- 作者: 小田ひで次
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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「クーの世界」は中学生に入ったばかりのれねいが「つづき夢」の世界へ迷いこんでしまうお話でした。小田ひで次さんならではの暖かみのある不思議な世界観がとても魅力的な、大好きな作品です。
その「つづき夢」の世界はそのまま主人公れねい自身のようでもあったのですが、あの頃中学生だったれねいも、この「夢の空地」では美大生になっていました。
でも、れねいをとりまく世界は、なんだか混沌としていて、冷たい。そして、クーもキョムもいない現実の世界で、再び夢の世界に引き寄せられていくれねいの葛藤が、この物語の中心だったと思います。「全ての謎」の答えを求めて、深淵を何度ものぞきこむシーンが印象に残る。
ちゃんと考えて!
考えられるはずだよ
……やりなおし! (「夢の空地」p170)
「クーの世界」が、その混沌とした夢の世界を俯瞰する視点から描いていた作品だとしたら、今回の「夢の空地」は、混沌としたままで《混沌》を描いているような印象でした。助けを求めているのに、れねいを助けられる人は全て向こう側の、「クーの世界」にしかいない。ぎりぎりのところにいるれねいの混乱や葛藤が伝わってくるのに、その混乱は共有できないような、なんだかちょっと怖いような気持ちになった。
ラストシーンについては敢えて言及しないでおくけど、なんとなく「クーの世界」の1巻のラストシーンに繋がっているような気がした。あのラスト7ページはほんとに素晴らしかったな。
私は知ってるの
私がどうしたいかを
どう生きたいかを
だから大丈夫! (「クーの世界」1巻p215)
- 作者: 小田ひで次
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/07
- メディア: コミック
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→ http://www.kawada-yuko.com/
絵もいつか実物をみてみたい。
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蛇足ながら、ひとつこの本について残念なところを挙げると、「世界同時出版漫画シリーズ」ということで、左開きになっていること。コマの並びまでが逆なので、予想以上に読みづらい。描く方も大変だったんじゃないかなぁとか思った。