市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

河村流文化の弊害

 今日は思わぬ人から「行方知れずになっていた市議さんは見つかった?」と聞かれた。日頃市議会に興味の無い市民に興味を抱かせる。「おもしれぇナゴヤ」を演出しているのだろうか?

 報道では河合市議が問題となっている視察旅行について、「私的旅行である」という認識を文章で示したということになっている。その文章(河合市議弁明書、以下単に「弁明書」)を入手した。

 本日(7月20日)はもう一つ重要な事柄が発生した。
 リコール署名の収集主体である請求代表者が記者会見を開いたのである。
 10名の請求代表者の中から河村事務所の平野一夫氏が請求代表者としてコメントを発表した。このコメントについても噴飯物、無責任、身勝手にも程がある代物で、憲法まで持ち出しているがそもそも法の解釈自体がムチャクチャな代物であって、よくぞここまで酷い法解釈で社会人として生活できたものだと、ヘンに感心してしまう。
 この記者会見については確認したい事もあるので稿を改める。

 また、書けと強く要請されている事柄についても簡単に述べる。
 (山田市議のブログで展開されている、これも身勝手な言い分に対する批判だ)

河合市議弁明書

 その前に、河合市議の弁明書から。

 弁明書はワープロ打ちの一枚紙。「名古屋市会事務局長宛の補足説明」となっている。

 7月3日に事務局長が聞き取りを行い。その際の不明な部分を、更に事務局長より問い合わせた文章が河合市議に送られ、それに答える形となっている。

 利便性を考えて、両者の文章を編集して一つとして扱う。
 読み易いようにセンテンス毎に改行を入れるなどの修正は行うが文章には手を入れていない。(「問いN:」が事務局長からの問いかけで「回答N:」が河合市議からの回答である)

 問い1:今回、旅費の返還を申し出た理由

 回答1:元正副委員長*1三名にて、経過説明補助職員等を同行することは肯定するが事前の申請をするべき注意不足だった。
 視察先での対応その後の視察先からの苦情・注意喚起なども視察時、視察後も杉並区議会事務局から名古屋市会事務局にはなく視察先に不利益もかけていないが、視察費用返還を含め会派にて決めるように委員長副委員長とも不注意喚起*2を受けた。
 委員長副委員長に従い会派にて杉並区の派遣条件を鑑み、会派としては私的旅行であるため視察費用を返還し深謝した。

 問い2:委員派遣の実態
  問い2(1):座高円寺を調査先に選んだ理由、調査時間、調査先でのやり取り等

  回答2(1):次世代の公立文化施設として稀有な座高円寺を視察し公立劇場の現状と課題を調査する。調査時間午前午後*3。地域への寄与、組織体制・経営・指定管理者と行政の連携、地域活性化、地域劇場、地域に根差した劇場つくり、商店街や町内会・地域社会とのコミュニチィ*4再生、4大祭り、高円寺阿波踊り高円寺びっくり大道芸高円寺フェス高円寺演芸祭りなど。
 事前に緑文化小劇場館長より名古屋市指定管理者としての名古屋地域劇場の現状の聞き取り視察において専門管理者としての視点も聴取し質問等勉強し視察に臨んだ。
やり取りとしては上記を鑑み、独自施策について
施設のコンセプトと特徴について
旧高円寺会館の総括
設置目的
運営体制
組織体制
劇場経営のアーツマネージメント
イベント利用状況、予算、ジャンル事業
特に特徴をだしたい事業
今後考えていること
地域コミュニチィ*5との協働
地域課題要望改善
運営状況 行政との連携 ボランチィア*6の関わりなど

  問い2(2):調査に同行したとされる女性の住所、氏名、職歴、所属等

  回答2(2):わからない

  問い2(3):調査に同行したとされる女性が本件派遣において果たした役割、
        アドバイスの内容等

  回答2(3):特にない

  問い2(4):12月17日(土)から18日(日)までの宿泊先、行程等

  回答2(4):わからない


 以上が弁明書となっている。
 当初、同行した女性は「舞台芸術の専門家」でアドバイザーとして同行してもらったと釈明していたが、アドバイスの内容などについては「回答2(3)」で「特にない」と答えるなど、不自然と言うよりもシンプルに「単なるデートだった」と解釈したほうが自然だろう。

 興味深いのは「杉並区議会事務局から苦情もなく〜不利益もかけていない」という認識である。公務としての視察に女性を同伴したというのであれば、先方に対しては不利益というよりは規則違反の同行者を連れていたという、ある意味形式的な迷惑をかけただけで済むかもしれない。それでもやはり問題は問題だが。しかしこの文章では「私的旅行である」という認識になっているのだから「私的なデート」に先方の区の職員を付き合せたのなら、完全にその職員の人件費という公費の個人的消尽であり、その程度の事が先方である杉並区からの正式な申し出が有る無いに関わらず理解できないのであれば、公職者としてはあるまじき見識の低さだ。

 「委員長副委員長に従い会派にて杉並区の派遣条件を鑑み、会派としては私的旅行であるため視察費用を返還し深謝した」という表現は、つまり結局「河合個人としては謝罪はしない」という事なのだろうか?

