Hatena::ブログ(Diary)

女。MGの日記。

Info

プロフィール
● 「女。MGの日記。」の世界観ダイジェスト
● 対談ラジオやってます!MGの部屋

2008-07-30

[]没落エリートの出現―ビジネス社会から疎外される高学歴就職難民たちー 04:27 没落エリートの出現―ビジネス社会から疎外される高学歴就職難民たちーを含むブックマーク

京大は出たけれど・・・・・

主要な企業における2009年新卒採用活動はほぼ終了し、2010年新卒採用の動きが活発化している今日、就職活動は一生懸命しているにもかかわらず、就職先が見つからない、あるいは、希望の就職先に内定をもらえず不本意な企業に内定し悶々とした日々を過ごしている高学歴大学生がここ京都大学に存在する。

超売り手市場と言わる新卒就職市場においても、就職するのに四苦八苦する高学歴就職難民たち。これは、個人の問題ではない社会の問題である。


格差格差と言われるけれど・・・

ロスジェネ

ロスジェネという言葉がニートやフリーターなどの言葉と同じくらいに人口に膾炙するようになった。超左翼マガジンと銘打った「ロスジェネ」という雑誌も新たに刊行された。

ロスジェネとは、ロストジェネレーションの略であり、就職超氷河期(1990年代という「失われた十年」)に社会へと送り出された20代後半から30代半ばの世代を指す言葉だ。ロスジェネは、産業構造の変化、ソ連崩壊、グローバリゼーションの影響、など様々な社会要因によって新卒就職に失敗し、非正規雇用に甘んじ、ワーキングプア、フリーター、ニート状態となっている。雨宮処凜を筆頭とした人々が、「生きさせろ!」と大声張り上げて、ロスジェネを主体とする階級闘争を、正社員などの既得権益層や、年長世代に挑んでいる。


エリートの再生産

佐藤(2000)は、『不平等社会日本』において、もはや日本は総中流社会ではなく、出身階層によって学歴や職業が規定されてしまう傾向があり、エリートの再生産構造、社会格差の再生産構造があることを指摘した。



没落エリートの出現

様々な格差論がある中で、二つの格差論を限定して紹介したのにはわけがある。というのも本ルポにおいて私が、提起する「没落エリート」という概念に、ロスジェネ問題、エリートの再生産問題も関連するからである。

没落エリートとは高学歴でありながらも、ビジネス社会において疎外される人々を指す言葉である。没落エリートが欠如させているある能力に関してロスジェネにも関連性が見出せる、そしてこれは今後社会の大きな問題になる可能性がある。また、没落エリートは、佐藤の分析では見えてこない。というのも出身階層が高くその結果、高学歴を取得した後に、ビジネス社会に適応できるかできないかで2極化がおこっている現状があり、佐藤の分析では、ビジネス社会に適応できた人々だけに焦点があてられているゆえ、没落エリートの存在が隠されてしまっているのだ。

以下において没落エリート出現の背景にあるものを分析する。


没落エリート出現の背景


武士の商業が揶揄されたのはいつだったか?歴史を紐解けば、それは明治維新の時代であった。明治維新をきっかけとして、武士は従来の特権を剥奪され、四民平等が推し進められた。刀、丁髷から商売へと、多くの武士が慣れない商売ゆえに商売を失敗させて没落していった。明治維新以降、身分などの属性ではなく、人々の能力による業績によって社会的位置づけを行う社会が誕生したのだ。そのような社会をメリトクラシー社会と言う。

しかし、昨今メリトクラシー社会における社会的位置づけ機能としての「能力」の内容が変質してきているのではないか?という問題提起を行い、メリトクラシーからハイパーメリトクラシーへと社会が変化していると述べたのは、本田(2005)である。

本田は、その変質を明らかにするために、近代型能力とポスト近代型能力の二つを紹介している。


近代型能力』基礎学力、標準性、知識量、知的操作の速度、共通尺度の比較可能、順応性、協調性、同質性

ポスト近代型能力』生きる力、多様性、新奇性、意欲創造性、個性、能動性、ネットワーク形成力、交渉力


本田によると、ハイパー・メリトクラシー化とは、消費化、情報化と文化や価値の多様という社会的背景のもとで、それ以前のメリトクラシーのもとで重視された「近代型能力」に追加される形で、意欲や創造性、コミュニケーション能力などのより不定形な「ポスト近代型能力」が、個々人が社会を生きる上での重要度を増大される現象を指す。


まさに、フォーディズム資本主義からポストフォーディズム資本主義への以降において、能力を測る物差しが変質していたのだ。本田の言うメリトクラシーからハイパーメリトクラシーは、IQからEQへ、官僚タイプから起業家タイプへ、京大から慶応SFCへの流れとまさしく対応するのである。



高学歴就職難民現象の顕在化

学歴コミュニケーション能力の有無によって4つの類型を取り出してみよう。


A学歴もコミュニケーション能力もある。

B学歴は高いが、コミュニケーション能力が低い。

C学歴は低いが、コミュニケーション能力が高い。

D学歴もコミュニケーション能力も低い。


就職活動において個人の思い通りの結果を手にし、終身雇用が保証されない社会でありながらも自在に自らのキャリアを主体的に構築してける人々は以下のような順番にその可能性が高くなるのではないだろうか。


A>C>B>D


そして高学歴就職難民は、Bの類型に分類される人々だ。

しかし、彼、彼女らを自己責任だといって、見てみないふりをしてもはたしていいのだろうか?高学歴就職難民が生じる背景には、資本主義がポストフォーディズム資本主義へと移行しているにも関わらず、教育内容が、時代遅れであるという大きな1つの原因があるように思う。

Bに分類される人々は日本においてかなりの数存在していると思われる。ロスジェネの人々の中にもBやDに分類されるような人々が多くいるに違いない。仮にロスジェネの運動が成功し、彼ら、彼女らが正社員になれる日が来たとしても、今度は、ポスト近代化能力の有無によってまた新たな格差が広がるのではないだろうか?

また、ポスト近代化能力は、非物質的生産を行う場合に必要なコミュニケーション能力などの情動的な能力を必要とする。したがって、肉体的なレベルのみならず精神的、人格的なレベルにおいても経済活動に取り込まれることになるのだ。その時、ただならぬ疎外感を味わう人々が出現するのは目に見えている。

これらの問題をどう解消していくのか、とても重要な課題であると考える。


没落エリートという現象は自己責任の問題ではない、変化の激しい時代には必ず生じる社会問題なのである。没落エリート、ロスジェネ、ポスト近代化能力の育成問題、これらは同じ地平を共有する問題なのだ。


続きはこちら→弾氏への応答


記事を取り上げて頂きました。

J-castニュース

2チャンネル

アメーバニュース


参考文献

多元化する「能力」と日本社会 ―ハイパー・メリトクラシー化のなかで  日本の〈現代〉13多元化する「能力」と日本社会 ―ハイパー・メリトクラシー化のなかで 日本の〈現代〉13
本田 由紀

NTT出版 2005-11
売り上げランキング : 131820

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


生きさせろ! 難民化する若者たち生きさせろ! 難民化する若者たち
雨宮 処凛

太田出版 2007-03
売り上げランキング : 5350

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


不平等社会日本―さよなら総中流 (中公新書)不平等社会日本―さよなら総中流 (中公新書)
佐藤 俊樹

中央公論新社 2000-06
売り上げランキング : 53309

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/iammg/20080730/1217359666