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みんなで作る黒歴史ノート このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-08-18

雑記

以前Twitterに流してまとめてもらったものを貼っときます。。

あと『魔法少女きゆら』ネタをこれも結構前にTwitterにhyperloreタグでたらたら流してました。こちらは未まとめですがhyperloreタグで追えます(と思ったら頭の方が切れてた……)。

2012-10-02

美少女地獄外道祭文/とるに足らない少女の死

(http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=816716 からの転載)

 あれはいつのことだったでしょう。私とたずさちゃんは、最寄り駅から家に帰る途中でした。塾の後だったか、連れだって買い物にでも行った帰りだったか……理由はよく覚えていませが、既に10時を回る夜中だったと記憶しています。真冬でないとはいえ、肌寒い季節でした。
 私とたずさちゃんは開けた住宅街に住んでいますが、駅からまっすぐ帰ろうとすると雑道の多いごちゃごちゃした地域を通らなければなりません。このあたりは急な坂が多い上、曲がりくねった細道があちこち張り巡らされています。密接した二階建ての家屋ばかりが窮屈そうに建ち並び、いまだにけっこうな木造率を保っていて、印象はかなりおんぼろ。他に目につくものといえば狭い神社や小さな地蔵、需要の微妙な小汚い公園みたいなものばかりで、ちょっと歩いて大通りの方に出なければコンビニにもたどり着けません。街灯は心許なく明滅しているし、道路脇にはたいてい側溝……つまり"どぶ"が口を開けていて、目の窪んだ野良犬がよろよろ徘徊していたりもします。夜遅くに一人で歩くには、どうにも心細い道なのでした。
 そういう場所なので夜は回り道して避けることもあるのですが、知り合いと一緒ならだいぶ心強くなります。たずさちゃん自身が危険人物だという懸念はあるにしても、夜道を連れだって歩いてくれる友達はやはりありがたいもの。血も涙もない彼女がこんな夜道ごときを怖がるとも思えないので、安心感はむしろ増そうというものです。そんなわけで、この日の私は相当気が強くなっていたので、突然目の前に現れた"それ"を見てもさほど動転せずに済んだのだと思います。