 こんな文章をそれこそ杉並区に送ったら、諦めかけていた先方を却って怒らせる事になるような気がする。私も社会人として様々な取引で謝罪文を書いたり受取ったりした覚えはあるが、こんな酷い文章は受け取った事が無い。読んだ事はある。若い部下が書いた「謝罪文」や「事情説明」にこの類は散見される。
 そういった場合には大抵、その社員と会議室に篭もって「説教」になるだろう。

 これは例えば「南京発言問題」での河村市長の対応でも見られるが、河村流文化とでもいうものなのかもしれない。

河村流文化

 彼等にはこの社会は「敵」と「味方」が居るようだ。

 自分に対して批判をしたり、自分を承認しない人々は「敵」であって、彼等はそういった他者と会話ができない。そういった人々に対しては「排除」しか考えが及ばない。

 コミュニケーションの成立条件は、彼等を取り巻く周囲の他者が「折れて」彼等の我儘を聞く以外にない。つまり河合市議や河村たかし周辺の人々は徹底的に幼い子どものままなのである。(後に述べる山田真奈氏も幼稚であれば、その後ろに見え隠れしている庶民連もあまりに幼稚だ)

 人間は主観的には肯定的なものだろう。

 もっと簡単にいうと、自分自身を徹底的に否定している人間など居ない。

 つまり自分から見れば、常に自分は正しく、周囲から批判されたとしてもそれは「誤解」で、当人には何かしらの「正しい思い」があるのであって、それがたまたま実現できなかったり表現できないだけだ。

 とでも言いたいのではないだろうか?

 例えば河村市長の南京発言問題でも「『いわゆる南京事件』を否定したのであって、30万人という被害者数について議論したと申し入れたのである30万人という被害者数について議論したいと申し入れたのである」としているが、当日の発言では「いわゆる」という言葉は正常にかかっていない。
 2012-05-19

 これは誤解ではなく、河村市長の側の表現力の誤りである。

 河合市議も、彼の中には、この女性を同伴して公費としての視察に出かけるだけの理由があるのだろう。だから彼としては謝罪もしないが、「会派としては〜深謝した」という事になる。
 彼(河合)本人は謝罪もしないし過っても居ない。
 河村たかしも謝罪しないし過っても居ない。

 (リコール署名流出問題や様々な問題で、追求、質問を受けると河村たかしは「半笑い」を浮かべる。この「半笑い」自体が問題から自我を切り離して自我を防衛する行為に思える)

 特に、この弁明文で奇異に感じるのは「回答2(1)」だろう。「座高円寺を調査先に選んだ理由、調査時間、調査先でのやり取り等」という問いかけに対して何を主張したいのか不明なままの文章がダラダラと続く。
 様々な事柄を列挙しているが、それらの事柄のつながりも不明なまま、単なる思いつきの連想ゲームさながらに言葉を連ねている。

 このダラダラとした文章を敢えて一言で要約すると、「僕はこんなに頑張ったんです(だから、勘弁してください)」となるのではないか。

 河村たかしにしても、減税10%が5%に圧縮され、地域委員会は事実上市民からそっぽを向かれ、議員報酬に関しても制度的破綻がお膝もとの減税日本ゴヤから見えてきている。(そして、先日指摘したように、その議員報酬半減で得られた歳費で「子ども医療費助成制度」が成立したと思っているのであれば事実誤認も甚だしい/この誤りは富口市議が同様に議員報酬半減で待機児童対策がかなうと思い込んでいた誤りに似ている)

 それでいて河村たかしからはこれら公約の破綻について釈明は聞かない。

 自己正当化の言葉ばかりである。

 河村たかしも「僕はこんなに頑張ったんです(だから、勘弁してください)」と言いたいのだろう。

 この世の中は不条理なものだ。
 いくら努力をしてもなかなか成果が上がらない。その逆に、たまたまの強運に見舞われれば、さしたる努力もせずに成果を得ることもできる。主観的な努力や、労力の積上げが空しくなるような星の巡りや時の運といったものの影響の強さを感じる。
 しかし、だからといって努力や苦行を否定して、すべてを時の運や「神の意思」に委ねるのは不健全だ。童謡「待ちぼうけ」は嘲笑の歌だった筈だ*7。こうやって「運」に支配される人間はなんとか努力を肯定しようとする。

 「運」という不条理を、人の世が成立するように吸収しなければならない。その為の知恵が「他人に対してはその労を認め、自己に対しては結果責任を求める」という人の上に立つ者の姿である。
 しかし、幼稚な者は「自己に対してはその労を言い立て、他人に対しては結果責任を求める」のであろう。

