ハ音記号

MusiXTeX で譜面を書いていて,ふと気になったのが音部記号.ト音記号とかヘ音記号とかのことです.これらのデザインが,それぞれ「ト」音を示す「G」と「へ」音を示す「F」の文字から作られたことは知っていました.この理屈でいけばハ音記号は「ハ」音,つまり「C」という文字がモチーフだろうとは想像が付くところです.しかし,どう見てもハ音記号は「C」には見えないんですが…

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ピアノ譜では絶対に目にしない記号なので,今までもほとんど気にしたこともありません.でも,記号を見ているうちに気になったので,あちこち調べて見ました.

やはり C という文字が元になっているんですね.Wikipedia にある説明によると,逆さ向きに書かれた2つの C を縦に並べたもので,この2つの C の重なる部分(つまり中央)で C の音を示すような図案にしたものがハ音記号だそうです.なるほど,そういわれれば理解できます.

MusiXTeX でピアノソナタ悲愴(6) 和音の入力

和音のように,音を縦方向に積み上げて表示させたい場合は,長さのない音を書く \zq や \zh というコマンドを使います.\zq は黒い玉を,\zh は二部音符にあたる玉を書きます.積み上げたい音が例えば cde の和音の場合は,'\zq c\zq d\qu e' のように下の音から順に書いて,一番上の音だけ \qu のように長さのあるコマンドを指定します.付点を付けたい場合は,\zq のかわりに \zqp を使います.といっても分かりにくいので,簡単な例を示しておきます.


sample4.tex


\input musixtex
\startmuflex
\startpiece
% --------------------
\nspace% 少し空白を置く
\NOtes%
\zq c\zq e\qu g% ceg の四分音符の和音
\zh h\zh k\hl m% adf の二分音符の和音
\zqp f\zqp h\qlp k% fad の付点四分音符の和音
\ibu0e2% 連桁開始
\zq c\qb0 e%
\zq c\qb0 f%
\zq d\zq f\rq g\qb0 i% rq で右側にずらせる.lq は左にずらす.
\tbu0% 連桁終了
\zq e\zq g\qb0 j%
\en%
% --------------------
\stoppiece
\end

このソースをコンパイルして表示させると,以下のようになります.音の積み上げは,面倒なだけであんまり難しいことはありません.

悲愴の楽譜に戻って,和音になるべきところに音符を埋めたものを以下に書いておきます.(sonata8.tex は前回と同じなので省略します)

sonata8note.tex


\notes % 16分音符の間隔で譜面開始
\zq C\zq E\zq G\qu J% cegc
\ibbl0E8% 桁開始
\zqp C\zqp E\zqp G\qbp0J% cegc (タイでつなぐ)
\tbbbl0% 半桁表示
\qb0L\qbp0K% e, d
\tbbbl0\tbl0\qb0J% 半桁表示,桁終了,c
\ql M\cl N% f, g
\ds% 休符

% 段切り替え

\uptext{\medtype\bf Grave.}% 速度・演奏指示
\zq L\zq N\qu c% egc
\ibbu0c2% 桁開始
\zqp L\zqp N\qbp0c% egc (タイでつなぐ)
\tbbbu0% 半桁表示
\zq N\qb0c% gc
\zqp N\zqp P\qbp0d% gbd
\tbbbu0\tbu0% 半桁表示,桁終了
\zq N\zq c\qb0e% gce
\zq O\zq c\qu e% ace
\zq P\cu d\ds\en% bd,休符

かなりごちゃごちゃしてきましたね….こうなってくると間違ったときに分かりにくいので,一行ずつコメントを入れるような対策が必要になってきます.コンパイルして表示したものを示しておきます.表示の便宜上,前とは桁の上下を入れ替えたりした箇所もあります.