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ibaibabaibaiの日記

2011-09-06

統計神経科学 ミニワークショップ

ミニ・ワークショップのお知らせ

#部屋が狭いので外部から来られる方(特に複数連れ立って)

はできればなんらかの手段で連絡を・・


脳は情報をどのように符号化しているか

― 神経スパイクデータ解析の最近の話題

日時:9月8日(木)15時〜17時30分ごろ

場所:4階ラウンジ

脳科学における古典的なテーマである神経スパイク解析も,多数のニューロンを同時

に計測する技術の確立,状態空間モデルや階層ベイズモデル,一般化線形モデルなど,

現代的な統計モデリング技術の全面的な導入により,転機を迎えていると思われます.

このワークショップでは理研研究員の島崎秀昭氏と本研究所の小山慎介助教にお願

いして,最近の研究についてまとまったお話をお願いすることにしました.

この分野の基本的な話や現在の研究の動向からはじめて,統計モデリングの方法が

神経コードの解明にどのように役立つかについて議論していただく予定です.

(特に要望がない場合,講演は日本語で行います)

キーワード

状態空間モデル,対数線形モデル, 動的スパイク高次相関,神経コード,

rate code / temporal code

アブストラクト

■島崎秀昭 (理化学研究所脳科学総合研究センター 神経適応理論チーム研究員)

脳の高次機能と動的高次スパイク相関:状態空間モデルによる解析

神経細胞集団の同期的スパイク発火活動が神経系の情報処理に重要な役割を果た

しているとする仮説が古くから提唱されています.この仮説に従えば,個々の神経細

胞の発火頻度だけでなく,スパイク時系列間の同時刻相関構造にも外界情報が符号

化されている可能性があります.特に,外部刺激等を起因とする共通入力を受けた細

胞集団の発火活動は2次相関だけでは表現できない可能性があり,高次スパイク

関と外部刺激・動物の行動との関係を明らかにすることが求められています.スパイク

高次相関は対数線形モデルを用いて情報幾何の枠組みで定義することができます.

行動に応じて生成される動的な高次スパイク相関構造を推定するために,私達は対数

線形モデルを観測モデルとする状態空間モデルを考え,遅延課題中のサルの運動野

神経細胞の同時記録スパイク時系列に適用しました.

この結果,運動開始の合図があるまでの準備期間(腕が動いていない状態)の神経

活動において,行動開始に対するサルの内部期待の高まり(運動開始信号の不確か

さの減少)と共に,発火頻度とは独立に3次スパイク相関が上昇する活動が見られま

した.スパイク高次相関と脳の高次機能との関係を示唆する始めての報告です.高次

スパイク相関の検出には周辺尤度比(ベイズ因子)を用い,有意水準を決定するために

サロゲートデータ(対象の高次相関のみが存在しないという帰無仮説の下で生成された

データ)を作成・使用しました.

一連の研究により,神経スパイクデータから細胞集団の動的な協調活動を検出し,動物

の認知・行動に果たす役割を明らかにするための解析技術が実用段階に達したと考え

ています.

本研究は甘利俊一(理研), Emery N. Brown(MIT), Sonja Gruen(Julich)(敬称略)との

共同研究です.


■小山慎介 (統計数理研究所 数理・推論研究系)

On the Relation between Encoding and Decoding of Neuronal Spikes

Neural coding is a field of study that concerns how sensory information is

represented in the brain by networks of neurons. The link between external

stimulus and neural response can be studied from two parallel points of view.

Neural encoding refers to the mapping from stimulus to response, and it is

mainly focused on understanding how neurons respond to a wide variety of

stimuli, and constructing models that accurately describe the stimulus-response

relationship. Neural decoding, on the other hand, refers to the reverse mapping,

from response to stimulus, and the challenge is to reconstruct a stimulus from

the spikes it evokes. Although these two perspectives are closely related with

each other, neural codes that are defined from one viewpoint generally differ

from those defined from the other viewpoint. Here, we address this problem in

terms of two coding schemes: rate coding and temporal coding. We show that

when neural codes are defined in terms of encoding, temporal decoding does not

necessarily mean decoding a temporal code that the rate decoder fails to read,

but also decoding certain rate codes with greater efficiency than the

rate decoder.