 河村たかしの周辺、減税日本は組織として成立しない。
 河村たかしの周囲から人が消えていく(それも有為な人ほど早く消えていく)理由は、河村たかし自身が周囲の人間を、己の自己正当化の道具として使い捨てにするからだろう。

事実誤認の山田真奈

 山田真奈氏のブログで続いている「議会改革推進会議小委員会についての公開非公開議論」で同氏は次のように述べている。

 小委員会でのとある私の発言が自民党さんから、「不祥事騒動」と銘打たれ、「懲罰の対象の恐れがある」と書かれた紙をいただき、第一次山田まな言論封殺の危機に遭遇しました。(略)その場で委員長に了承された私の発言が、あとになって歪曲され「懲罰」という文言を突きつけられた時、「ああ、非公開の弊害だなぁ」と思いました。

http://yamadamana.exblog.jp/18374845/

 「小委員会でのとある私の発言」は概要こちらに掲載した発言である。
 2012-07-06

 「懲罰」という文言とはこちらに掲載した「ヨシローメモ」のことであろう。
 2012-07-05

 「歪曲」 や「言論封殺」だろうか?

 この「ヨシローメモ」の(2)で指摘している事は、そもそも議事録が確定していない事柄。つまり、議会報告会の現場で、特定会派に対する攻撃的で不公正な司会進行があったかどうか確定できていない状態で「(運営方法から逸脱した事例が)あったと認識している」と発言する事はできないでしょうと言っているに過ぎない。

 延々と「攻撃的で不公正な司会進行があった」と述べ立てた山田氏の言動は、議事録確定以前には根拠が無い。この根拠の無い発言を問題であるとしているのであって、小委員会の現場でもそんな山田氏の発言を封殺したり否定しているわけではない。「議事録を確定して精査すべき」としているのである。
 その結果、後に余語幹事長は文書で「不公正な司会進行が無かった事」を確認している。

  「ああ、非公開の弊害だなぁ」と言いたいのは誰だろう。

 また、次のようにも述べている。

「非公開を決めたのは座長の浅井さんではないか」ですが、浅井さんは委員会の委員長と同じ座長という立場にあり、議事進行を円滑に進める役割であります。したがって、その会議における全体の意見を集約する役ですので、浅井さんの一存で何かが決まったというわけではありません。

 別に「座長一存で非公開が決まった」などとは言っていない(これは議論の対象を全体から部分に摩り替える詭弁の話術の一つです)「非公開を決めたのは座長の浅井さんではないか」と言っている。
 座長から「非公開案」が出されて、全会一致でその座長案を了承した。

 浅井団長が当初「非公開案」を提示しておいて、今になって会派の意向として公開を求めるというのなら、その翻意の理由を他の参加者に説明する責任はあるだろう。
 それが様々な意見、価値観の相違を乗り越えて対話、議論する為の礼儀というものだ。

 そもそも上で河合市議が主語を「会派」に摩り替えて自己の謝罪を述べていないように、ここでも主語を座長から外している。
 「非公開案」は座長である浅井座長が発案し、提示したのではないのか?
 何事にも「主語」がある。行為の主体者があるのであって、そもそもの「非公開案」を発案したのは(事実はどうであれ、座長という制度上)浅井氏という事になるのである。

 河村市長は市長として、行政の執行権者としての当事者性が無い。
 その弊害が山田氏に影響しているのだろう。これも河村流文化の弊害といえる。


追記(7月21日12時):本日(21日)午前9時に開かれる予定だった河合市議の記者会見は、またまたドタキャンとなりました。
 土曜日出勤(それも、朝一)で出てきた記者からは一斉にブーイングが上がったようです。
 記者会見の後に予定されていた議会理事会での本人釈明もドタキャンのようです。

 議会理事会については20日の午後に開かれて、本人が出席する予定でしたが現れませんでした。約束の時間から1時間半ほど後に本人から体調不良を理由に21日に延期する旨要請があったと言います。
 その際に、記者会見も21日に繰り延べとなり、土曜日の朝一会見の予定となりました。つまり、本人からの要請でセッティングした会見や議会に対する釈明の機会自体を蔑ろにしている事になります。

 議会内部では懲罰委員会の開催や、一気に議員辞職勧告の話まで出ています。

 その際、減税日本減税日本ゴヤとしてはどのような対応を取るのか注目されます。

追記(7月21日13時):昨日、13時ごろ河合市議が減税日本ゴヤの大村副団長と会談していたようです。その時間は議会理事会が開かれ、河合市議の登場を待っていた時間でした。河合市議と連絡が取れず、現れない為各会派の理事は待機状態であったわけで、その際に河合市議本人はもとより、大村副団長も理事会に「遅参/欠席」の連絡を理事会に入れなかった理由は何か。気になるところです。


*1:ママ

*2:ママ

*3:ママ

*4:ママ

*5:ママ

*6:ママ

*7:この話の出典は韓非子の「守株待兎」であり、やはり幸運を待つ事だけに頼る事を嘲笑している。