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2016-07-18

自民党の憲法改正草案 24条は「言い過ぎてしまった」?〈AERA〉

15:05 | 自民党の憲法改正草案 24条は「言い過ぎてしまった」?〈AERA〉を含むブックマーク 自民党の憲法改正草案 24条は「言い過ぎてしまった」?〈AERA〉のブックマークコメント



改憲」といえば、9条ばかりに目がいくが、論点はほかにもある。自民党改正草案を見ると、改憲でこの国の形がどうなるかが見えてくる。

 自民党改正草案には規定が新設された条文がいくつかあるが、その一つが24条だ。自民草案では第1項に「家族は、互いに助け合わなければならない」という規定を新たに設けた。草案Q&Aでは、「昨今、家族の絆が薄くなってきていると言われています。こうしたことに鑑みて」と、理由説明さらに、「党内議論では、『親子の扶養義務についても明文の規定を置くべきである』との意見もありましたが、それは基本的法律事項であることや、『家族は、互いに助け合わなければならない』という規定を置いたことから採用しませんでした」と書いてある。

 そもそも、「昨今」の家族のカタチで最も多いのが一人暮らしだ。10年の国勢調査では単独世帯が32.4%を占めた。それ以外にも同性婚事実婚シングル出産LGBTカップルなど家族形態機能多様化してきているが、自民草案はその変化を逆戻りさせるものだ。

 安倍首相の著書『新しい国へ』の中にはこんな記述もある。

「『お父さんとお母さんと子どもがいて、おじいちゃんもおばあちゃんも含めてみんな家族だ』という家族観と、『そういう家族が仲良く暮らすのがいちばん幸せだ』という価値観は、守り続けていくべきだ」

 昨年2月参院本会議で、安倍首相同性婚について「現行憲法の下では、同性カップル婚姻の成立を認めることは想定されていない」と答弁。また、昨年12月夫婦が同じ姓を名乗る民法規定について、最高裁法廷は「合理性があり合憲」とする初の憲法判断を示し、選択夫婦別姓も認めなかった。

 LGBT支援法律家ネットワークのメンバーで日野市民法律事務所の加藤慶二弁護士は、LGBT当事者たちは、相続が認められず、所得税などの配偶者控除が受けられないなど、差別的扱いを受けており、いまだ同性カップル存在可視化されているとは言いがたいと指摘する。

マイノリティであるがゆえに、社会インフラからこぼれ落ちる人たちが大勢いる。家族のあり方はさまざまで、国家生き方を示したり、家族のかたちについて強制したりするべきではないと思います

 東京都健康長寿医療センター研究所研究員平山亮さんも新しい家族形態が増えている現状を踏まえてこう話す。

「もし時代に合わせて憲法改正するというなら、多様な家族を認める憲法にすべきです」

 自民党憲法改正推進本部本部長代行を務める船田元衆院議員に、家族規定の新設について尋ねてみると、「改正草案自民党野党のときにつくったもので、『とにかく政権を奪還しなければ』という自民党内の熱が反映されすぎて、党内でも右寄りという印象で、言いすぎてしまった部分が何カ所かある。その一つが『家族』の規定私たちはこの草案をそのまま押し付けるつもりはなく、これを材料にして、野党ともよく話し合っていきたい」

改憲」の足音はたしかに近づいてきている。私たち一人ひとりが、その内容について無関心ではいられない。(アエラ編集部


AERA  2016年5月16日号より抜粋

( 5月16日(月)16時0分配信)


 自民党憲法改正草案国民為政者に従うよう義務ばかりを求める条文が多く、本来為政者国家権力を背景に暴走しないよう縛りをかけるという「立憲主義」を大幅に逸脱した内容となっています。とても民主国家憲法と同一視できるような憲法ではない。それが自民党憲法改正草案ですが、自民党議員さんの中には、「自分たち政策統治方法」を国民批判されないよう予防線をはりたがっている人や中国北朝鮮独裁制に強いあこがれを抱いている人たちが随分いらしゃることがよくわかる内容となっています自民党憲法改正草案本来民主国家国民であれば、容易に拒絶される内容だと思うのですが、2016年参院選の結果、改憲現実味を帯びてきていることや改正の焦点が9条に集中強いている点を踏まえて、ここでは上記記事に関連して社会保障社会福祉のあり方に大きな影響を与えそうな改正草案の24条に注意喚起をしておこうと思います

