イチニクス遊覧日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

0000 | 00 | 01 |
2001 | 01 | 02 | 08 |
2005 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2007 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2008 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2009 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2010 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2013 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2014 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2015 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 11 | 12 |
  □これまでの日記一覧

2006-02-26

[][] クラッシュ crash

ichinics2006-02-26

  • 監督:ポール・ハギス
  • 脚本:ポール・ハギス/ボビー・モレスコ

言葉にしにくい、でも言葉にしたい、根源的な部分に触れるような映画だったと思う。これはぜひ、多くの人に見てほしい、素晴らしい映画でした。

 *

クラッシュ」の脚本はハギス監督の体験 ―― ロサンゼルスのビデオ店から出てきたところで銃を突き付けられ、カージャックされたという ―― を突き詰めていくことから生まれたものだということです。そして、その事件の後、家に戻り全ての鍵を付け替えた後に、監督がしたのは車を盗んだ男たちのことを想像することだった。「判断」を下してしまう前に。

日本という国に暮らしていると、今ひとつ想像し難い部分もあるのだけど、アメリカという国では、人種や収入の格差によって差別が生まれ、そこから衝突が起きることが日常なのだろう。

この映画には、複数の主人公が登場するのだけど、彼等にはそれぞれの視点があって、でもそれは他者のそれとはなかなか重ならない。こちら側から見れば善人なのに、あちら側から見れば悪人にも思える。そして衝突が起きる。それは決定的に何かを損なってしまうこともあれば、少しだけ、物事を良い方へ向けるものだったりもする。でもその衝突は、それぞれの奥底にある、核のような感情に、触れる。

映画のあちこちに、盲目的な差別があって、相手が「人間」だということすら忘れてるんじゃないかと感じさせる恐ろしい言動がある。ロサンゼルスという街を舞台にしてはいるけれど、「他者への恐怖」が差別につながっていくということは、日本でだって日常的に起きていることだろう。そこにある溝を埋めるために必要なのは他者もまた「自分」なのだと気付き、その気持ちを、監督自身がそうしたように、想像することだ。そしてその切欠は「衝突」からうまれることもある。

それぞれの主人公たちに起きる「衝突」の描写は、奇跡のようなものだったりもするし、身近にあったものに目を向けることだったりもする。そのひとつひとつの描写がとても丁寧で、役者さんたちの演技も素晴らしく、それがリアルだからこそ、彼等を許せないと思う瞬間もありながら、皆幸福になってほしいと感じたりもする。とても素晴らしい映画でした

 *

個人的に、最も印象に残ったシーンは、怒ってばかりいる女の人が友達に電話しながら「怒るのをやめたいのにやめられない」と言うところだった。それは彼女にとって、すごく切実な問題なのに、相手にそれが伝わっていないだろうということが、ひどく悲しくて、それでも彼女の言動を「わがまま」だと感じる自分もいる。そんな個人的な矛盾が何かのヒントになるんじゃないかと思った。

それから、バスのシーン。「ひかりのまち」を彷佛とさせる、名場面だった。これは交通手段のほとんどが自動車であるロスを舞台にしているからこそ際立つシーンなのだろうけど、かなりぐっときた。

また見たいです。

[] スケート

やっとまともにフィギュアを見た。アイスダンスと男子女子のフリー&エキシビジョンをぶっとうしで鑑賞。

アイスダンスのブルガリアのペアが、なんか色っぽかった。それから男子はもう、王子みたいなのがたくさんいるのね。5位になったアメリカの男の人が(名前失念ジョニー・ウェアさんでした!)エキシビジョンで「マイウェイ」で演技してて、それがなんか、映画のラストシーンみたいでとても良かったです。

女子はやっぱ上位3人がすごい。目に力がある人が好きみたいです。アメリカ銀メダルの人はクリスティーナ・リッチみたいで良かったな。

[] 殺したくない

ここ最近考えていたことを、ざっくり掘り返されたような気がしたのがmichiakiさんのこちらの文章で

ぼくは罪悪感を感じたくないので、自分のことを悪である、と、お前は悪い奴だ、と、常々言い聞かせるようにしています。(そして、それを正そうともしないのでなお悪い奴だ、とメタ込みで言い聞かせ)

http://d.hatena.ne.jp/michiaki/20060226#1140922706

この文の最後に「死刑執行人選抜案」が書かれていたのですけど、私が最近麻原裁判について書いたりしたときに(id:ichinics:20060221:p2)考えてたのはまさにこの気分で、私はつまり、そのボタンを押す役目を負いたくないなぁと思ってあれを書いたんだった。

でもそれは私がその被告に「同情している」ということではなくて、単に人が一人死ぬという大事に関わりたくないという気分なんだと思います。例えばこれが国と国との戦争だったりしたら、正義がどちらにあるかなんて、それぞれの視点で全く異なるわけですよね? 物語の中では、「トラウマ」のある主人公が誤って人を殺害し、悔い改める、なんてことに感情移入できたりもするけど、それが現実に起きたら、そのトラウマのあるなしに関わらず、「誤って」だろうがなんだろうが、殺された側から見れば主人公が悪になりうる訳です。でもその殺された人を恨んでた人もいるかもしれなくて…と掘り下げていけば、根っこはどこまでも反転しつつ繋がっていて、人類皆兄弟になっちゃう。ってのはあまりにも飛躍しすぎてるかもしれないけど、ともかく、一人を殺して「やれやれ」ってわけにはいかないんじゃないかと思ってしまう。

