日本の桜
すっかり暖かくなり、各地の桜の便りが届くようになりました。
3月に開催したモラエス研究会で、モラエスによる桜の記事を紹介しましたが、一部を抜粋します。
西洋の学者が軽蔑して、prunus pseudo-cerasus(にせのさくら)とラテン語で名づけられてている日本の桜は、飢えためんどりさえ振り向いて見ない、役にたたぬ小さい実がいくらかなるもので、しかも、その花も花盛りでもちっとも美しくないものと言っているのだが、実に美しいということを、知らぬ人にはお知らせする。
モラエスが、小さい実が成るprunus pseudo-cerasus(にせのさくら)と記した桜は、カラミザクラ(唐実桜)のことです。名前の通り中国から入ってきた桜で、サクランボより小さな実が成り、食用にしています。
モラエスは、このカラミザクラと、ソメイヨシノに代表される観賞用の桜を、わざとかもしれませんが、混同して記事に書いています。
サクラの世界各地に多様な種が存在し、ヨーロッパでサクラといえば、サクランボを収穫するいわゆるチェリー、和名ではセイヨウミザクラ(西洋実桜)が一般です。当時日本に来たヨーロッパ人の中には、日本の桜は実が成らないことをあげつらう人もいました。サクラの仲間には、自家不和合性という性質があり、クローンばかりのソメイヨシノは受粉しても受精しないため実が成らないのですが、異なる種類の桜とだったら実が成ります。
さて、カラミザクラについてですが、学名というものはちょくちょく変わるもので、現在の学名は、Cerasus pseudocerasusとなっています。「にせのサクラ」を意味するpseudocerasus の部分がそのままになっているのは可哀想ですね。
次回研究会開催ご案内
次回の研究会・読書会は下記の日時で開催いたしますので、奮ってご参加ください。
研究会例会・読書会:
日 時: 令和6年4月27日(土) 10時30分~12時
場 所: 徳島大学総合科学部1号館・ゼミ室6
(下のキャンパスマップの赤丸で示した場所です。)
参 加 費: 無料(申し込み不要)
読書会の内容:資料はその場で配布予定です。
※お車でお越しになる場合,駐車場(工学部の正門ゲートを通って図書館南側駐車場)が利用可能ですが,できるだけ公共の交通機関をご利用ください。なお,ゲートに守衛さんが不在の時には,インターホンで来意をお告げください。
お問い合わせ先:
徳島大学大学院社会産業理工学研究部
佐藤 征弥
電話:088-656-7222
メールアドレス:satoh.masaya@tokushima-u.ac.jp