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  □これまでの日記一覧

2008-12-31

[] はてなダイアリーアワード2008

今年も昨年と同じく面白かったエントリを特に制限なく並べていこうと思っていたのですが、時間切れになりそうなので(現在大晦日の21時です)、書きかけのをあきらめて今年は「はてなダイアリーアワード」の項目1,2だけやろうと思います。

2008年度で面白かったダイアリーを教えてください(上限5つ)

id:hatooon

id:wtnb18

id:hayukinako

id:yoghurt

id:b_t_b

2008年度に投稿されたエントリの中で、面白かったものを教えてください(上限5つ)

とはいえ絞るのが難しすぎました。ブクマさかのぼってくほどにあれもこれもでてきて、悩ましいので、特に「自分もこんな風に文章を書いてみたいなー」と思ったエントリから、さらに絞って5つあげてみました。

日本語が亡びたとき - 前戯の途中ですがニュースをお送りします。

退屈なんかしたことなかった - あざけり先生、台風きどり

妹ってだいたいこういう感じやった - 瞬間

2008-09-09 - メトロガール

セサミストーリー - 無免許タクシー

それからエントリ消えてしまってるので上に入れられなかったのですが、こちら(http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/shusai/20080107/p1)のエントリは暗誦したいくらい好きだったな。

というわけで

今年もたくさんの面白い、すばらしい、すてきなエントリにたくさん出会えた年でした。

気が早いけど、来年アワードに向けてもうちょっとブクマを工夫していきたいなと思います。

個人的な日記の抱負はまた来年に。それでは今年も一年、ありがとうございました!

[] 大晦日

町の飾り付けの影響もあるのか、「年末」はクリスマスを境目にあらわれるような気がしていて、だからほんの一週間たらずを駆け足で過ごし、大晦日を迎えるのはいつもいつの間にかだ。

もちろん大晦日だっていつもの一日の続きではあるのだけれど、日付こえておめでとうございますと言い交わしたりすることで、明日からまたがんばろーとか、気持の切り替えもつけやすいから、やっぱり特別だ。

今年を振り返るには、まだまだ助走が足りなくて、メモ帳開いてみてもうまく書けないまま大晦日になってしまった。

ただ、それは最近ちょっと考えることが苦手になってたからかなという気もしていて、

でもわたしはやっぱり、ひたすらわたしだし、それでいいか、とか思うところまでめぐりめぐって今年はもうおしまい

日差しは柔らかいし、窓の外には椿が咲いていて、窓際の陽だまりには相変わらず愛想のわるい元野良猫たちが寝ころんでいる。おせち準備で八つ頭むいてから両手がかゆくてしかたないのだけど、まだまだお昼だし、夜は桃鉄するし、あしたはお正月なので、今日はとてもいい日だと思います。

ありがとう今年。また来年

2008-12-29

[] 2008年の漫画

本屋さんや古本屋さんであれこれ漫画を買いこんで、袋を開くときはいつもわくわくするし、どれから読もうか迷うのも楽しい。

友だちにおすすめを教えてもらったり、読んだ作品の感想をネットで探したり、そこでまた気になる漫画を見つけたりしつつ、漫画ってほんと楽しいよなあ…とたまにあらためて考えてみたりしながら、2008年も暮れましたので、今年の漫画生活をふりかえってみたいと思います。

ナツ100(おすすめ漫画100選)

今年も参加しました! 2008年版のテーマは「10巻以内で完結している作品」。締め切り間際に気づいたので100選べなかったのが残念です。

2008年版(id:ichinics:20080818:p1

2008年の漫画雑感

昨年に引き続き、雑誌をほとんど買わずに過ごしてしまった1年でした。そんな中、買った新雑誌は「Fellows!」*1と「good!アフタヌーン」*2くらいかな。個人的にはエロFくらいの版型が軽いし読みやすいし嬉しいんだけど、とか内容とぜんぜん関係ないことを思いました。

あと今年は復刊とかまとめとかで嬉しいニュースが多かった。先日発売された林田球さんの「魔剣X」や、ロビン西さんの「ソウルフラワートレイン」、まさかのハルチン続編(続きあるの知らなかった)とか、岡崎京子さんの「市中恋愛観察学講座・東方見聞録」とか、黒田硫黄新装版とか。それから発売は来年だけど、2007年のまとめ(id:ichinics:20071228:p1)で復刊よろしくお願いしますとか書いてた「宮本から君へ」の復刊が決まったのもすごく楽しみです!

