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2010-09-28 小牧市市議会議員選挙候補の皆さんへ

 9月29日の中日新聞近郊版に、今回、小牧市市議会議員選挙に立候補された方々の、小牧市図書館計画に対する賛否掲載されていた。

f:id:ichi-nagoyajin:20150929192020j:image:w360:left こうしたアンケートの常として、限られた字数(今回は30文字)の中で、この問題に対する所信を表明される事は、大変に困難で、考えられている事の万分の一も反映できていないとは思いますが、とりあえずここに表明されたご意見に対して、少々所見を述べさせていただきたい。(以下、文中、各候補者の方々の敬称は略させていただきます)

 また、こうした意見に対して、対応する事が、小牧市有権者の方々の中で、まだ住民投票について判断を決めかねている方々にも参考になれば幸いです。

 32名の候補者の内、新図書館建設に「賛成」と表明された方は13名。
 「反対」と表明された方は11名。「(無回答)、熟慮中、どちらとも決めていない」と回答された方が8名という分類になった。

 「賛成」と表明された方々でも、大きく分けて4つにご意見は分かれているように映る。


 見直し、必要性重視、駅前活性化住民投票重視の4つの立場である。

(賛成・見直し

駅前のにぎわいと智の拠点として必要。ただし、再考が必要」
(野々川嘉則・無所属・新)
「基本的に必要だが、疑念も感じるため、計画を修正させたい」
河内伸一・自民・現)



 やはり、最近になって露わになった「ツタヤ図書館」の「選書問題」などが「疑念」を生じさせているのかもしれませんね。市当局は「小牧市ではそんな事は起きない」と説明していますが、武雄市海老名市の職員も、別に無責任に進めていたわけではないでしょう、同じ問題が小牧市において起きないという保証はどこにもないと思われるのです。

 このご意見には私はまったく同意します。であれば、賛否については「反対」を表明された方が良いようにも思うのですけど。(まあ、お立場もあるのでしょう)

(賛成・必要性重視)

子どもたちの学ぶ環境を整えることは、大人の責任、責務である」
舟橋秀和・自民・現)
「現図書館老朽化し、15万3000人余の市民に必要と考えるから」
(小島倫明・自民・現)
「現在の図書館老朽化し、手狭になった。新しい図書館は必要だ」
鈴木英治自民・現)
「現在の図書館高齢者にやさしくなく、老朽化も進んでいるため」
(舩橋厚・無所属・現)
「現在の図書館は、非耐震・老朽等問題があり建て替えの必要がある」
(稲垣守・自民・現)


 私個人は、こうしたご意見にまったく異論はありません。
 まったくその通りだと思います。

 しかし、であるなら、既に市民意向を十分に反映した「新小牧市立図書館建設基本計画」にそった建設を進められれば、問題も起きず、スムーズに建設が進むと思う次第です。


(賛成・駅前活性化

小牧の中心市街地活性化および図書館老朽化、狭隘化のため」
(松田喜久男・無所属・現)
老朽化が進んでおり、建て替えは必要。駅前活性化は必要不可欠」
(兼島敏緒・無所属・新)
「将来の小牧を背負う子どもたちのため全国に誇れる図書館駅前に」
(丹羽浩・無所属・現)



 「駅前活性化」は繰り返し主張される事ですが、これについては論点が二つあります。

 一つ目は、そもそも図書館は賑わいを創るのか?という論点です。
 名古屋市丸の内愛知県図書館があります。県の中央図書館で、日曜日ともなれば来館者で駐車場の入り口は長蛇の列になります。しかし、周辺に店舗や賑やかさがあるとは思えません。鶴舞公園には名古屋市の中央図書館があります。ここも利用者がひっきりなしに出入りしていますが、周辺の商店が賑わうという事は無いように思えます。

 基本計画策定時に、「小牧市図書館整備計画委員会」より、「新小牧市立図書館建設基本計画に伴う意見書」が提出されました。この意見書にはこう記載されています。

 新図書館が多くの市民に親しまれ、それに繋がる地域の賑わい創出のため、集客力のある施設との複合化を検討されることを望み、意見書として提出いたします。

「新小牧市立図書館建設基本計画に伴う意見書」


 つまり整備計画委員会は、図書館そのものに集客力を担わせるというような考え方はせず、図書館にも親しんでもらえるよう、「集客力のある施設との複合化」が必要であると意見書を提出されているのです。

 図書館そのものに、または図書館書店、カフェを融合させた施設に、どれほどの集客力があるのか、非常に疑問です。

 二つ目は、それが持続可能であるか。ということです。
 いわゆる「ツタヤ図書館」については、佐賀県武雄市で初めてオープンした際には、各メディアなどで紹介された事もあり、来館者数も多かったようです。(図書館利用者より、その様子を視察に来た県外の議員図書館関係者の方が多かったのではとも言われています)

 しかし、そのブームも過ぎればそのような来館者は期待できません。
 さらに、武雄市海老名市などに続いて2番目、3番目ともなれば、その新規性は失われます。

 そもそもそのような来館者を求める事は、本来の図書館機能と言えるのでしょうか?