 自民党議員さんの中には、産業構造の転換による社会変動を無視して伝統家族共同体の復活を夢想する封建反動的思想の持ち主が多いことを示すのが、≪「家族は、互いに助け合わなければならない」≫という改正草案の24条1項の一文です。*1そしてこの一文は、社会保障社会福祉の削減に利用されやすい条文であることを指摘しておかねばなりません。 例えば、生活保護法において現行では「民法で定める扶養義務者の扶養保護に優先して行われるものとする」(生活保護法4条2項)として「要件」ではなく、「優先」という言葉を使っています。「優先」というのは保護受給者に対して実際に仕送り等の援助がおこなわれた場合は、その援助の金額分だけ保護費を減額するということを意味しています。つまり、扶養義務者の扶養保護の前提とされていないということです。公的扶助に優先して私的扶養が行われることが期待されつつも法律上問題とすることなく実際の扶養が行われた時に被扶養者の収入として取り扱いということです。しかし、自民党改正草案のような「家族は、互いに助け合わなければならない」といような条文を最高法規である憲法に挿入することで扶養保護の「要件」となるような生活保護法改「正」が行われる恐れがあるということです。

 1929年に制定された救護法では、扶養義務者の扶養保護要件とされ、まずは要保護者扶養義務者が制度の救済に先立って扶養しなければならないとしていました。また、実際の扶養援助がおこなわれていなくても保護要件を欠くとされていました。その趣旨は、民法の認める扶養義務者がいるのに国が救護してしまうと家族制度が崩れるというものでした。自民党憲法改正草案の24条の一文は、生活保護法扶養義務者の位置づけを救護法に逆戻りさせても合憲と見なしうるような条文です。社会保障社会福祉解決すべき生活問題家族親族による相互扶助自助努力すり替え社会保障社会福祉抑制に利用できる。それが自民党憲法改正草案24条の一文ということです。

 憲法改正後、24条に当該一文が挿入されることにより母子家庭母親に一律的に分かれた旦那から養育費を貰ってこい(その旦那がDV夫であっても)という指導が当たり前のようになされ、水際で保護を受け付けないことに利用される運用が横行してきそうです。それ以外でも、虐待を受けている児童やDV夫から逃げている女性保護にも支障をきたしたり、介護保険の前に家族介護義務化するようなデタラメ政策がとられる恐れもないとは言い切れません。それも、すべては社会保障社会福祉費用抑制家族制度とそれに連なる国家主義国民は自らを犠牲にして国家奉仕すべき)を復活・強化のためなのでしょう。憲法改正草案に現れた自民党国会議員基本的思想とは民主主義否定であり、国民為政者いかなる時も追従し、自らの生活自助努力相互扶助で成り立たせるべしという為政者に実に都合のいい内容となっているものだということを指摘しておきましょう。










2016-06-28

「心の病」労災請求が1500人超 3年連続で最多更新

20:28 | 「心の病」労災請求が1500人超 3年連続で最多更新を含むブックマーク 「心の病」労災請求が1500人超 3年連続で最多更新のブックマークコメント



 過労などが原因で精神障害となり、労災請求をした人が2015年度に1500人を超え、3年連続過去最多となった。精神障害労災認定された人の数は減ったが、高止まりが続いている。

 厚生労働省が24日、15年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。精神障害労災請求した人は1515人で、前年度比59人増。比較できる1983年度以降で最も多かった。

 労災認定された人は472人で25人減ったが、過去3番目に多かった。6割が30〜40代で、うち自殺自殺未遂者は93人だった。

 業種別で多かったのは道路貨物運送業や介護など医療福祉小売業など。原因別では、「仕事内容・仕事量の変化」「月80時間以上の残業」「2週間以上の連続勤務」など仕事量に関するものが目立ち、長時間労働が原因になっていることがうかがえる。

 「脳・心臓疾患」で労災認定された人は、前年度比26人減の251人(うち死者96人)だった。減少は3年連続。業種別では道路貨物運送業が3割。労災認定された人の9割が月80時間以上の残業をしており、長時間労働の影響が出ている。(河合達郎)