来年はもうちょっと漫画雑誌読みたいなー。

やっと読んだ

「フルーツバスケット」と「エマ」を一気読みしたり横山さんの「三国志」に手をつけてみたり、たいへん楽しかったです。

2008年の漫画 個人的ベスト10(順不同)

  • 「べしゃり暮らし」/森田まさのり*3
    • 森田まさのりさんの漫画は、小学生の頃からの食わず嫌いでいたのですが、この作品を読んで一気に好きになってしまいました。特に今年発売された巻の展開とかすごかったな…。
  • 「町でうわさの天狗の子」/岩本ナオ*4
    • 昨年知ったばかりの漫画家さんですが、すっかり大好きな漫画家さんの一人になりました。今年はこの天狗の子2冊と「雨無村役場産業課兼観光係」がでたことで、勢いをましてるなーという印象です。どちらも大好きな漫画ですが、個人的な好みはやっぱり天狗の子!
  • 「ソウルフラワートレイン」/ロビン西*5
    • 「マインドゲーム」のイメージもあるとは思うけど、ロビン西さんの漫画はほんと動いてるとこみたくなる。それは、画面から動きが感じられるからなんだよなーと思いました。大好きな一冊になった。
  • 「この世界の片隅に」/こうの史代*6
    • たぶん来年発売される(はず)最終巻まで感想はとっておきたいのですが、画面のすみずみまでほんとすばらしい漫画だと思います。
  • 「坂道のアポロン」/小玉ユキ*7
    • 小玉ユキさんも去年知った漫画家さんですが(その前にも読んでた短編はあったのだけどあらためて)、その後短編集がでたりして、「このマンガがすごい!」オンナ編でも1位になっていたくらい、一気に人気がでたように感じます。その数冊の中でもどんどんうまくなってる気がする(えらそうですが)。この「坂道のアポロン」は、登場人物みんな素敵で、これからがとても楽しみです。
  • 「ラウンダバウト」/渡辺ペコ*8
    • 昨年1巻がでて今年全3巻で完結したのですが、作者の視点が最後までぶれず、それでいてどのキャラクターも生き生きしてるのがすばらしいマンガだと思いました。思春期群像ものは最も好きなジャンルでもあります。
  • 「あたらしい朝」/黒田硫黄*9
    • 「大金星」も出たし新装版もあったし今年は黒田硫黄復活の年だった気がします。
  • 「Landreaall」/おがきちか
    • ずっと面白いけど11月に出た13巻は特にすばらしかったなー!!
  • 「GIANT KILLING」/原作:綱本将也 作画:ツジトモ
    • これは今年になってはじめて読んだんだけど、サッカーよくわかってない自分にもものすごく面白くてサッカー見に行きたくなりました。「おお振り」や「おれはキャプテン」を最初に読んだときの感じ、に近い気がするけど、監督の意図が試合まで読めないところがまた面白いのかな。
  • 「エマ」/森薫
    • 今年完結してから一気読みしたこともあってとても印象に残っています。物語の主軸はもちろん8巻以降の番外編がまたすばらしかったな。この番外編で描かれなかったキャラクターにも、作者はきっと物語を用意していたのではないかなと思えた。どのキャラクターも主人公になりうる、というのはとても魅力的なことだと思うし、それを自分の作品上でここまでやりこんだ人はいないんじゃないだろうか。

2008-12-26

[] 26日

今年は街中でクリスマスを感じる出来事が少なかったような気がする。せいぜい昼休みに寄ったローソンで、サンタ帽をかぶった店員さんから肉まんを買ったくらいで、もう秋のはじめから設営されていた駅前のイルミネーションは、クリスマスというよりももうずっとそこにあるもののようだった。

26日の朝は晴天で、いつもより少しだけ人の減った電車の窓から見える町並みは低くて遠い光をぼんやりと受け止めていた。地下鉄の改札をくぐり、階段をのぼるといつもおでんの屋台がでている場所に小さなしめ縄売りの屋台ができていて、その中に腰掛けたおじさんはスターバックスのコーヒーを飲んでいた。

ずっと前、CD屋で働いていた頃の、クリスマスの飾りつけを撤収する瞬間の師走感を思い出し、私はやっぱり、この年末年始のあわただしい感じが好きだなと思う。あわただしくて焦るけれど、まだ何でもできそうな感じ。

2008-12-25

[] 「宮本から君へ」復刊!

2006年の「ザ・ワールド・イズ・マイン」復刊もあったし、いつかきっとと思っていた宮本がとうとう復刊されるとのこと。嬉しすぎて今日は一日中このニュースのことばかり考えていました。

新井英樹の「宮本から君へ」が太田出版から復刻されることが明らかになった。「定本 宮本から君へ(仮題)」と改題し、全4巻の刊行となる。1巻が来年1月15日に発売され、その後は毎月1冊ずつ刊行される予定。

http://natalie.mu/comic/news/show/id/11739

リンク先のタイトルにある「元祖非モテマンガ」ってのはちょっと悪い冗談としか思えないけれども、「宮本から君へ」は、モテるモテないとかそんな話じゃないです。

前に書いた感想でも引用したけど、

ものわかりの良すぎる若い人間が嫌いです。

ものわかりの悪い年寄りが嫌いです。

クソ意地持った男が好きです。

気持ちに素直な女が好きです。

という著者コメントが全てを語っていると思う。

かっこ悪くてもクソ意地はって見せなきゃって話。けして明るい話ってわけじゃないんだけど、読み終わったあとなんだか走りたくなる。

新井英樹は、私がもっとも好きな漫画家のひとりであり、「宮本から君へ」は新井英樹作品の中でも一番思いいれのある作品だ。新井英樹のような主人公の描き方をする漫画家は他にいないと思っているし、中でも宮本はその原点だと思う。そばにいたら面倒だなと思いつつも、その姿に魅力を感じてしまうのは、宮本の正直さによって、こちら側に突きつけられるものがあるからだ。ものすごくかっこ悪くて、ものすごくかっこいい。

