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遥香の日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-07-13

「子ども手当」は脱官僚の試金石

10:34 | 「子ども手当」は脱官僚の試金石 を含むブックマーク 「子ども手当」は脱官僚の試金石 のブックマークコメント

 昨年の総選挙では、民主党の目玉政策の一つだった「子ども手当」だが、その後に大切に扱われているとは言い難い。

 公平に見るなら、小沢一郎民主党幹事長が「公約は守るべきだ」という主旨で菅首相を批判している意見が「子ども手当」に対して擁護的なのを見落とすべきではないが、満額実施を訴える意見で目立つのはこれくらいのものだ。

 それ以外には、単に「バラマキ」と決めつけて批判する意見も含めて「子ども手当」に対する評判は宜しくない。

 しかし、筆者には「子ども手当」がそれほど悪いとは思えない。個々の子ども手当への攻撃を、子ども手当の背後にある思想と対比して見ると、子ども手当を攻撃している人たちの立ち位置がよく分かるように思える。参議院選挙投票が間近に迫っていることもあり、個々の政党候補者に言及し辛いが、「子ども手当」をいわば一つの試金石として、彼らの政策に対する姿勢を評価することができるのではないか。

子ども手当」が本来持っている思想とは、

子供の人数と年齢以外に条件を付けずに人を平等に扱う(単純で平等)、

負担と合わせて考えると低所得者に相対的に厚い富の再配分(貧者に優しい)、

官僚が権限や裁量を発揮したり、官製の事業に予算を使いOBを喰わせたりする余地がない(脱官僚)、

せ氾咾麓由で政府国民生活に介入しない(生活への不介入)、

といったことだ。

 これらの何に反対しているのかを見ると、反対者の立場や思想が分かる。

■「子ども手当」で官僚OBは喰えない

 まず、はっきり言おう。「子ども手当」は、官僚にとって美味しくないのだ。

 考えてみよう。子ども手当は、支給対象年齢の子ども(新たに日本国内に居住する子どもに限定された)に対して、何の条件も裁量の余地もなく、機械的に給付しなければならない。前回総選挙マニフェスト通りに子ども一人当たり月額2万6千円を支給するならば、年間5兆円強の予算を要するにも関わらず、官僚は権限をふるう場所がない。

 加えて、現金を給付するだけなので、保育園公園を作るような事業支出もないし、理事や職員で官僚OBを養うことができる年金基金健保組合のような基金を作ることもできない。高速道路ETCのような業者や官僚OBが儲かる仕掛けを作る余地もない。

 だから、何とか使途を制限して、例えば教育クーポンのような制度につなげようとする画策がある、と考えることが出来る。

 しかも、「子ども手当」は、大きな予算を喰って、その他の権益につながる支出の財源を圧迫するのだ。

 官僚は「子ども手当」を憎んでいるのではないかとさえ想像する。

■方々から叩かれた「子ども手当 民主党政権が生まれた直後から、幾つかのメディアは、マニフェスト現実的に修正することが大事で、子ども手当も支給額を見直す必要があると言い始めた。選挙終了直後からの公約破りのススメとは驚くが、「財源がないから、子ども手当は満額支給できない」という奇妙な理屈を流布し始めた。

 これがなぜ奇妙なのかというと、他の支出には予算が付いているからであり、また、既に新規国債たっぷり発行されているからだ。

政権党重要公約なのだとすれば、「子ども手当」に支出を回して、他の支出を削るのが自然だが、他の支出子ども手当を較べるという議論が政府筋からは出てこなかった。

 財源がないのに支出を増やすと新規国債の発行が増額される。国債発行の増額に問題がなければ、当面、その他の財政支出をそのままに、子ども手当も一緒に支出してしまえばいい。デフレ対策としても、その方が、好都合だろう。前回総選挙における民主党の第一番目の公約は「財政支出のムダの削減」だったのだから、その実現を期すればいい。幸い、ギリシャと違って日本長期金利は安定して低いし、インフレではない。

 しかし、今年度予算を決める昨年末に、官僚機構は当時の藤井財務大臣の口を使って、新規国債発行上限約44兆円という「蓋」を乗せた。子ども手当最初の半額支給(子供一人1万3千円)は仕方がないが、翌年度からの満額支給は阻止するという仕掛けだ。

 だが、国債市場の状況から見て、あの時点で44兆円にこだわる意味はなかったし、その後、国債の利回りはさらに低下している。

 今年に入ってからは、子ども手当の残り半分の財源を、待機児童解消のための保育園の拡充などに振り向けてはどうかといった、子ども手当の残額の「現物支給」化が取りざたされた。現金支給から、官僚が関わることのできる支出に変える動きだ。

 確かに、地域によって保育園は不足しているが、全国一律に保育園の増床が必要だという訳ではない。子ども手当の財源を振り替えるというのは、インチキ臭い話だ。

 ついに、「子ども手当」推進の先頭に立つべ長妻昭厚生労働大臣も、来年度の満額支給は財源の関係で難しいかも知れないと発言するようになった。厚労省内にどのような事情があるのかは存じ上げないが、予算の額が大きいのに、OBを喰わせる役には立たない子ども手当は不評なのではないか。民主党政権全体の都合もあるのだろうが、せめて彼一人ぐらいは、「子ども手当」の満額支給に向けて体を張るようなポーズだけでも見せておかなければならないのではないかと心配になるのだが、余計なことだろうか。