(「朝日デジタル2016年6月25日09時20分)



 上記記事によれば「心の病」(精神障害)による労災申請が15年度は1515人と過去最高となったが、労災認定は前年比25人減の472人(過去3番目)ということです。

 業種別では《道路貨物運送業や介護など医療福祉小売業など》が多いようです。道路貨物輸送業は規制緩和により競争原理支配ていること、介護医療職は人手不足で1人あたりの労働量が多くなることから時間の過重労働必然的に強いられることになると推察されます。このような状況は「心の病」のほかに高速道路交通事故介護事故介護サービス利用者に対する虐待というかたちでも表れています

 このような現状を見れば長時間労働規制する法律必要にもかかわらず、安倍自民党政権下では「定額¥働かせ放題(残業代ゼロ)」法案という長時間労働規制するのとは逆の法案が通されようとしています*1「定額¥働かせ放題(残業代ゼロ)」法案は高度専門職とか年収1075万円以上という条件が設定されており年収の低い介護福祉職は例外のように思われますが、いずれは規制緩和の名の下に非正規を含むすべての職種年収要件撤廃が限りなく実施され、介護福祉職も残業代ゼロ人手不足を24時間労働に近いカタチで埋め合わせようとするでしょう。

 「定額¥働かせ放題(残業代ゼロ)」法案が、規制緩和されたときは、人手不足で悩む業界にとっては朗報かもしれませんが、その分野で働く労働者にとってはまさしく奴隷労働の幕開けも同然です。「定額¥働かせ放題(残業代ゼロ)」法案を推し進める経済界政治家は、人手不足を1人頭労働時間で増やす合理的解決策などと思っているのかもしれませんが、労働者はすべて、働いた後は休息や睡眠必要な生身の人間です。無理を圧して働かせれば、精神障害過労死などに直結するのは当然の成り行きです。

 労働条件規制緩和を推し進めた結果、労災過労死を増やす川上工場排水を垂れ流し環境破壊人間健康破壊を産み落とすという単純な図式と同じことを国家を挙げて推し進めようとしている。日本の政治はまともな政策をする能力がもはやないのでしょうか。

 

2016-06-13

生活保護 半数が高齢者 うち単身9割、貧困化進む

03:44 | 生活保護  半数が高齢者 うち単身9割、貧困化進むを含むブックマーク 生活保護  半数が高齢者 うち単身9割、貧困化進むのブックマークコメント

 生活保護受給する世帯のうち、65歳以上の高齢者を中心とする世帯が3月時点で過去最多の82万6656世帯となり、初めて受給世帯の半数を超え50.8%となったことが1日、厚生労働省調査で分かった。うち単身世帯が9割に上った。


 高齢化が進む中、低年金や無年金で老後を迎え、身寄りもなく生活保護に頼る高齢者貧困の深刻化が鮮明になった。

 厚労省によると、全体の受給世帯数は前月より2447世帯増加して163万5393世帯過去最多を3カ月ぶりに更新受給者数は216万4154人で2847人増え、人口100人当たりの受給者である保護率は1.71%だった。(共同)


(毎日新聞2016年6月1日 11時20分)




厚生労働省:被保護調査(平成28年3月分概数)



 生活保護受給者において高齢者の占める割合が50.8%と過半数を超えました。高齢者は元々就労の機会が得られず、そこに低年金・無年金や頼れる親族がいないという状況下で生活保護受給者となるわけです。高齢化と相まって、収入がなく孤立化していく高齢は今後も増えていくことは間違いありません。とくに非正規雇用を増やした1990年代中ごろ以降の就職氷河期世代が60歳を超える頃には「生活保護受給者高齢者」というイメージが強くなそうです。

 

 高齢受給者が増えることで、生活保護費抑制のために60歳未満受給者には就労を強く迫っていくような運用が推し進められることになる恐れも十分にありそうです。また、生活保護費を徹底的に削減するために政府厚労省国民年金より切り下げるように世論操作を企ててくることも考えるでしょう。