しかも今回の復刊特典として最終巻には書き下ろし短編が収録されるとのこと。本当に楽しみです!

前に書いた感想

http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060108/p2

[] 2008年映画

今年はあんまり劇場に行けなかった年でした。05年〜07年まではだいたい年40本くらいが平均だったけど、今年劇場でみた新作映画は数えてみたら15本。いろんな方のまとめを見てても、劇場で見たかったなー! と思うものがたくさんありすぎてちょっと悔やまれます。いっそ、ディスカスデビューしようかな。

せっかくなので、以下15本ぜんぶまとめて振り返ってみようと思います。

ペルセポリス

面白かったんだけど、いま振り返るとちょっと胃もたれするような感じだったかもしれない。主人公キャラクターが強烈な作品は、私のなかでそういう位置づけになるようです。(id:ichinics:20080201:p2

ネガティブハッピーチェーンソーエッヂ

この映画好きだった。原作未読なので比較はできないのですが、邪気眼ものと言ってもいいんじゃないだろうか。いわゆる二次元妄想だけでなくて、自分だけの設定みたいなものを抱えてた人ってけして少なくないと思うし、この映画で描かれるヒーロー妄想は、主人公の属する「カテゴリ」みたいなの抜きにしたところで語られててそこもよかったと思います。近いテーマでいえば「AURA ‐魔竜院光牙最後の闘い‐」も面白かったな。(id:ichinics:20080201:p2

人のセックスを笑うな

犬猫」でのインパクトには及ばなかったけれど、やはり言葉の使い方がうまい監督さんだなと思った。えんちゃんを演じた蒼井優ちゃんがほんとうにかわいかったです。(id:ichinics:20080219:p1

ノーカントリー

価値観を共有できない、ということの恐ろしさについて改めて考えさせられた。その後読んだ原作もとてもよかったです。(id:ichinics:20080330:p1

接吻

そこにあるものがからっぽだったとしても、信じることで「それ」はあるものに変わるのかもしれないと思った。そういう意味では「ネガティブハッピーチェーンソー・エッヂ」と個人的には近い見方をした作品でした。(id:ichinics:20080401:p1

魔法にかけられて

なぜかこの感想を書いてからずっと、この映画タイトルがこの日記の検索ワード第1位になってるんですが、なぜかはわかりません。この映画を見終わって素直に笑えなかった自分の卑屈さにしょんぼりしたりもしましたがとても面白かったです。(id:ichinics:20080409:p1

クローバーフィールド/HAKAISHA

今思い返してもこわかったし、とても面白い映画でした。全編はらはらしっぱなしだったし、新宿で見たのですが、帰り道ずっとどこかからHAKAISHAが現れるんじゃないかと思ったりした。(id:ichinics:20080419:p1

ミスト

ああ、ここにいたらこういう状況になるのかもなぁ…と、わりと素直に納得してしまった。(id:ichinics:20080612:p1

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

物語を説明することがすごく難しいのだけど、物語るうえで期待される流れのようなものに逆らって打ち砕いていくような映画だった。(id:ichinics:20080630:p2

崖の上のポニョ

映画そのものはもちろん、いろんな人の書かれた感想妄想を読むのが楽しい映画でした。あのお母さん大好きだ。(id::ichinics:20080728:p1)

JUNO

これからもこの映画のことを引き合いにだしていろいろ考えると思う。ヴァネッサの描かれ方に好感を持ちました。(id:ichinics:20080806:p2

トウキョウソナタ

すごく好きな映画です。家族不協和音和音になるお話。(id:ichinics:20081018:p1

僕らのミライへ逆回転

これもよかったなー。去年グラインドハウス六本木で見たときにも思ったけど、映画を誰かと共有することの楽しさみたいなものを改めて感じさせてくれた映画だった。(id:ichinics:20081117:p1

イントゥ・ザ・ワイルド

見終わったあとだいぶへこんだんですが、すばらしい映画だったと思います。しかし去年のエヴァミサトさんに、ジュノ見てヴァネッサに、この映画では父さんにぐっと来るあたりに自分の年齢というか考え方の移り変わりを思ったりしました。(id:ichinics:20081122:p1

ヤング@ハート

意味とか目的とかじゃなくて、ただ好きなことやるのってとても楽しいよね、という気持ちになれた映画だった。そして映画にでてくるおじいちゃんおばあちゃんがみんな、そのことをよく知っている感じがして、とても心強かった。(id:ichinics:20081206:p1

