歩 ・v桂 歩 ・ ・ ・ ・
玉 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩
・ ・v龍 ・ ・ 銀 ・ ・ ・
香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香
                                                        • +
先手:ymshogi 先手の持駒:飛 角 金二 桂 香 歩三  手数=112 ▽9六歩 まで


WILDCATの快勝で、ym将棋は1勝4敗となりました。