 生活保護受給者にとって生きづらい状況が、高齢化の進展とともに生じてきそうです。しかし、社会高齢化しているから生活保護制度危機的な状況を迎えるわけではありません。労働者賃金を切り下げ大企業内部留保を増やすために、非正規雇用者を増やして賃金の切り下げと社会保険料等の法定福利の負担企業が逃れることができるよう独占資本癒着した政治権力政策ツケが生活保護費の増大と生活保護制度危機を招いているのです。

 


 

2016-05-13

奨学金で大学進学しても、生活保護費は減額しない運用へ

20:30 | 奨学金で大学進学しても、生活保護費は減額しない運用へを含むブックマーク 奨学金で大学進学しても、生活保護費は減額しない運用へのブックマークコメント


 生活保護を受けている家庭の高校生奨学金大学受験料や入学金にあてても、生活保護費の減額対象にしない方針厚生労働省が決めた。大学進学は「一般的ではない」として昨年秋の運用見直しでは盛り込まれなかったが、親から子への「貧困連鎖」を防ごうと追加することにした。

 13日の衆院厚労委員会で、古屋範子氏(公明)の質問石井淳子社会・援護局長が明らかにした。奨学金大学進学や就職のための転居費用にあてた場合生活保護費の減額対象外とする。今年度中に減額対象外に含めるという通知を自治体に出す方針

 生活保護は最低限の生活保障する仕組みで、収入が増えた分は支給額が減らされるのが基本ルールだ。収入には子どもに対する奨学金も含まれていたが、貧困連鎖を防ぐ狙いで昨年10月に運用改善。塾の授業料模試代、入会金、教材費、塾に通う交通費に使う分は収入として扱わないことにした。

 今回の追加方針で、大学入学までの教育関係への出費はほぼすべて生活保護費の減額対象にならないことになった。生活保護家庭の高校生は2013年度で約5万7千人。大学生授業料などは引き続き減額対象となる。(久永隆一


(「朝日新聞デジタル2016年5月13日13時14分)



 貧困連鎖を防ぐために大学入学までの教育関係費は生活保護の減額対象にならないが、大学進学後の授業料は引き続き減額対象になるということです。貧困連鎖を防ぐ意気込みが本当に政府にあるなら大学授業料についても減額対象から外してもいいと思われますが、そうならないところに日本公教育受益者負担の考えが根強いようです。日本には国際標準でみても奨学金と呼べる制度はありません。学生支援機構奨学金国際標準にみても学生ローンです。これでは、大学入学しても授業料生活費を長時間のアルバイトをせざるを得ず学業に支障きたし中途退学をしてしまうことになることが懸念されます。近年、ブラックバイトなど学生アルバイト長時間労働を強いて使い潰す企業が増えている現状もあり、そのブラックバイトに絡め取られやすいのも低所得世帯学生です。公教育受益者負担でと考える政府においては、大学授業料自力でということかもしれませんが、その考え方が貧困連鎖を断ち切るための教育保障中途半端にし、ブラック企業安価労働力提供することになってしまいそうです。*1

 本来、優秀な人材発掘のために小学校から大学までの公教育については無償にするのが望ましいと思われますが、それをしないのは支配者層である政権階級固定化を狙っているからではないかと疑わざるを得ません。「富裕層の子弟は経済的心配をすることなく大学学業に専念できるが、生活保護世帯においてはアルバイトに勤しまなければ中退危機にらされる」というのは教育の機会均等に明らかに反するのではないでしょうか。

 「目に見えないカースト制」を打破するためにも、まずは大学授業料生活保護費の減額対象から外し、将来的には幼稚園保育園から大学まで公教育無償化制度化するべきでしょう。

*1政府は実はブラック企業学生アルバイトという安価労働力提供しいようとしているとまでは思いたくはありませんが、安倍政権ならあながちあり得ないと断言はできません。

2016-05-05

<知らなくていいの? 税の仕組み> 社会保険料にも不公平感

15:04 | <知らなくていいの? 税の仕組み> 社会保険料にも不公平感を含むブックマーク <知らなくていいの? 税の仕組み> 社会保険料にも不公平感のブックマークコメント