2008-12-24

[] 昔話/サンタクロース

まだ私がなんとなくサンタさんの存在を信じてた頃、たぶん小学一年生のときだったと思うけれど、サンタさんからのプレゼントのコートに、手書きの手紙がついていたことがあった。

「サンタさんじゃよ。冬は寒いので外に行くときはこれを着なさい。お母さんのいうことをよく聞くんじゃぞ。サンタより」

手紙にはそんなことが書いてあった。右下にはコマのイラストが書いてあるおよそクリスマスらしくない和紙に書かれたサンタさんの字はガタガタで、たぶん手がかじかんでたんだな、ということに気づいたのは、それからずっと後、机の奥に入れていた紅茶の箱から、その手紙を改めて発見した時だった。

一年生になったのは、私に弟が生まれた年であり、私の一人っ子が終わった年でもある。

その年まで、クリスマスの夜は、ツリーのしたにサンタさんあての手紙とお菓子と、暖かい飲み物を用意しておくのが習慣で、プレゼントのリクエストはお母さんがサンタさんに電話をかけてくれることになっていた。

コートについては、リクエストしたんだったかどうか忘れてしまったけれど、ともかく朝になって枕元におかれたリボンのかかった箱をみつけたときの嬉しさといったらなかったし、ツリーの下の空になったお皿は、サンタさんがきてくれたなによりの証拠に思えた。

その後、弟や妹が生まれて、私がサンタ役をつとめた年もあったりして、やがてクリスマスは「みんなで雑魚寝」が楽しみなイベントへと変化していくのだけど、

ともかく私は、あの年のサンタさんが、父さんであったということは、つまりこの手紙を書いたのも父さんなのだ、ということに、ピンとこなかった。私の知る父さんは「サンタじゃよ」なんて冗談をいうような人ではない。なんか父さんじゃないみたい、と、その手紙を発見したとき、私は笑いながら母さんに報告した。

すると、母さんはひどくまじめな顔をして私をたしなめた。「父さんはすごくまじめだからね」

私は「まあ、そうか」と生返事を返し、確かに、父さんはすごくまじめな人だ、と思った。まじめだからこそ、私の信じるサンタさんに応えてくれたのだろうし、いつもなら照れくさくてできないようなことも、サンタの役でならと思ったのかもしれない。

ともかく、皮肉屋のあの父さんが、帰宅する頃にはすっかり冷めていたであろうツリーの下のお茶を飲み、お菓子をつまみながらかじかむ手でその手紙を書き、足音しのばせて眠りこける私の枕元にプレゼントをおいてくれた、ということを考えるだけで、私のサンタさんはもうじゅうぶんなように思う。

2008-12-22

[] KAKUBARHYTHM presents SHIBUYA CLUB QUATTRO 20th Anniversary SPECIAL

二階堂和美

キセル

レイ・ハラカミ

DJ やけのはら

なんてすばらしいラインナップだー! と思い、チケットとって行ってみたら、これがまた期待以上にすばらしいライブでした。よかった! あと行ってはじめてクアトロ20周年てのを知ってちょっとくらくらしました。クアトロは今はなき新宿リキッドと同じく思い入れのあるライブハウスなので、できるだけ、長いこと続いてってほしいと思います。

今日ライブは、まずキセルから。エマーソンさんとドラムの人も入っている豪華版でした。私が行ってるライブでは、ドラムもいるのを見るのはずいぶん久しぶりな気がする。そのせいか、アレンジもいつもと違う曲が多かったです。特にベガの終盤とかすごくよかったな。

つづいてはハラカミさん。朝霧ぶりかな。もうちょっと広いところで元気なときに聞いたらもっと楽しいのになーとか思いました。でもきもちよかった。

そしてトリがニカさんです。もうでてきたとこから全力疾走。1曲め終わったあとの「たのしいー」と笑うニカさんにどきどきした。

今日ライブSAKEROCK浜野さん、キセル兄さん、エマーソンさんらが参加という豪華面子で、ステージ上から多幸感が降ってくるような楽しさでした。「いてもたってもいられないわ」を走りきり、息切れしながらも「今日を問う Part2」のあの早口を歌いのけるニカさん。素敵過ぎる。ステージまん前まで走ってって踊りたいのを我慢しつつ(満員御礼すぎて無理だった)自分が満面の笑みを浮かべてるのがわかる。

最高に楽しかった。とてもとても幸せな気持ちになりました。

アンコールレイハラカミさんとやった「一年生」そして、最後の最後で全員出てきてHISの「幸せハッピー」をやって終演。ほんと幸せハッピーライブでした。ニカさん大好きだ!