前に、同じくmichiakiさんの「なぜ人を殺してはいけないのか」という質問に答えたとき、私はこう書きました。

殺すという行為にはそれだけのリスクが伴われる。

(略)

そして、そういったリスクを伴うことを覚悟、認識できる人だったら、他者の状況を自分自身に置き換えて考えるということも出来るだろうし、そもそも「殺すこと」を選択しないのではないかと思う。

http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20050821/p1

つまり、私は殺してはいけないと思ってるというか、殺したくないだけなんだと思うんですよね。

なんて考えていったら、私は死刑制度にも反対なんだと思う。

だって、私がその善悪を判断するならば、やはり被害者加害者両方についてよく知らなくちゃいけないわけで(善悪なんてのは「説明のいらないこと」とは思えない。法律は多数決だ。)、それを代わりにやってくれるのが警察や裁判所だったりする。それは理解してても、その結論が死刑になるのは、やっぱり違和感がある。

でも、だからといって死刑制度廃止運動とか起こすつもりもなくて、そしてそれを理解したうえで改善(でも改善ってなんだ?)しようともしてない。自分のやりたいことを最優先している、という意味で、私は悪人なんだなぁ、という結論に今日のところは達しました。

ただの開き直りですが、罪悪感を感じたら、その罪悪感が薄れてくことにまた罪悪感を感じて、という展開が想像できちゃうから、やっぱり罪悪感は感じたくない。「でも想像できるのに、何もしてないんだ?」「そうだよ悪いか!」という混乱をしずめるための自己解決法(思考停止)としてとりあえず、悪人ですと認めるしかない。

でも現実問題として、実際そのボタンを押さなきゃいけない立場になったらどうするかなぁ。多数決によって、明らかに「悪」であると判断されたにしろ、「私」に害を及ぼした訳ではない人を、殺せるだろうか?(←これは特定の事件に対して言ってることではないです)

私が殺されないために、という状況だったとしても、それに代替されるのは「殺す」ことだけじゃないと思う。

IMAOIMAO 2006/02/26 05:13 お、『クラッシュ』もうご覧になられたのですね。
マット・ディロンも良い感じで歳とったなー、って感じがしてて前売りは買ってあるのですが、なかなかタイミングが・・^^

ichinicsichinics 2006/02/26 18:34 「クラッシュ」すばらしかったです。公開中にもう一回は見にいきたいと思ってます。まだ2月ですけど、もう今年はこれだ、とか思ってしまってます(笑

michiakimichiaki 2006/02/26 23:58 むかし、アムネスティの会員みたいのになって、1年くらい、死刑反対のハガキとか政府に送ってたことあるんですよ。
でも、あれはむなしいですね。なんの反応もないし、状況も改善しないですし。
そういう運動をしている、ということ自体に喜びを見いだせる人でないと続かないと思います。
自分はだめでした。(つか、ハガキじゃだめなんでしょうね…)
で、ichinicsさんは、わたしの言うことをちゃんと受け止めすぎだと思います(笑)
他の人にはあんまり、伝わっている、という感じは受けないのですが…。
(でも「反応がない」だけなので、ほんとのとこはわからないですけど)

ichinicsichinics 2006/02/27 00:33 michiakiさんこんばんは。
私は死刑制度というものについてまともに考えたことすらなかったのですが、ハガキでも送らないよりはずっとましなんだろうなと思います。でも、私がそれをしててもきっと、抵抗したってことに安心してしまいそうな気もしてこわいです(もちろん活動を否定するわけじゃないですけど)。だーからー結局私は自分勝手なんです!という気分です。今日は。
それから、なんか頻繁に反応してしまってて、申し訳ないです(笑)でもほんと、michiakiさんの文章からはいつもたくさんヒントもらっていて、読めて嬉しいなーと思ってます。

michiakimichiaki 2006/03/01 00:09 コメントしようと思って忘れてました。
反応頂けるのは嬉しいです。思ってたのは、自分はけっこう「とどけー!」と大出力、で言ってしまうことがあるので、敏感なichinicsさんには通りすぎる気があるのじゃないかと。
ふんふん、ってくらいの感じでどうぞ(?)

ichinicsichinics 2006/03/01 02:34 そう言っていただけるとかなり気が楽です。私が敏感…(笑)というのは置いておいて、考えるのが遅くてしかも考え過ぎるせいか、これでも反応するチャンス逃してるのがたくさんあります。
ここで書くのもなんですが、[群青色]で、新しくなった!とか思うことが最近続いて、そういうとき特になんか続けて読めるって嬉しいなぁとしみじみ思ったりします(支離滅裂ですが)。ともかく、これからも楽しみにしてます。で、追い付けたらまた反応してしまうと思います。