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遥香の日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-11-19

保育の人材  支え手の不安定は困る(「京都新聞」社説)

18:06 | 保育の人材  支え手の不安定は困る(「京都新聞」社説)を含むブックマーク 保育の人材  支え手の不安定は困る(「京都新聞」社説)のブックマークコメント

 パートや非常勤職員という働き方が広がるなかで、全国の公立や私立の保育所に勤める保育士にも非正規雇用が増えている。全国保育協議会の調査では、全国の保育所の85・9%に非正規の職員がおり、非正規の保育士を雇っている公立保育所では2人に1人が非正規職員だ。

 全国の認可保育所の3分の1に当たる約8200施設の回答とはいえ、充実が求められる子育て支援現場不安定な働き方が増えている実態は改善すべきだ。

 調査の結果、非正規の保育士を雇っている公私立保育所は、前回に調査した2006年度に比べ8・2ポイント増えた。勤務する保育士のうち「非正規雇用が70%以上」と回答した保育所は9・4%あり、前回より5ポイント近く増加している。

 背景には、小泉政権が行った国と地方の「三位一体の改革」があるとみられる。04年度から公立保育所の運営費を地方交付税一般財源化したことが非正規職員の増加を加速させた。

 交付税の使途は限定されないため、財政難にあえぐ市町村人件費の安い臨時職員の採用を増やしたと考えられる。自治労最近の調査で、自治体職員の非正規職員の割合が33%を超えたことにも符合する。

 保護者要望多様化していることもある。夜間を含む長時間保育や一時保育に応えるために、正規職員では手が回らず、パート保育士が増えたという側面がある。

 雇用形態の違う職員がいることで、保育職場で円満な連携協調が図れているのか気掛かりだ。保育の質向上に欠かせない職員研修が十分なのかも心配される。

 親としても、非正規の保育士によるシフト勤務が常態化すると、顔も覚えていない保育士子どもを任せることになる。子どもの異変や健康状態の引き継ぎに支障はないのか。園児と心が通ってこその保育所である

 正規職員がいないと園外活動ができない規則がある保育所では園外に出られない日もあるという。園児へのしわ寄せは避けたい。

 政府の「子ども子育て白書」によると、子育て世帯の妻の86%が正社員パート仕事に就くことを希望している。働きながら安心して子育てするには、保育所の確保が欠かせない。

 社会保障と税の一体改革に関する民主自民公明3党合意では保育施設の拡充が盛り込まれた。厚生労働省来年予算の概算要求に保育所定員の7万人増を掲げている。量もさることながら、保育の質を高める議論にもぜひ取り組んでもらいたい。

[京都新聞 2012年11月10日掲載]



 上記「京都新聞 社説」は10日ほど前の記事ですが、少子化対策重要なことでもありますので取り上げました。

 「子育て支援」は社会保障・税一体改革で重要な柱の一つに位置づけられています。ところが、その「子育て支援」の中核とも言える保育所においては、保育士非正規雇用(公立保育所では2人に1人が非正規)が増加してきているということです。もっとも、保育士の非正規化小泉政権の「三位一体の改革」の影響ということであれば7、8年前から保育士の非正規化や質の問題は存在していたわけです。「子育て支援」を社会保障重要な柱の一つと位置づけた以上は、「保育の質」を左右する保育士身分保障は手当てしておくべきです。

 保育士の非正規化の背景には「三位一体の改革」のほかに、「女性雇用アンペイドワーク低賃金でも良い」というような考え(イデオロギー)が根強くあるように思われます。保育はもともと家族無償労働として女性によって行われていたもので、それを制度化して職業に位置づけてきた経緯があります。そこに本来自助努力でなすべきこ保育を公費で国や自治体が面倒を見るのだから保育所保育に対する対応は可能な限り必要最低限度対応で留めようと行政はします。つまり、保育所保育については国はできるだけ切り下げたいと考えているとみていいでしょう。そこに、保育士の担い手が女性でその賃金家計補助的な水準でも良いという「切り下げられる条件」がかつてあって、今もあるというように思われている状況が加われば、非正規職員で賃金切り下げも必然的な流れと言えるでしょう。

 特に保育士の多くは女性で、短大専門学校新卒採用された場合結婚を機に寿退職する例が多く勤続年数が短い。その背景に産休を嫌がる保育所雇用姿勢もありますが、低賃金ゆえに就労に固執しないと言うことも考えられます。毎年保育士を新規に採用してもそれと同数程度の退職があるので人材不足に歯止めがかからない。そこで、今は専業主婦子育てが落ち着いた潜在保育士を掘り起こして保育所採用ますが、その場合保育士時間就労をできるだけ短くなるよう希望する傾向があり、その層は非正規採用賃金水準必然的に低くなります。それに引きずられるように新卒者の身分も非正規に、賃金も低く抑えられてしまうという構造が出来上がっているようです。つまり、自治体財政難を埋め合わせに使える条件が制度的ないし構造的に保育所の側に存在しているということです。保育士賃金や身分の問題は「保育の質」に直結するものなのでこの悪循環を解決する必要があるのですが、なかなか手強い課題です。

 この課題の解決のために「これだけは」というものを一つ上げるのであれば、先に述べた、「女性雇用アンペイドワーク低賃金でも良い」というような考え(イデオロギー)を克服していくことです。かつての高度経済成長期には、女性が主たる担い手となる労働家計補助的な賃金でも良いと思われていたかも知れませんが、今は結婚した男女の多くは共稼ぎでようやく一家4,5人が生活していけるだけの収入を得られるような時代です。また、子どもを取り巻く問題は、家庭や地域視野にいれて対応しなくてはならないほど高度化・複雑化しています。「質の高い保育士」の確保は待ったなしです。

 

 そして、最後厚労省一言いっておきたいことがあります

 先日(9月14日)厚生労働省が発表した2012年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)では、《「非正規労働者の増加が低所得者層の増加につながっている」とし、社会保障の基盤強化や経済の持続的発展のため、国内消費を支える「分厚い中間層」の復活が必要と訴えた》*1わけですが、その厚生労働省管轄の施設で非正規保育士を増やし続けているようでは「労働経済白書」の主張も笑い話にしかならないのではないでしょうか。

 厚生労働省には「分厚い中間層の復活」の範を示すためにも保育士賃金水準雇用の安定化を図るようにして欲しいところです。