[][] ラウンダバウト3巻/渡辺ペコ

ラウンダバウト 3 (クイーンズコミックス)

ラウンダバウト 3 (クイーンズコミックス)

大好きなシリーズがとうとう最終巻をむかえてしまいました。さびしいけど、とても好きな作品のひとつになった。

ラウンダバウト」は渡辺ペコさんの1話完結の連作短編作品。中心にいるのは野村真という女の子で、この3巻でマンガを描くようになることからも、もしかして自伝的なお話なのかなーと思うことも出来そうなのに、ところがぜんぜんそう感じないのは、作者がそれぞれのキャラクターにひとしく目を配っているからなんじゃないか、と思う。

それは作者の視点が確かだからこそ、物語キャラクターの感情に流れないということでもある。実際、このシリーズにはモノローグが少ない。そのかわり、台詞が生きているというか、例えば真の姉、優となめ田の両方から描かれる場面(15話、16話)とかすごく臨場感があるんだと思う。

ほんとそれぞれのキャラクターがみんな魅力的な作品でした。楽しかった!

2008-12-21

[][] ボイルドヘッド発売中止

田中達之さんの絵がものすごく好きです。「CANNABIS WORKS」は何度も見返してるし、あんな絵が描けたらどんなにいいだろってそれはもう頻繁に思う。アニメーターとしてももちろんだけども、田中さんの絵で見てみたい情景がたくさんあるので、イラストマンガももっと見たいと思ってしまう。なんていうか、田中さんイラストには、アニメーションとはまた別の、静止画だからこその魅力がある。

そんなわけで、五年近く前に予約した「ボイルドヘッド」も、セブンアンドワイからメールくるたびにちょっと期待してたのですが…とうとう発売中止が決まってしまったそうです。

発売中止のお知らせメールには田中さんからのメッセージイラストつきでそえられていました。すごい残念だけどちょっとうれしかった…。

f:id:ichinics:20081223002058j:image:w400

そして嬉しいお知らせもあり。

かわりに…という訳にはいきませんが、現在別のマンガ作品を、描き下ろしではなく、Web上で連載する準備をしています。

上手く行けば2009年のごく早い時期に何らかの発表が出来ると思っています。

『既に前科者なので「お楽しみに!」とは言えませんが』なんて書かれてもいますが、今年はSTUDIO4℃リミテッドボックス』に収録されていた「陶人キット」が短編アニメとして完成し公開された(Genius Party2)年でもあるわけで、この勢いでぜひ、実現してほしいと思います。楽しみ!

[] 2008年読書

昨日からなんだか春みたいな陽気ですが、そろそろ2008年を振り返っていこうかと思います。というわけで、まずは本から。

といっても今年はばたばたしてたせいか、あんまり読めてない上に感想を書いてない本が多くて、そして感想をかかないとやっぱり自分はすぐに忘れるなぁ…というのが全体的な印象です。前(id:ichinics:20061205:p3)にも書いたことあるけど、私にとって感想っていうのは、浮かんだだけじゃすぐに流れていってしまうものみたいだ。ちゃんとひろっておかないと、それがどんな感想だったのかもう改めて見ることはできないような気がする。

でも思ったことを言葉にしてひろっておけば、その過程でこぼれるものももちろんあるにせよ、それが浮かんだときの感じ、は思い起こせたりもするわけで、私はやっぱり、その感じをとっておきたいんだなぁということを、消えてしまった感想のことを思いながら思っています。

そんな中で印象的だった出来事といえば、念願の「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」を読んだこと、ジャック・ケッチャムデビューしたこと、デビューっていっても2作しか読んでないけど、続けて読み続けたらまずいような気がして(何が)るだけでまだまだ読む気があること、スティーブン・キングをはじめて読んだらすごい面白かったこと…などです。あとなんだかんだ、今年も古川日出男伊坂幸太郎をよく読んだ気がしています。古川日出男に関しては新作というわけではないんだけど。

そんで最近は久しぶりに永井さんの「ヴィトゲンシュタイン入門」読み返したりしてる。この本でやたら感動してしまうのは、なんか違うよなと思いつつ、何回読んでもぐっときてしまうんだった。あとは、舞城さんのディスコが止まりっぱなしだったり、感想書かれててる方がいて興味をもった本が数冊積んであったりの状態ですが、今のところ最優先で読もうと思ってるのはイーガンTAP」です。

来年はもうちょっと本読みたいと思う。読みたい本は増えてく一方だ し、そろそろ○○を読んだ人、と言えるような大作に挑戦したい(毎年いってる気がするけど…)。

2008-12-16

[][] 「ナルミさん愛してる その他の短編」/山川直人

ナルミさん愛してる―その他の短篇 (BEAM COMIX)

ナルミさん愛してる―その他の短篇 (BEAM COMIX)

本屋さんでよく見かけて気になっていた漫画家さんなのですが、かわいらしい絵柄だけど、どういうお話なのか想像つかないなぁなんて思っているうちに、手に取りそびれていた。