 暗い脇道から「ぬう」と現れたそれは、巨大な箱状のシルエットでした。中途半端に傾いた角度で斜めに突き立ち、成人の身体ひとつくらいなら丸飲みにできるほどの大きさがあるります。鎖でも引きずっているのか、金属が地面と擦れるようなじゃらじゃらした音が響いてきます。
 私は思わず息を呑み、完全に足を止めてしました。回れ右してすぐに逃げ出すのが正解だったのでしょうけれど、相手が逃げる者を追いかける類の化物だったらどうしよう……とあまり合理的でもない恐怖に囚われ、行動を起こすことが出来なかったのです。とにかく、ここはたずさちゃんの判断に従うのが一番だろうと、横目で彼女の出方を窺いました。
 最初はたずさちゃんも微動だにせず、その奇っ怪な影を凝視していました。とてもゆっくりした速度で、けれど正確に私たちの方に近づいてくる影は、既に私たちの姿を認めているようでもありました。やはり逃げた方がいいのではないか、と私は思いましたが、たずさちゃんはもっと近寄ってみる決断をしたようです。そうと決まれば躊躇なく、たずさちゃんは勇ましく前へと踏み出しました。私も観念して、恐る恐る、数歩遅れてついて行きます。
 近づくにつれ、ぜい、はあという荒い呼吸音が聞こえてきました。まるで人が息をしているよう……いいえ、実際それは人間なのでした。斜めに傾けられた巨大な箱を支えているのは、私たちと同じくらいの小さな人影だったのです。その姿はまるで、天空を支える苦役を課された巨人アトラースのようで……その全身はぶるぶると震え、口からは苦痛のうめきが漏れこぼれています。
「ちょっと! アグニちゃん何やってんの!?」
 アグニちゃんでした。
「こんなところであなたに会えて嬉しいわ、アグニ。あら何これ、自動販売機?」
 たずさちゃんはいつも涼しげです。
「うう……最後にお前らに会えてよかった……あ、あたしはもう駄目だ……」
「いつになく殊勝な態度だけどそもそも何してるの!? なんで自販機かついでるの!?」
「なるほど、盗んだのね」
「ああ……ちょっとした出来心で……」
「盗んだ!? 自販機盗んだのアグニちゃん!?」
 アグニちゃんが両腕で背負いながら引きずり歩いていたのは、コカ・コー社ラの自動販売機でした。500ml缶が100円で買えるお得なやつです。実際海外では自動販売機の盗難がよくあるそうですが、あれは大の大人が数人がかりでトラックとか用意して行うもの。いくらアグニちゃんが馬鹿力とはいえ、これを少しでも引きずることが出来たなんて正気の沙汰ではありません。
「ぐうっ!」
 自動販売機を支える身体ががくんと沈み、アグニちゃんは片膝をつきました。もうあまり長く保ちそうにありません。
「ていうかなんで!? なんで自販機盗むの!? それでどうするつもりなの!?」
「だ……だってさ……家に自販機置いとけば……100円入れるだけでいつでもコーラ飲み放題じゃん……。うちの近所、150円のしかなくてさ……。それに、家ん中に自販機あったらすげー手軽だし……。はは、夢みたいだ……。これ持って帰れたら……うちの、家宝に、なったのに……」
「結局お金払うの!? しかもそれ誰がどうやって中身のコーラ補充するの!?」
「ああ……シズカ、あたしのこと、バカだと思ってんだろ……。あたしもさ、そう思うよ……。こんな、重いの、無謀だった……」
「そこなの!? もちろんそこもキチガイじみてるけど! ていうかもう全部キチガイだよアグニちゃん!」
「大丈夫よアグニ、誰もあなたのことを馬鹿になんてしないわ」
「馬鹿そのものだよ!」
「ごめん、ごめんなシズカ……。たずさもさ……。持って帰れたらお前らにもコーラ、お裾分けしてやりたかったのに……それももう出来ない……」
 アグニちゃんの声から力が消えていきます。本気で死を覚悟したのか、アグニちゃんの態度はいつになく殊勝でした。
「あたしはもう……ここまでだ……。な……なあ、シズカ……。よかったらさ……」
「な、なに」
「最後に手、握ってもいいかな……」
「えっ」

 暗がりの中、アグニちゃんは震える右手を私の方に伸ばしてきました。その瞳は、心なしか潤んでいるようにも見えます。私は……なんだか気持ち悪いなーと思い、軽く一歩後じさりました。時間が止まったような、とても長い一瞬が経過しました。ふっ、と突然糸が切れたように、アグニちゃんの身体が腰から一気に崩れました。
「グフーッ!!」
「アグニちゃーん!!」
 アグニちゃんは自販機に潰されました。さようなら、私のともだち。

2011-10-02

白鳳生科技社 ブレスト議事録

  • 多脚ブロイラー
    • ムカデ型鶏
    • 食肉加工に適切な長さとは?
  • ユニコーンとペガサスの生産コストについて
    • おそらくはユニコーンのほうが低コスト
    • 鹿、イッカクといった比較的形状の近い野生動物が存在する
    • 生産過程としての二角馬
    • 白馬、ピンク色が望ましい
      • 環境テロ団体への対策コストを考慮すべきである
      • 特にID論を掲げる物
    • 処女は必要か?
      • 各拠点における雇用規制を考慮すべき
      • 法制度上可能な場合でも民事的トラブルを招く懸念が強いのでは
      • ブランドイメージへマイナスである
      • 我が社はカルト教団ではない