 「税制見直し格差是正につなげよう」と呼びかけている学者税理士らが、「公的年金健康保険などの社会保障の仕組みも合わせて見直すべきだ」と提言している。収入が多い人と、ワーキングプアともいわれる低収入労働者の税・社会保険料負担額の実例から、こうした意見について考えてみた。


 中部地方の有名企業に二年前まで勤めていた五十代男性のAさんは現在関連会社に勤務する。「給料がほぼ半減した」とぼやくが、生活に困っている様子はない。二年前の給与明細などを見せてもらうと、年収は約千四百万円。典型的な高給取りだ。


 一方、「いつもぎりぎりの生活」と訴えるのはBさん。中部地方の四十代派遣社員男性で、一人暮らしだ。厚生年金雇用保険などには、勤務先との雇用契約関係で入っておらず、国民年金国民健康保険国保)などの保険料自分手続きして納めている。「仕事が減ってきた感じもある」というので、これまでよりやや少ない給与月額十五万円(所得税額含む)として、税や社会保険料の月額を計算し、Aさんと比べてみた。


 Bさんの項目をみると、国民年金国保がともに一万円を超えている。アパート代は約三万四千円。給与から税、社会保険料アパート代を差し引いた残りの生活費は八万円を下回る。


 Bさんの国民年金国保保険料の額はともに、Aさんの厚生年金や健保を大きく下回る。しかし、税や社会保険料の種類ごとにBさんの納付額がAさんの何%に当たるかをみると、所得税が8%なのに対して年金は23%で健保が45%。年金や健保の負担感が強い。


 学者税理士らが昨年二月に設立した民間税制調査会は、昨年十二月独自税制改革大綱を公表。その策定作業で、問題点としてしばしば指摘されたのが国民年金保険料の定額制だ。会社員のAさんは厚生年金国民年金に加入しているので、図のように年金の納付額は異なるが「国民年金加入者は、ワーキングプアでも有名プロ野球選手でも、月額一万五千五百九十円で同額。これはおかしい」というのが、民間税調のメンバーの共通認識だ。


 国民健康保険料も定額部分の比率比較的高い。大綱では、社会保障制度の第一の問題として、低収入なほど社会保険料負担感が強まることを指摘した。


 公的年金については「高額所得者厚生年金保険料を上げては」「高額所得者年金を減らしては」といった意見もある。厚生年金保険料は、定額制ではなく定率制。「給与月額○○〜△△円は標準報酬月額(保険料を算定する基礎となる金額の一つ)○△円」という形で設定し、標準報酬月額に保険料率を掛けて保険料計算する。なので、収入が多いほど多く保険料を納める。ただ、現行制度では標準報酬月額の上限が六十二万円のため、給与が六十五万円の人と二百万円の人の保険料は同額だ。


 二〇一二年に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」では、標準報酬月額の見直し検討事項とされたが、いまも実現していない。高額所得者の老齢基礎年金額を減らす措置も、年金機能強化法案に盛り込まれたが、国会審議の過程で関連条文が削除され、先送りされた。


 有識者たちは「国民が税や社会保障に無関心だと、政治は動かない」と口をそろえる。消費税だけでなく、税や社会保障の仕組みにも関心を持つことが、国民に今、求められている。


2016年3月3日中日新聞」)

 (白井康彦)



日本年金医療保障社会保険運用されています*1その社会保険料負担は上記記事によれば、高所得者には負担感が軽く低所得者ほど負担感が重くなるとされています。その例として上記記事では、1)国民年金の定額制、2)国民健康保険料の定額部分の負担が高いこと、3)厚生年金保険料の標準報酬月額の上限が62万円に設定されていること等が上げられています。また、健康保険制度でも給与水準の高い大企業労働者が加入している健康保険組合保険料率は低く、給与水準の低い企業健康保険組合中小企業労働者が加入する協会けんぽほど保険料率は高くなっています