それは先日オノナツメさんの作品について書いたのと同じで、ディフォルメされた絵柄にどうも構えてしまうところがあるからなのだけど、この「ナルミさん愛してる」とその他の短編は、思い描いていた雰囲気そのままながら、とても素直に、好きだなと思える作品だった。そしてこの帯に推薦文を書いているのがオノさんだっていうのが個人的には奇遇な気がする。

この本には、3本の読みきりと、その中の「おねえちゃん」という短編の続編ともいえる「ナルミさん愛してる」という掌編シリーズが収録されています。

この「ナルミさん愛してる」が、シンプルなんだけどすごくすきな話だった。「ドミノ」という人形の視点から、ナルミさんという女の子の生活が描かれるのだけど、その底辺にずっと、流れる思い出が切ない。

誰にも知られるはずがない、人がひとりでいるときの顔を描くというところで、新海誠監督の「彼女と彼女の猫*1を思い出したりした。

悲しいと嬉しいがすごく近くにあるラスト2話がとくにいい。そこにいたるまでの33話があるから、よりぐっとくるのだと思う。

[] さいきんうれしかったこと

高校生の頃、なぜか突然ルマンドに夢中になったことがある。毎日一袋学校に持っていって休み時間のたびに2本づつくらい食べて帰りにまたコンビニルマンドを買って…という日々を2ヶ月ほど繰り返したところでまた突然あきて、それいらいルマンドとは疎遠なのですけども、そんな風にいくつかのお菓子が私を通り過ぎたり通り過ぎずにいまだに夢中だったりする方が実は多いんですけども、ともかく今現在夢中なのが亀田製菓からでている「亀田ゆずこしょう」*2という煎餅です。せんべいってなんか言うの恥ずかしいのなんでだろ。ともかく「亀田ゆずこしょう」は、個別包装で食べやすいし、辛くて味濃くておいしい。

そんでこの前、いつものように仕事しながらこのおせんべを取り出したのですが、なんかおかしい。

f:id:ichinics:20081217201736j:image:w250

f:id:ichinics:20081217201737j:image:w250

2まいはいっている…!!!!

というそれだけのことでその日いちにち得した気分だったので、まだまだゆずこしょうブームは続くと思います。あ、でも週に1袋くらいしか食べてないから…!

2008-12-15

[] ハイペリオンの没落/ダン・シモンズ

ハイペリオンの没落〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ハイペリオンの没落〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

前作「ハイペリオン*1を読み終えてすぐに没落を読み始め、ずいぶん前に読み終わったのですが、なんかもうあまりにすごすぎて感想をかけないままでした。

この物語について書くには、私はあまりにSFについて知らなすぎるし、しかし知っていたらもっとこう、いろいろ言いたくなるだろうなという片鱗が見えるのが悔しい。

あとがきにもあるように、『ハイペリオンシリーズには、「ハリウッドSF大作群をあらゆる面で遥かに凌駕する」といってしまいたくなる迫力がある。その鮮明な言葉は非常に映像的なのにもかかわらず、言葉だからこそ、この空間の質量までも描けるように思う。その世界設定はSF物語定番のものだったとしても、それをここまで近く描くことができるなんて、作者の中ではイメージが触れられるくらい近くにあるのではないかと思ってしまう。

特に印象的だったのは、「テクノコアの管理する世界」という設定そのものだ。そして転位ゲート。SF特有のモチーフとしてよく使われる瞬間移動の装置とでもいえばいいのだろうか。その門から門の間のことを、ここまで具体的(?)にイメージできるというのはとても新鮮な体験だった。

読みながら、ここにいる私と、向こう側から出る私が同一の存在である保証はないんだよなぁなんてことを考えていたんだけど、それも作者の手の平の上というか、まさかそこに物語の焦点があたっていくとは思わなくて興奮した。*2

それから舞台設定だけでなく、『ハイペリオン』はキャラクターの造形も魅力的でした。

没落では、『ハイペリオン』の中に登場したキーツのサイブリッド第二人格が没落のおもな視点のひとつとなるのですが、サイブリッドである/オリジナルではない、ということと、物語全体のモチーフだんだんクロスしていく展開がすごい。

それからハイペリオン』でも特に印象的だった、マリーン症にかかり時間をさかのぼっていく娘、レイチェルとその父親ソルの言葉を介した別れと出会いも、ついうっかり涙腺がゆるむようなお話でした。SFにはドラマが似合うな。

ほんといくら説明しようとしてもピントのぼけたことしかいえないのが残念ですが、この圧倒的な「名作」をやっと読むことができてとても満足です!

