バッテリー3/あさのあつこ

バッテリー 3 (角川文庫)

積ん読もいい加減にしないといけない。次何読むかな、と思って今朝積んである山を探ってたらバッテリー文庫版3巻を発見してびっくり。買って読んだ気になってたんだった。
それで今日読みはじめたのですが、やっぱり面白くてあっという間に読了。
天才、原田巧のシンプルさに憧れつつ恐れる周囲、という関係性がとても面白い。正直言って、巧は主人公とは思えないほどのふてぶてしさだ。自分の才能を疑うことをせず、周囲に対して無関心でありながら、自己の才能が認められているであろうことにも疑いをもたない。
この巻での彼は、周囲との関係の中に少しづつあらたな感情を見いだしながら、しかし大きくは変化することはなく孤高の存在でありつづける。展西の去り際の台詞や、豪や海音寺の素直な感情にもとても共感できる部分は多いけれど、巧だけは簡単にそういった感情的な部分に相容れない。そこがもどかしくもあるんだけど、次第に読んでいるこちらもその強さをもっと見せつけてくれと思ってしまうところが、この物語の特別な点だと思う。
特にぐっと来た場面は、紅白戦で海音寺が巧をピッチャーに指名する所。
そして戸村先生の「原田は伸びますよ。いや伸ばしてみせます」という言葉を嬉しく思いつつ、これはもしかしたらなんだか怖い伏線なのかもしれないと思ってほんとに怖い。
この文庫本には書き下ろしの短編がついていて、そこには青波の視点から見た巧が描かれている。青波もいいこだしかわいいんだけど、母親との関わりなどを見ていると、どうしても巧に肩入れしてしまいたくなる。トトロのサツキとメイもそうだけど、末っ子のかわいいシーンとかを見るとお姉ちゃん&お兄ちゃんも見てあげて!と思ってしまう。まあ自分が長女だからだと思うけど。
とにかく、巧が壊れるとこは見たくない。続きを読むのが楽しみだけど、ちょっと怖い。

 いせや

ichinics2005-04-10

吉祥寺で少々お花見。今日はすごい人出だった。こんなに混雑している吉祥寺ははじめてかも。井の頭公園でバイオリンを弾いていたお姉さんが「ユーモレスク」を弾いていて、それが桜にとてもよく似合っていた。池の上はスワンボートだらけで圧巻。日本人は桜が好きですね。私も好きだけど。
花見のついでに焼き鳥屋いせやに行く。井の頭公園側の方。とても古い建物でちょっとあやういけど、煙を逃がす為なのか吹き抜けになったその構造がかなりそそられる雰囲気で気に入ってます。沖縄の那覇のアーケード内にあった、一階が魚屋さんで2階で調理してくれるとことかにも近い感じ。こういうごちゃごちゃした庶民的な場所は逆柱いみりさんの漫画にも出てきそう。4℃好きな人の定番コースだったりもするのかな。しかし店内から桜を見るのはほぼ無理。

 お祝い同窓会

吉祥寺の後、友人の結婚パーティへ行く。20代も後半となると、軒並み結婚話が増えるけれど、今回のパーティは籍を入れて一年以上経っているカップルだったので、まあまったり同窓会な雰囲気。
久しぶりの面子が多く、楽しかったのだけど、こういう面子だと絶対再会してしまう元彼にからまれて少々疲れる。けど、その他は学生時代と変わらずにのんびり話が出来て嬉しかった。
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皆と話をしていて考えたことを少々メモ。
美術系の学校だったので、この年になると成功しだす人とあきらめてしまう人とに分かれはじめて、その辺は非常にデリケートな話題として取り上げられることになる。
例えば絵などを仕事にしようとした時に、ターニングポイントとなるのが、商用イラストでいくのか絵画でいくのかということだと思う。デザイナーとアーティストの違いと言ってもいいけど、要は自分の為に作るのかクライアントの為に作るのかというとこの境界線をひくのはとても難しい。
純文学とエンターテインメントの違いも、私はそこにあると思っている。もちろんどちらがより優れているかということではなく、要はモチベーションの問題なのだろう。ただ、今日の面子の中では最も名前が売れている人が、既に仕事を「選んで」いて、なんだかちょっと残念な気持ちになったのは、やはり「受けて」くれる人がいる限り、作品を作ろうという姿勢が見えなくなってしまったからだと思う。でもそうやって自分自身をプロデュースしていくこともきっと大切なんだろうな。その辺りは個人の価値観に依るべきところなのかもしれない。
それでも、やりたいことがあって、何かを完成させるということは、それだけで価値のあることだと思う。そしてそれを続けている人をみると嬉しくなる。不安になることは多いと思うけど、一生試行錯誤しててもいいと思うな。私もそうだろうし。青さ全開だけど。