2011-07-21

行間商売

「おまえのせいだ。あの子が両親と暮らせなかったのも、満足に学校に通えなかったのも、あの子の手がひびわれて、使うたびに痛むのも、あの子の青春が家事と労働に費やされたことも、あの子の傷が絶えることがなかったのも、あの子が好きな人と一緒になれなかったことも、あの子が幸せな人生を生きれなくても、それをひとりで受け止めて、誰を責める事もなく死んでいこうとしていることも、すべて、すべてがおまえのせいだ」
そう言って若い男はナイフをポケットから取り出した。
怪訝な顔で若者を見ていた壮年の男が顔色を変える。
「ま、待て。おまえは誰だ!」
若者は男をまっすぐに見据えて答える。
「ずっとあの子を見ていたものだ」
「あの子? だ、誰のことを言ってるんだ」
「おまえにとっては、おまえが傷つけてきた人々の一人でしかないさ。これまでに食べたパンの数を覚えてないように、おまえは傷つけた人々を覚えてはいない。だからさっきおれは教えてやったんだ。おまえがいかなる罪を犯し、死んでいくのかをな」
「し、死……? や、やめろ! おい、誰か! 助けろ!」
「死ねッ!」
狼狽し、若者に背を向けて逃げようとした男に、若者が体ごとぶつかるように迫り、

「はい、ストップ」

女性の声と共に、逃げようとした壮年の男が停止した。同時に若者のナイフが空間に縫いとめられたように停止し、若者はナイフに体をぶつけるようにして止まった。
そして二人の間に、いつの間にか二人の男女が姿を現している。
「何だこれ…」
若者は、それらのことに驚いていて呆然としている。
「『しおり』を挟んだのよ」
現れた女の方が若者に語りかける。
若者ははっと気がついた顔をして言った。
「もしかして、警察?」
現れた女は腕時計の方を見ながら事務的に答える。
「はい、そうです。残念でしたね。えー、17時22分、278ページ、12、3行目行間、現行犯逮捕。ミカギリ巡査、その男を拘束して」
「はい、先輩」
ミカギリと呼ばれた男が手錠を持って若者に近づく。

「ちょ、ちょっと待って」
若者はナイフから手を離し、両手をあげながら声をあげる。
「え、どういうこと? おれ、逮捕されちゃうの?」
「そうよ。あなた、登場人物を殺害しようとしたのよ」
「え、でも、そうだ。ちょっと待ってください!」
手錠をかけられる前に、若者は慌てて、後ろのリュックから少し折れ曲がったプリントの束を取り出すと、二人に差し出した。
「こ、これ……」
ミカギリは若者に手錠をかけてしまいながら、差し出されたプリントの文章を読み上げる。
「えーと、『憎いあいつを殺しちゃおう! ストレス発散ツアー!』……何ですかこれ」
「だから、ツアーですよ! そこにいるあいつ! おまわりさん、この物語読んだことあります? ほんとに憎たらしいヤツで、あいつにヒロインがひどい目にあわされるんです。で、ファンの間では、殺してやりたいキャラNo1なわけですよ」
「だからって、登場人物に危害を加えたら犯罪でしょうが。というか、かなりの危険事項でもありますよ。子供だって知ってることです」
ミカギリが呆れたように、若者を見る。若者は慌てて付け加える。
「でもでも! あいつは死んじゃうんですよ。たしか、ツアーの人の説明だと、『原文』ではあいつの死に方は描写されてなくて、『暴漢に殺されて死んだ』ことだけが描写されているから、殺すのは誰でもできるんだって……」
「典型的な行間商法ね。あなたね、だまされたのよ」