でも読み終えてすぐに、次はイーガン短編みたいなのが読みたい…と思ってしまったのはたぶん単純に好みの問題だと思う…。

ハイペリオンの没落〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ハイペリオンの没落〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

[] たどりつく景色だけがすべて

初霜だって、と声をかける夢で目が覚めた。寝ぼけたままテレビをつけて、そのまま二度寝していたのだった。エアコンスイッチを入れてみたものの、ガタガタと音がするばかりで部屋はちっとも暖かくならない。もしかしたらエアコンにも霜がおりているのかもなあ、と勝手に納得し、よしっと掛け声をかけて起き上がる。独り言とかかまわず言う。白い息かきわけるようにして走る。自転車で。笑っちゃうくらい寒いけど、最近寒いのも悪くないと思えるようになった。冷たくて薄くてやわらかな光も、朝のぬれた感じも、ちいさなところに集まりたくなるこの心細さも、過ぎてかないでもうちょっと、とひきとめたくなる。

f:id:ichinics:20081216195122j:image:w400

*1http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20081018/p2

*2:下巻p279,354 のあたり

2008-12-14

[][] 「COPPERS」1巻/オノナツメ

COPPERS [カッパーズ](1) (モーニング KC)

COPPERS [カッパーズ](1) (モーニング KC)

オノナツメさんのNYPD新シリーズ。以前再販時にコミティアで買った作品やDanzaの短編リンクしているお話です。

1話完結の群像物というのは、オノナツメさんの特徴的なスタイルだと思うけれど、この作品の、特に第1話の人物紹介なんて映画のオープニングみたいで、いままで読んだ作品とはまた違った意気込みのようなものを感じました。そしてきっと、オノさんの中にはかっこたる51分署のイメージがあるのだろうなと思った。人物がとても気持ちよく動いてる感じがする。

いまさらながら思ったのが、個人的にはデフォルメされた絵柄は苦手なはずなのに、オノさんの描く人物にはあまりデフォルメという先入観を感じないのが不思議だということ。たぶんそのデフォルメキャラクターの特徴を限定するのではないこと、そして、表情のつけかたが、誇張表現としてではなく、お話アクセントとしてリズムを作っているからかなと思う。

そもそも群像ものというのが大好きなので、このシリーズも続きが楽しみです!

[] 健康診断の日

金曜日、延期しまくっていた健康診断にやっと行くことができた。

ピンク色のぱりぱりした服に着替えて待合室に入ると、みんなそれぞれ文庫本携帯電話を持ちこんでいて、自分ロッカーに全部置いてきてしまったことに気づく。

取りに帰ろうかとも思ったけど、いつ呼ばれるかわかんないしなぁと、そのままずらりと並んだベンチの隅に腰掛ける。みんなが同じ服を着ていると、年齢やら職業やらがよくわからなくなるな、と思う。その紛れる感じは安心なようで、どこか居心地が悪い。

手持ちぶさたでいるとついつい意識が遠のいて、目覚めるたびに、もしかしてもう呼ばれたかも、呼ばれたのに気づかなくて、いないと思われてるのかもと不安になる。そんな頃合に名前を呼んでもらえるとなんだか嬉しくて無駄に勢いよく立ち上がってしまうのだった。

いくつかの検診をすませて、診察着から洋服に着替えた後、最後は視力体重採血の部屋へ呼ばれた。

眼鏡を忘れてしまった旨を伝え、「でも普段裸眼なので…」と自信満々で視力検査顕微鏡みたいなのをのぞきこむと…、一番大きなCすらよく見えなくて焦った。「左…」「ほんとに左に見えますか?」「いや…下かも知れないです…」みたいなぐだぐだなやりとりの後、告げられた視力は前回より0.4も落ちていた。

落ち込みつつ、早急に新しい眼鏡を買わなくちゃと決意する。しかし眼鏡というのはかけてみなくちゃ似合ってるかどうかわからないものだし、できれば目の前でかけても恥ずかしくない人と一緒に買いに行きたいと思い、迷わず妹にメールをした。

そういえば去年の健康診断の待合室では、確か「人のセックスを笑うな」を読んでたなぁということを思いだす。あのタイトルを見るたび、べつにわらわないよと思うのだけど、今思い出して印象に残っているのは映画版の、あおいゆうちゃんの「みるめのバカ」であり、ラストシーンスイッチであり、私はあのラストとても好きだけど、あのあとみるめはどうしたんだろうなどと、まるで彼らがどこかに実在する友だちの友だであるかのようなことをふかふかと考えていた帰り道、でもとにかく、待合室で名前を呼ばれるのは嬉しいなと思った。

2008-12-10

[] 「わたしはわたしの王女様である そしてその民である」

私の中で、大島弓子はずっと特別な漫画家だ。最初に読んだ作品が何だったかは覚えていないんだけど、はじめて自分で買って読んだのはたぶん「ロストハウス*1が新刊で書店に並んでたときだと思う。その後一気に買い集めて、文庫版も買い、毎月一冊づつとかで選集も買いそろえた。一作読み終えるごとに、うわー、と大声あげたくなるくらい、おおしまゆみこ、という名前は私の中で特別なものになっていった。

それは「24年組」という言葉を知るより前のことで、だから「ロストハウス」からさかのぼって初期の作品を手に取ったときは、その絵柄に驚いたりもしたけれど、しかしやはり描かれているのは純然たる大島弓子だと思った。