日本においては社会保険料負担社会保障負担)は、低所得層ほど負担感がつよく高額所得者にはそれほどの負担感を感じない逆進性があります特に医療費に関しては、国民医療費が40兆円近くなり財政を圧迫しているというイメージ財政基盤の弱い健康保険組合国民健康保険(滞納者が2割に及ぶ)をクローズアップし重い保険料にすべての国民が苦しんでいるかのような印象をマスコミ等を通じて多くの国民が持っていますが、実際には大企業健康保険組合健康保険料を引き上げる余裕のあるところもたくさん存在しています。重い健康保険負担をしている中低所得層がいる一方で、保険料もっと負担できる高額所得者企業存在していることに着目せずに医療給付抑制を言い出すのは間違っています

 医療保険については低所得者ほど保険料負担相対的に重く、保険料負担もっとできる余地のある高額所得者企業などの負担は軽いというのが医療保険の現状です。*2そして低所得者ほどそのしわ寄せの実害を被っており国民健康保険では保険証の取り上げというある意味生き死にの問題にまで及んでいます。かつての高度経済成長期であれば現行の医療保険制度でもそれなりに対応できていたのかもしれませんが、経済成長頭打ち高齢化非正規雇用者が増えてきた現状においては中低所得者負担感が重く高額所得者企業にそれが軽くなることが露わになっているようです。そして、多くの中低所得層国民から現在医療保険の仕組みに異議の声が小さいことが企業高額所得者社会保障負担という社会的義務をさぼらせることになっているのではないでしょうか。

  

*1:実際は社会保険料だけでは十分な財源が集まらないので、保険料の他に税金もいくらか投入されています

*2年金低所得者ほど負担の重い逆進性があることでは、医療保険課題は同じです。

2016-05-04

子どもの人口、35年連続減=1605万人で最少更新−総務省

03:30 | 子どもの人口、35年連続減=1605万人で最少更新−総務省を含むブックマーク 子どもの人口、35年連続減=1605万人で最少更新−総務省のブックマークコメント




  総務省が「こどもの日」に合わせて4日発表した15歳未満の子どもの推計人口(4月1日現在)は、前年より15万人少ない1605万人で、1982年から35年連続の減少となった。比較可能な50年以降の統計で、過去最少を更新政府地方自治体少子化対策に力を入れるが、少子化に歯止めがかからない実態が改めて浮き彫りになった。内訳は男子が822万人、女子が782万人。



 総人口に占める子ども割合は、前年比0.1ポイント減の12.6%で42年連続の低下、65歳以上人口割合(27.0%)の半分を下回る。人口4000万人以上の主要国と比べても、米国(19.2%)、英国(17.7%)、中国(16.5%)、韓国(14.3%)、ドイツ(13.1%)などを下回る最低水準が続いている。


(「時事通信」2016/05/04-17:13)




総務省 : 「我が国のこどもの数―こどもの日にちなんで―」


少子化に歯止めがかからない」 ― 日本はそのような社会になってますね。

 現政権を含め平成に入ってから少子化対策などまともにとられたことがありませんから、35年間、子ども人口が減るのも当然の結果です。

 少子化対策は、ただ単に保育所を増やせばいいというだけでなく、20〜30代の年齢層の雇用賃金を安定させたり、低所得ゆえの非婚化を予防するために貧困対策など、子育て支援貧困格差雇用包括的施策必要です。とりわけ、安倍政権ではこれらの施策に意欲があるかのような政治的発言はよく耳にしますが、その効果はほとんど表れていません。それは、安倍首相の意欲的な発言ほどには「雀の涙」程度の施策しかとられていないからです。とくに、酷いのは待機児童解消のために保育所基準を緩和して受け入れを増やす「詰め込み保育」施策です。これなどは大したお金もかけずに待機児童は減らせるものの入所している子ども安全にあまりにも配慮がありません。「お金をかけずに子ども安全犠牲にする」 ― 安倍政権とは少子化対策にまともに取り組めるとは考えられません。

 本気で少子化対策に取り組むのであれば、子ども一人に月額10万円・年間120万円を児童手当として所得制限なしに義務教育修了まで支給することです。これくらいの施策をとれば20〜30代で結婚を躊躇している人たちに結婚に踏み切るきっかけになるでしょう。もっとも、富裕層貧困層に二極分解し階級階層を固定したがっている安倍政権、また国民にはマイナスであっても自らの利権を守れるのであれば施策実施する官僚政治家利権が伴わない現金給付を「バラマキ」と決め付け、潰しにかかることは目に見えています