もうひとりの、ミカギリに先輩と呼ばれた女性警察官はため息をついて、若者を見た。
「虚構機関は、行間も完全に現実化する。従って、本文に描かれてなくても『暴漢に殺された』のなら、『暴漢』も現実にいるし、『暴漢による殺人』も起こるはずなのよ。それを旅行者がとって代わっていいはずがない」
「え? じゃあ、何で」
と疑問の声をあげたのはミカギリ。
女性警察官はまたため息をついて、
「だから、その子を騙したツアーの人とやらが暴漢を拘束してるのよ。つーか、あんた、さっき業者つかまえたでしょうが……ったく。行間における『物語の要請』の力が弱いのを利用して、旅行者に登場人物の役をやらせる。物語に大きな乱れが起きなければ、わたしたちにも見つかりにくいしね。そういうのがいわゆる行間商売。さて、わかったかしら」
女性警察官の話をおとなしく聞いていた旅行者の若者が、慌てて声をあげる。
「でも! でもでも、おれ、知らなかったわけだし!」
女性警察官は哀れみをこめて若者を見て、
「まあねー……でも、さっきそいつも言ったけど、登場人物に危害を加えるなんてのは、虚構法の大原則に触れるわけだし、しかもあなたの場合、明確な殺意もあるから……ま、あとは裁判でがんばってよ。あたしの仕事はここまで」
さっと男に背を向ける。
ミカギリは若者の肩に手を置いて、
「まあ、登場人物に恨みぶつけてもしょうがないでしょう。こいつだって、作者がそう書いたから悪いことしたわけだし……虚構の登場人物でもね、人殺すってのは、とても嫌なもんなんですよ」
若者の顔を真面目な顔で見つめた。

「そ、それは……でも、それなら原作者こそ罰せられるべきじゃないんですか!? 虚構法の原則って、『虚構内人権の保障』でしょ! この物語はヒロインの人権を踏みにじってる。虚構法が侵害されてるじゃないですか!」
女性警察官は三度ため息をついて、顔だけ振り向いて言った。
「そうかもしれないけど、それを決めるのはわたし達じゃないの。決めるのは『委員会』のえらい人達。まー、あなたみたいに本当に敵役を殺そうとするくらい、入れ込んじゃってるファンがいる物語が、有害認定されるかっていうと……ね。ほんと醜い世界よねー」
「せ、先輩…!」
ミカギリの言葉に我にかえったのか、女性警察官は口調を元に戻して言った。
「では、ミカギリ巡査。犯人を転送してください」
「了解」
ミカギリ巡査が手元のコントローラを操作すると、すっかり意気消沈した若者の姿が足元から消えていく。うつむいた若者の顔が消える直前に、女性警察官が言った。
「君、安心なさい。この本、あたしもだいぶムカついたから、実は前にこの作者一発殴っといた」
若者が顔をあげる。ミカギリ巡査も一緒に驚いて女性警察官の顔を見る。

「ちょっとだけ、スカッとしたわ」
そう言って、女性警察官は子供のように笑った。

リンク


フェアリー・テイル - みんなで作る黒歴史ノート
フィクション・パトロール起源 - みんなで作る黒歴史ノート
警察を考える - みんなで作る黒歴史ノート
RightNovel - みんなで作る黒歴史ノート
リル宮ルル子の彼方 - みんなで作る黒歴史ノート

2011-06-28

風の王 プロローグ

――愛する四人の息子の首を目の前に並べられ、魔王メクセトに破れ、今や虜囚の身である黒の女王は悲嘆にくれて足元から崩れ落ちた。
女王は四人の生首をかき抱き、その頬に血の涙を伝わせたが、やがて彼女を見下ろす魔王メクセトを睨みつけるようにして顔を上げた。
そこには美しくも、怒りに満ちた、女王ではないただの女の顔があった。
「呪われろ!」
女はその美しい顔に似合わぬ、呪詛に満ちて地も震わさんばかりのしわがれた大きな声で言った。それはその場にいる全ての者に、災厄の魔神の声を彷彿させた。
「呪われろ!お前も!お前の子も!孫も!この場にいる全ての者が子々孫々に至るまで呪われろ!!」
そして女王は息子達の首を抱きかかえたまま天に向かって力の限り叫ぶ。
「神々よ、貴方様方のお力に縋ります。この小さな女を哀れと思うのでしたら、この者に筆舌しがたい悲惨な死をお与えください!。そしてこの者に付き従う全ての者と、この者の後を継ごうとする全ての者にも生まれたことを後悔するほどの死をお与えください!!」
―― イブン・アズムハン「古代神話」より