 もちろん、副総理財務大臣時代に官僚たっぷりレクチャーを授けた菅直人首相は、「子ども手当」に対して、全く冷淡だ。

■「子ども手当」への攻撃は続く

 攻撃側は、まだ手を緩めない。大手メディア官僚は持ちつ持たれつの緩やかな共同体だが、『読売新聞』は6月28日の紙面に「子ども手当 半額支給維持も容易ではない」という社説を掲げた。官僚への援護射撃だ。

 交渉術としては、「子ども手当」を半額にとどめるために、「半額の維持も難しい」と言って置く方が、半額でストップを「落とし所」に持って行きやすい。

 学者評論家からの横槍もある。

 選挙が近いこともあるので、論者のお名前は挙げないが、たとえば、「子ども手当」は他の支出に流用されないように「教育クーポン」で渡すべきだという意見がある。かつて流された「母親パチンコ代に」という言われ無き中傷が効いているのかも知れないが、情けなくなるほどの狭量だ。

 子供のいる家計にとって教育費は重要支出だが、常に「最重要」とは限らない。借金の返済が大事な場合もあるだろうし、子供も親も栄養のある美味しいものを食べたい場合もあるだろう。「子ども手当」の教育クーポン化は、子育てを狭く捉えた「意地悪」だ。それに、敢えて付け加えると、親が、合法的なストレス解消であるパチンコをすることに何ら問題はあるまい。自費でやる限り、官僚ゴルフをやっても問題ないのと一緒だ。

 また、法人税シンガポール並み(17%程度)に下げるために、子ども手当を無くせばいいという提言最近聞いた。ビジネスと資金の誘致のために、さらに資産価格上昇の効果を享受するために、法人税を引き下げることには賛成だが、「シンガポール並み」では効果はあっても限定的だし、何よりも、相対的に低所得者に厚い再配分を削って企業をより多く儲けさせようという政策変更は、些か低所得者に対する配慮を欠いていないか。

 ちなみに、法人税率の引き下げを、日本経済に大きなプラス効果を出すために使うなら、消費税率の引き上げ分(5%)を使って、法人税を廃止してしまうのがいい。それくらいやってはじめて、オフィス立地としての日本移転費用を払ってでもビジネス拠点を置きたい場所になるだろう。また、法人税に関わる業務が無くなることのコスト削減効果は、企業側でも、徴税側でも非常に大きい。ビジネス全分野に及ぶ莫大な効率化だ。

 もちろん、この場合所得税資産税・相続税の課税強化と共に、「子ども手当」的なフェアで広い範囲に届く富の再配分があることが望ましいだろう。

子ども手当」は、概ねフェアで、制度としてシンプルで、資源配分上の効率性を歪めない、「優しくて、自由な」制度だ。しかし、そうであるがゆえに方々で不人気なのだ。「子ども手当」のどこを嫌っているかを見ていると、政党候補者、さらには各種の論者の立ち位置がよく分かる。

DIAMOND Online  【山崎元マルチスコープ】「子ども手当」は脱官僚試金石 2010.07.07)

先日7月10日エントリーで、子ども手当を取り上げ、その文章の最後の方に「『子ども手当を批判しつつ保育所対策の充実』を訴えるオピニオンが、国民にあっという間に浸透」したことについて、その発信源はどこにあったのかという問を発して終わりました。その発信源が上記の山崎元氏の「『子ども手当』は脱官僚試金石」を読んでわかりました。情報源官僚であり、その広報マスコミ(特に「読売新聞」)が担ったということのようです。

子ども手当という現金給付は、官僚の権限をふるう場所がない。また事業支出もないので官僚利権をあさることができない。それゆえ、官僚現金給付を大変憎んでいてマスコミ自民党の応援を借りながら、反子ども手当キャンペーンをはり、それがうまくマスコミを通じて国民に浸透したようなところがありますね。

それなら民主党も、自民党官僚子ども手当に反対していることを明らかにして、官僚子ども手当よりも自らの利権につながる保育所対策に金を使いたがっているという論陣をはれば、子ども手当満額支給に対する国民の支持を取りつけられたのではないでしょうか。

10日のエントリーにも書いたことですが、子ども手当低所得層に対して手厚く、高所得層には少なく支給する所得段階別支給方式にすればよかったと思います。特に、就職氷河期リーマンショックで若年層の雇用不安定化が問題になっていますが、非正規採用低賃金に甘んじている状況では経済的な見通しがつかないことにより非婚化を進めたり、結婚していても低所得ゆえに子どもの数を制限したり経済的に苦しい状況にあることが子ども虐待につながる危険性が否定できないからです。親が若年で非正規社員、そして子どものいる家族に仮に子ども手当子ども一人に)10万円を支給すれば、子育てについて大きな経済支援になりますし、また経済効果としても所得が低ければ支給した手当は消費に向かいますから景気対策にもなります。さらには非婚化に歯止めをかけ一人っ子から2子、3子をもうけようという家庭も出てくるのではないでしょうか。そうなれば、少子化も反転していくことも期待できるのではないかと思います。今一度、子ども手当について検討しなおすことを求めたいと考えます。

このブログは11日の23時30分頃書いていますが、民主党議席自民党のそれに下回ることが確実になりました。場合によっては、子ども手当廃止の可能性も出てきました。その時、子ども手当官僚自民党マスコミ(特に読売新聞)の「鉄のトライアングル」で廃止に追い込まれたと言ってもよいでしょう。

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