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2005-06-27

[][] 「家守綺譚」/梨木香歩

家守綺譚

家守綺譚

読みたいなぁと思っていたところに、運良く頂くことができたこの「家守綺譚」、とても楽しくて、1日で読み終えてしまいました。

題名からして、漠然と「りかさん」のような感じなのかなと思っていたのですが、どっこい、まあ確かに近いぶぶんはあれど、中扉の裏に「左は学士綿貫征四郎の著述せしもの」と記してあるとおり、今までの梨木さんの文体とはすっかり印象の違うものになっていました。それでいて、植物やいろんな生き物への細やかな目線はやはり梨木さんらしいと思う。

物語はサルスベリの季節からまたサルスベリの季節までの1年間を描いたもの。作家である主人公が、湖で亡くなった友人高堂の実家の守をすることになるところから始まる。そして、その家に暮らしながら、各章に植物の名前が付けられた物語が進んで行きます。

冒頭から亡くなった友人高堂が掛け軸から現われ、そこからは次々と不可思議な出来事が起こるのですが、綿貫がそれらを受け入れて行くにつれ、季節と文章がしっくり馴染んで行くような気がしました。といっても、綿貫さんはわりとすんなり状況に馴染んでしまうのですが、その感じが、「陰陽師」での安倍清明源博雅の関係のようだなと思う。(イメージしているのは漫画版ですが)

信仰というものは人の心の深みに埋めておくもので、それでこそああやって切々と美しく浮かび上がってくるものなのだ。もちろん、風雪に打たれ、耐え忍んで鍛え抜かれる信仰もあろうが、これは、こういう形なのだ。(中略)表に掘り出しても、好奇の目で見られるだけであろうよ、それでは、その一番大事な純粋の部分が危うくなるだけではないのか、と。

《p54「木槿」より》

この言葉が、今の気分にとてもしっくりきた。表に出さず大事にしているものっていうのは、誰の心にもあるんじゃないだろうか。信仰以外でもいえることで、他人のそういう部分を尊重することっていうのが大事だと思うなんてことを昨日思ったんだった。思ったのはこういうことだったんだ、と思った。

たんたんとした物語ながら、「セツブンソウ」の章から、ゆるやかに物語の収束へと向い、一冊の本としてあざやかにまとまっている。とても良い作品でした。

私の家のサルスベリも、咲いています。

[][] 埋もれ木

ichinics2005-06-27

小栗康平監督の9年ぶりの新作。シネマライズにて。

といっても私は小栗監督の作品はみたことがなくて、この「埋もれ木」はチラシと予告編の美しさにつられて見に行きました。だから小栗監督の作風などはわからないんだけども、この「埋もれ木」は、私にはちょっと入り込めない物語だった。

ストーリーは、主人公の"まち"が友人とお話作りをはじめるところから始まり、物語と現実が交錯していく、という感じなのだとおもいますが、まずどの風景が現実なのかわからなかった。はじめに"まち"達がいた場所はたぶん現実なのだと思うけれど、そこと同じくらいメインにでてくるマーケットという場所が、どうしても同じ町にあるように思えなかった。その辺りから混乱してしまったのが入り込めない原因だったように思う。映画の中での立ち位置を見つけられないまんまでおわってしまったというか。ずっと夢をみてたような感じ。

でも、この映画はそれで良いようにも思います。とにかく映像がとてもきれいで、特に光が美しかった。人物はくっきりと浮かび上がり、丁寧に焼かれた写真のようでした。この映像を味わうだけでも、見に行って良かったと思う。

それから、ラストの埋もれ木のシーン、紙灯籠のシーンも、期待どおりに美しかった。見とれる様な美しさなのに、どことなく恐ろしいような気もする。埋もれ木というものが何なのかは知らなかったのだけど、映画をみてなるほどと思った。ラストはモーニングで連載されていた「暁星記」を思いだす世界でした。

冒頭に笹舟を流すシーンがあって、その笹舟のカットが何回か入るのだけど、ちょうど今日「家守綺譚」を読んでいて、ぴったりの台詞があったので引用してみます。

水があれば人はそれを最大限利用し、遠くまで行きたいと願う。transportation -- transition

transition !

《p136「貝母」より》

[] ゆういぎないちにち

今日は渋谷で友人と待ち合わせ、展覧会へ行った。その後お茶などしてからぶらぶらと渋谷を歩く。相変わらず人が多い渋谷で、その人の中の1人になる。湿気が多いのに、雨が降らないのはなんでだろう。夏が思いやられるなあと思う。

夕方、彼との待ち合わせに向かう友人と別れ、私はシネマライズへ。ライズで今かかってる映画3本(Xのものも含め)はすべて見たいと思っていたものなので、どれを見るかかなり悩んだけれど、「家守綺譚」を読んでいたこともあり、雰囲気の近そうな「埋もれ木」に決めた。

映画の後、お茶をしながら本を読み終える。そこで先ほど買ったヘッドフォンを開けてみたら、実はリモコン接続用らしくコードが短くてがっくりする。どうしようか。ということの結論は先送りにし、友人の勤めるCD屋へ寄り、CDを購入。キセルの新譜(今頃買った!)とYour song is goodを購入。夏らしく。

家に帰り、天ぷらを食べる。そういえば昨日は1日なにも食べなかったことに、この時気が付いた。夏ばてにはまだ早いのだけど。

[] teevee graphics VIDEO VICTIM 2

teevee graphics VIDEO VICTIM 2 [DVD]

teevee graphics VIDEO VICTIM 2 [DVD]

映像集団teevee graphicsがteevee graphicsの小島淳二とラーメンズ小林賢太郎による映像ユニット「NAMIKIBAYASHI」とのコラボレーションで描くグラフィック映像集。

初回にブックレットがつく、というので予約して買ってみました。

そもそもラーメンズ目当てでこれを買ってしまっているからなのかもしれないのですが、ブックレットの内容にしろ、収録されている砂原良徳(私のなかではまだまりん)、マニー・マークなどなどのクリップが全然響かなかった。モーショングラフィックもそうだし、全体的にteevee graphicsの作品が好みでないだけなのかもしれない。

そして、teevee graphicsとラーメンズ(というか小林賢太郎さん)がどういういきさつで知り合ったのかは知らないのですが、作品を作る上で、あまり相性は良くないのではないかと思いました。「机上の空論」の時は、恋愛作法の映像から繋げたドラマがきちんとあったので楽しめたのですが、今回はなんだか、私としては未消化のまま見終わってしまった感じ。

何故相性が良くないように感じるのか、というとこなんですが、私なりに考えてみたところ、teevee graphicsの作風が非常に無機的であり、その味があのお作法シリーズでは効果的なのだと思うのですが、無機的なままで終わってしまったらそれは「映像作品」にしかならないのではないかということなんだと思います。(そして机上の空論ではドラマ部分が有機的に作用していたと思う)

帯にスキージャンプ・ペアの真島さんのコメントが載っていましたが、映像作品として笑わせるという意味では、彼らのほうが上手のように思う。ブックレットにしても、どっちつかずのお洒落さというか、装苑とクィックジャパンを同時に実現させようとしているような(むちゃくちゃなたとえです)感じがして、もっとださくていいのにと思った。

でも、ラーメンズの作品集ではないのだからこれでいいのかなとも思います。

私としては、ラーメンズを見るなら舞台のほうが(それが映像化されたものであっても)好きだなあと思うのですが、もしもこれから映像作品でラーメンズを見るとするなら、宇川直宏監督や、実写では見たことがないのでちょっと想像はつかないけれども束芋さんなどで見てみたい。