 武雄市図書館の利用は減っている(来館者数、貸出冊数、貸出者数、Tカード登録割合、市内利用割合) - dechnostick's blog

(賛成・住民投票重視)

住民投票尊重します。老朽化問題と駅前活性化資する
(玉井宰・無所属・現)
住民投票の結果を尊重し、議会人として行動します」
長田淳・無所属・現)
「過去の議会議決尊重し、住民投票の結果を考慮します」
(熊澤一敏・無所属・現)



(無回答・熟慮中・どちらとも決めていない)

民意尊重し、慎重に判断していく」
(谷田貝将典・民主・現)
住民投票の結果を尊重し、新図書館建設計画の是非を判断する」
橋本哲也・公明・現)
「より多くの市民の皆様の声を聞き、充分検討した上で判断したい」
(木村哲也・無所属・新)
住民投票の結果を尊重します」
(佐藤大五郎・無所属・新)
住民投票尊重したい、その結果によって是非を判断したい」
(稲垣衿子・公明・現)
「次世代を担う未来の子どもたちのために、新図書館は必須だ」
(澤田勝已・自民・現)
「新図書館建設計画は、住民投票の結果を尊重した上で判断する」
(加藤晶子・公明・現)
住民投票になりましたので、市民の皆さまの意見を聞き、考えたい」
(小川 真由美・民主・現)



 さて、賛成派、無回答、考慮中の方々。
 皆さん、今回の住民投票の結果を注目し、その意見を尊重したいとおっしゃっています。

 一見、もっともらしく思えるのですが、ある意味最も危険な立場にいらっしゃいます。

 この論点も2段階あります。

 まず、一段階目。今回の住民投票が、公正に行われていると言えるのかという問題です。

 4回にわたって行われた住民説明会、さらに、公費を使って市内全戸配布される住民投票のご案内チラシ。これらは山下市長の進めようとしている現行図書館建設計画の内容を説明するものであって、「現在の新図書館建設計画」に問題がないと説明されているわけです。つまり、この住民説明会やチラシは、「賛成」に丸を書いてもらえるよう、市当局としての「言い訳」を述べたに過ぎないのではないでしょうか?

 また、内容においても矛盾があります。

 ユニバーサルデザインに留意していると言いながら、7段や9段にも及ぶ高層書架を備えるという方針は、低層書架を使う*1とした基本計画に反しているばかりでなく、この現行計画内においても矛盾した説明です。

 つまり、議会の定めた住民投票条例(9条)の求める適正な情報の提供も、その中立性も担保されていない状態で、手放しで住民投票の結果だけを重視するとされる事は、民意を違えることになりかねません。


 更に、市はこれらの説明の中で「現在の新図書館建設計画」は「新小牧市図書館建設基本計画」を踏まえていると説明していますが、そうでしょうか?

 基本計画では「第10章 開館までの準備」で

 設計事務所の選定から、基本設計、実施設計の間に、市民から意見を聞く会を開きます。


 と明記されています。

 にもかかわらず、小牧市の示している「新図書館の建設」のスケジュールには、
 市民に対して説明をしたり、意見を聞くという予定は盛り込まれていません。

f:id:ichi-nagoyajin:20150929185354j:image:w640
新図書館の建設|小牧市
2015-09-27

 連携民間業者から、3回も「アドバイス」を仰ぐことは明記されているにも関わらずです。

 山下市長や、市当局は基本計画を踏まえていると言いながら、市民意見を聞く予定も立てず、連携民間業者意向を伺う機会ばかりを作っているように見えます。

 さらに、住民投票において、こうした指摘を市民には伝えず、建設推進に向かう立場での説明に公費を使っているのです。

 こうした不適切、不公平な状態で、唯々諾々と「ツタヤ図書館」を小牧市に造って、果たしてそれは持続可能なものでしょうか?

 7層も、9層もある高層書架の前で、戸惑う高齢者車いすの方に、それでも「この図書館ユニバーサルデザインに留意して造られています」と説明できるのでしょうか?

 今はまだ、紙の段階ですから。幾らでも「ごまかし」は効くでしょう、しかし、出来上がってしまえば、その図書館は基本設計に描かれたものとは全く異なることが明白となります。

f:id:ichi-nagoyajin:20120102184836j:image:w360:left 図書館は、一回建ててしまえば、20年、50年と使われていきます。
 子や孫の代になって、「おじいさん、おばあさんたちはヘンテコで不便な図書館を造ったものだ」と言われないためにも、住民投票の結果にかかわらず、今一度、基本計画に、小牧市民の民意に、立ち戻る勇気を持っていただきたいと考えます。

平成27年9月29日 公開)





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*1:そういえば、現在の小牧市役所の執務室は、各部門間を低層の書類棚で仕切って、開放的な空間を演出していますね