DOK(オランダ・デルフト市)

今回は、海外図書館ヒアリング調査の第二弾として、DOK(オランダ)を紹介します。

DOKは、デルフト市の中心地に立地する市立図書館です。人口約10万人の小さなまちの公共図書館であり、日本ではあまり知られていませんが、アメリカのLibrary Journalの『図書館界を動かした人、揺るがせた人』として、DOKのマネージャーが国外で初めて選ばれるなど、欧米では先進的な図書館として、高い注目を集めています。

オランダの図書館の特徴は貸出などのサービスを受けるためには有料の会員になる必要があること。このため、一般的に市民の登録率が50%を越えることはないそうです。ところが、デルフト市民の図書館登録率は、なんと約80%とのこと!DOKは超人気図書館なんです。

DOKの人気の秘密は、とにかく楽しくてエキサイティングで、それでいて居心地がいいことです。
館内は最新のテクノロジーであふれています。例えば、利用者は、居住地付近の昔の写真などをICカードの会員証に取り込むとともに、その場所に関する自分自身の思いやストーリーを他の利用者に発信できるようになっています。最新のテクノロジーと図書資料が融合し、利用者自身が図書館を「本を読む場所」から「自分を表現する場所」、「他の人とコミュニケーションする場所」に変えていっているのです。

DOKでは他にも多くのユニークなサービスを提供しています。例えば、館内には、Playstation2Xboxなどのゲーム機が設置されています(私たちが訪問したときにも、子どもたちが熱心にゲームをしていました)。また、スピーカーの付いた球型の椅子(利用者は、椅子に座りながら、迫力の音響で音楽を聴くことができる)など、目新しい機器が置いてあります。さらに、快適な椅子やカフェの設置、弱めの光を活用した落ち着きのある小空間なども、市民が図書館を使いたいという気持ちを引き起こす原動力になっているようです。


こうした最新のテクノロジーを駆使した図書館を整備できるのは、企業と図書館が協働で機器を企画・商品化できるような、両者にとってメリットのある場所を提供しているからとのことでした。利用者基点で新しいサービスを開発し、図書館を魅力的にしていくというモデルは、私立図書館の1つのビジネスモデルになるのではないかと思いました。