 日本の政治おかしくなっているのも、それは政治家官僚利権に目がくらんで国民利益になる政治行政が行われてこなかったからです。

2016-04-20

介保料滞納で資産差し押さえ、1万人超- 厚労省

20:22 | 介保料滞納で資産差し押さえ、1万人超- 厚労省 を含むブックマーク 介保料滞納で資産差し押さえ、1万人超- 厚労省 のブックマークコメント


介護保険料を滞納した結果、市町村によって資産差し押さえられた人は全国で1万人を超えることが厚生労働省調査で分かった。また、所得が低い人への独自減免制度単独減免)を実施しているのは、全国の保険者のうち約3割であることも分かった。【ただ正芳】


 厚労省では、全国の市町村1741カ所(保険者では1579カ所)を対象に、昨年4月1日段階の保険料などに関する調査実施した。

 介護保険料を滞納した人に対しては、市町村が書面によって支払いを求めるが、それでも対応がない場合は、預貯金や生命保険などの財産差し押さえ場合がある。

 さらに1年以上支払いがない場合は、サービス利用時の自己負担一時的ながら全額となる措置(償還払い化)が講じられる上、2年以上支払いがない場合には、一定の期間、保険給付が減額され、自己負担割合が1割から3割に引き上げられる。

 今回の調査では、滞納処分として差し押さえ実施した市町村は517カ所あり、処分対象となった人は1万118人いた。また、「償還払い化」の対象となった人は2586人、「保険給付が減額され、自己負担割合が1割から3割に引き上げ」の対象となった人は1万883人いた。

 調査では、利用者負担実施状況も示された。「社会福祉法人による軽減措置」(社福減免)を実施する市町村は1631カ所で全体の93.7%に達した一方、「障害ヘルパー利用者軽減措置」を行う市町村が569カ所(32.7%)にとどまるなどした。

単独減免実施保険者は約3割

 保険者のうち低所得者への単独減免実施しているのは498カ所(31.5%)だった。厚労省単独減免に関して、▽保険料の全額免除は行わない▽個別申請により判定する▽保険料減免分に一般財源を投入しない―の3原則を順守するよう保険者に求めており、これら3原則を順守していたのは459保険者92.1%)だった。

 また、地域密着サービス独自報酬を設定している保険者や、厚労相が定めた額を上回る、独自区分支給限度基準額を設定している保険者は、いずれも19カ所(1.2%)にとどまった。

CB NEWS 4月20日)



 介護保険料滞納で資産差し押さえられた人々は全国で1万人を超えているということです。介護財源を社会保険方式調達しているのが介護保険ですが、社会保険方式という財源調達方式低所得者負担感が重く高額所得者ほど負担感が軽いという特徴があり、「負担能力に応じて拠出する」という社会保障原則に照らしてあまり望ましいものとはされていません。近年、非正規雇用が増大してきていることを考えれば、将来、必然的介護保険料の納付に困る低所得高齢者*1も増えることは間違いありません。介護保障についても今の社会保険方式継続すれば、自然介護保険制度は維持できず崩壊するでしょう。

 俗に、「介護保険制度崩壊」というのは、少子高齢化と相まって要介護高齢者が増え現役世代が減り需給バランスが崩れる文脈で語られることが多いようですが、実際は富裕層企業等の負担能力不相応に軽く、中低所得層の負担が同様に重いことが介護保障保険)の崩壊を招いていると言えます。上記記事介護保険料滞納も低所得層の高齢者分不相応負担を求めていることがそもそもの原因です。介護保障の持続可能な制度とするためには、現在介護保険制度根本的に改革することが求められます。そのためには介護財源の調達に関して富裕層企業負担を増やし、中低所得層の負担を減らすことを改革の柱に据えなくてはなりません。

 しかし、介護保険滞納者に対して「償還払い化」(サービス自己負担一時的に全額負担になる)、「自己負担割合を1割から3割に引き上げる」、「資産差し押さえ」などの厳しい処分を課していますが、果たしてこのような罰則がつく制度社会保障制度の名に値するのかという疑問を素朴に感じざるを得ません。

*1流行言葉で言えば「下流老人」と言ってもいいでしょう