私がその画を手に入れたのは、名も知らぬ旅の行商人からであった。
何も買う気も無いのに露天市を冷やかしていた私に、そのどこか調子の良さそうな行商人は「あなただから特別にお売りします」と紋切りな売り文句でその画を見せてくれたのだった。画に描かれていたのは、遥か東方の草原地方に住む草の民なのだろうか?、豪華な黒い毛皮服の上から金銀財宝で飾った、短く刈り込んだ頭髪がすっかり白くなった老人だった。その老人は、額縁の向こうから画の前に立つ私に対して酷く疲れたような、そして悲しそうな視線を送っていた。どうしてだろうか?私は酷くその画に惹かれてしまった。
「いかがですか?、あの歴史に悪名高き草の民の王『ハルバンデフ』の肖像画ですよ」
そう彼は調子の良い語り口調で言ったが、おそらくはそれは嘘だろう、と私は思った。伝説によれば、ハルバンデフの死後、その肖像画はもちろんのこと、彼にまつわる全ては草の民の手によって破壊、もしくは破棄されたというのだから。
仮にもしその破壊を逃れた画があったとして、諸国を蹂躙し、破壊と殺戮の限りを尽くして歴史にその恐怖の所業と共に名を残した暴虐な王の画がこのような露天市にあるわけがないのである。
しかし私は気付けばその画を、決して高くは無いが安くも無い値段を行商人に言い値で支払って購入していた。
それほどまでに私はその画に夢中になったのである。この画に描かれているのがハルバンデフであるかどうかは関係がなかった。
それから私は家に客を迎えるたびに「見よ、これが歴史に悪名名高い暴君『ハルバンデフ』の肖像画だ」とその画を半ば冗談めかして紹介したが、彼らの反応は決まって「君は騙されたな」とか「明らかにこれは偽物だよ」というものだった。「芸術品として一銭の価値も無い」という者までいた

そうこうしているうちに画を購入してから半年程がたち、私もそのような画を購入したことを半ば忘れていた頃、私の家に一人の老人が訪ねてきた。頭の禿げ上がった、歩んできた人生が決して平坦なものではなかったのだろうことを思わせる深い皺の、背の低い老人だった。
老人は、自分は旅芸人の一座で占い等を生業としている者だと名乗り、私が持っているハルバンデフの像を見せて欲しいと言ってきた。
「お礼でしたら少ない額ですが、させていただきますので、是非貴方様の持っている画を見せていただきたいのです」
老人のその態度が、どこかあまりに必死だったので、哀れに思った私は「ご老人、私が持っている画が本物とは限らないのですぞ」と私は答えていた。
「それでも構わないのです。是非、画をみせていただきたい」
そうとまで言われて渋る理由はなかったので、私は画が飾ってある部屋まで老人を案内した。
その画を一目見て、老人は感動したように目を見開き、「おぉ」と声を漏らした。そして、画に近づくと、まさに食い入るようにしてその画に見入った。
「御主人、この画は本物ですぞ」
「そんな馬鹿な」
私は老人が何かの冗談を言ってるのだと疑い、私の知る限りの暴虐な王の伝説の数々を話した。そのような暴虐を友として思うがままに生きた王が、このように年老いて淋しそうな顔の、今にも死にそうな老人のわけはないではないか……
「いいえ、違うのです。貴方は勘違いをなさっている」
私の言葉に、老人は大きくかぶりを振って答えた。
「あの方は確かに伝説に残るような暴虐な所業をなさいました。しかし、それは決してあの方の本意ではなかったのです。あの方は時代に流されてそうせざるを得なかったのです」
そうして老人は私に、ハルバンデフについて語ってくれたが、それは私の今までに考えたことのないハルバンデフという一人の人間の物語だった。
私がこれから語るのは、そんな一人の人間の物語である。