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2012-09-17

ウォルツ『国際政治の理論』(1)

| 23:15 | ウォルツ『国際政治の理論』(1)を含むブックマーク ウォルツ『国際政治の理論』(1)のブックマークコメント

以下、勁草書房の『国際政治の理論』の要約+感想。

1章 法則と理論(pp.1-22)

 ここでは主に、法則との差異を見出すことで、理論とは何かという話を、科学哲学の議論を踏まえて描いている。
 理論とは、単なる相関関係や、単なる因果関係の存在の記述ではなく、その法則を説明するものである。それゆえその性質上、理論とは仮説に過ぎず、帰納主義的アプローチではその確かさは主張できない。そのために検証を要する。あまり興味ないので、ここは短めに。

2章 還元主義的理論(pp.23-48)

 ここも大して興味がないので、さらっと流す。
 理論の説明とは、基本的に<還元主義/体系的>の二つに分類されるが、ここでは前者が否定される。即ち本章は、還元主義的な説明である、部分の属性と部分の相互作用を観察+合計することで全体が理解される、という議論について非難を加えるのが目的である。
 特にここでは、帝国主義論の説明における失敗を例に非難をしており、簡単にまとめると、ホブソンやシュンペーターの、Aという部分(原因)によって、結果として必然的にBという結果が導かれるというような理屈について、他の原因であるとか、AがB以外の結果を導いた例であるとかについて考察が加えられていないことを誤りとしている。そして、「自己確証的理論」(それしか説明できない議論)や「行動なき構造」(ガルトゥング的、理由が説明されない議論)、「過度の説明」(定義の恣意的な拡大)について否定をする。

3章 体系的なアプローチと理論(pp.49-78)

 ここは、国際政治学において、体系的なアプローチをした理論について紹介をし、そして徹底的に批判をする章である。著者はなんつう怖いもの無しか。
 例えばウォーラーステインの世界システム論なんかがあるが、あれは非現実的な理論であり、そもそもとしてかような単純化に対して、国際政治学における理論化の不可能を説く論者もいる。しかし混乱要因の少ない中での理論の可能性はありえよう。
 やり方は二つあり、一つ目は分析的手法として、変数の組み合わせ間の関係に還元する方法である。しかしこれは、システムレベルを無視しているのであり、エージェントが変わったのに何も変化が起こらなかったという場合において不適切になってしまう。それに対して、相互作用するユニットが構造を作り、その構造がユニットに影響を及ぼすというシステム的な影響の方に目を向けるのが二つ目の方法である。注意すべきは因果関係が双方向であるところか。

 次にウォルツは、国際システムについてのこれまで議論を振り返るのだが、まずローズクランスであるが、彼の議論は環境的制約とアクターによる混乱、そして調整装置が機能して帰結が導かれるというものであるが、これは単なる分析枠組みであり、国家に何の影響も与えないシステムを記述したに過ぎない。そして何よりも還元主義的である。
 ホフマンは幾分ましそうであるが、システムとユニットを混同し、何がシステムであるか判然としない。また、インサイド・アウト=アクターがシステムを規定する説明しか採用しない時点で先入観に満ちている。
 カプランの議論は最も紙幅を費やされており、おそらく最も重要である。彼は、6つの行動システムと、5つの変数を設定して、議論を展開している。しかし、システムや構造の定義がはっきりせず、どれがシステムでどれがシステムではないのかが規定されない(環境と混同している)ため、行動→システムへの影響は言えても、システム→行動は論ぜられない。また、動機→結果の区別も判然としない。これでは一般システム理論に適合的か否かすら解らない。そしてルール自体が相互矛盾している。最後に、フィードバックの議論を援用しているが、ウィーナー的が言うような、管理者と管理する道具が不在である以上、国際関係論においてこの議論を持ち出すのは不可能である。




 ひとまず三章までをまとめた。
 いまいちまとまりが悪いが、簡単に要約すると、彼は国際関係論における、システミックな影響について論じたいのであり、そのためにまず、多く否定される国際関係の理論化を可能にするために理論自体の定義を行い、次に、還元主義的説明を否定することで、体系的説明<システム的>を擁護した。そして、具体的にシステム的な議論の先行研究のレビューと批判を行ったところで、4章以降、彼自身の理論化が始まる、といった寸法である。
 このなかで一番思うところは、三章の最後の、フィードバックを援用出来ないという批判についてであるが、これはまた後ほど。
 次は4章5章、余裕があれば6章までをまとめたいと思う

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