攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society [DVD]

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society [DVD]

神山健治監督による「S.A.C.」シリーズの第三弾。
物語は「2nd GIG」から続いているものなので、素子がいなくなった後の公安9課が描かれている。最初は9課の面々の変化を複雑な気持ちで見ていたのだけど、だんだんと、ああこの人はこういう人だった、と思えるような、キャラクターの個性を感じる作品だった。
アニメフェアのインタビューで神山監督が「2nd GIGが終わった時、素子(少佐)の心理状態が暗いまま終わってしまったという思いがある。新作では彼女が元の明るい素子に戻れるかどうか、それにチャレンジしている。ぜひ見届けていただきたい」*1と話していたけれど、確かにこの「SSS」はテレビシリーズのアウトロとしての役割を果たすものでもあったと思う。ただ、それだけでなく、「SSS」単品を観ても物語を楽しめるように作ってあって、その点では「S.A.C.」シリーズの集大成といえるんじゃないだろうか。だからちょっと、既視感のある場面や台詞とかあるんだけど、それはむしろ感慨深かった。
「STAND ALONE COMPLEX」は「劇場型値犯罪」、「2nd GIG」では難民問題が主軸におかれていましたが、今回主題となったのは「高齢者問題」。ただ、ひとくちに高齢者問題をあつかったというのでもなくて、事件の核となる部分の葛藤は、もうちょっと掘り下げて欲しいと思う部分もあり(シリーズ全体としてはきちんとフォローされているのだけど、単品として見ると、という意味で)、100分という時間ではもったいないような気がした。
ただ、私はいつもだいたいバトーに感情移入して観てしまうのですが、彼の感情の変遷という側面ではとても見応えのある作品だったと思う。
バトーに感情移入っていうのは、一言でいうと、素子とタチコマが好きすぎるということになっちゃうんだけど。
あと今回はトグサのぐっとくる場面がたくさんあるので、そこも見どころだと思います。彼が一番かわったんだけど、かわってない。
ただ、シリーズ全体で描かれているはずの「流れ」を把握するには、ちょっと記憶が曖昧になってるので、冬休みでもう一回「2nd GIG」を見直して、その後もう一度見る。

 2006年のアニメ映画をふりかえる

今年はアニメ映画を堪能した気がします。TVアニメはほとんどリアルタイムで追えず、アニマックスなどに頼ってばかりなのがさみしいんですけど、今年は好きなスタジオの劇場版新作がそろい踏みでほんと楽しかった。惜しいのが「秒速5センチメートル」が年明け公開ってとこだな(別に惜しくはないか/楽しみにしてます)。
今年観た劇場版アニメは全部で7作品。TV放送後DVDリリースの「SSS」も尺は近いので入れてしまうと、8作品。
少ない気がしますが、でも、アニメ映画って予算も時間もかかるものだし、だからこそ1年にこれだけ観たい新作があるってのは、今までになかったことのような気がして、しあわせだった。楽しかった…。もちろん、あくまでも私個人の趣味なのですが、下に挙げた作品はほとんど全部、特にアニメファンでない人がみても、じゅうぶん楽しめるものだったと思う(ほとんど、と書いた理由は後述)。
以下、おすすめしたい順とともにふりかえる。

  • 8位「立喰師列伝
    • 上で「ほとんど」と書いたのは、「立喰師」だけは違うと思うからです。あれは基本的には押井監督のファンが見るべき映画だと思うし、そこを楽しむ映画だと思った。押井守による押井守による押井守のための映画。私は楽しみましたが、でも押井監督には、また原作つきアニメ監督してほしいなぁと思う。
    • 感想→(id:ichinics:20060410:p1)
  • 7位「ゲド戦記
    • 今ではすっかり「不評だったね」ということになってますが、でもまあそれだけジブリは期待されているということだよね、というのを痛感した作品。たけくまメモに「ジブリは思い切ってテレビアニメをやれ!」*1と書かれてましたが、ほんとそれだなと思った。思っちゃった。確かにクオリティは高い作品だったと思う。ジブリの画とか語り口とか好きなだけに、惜しい。そしてそれはハウルからなんじゃないのかと思う。あそこで細田さんが…というのは妄想しても仕方ないのでナシとして、ジブリのTVシリーズって、もしほんとにあったら、って想像するだけでわくわくするもんな。あと、やっぱそろそろオリジナル作品観たい。
    • 感想→(id:ichinics:20060719:p3)
  • 6位「ブレイブ・ストーリー
    • 面白かったです。安心して楽しめる映画だった。挿入歌にあわせて旅の道のりをショートカットした場面は違和感あったけど、あとはほんと、筋のしっかりした良質なエンタテインメントでした。GONZOならではのCG感も気にならなかった。というか、あまりにもメジャー大作って雰囲気の作品だったので、GONZOっぽさみたいなのはあんまり感じなかったな。
    • 感想→(id:ichinics:20060728:p1)
  • 5位「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society
    • 観たばっかりですが、「S.A.C.」シリーズは基本的にとっつきやすいと思うし、特にアニメが好きな人でなくても、このシリーズのファンてひとは多いんじゃないかな。
  • 4位「ドラえもん のび太の恐竜2006
    • ドラえもん劇場版を観にいくのはほんと小学生ぶりとかでしたが、ものすごく楽しかった。ドラえもんの柔らかさに驚き、町の描かれ方にうっとりして、キャラクターのやりとりに笑い、最後には号泣。
    • 感想→(id:ichinics:20060322:p2)
  • 3位「鉄コン筋クリート
    • 画面の隅々にまで気を配って作られたアニメで、制作側の思い入れが伝わってくる作品でもあった。そしてやっぱり私は4℃アニメの雰囲気が好きだなーと思う。何度も観て、新しい発見をしたいと思います。
    • 感想→(id:ichinics:20061223:p1)
  • 2位「パプリカ」
    • とにかくあの映像を体験してみて欲しいなと思う。楽しんだ。敦子と所長が座り込んでいる場面の、背後のガラス戸に手のひらが映る場面、あのカットぞくぞくしたな。それからやっぱりオープニング。ヒロインが移動していきながら、スタッフロールを見せるんだけど、あの映像のかっこよさったらなかった。
    • 感想→(id:ichinics:20061202:p1)
  • 1位「時をかける少女
    • やっぱり今年はこれだった。黒板の落書きや、理科室の霞んだ光、教室に流れる空気、そんな情景を思い出すだけで、なんかこう、気持ちがぞわぞわします。何かいいたいのに、言葉がつかまらない。そんな感じ。そして、この映画が高い評価を受けたということで、「劇場版アニメ」の今後が、ちょっとかわるんじゃないかって気がした。
    • 感想→(id:ichinics:20060727:p1)

一応順位をつけましたが、あくまでも「おすすめ」で、個人的には、今年劇場で見たアニメはほんと全部楽しめた。それがとてもうれしかったです。これからも楽しみにしたい。

 ぼくらのアニメ化

アニメ化の話はIKKIとかで知ってたのですが、監督が「猫の恩返し」の森田宏幸さんでキャラデザが「ドラえもん のび太の恐竜2006」の小西賢一さんと聞いていきなり気分がもりあがった。制作会社はGONZO。2007年4月アニメ化、とのことですがまだどこでとか決まってないのかな。楽しみだー。
公式 → http://bokurano.jp/main.html