しかし、私の感じた「大島弓子」とは、たぶんすごく個人的なことなのだとも思う。作品を客観的に見るよりも、作者の意図を読み解くよりも、そこにある「なにか」が自分だけのもののように思えることが大事だった。

わたしはわたしの王女様である そしてその民である

「8月に生まれる子供

じぶんはここにいていいのか/ほんとにここにいるのか、いつか世界の底が抜けるんじゃないか…なんて、口にはださないけどまとわりついてる漠然とした不安に、大島弓子の描く主人公達は触れている。そして、彼女たちの肌を通して、わたしもその感触を思いだす。

わたしはひたすら、わたしだけだ。

そのことをあらためて確認し、彼女たちとともに、私は毎朝ハッピーエンドを迎えるのだ。

私が好きな漫画の中には、読んでいて楽しい、続きが楽しみでたまらない「乗り物」のような作品も多くある。それも私の受け取り方のひとつだし、その作品自分だけの「物語」を見る人もいるだろう。ただ、大島弓子は特に、その作品を大切にしている多くの人にとって、「自分だけの物語」になっているのではないかと思う。

そんなふうに物語は、一度語られたら受取手ごとに複製されるものだと私は思っている。

ところで、あれだけハッピーエンドを描くことにこだわっているのに、大島弓子を読んでいて作者のエゴを感じないのはなんでだろう、とたまに不思議に思う。でもそれは感じないのではなくて、もしかしたら作者と物語の距離が極めて近くにあるからなのかもしれない。そして、その距離が、読者と物語の距離に通じることはあるのかもしれない、と思う。

わからないし、そのままでいい。好きとか嫌いとかでもない。ただ、私にとって、大島弓子物語を読む事は、自分について考えることに似ている。

2008-12-09

[] ニカセトラ/二階堂和美

ニカセトラ

ニカセトラ

耳になじんでいるはずの曲も、この人が歌うとなんでこんなに瑞々しいんだろう、と思う。

人によって表情が違うみたいに、言葉が違うように、ここにあるのはすっかりニカさんの歌だ。ニカさんの目を、声を通して歌われる歌には、例えば子どもの頃の写真を見るときのような、なつかしくて切ないあたたかさがある。

それはきっとニカさんがここで歌われている曲たちをずっと好きでいたからなんだろうし、こんなふうに歌い続けられるなんて、すごく幸せな曲たちだと思う。

「話しかけたかった」は大好きな曲だけど、イントロのギター触感からしてたまらないし、「夏のお嬢さん」の、ニカさん独特のハミング(?)とか、聴いてると思わず足取りも軽くなるくらい楽しい

松任谷由実さんの「A HAPPY NEW YEAR」は、私このアルバムではじめて聴いたんですけど、これがもうぎゅうっとした気持ちになるくらい切ない。インタビューを読むと二階堂さん自身も「半泣きで歌ってました(笑)」って書いてあって、しかも外で録ったっていう情景を思い描いてみると、もう外は雪が降ってるんじゃないかって気分だ。年末年始の、あのしんとした感じ。

そしてラストを飾るのは「一年生」(原曲は「思い出のアルバム」)このシンプル演奏と、のびのびした声が、けして力んでる感じはないのにすごく心強い。ひらひらと手招きされてるみたいな、うきうきした気分のままアルバムは幕を閉じ、私はまた再生ボタンを押してしまうのでした。

このアルバムが聴けてほんとうに嬉しい。

[] 正月

来るお正月は父親の誕生日であり、今度の誕生日で父親は定年を迎えるので、ここはひとつ兄弟姉妹でなにかしようということになって先日、今は離れて暮らしている4人がネット上に集ってああだこうだしゃべったりしたのだけど、文字上のやりとりでもそれぞれの印象はまったく変わらなくて私と妹ばかりがあれこれ言っている中、下の弟は寡黙ながら的確なことを書き込み、上の弟はそもそも話を聞いていない(というか妹の横でゲームをしていた)というのがなんだかすごく楽しかった。とか、思っているのは私だけなのかもしれませんが、それにしても父さんに対して私はこれまでまったく素直ではなかったと思うけれど、私たち4人がこうして社会人になるまで面倒をみてくれたということのすごさを、自分自分の生活を面倒みるようになって改めて思いしったりもしていて、そこまで苦労をかけておきながら、反発ばかりしていた私はたぶんかわいい娘ではない/なかっただろうな、なんて思うと少し悲しくなる。

それでも顔をあわせればやっぱりムカっとしてしまったりもするのだけど、それが私の甘えなのだ、ということを肝に銘じて今度の正月は張り切りたいと思っています。なんて言いつつ、たぶんきっといつもどおりなんだけど、正月の朝の家族写真くらい、にこやかに写りたいものだと思う。やっぱり甘い。

2008-12-08

[][] 真昼の月 海街diary2/吉田秋生

海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)

海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)

シリーズの第2巻。1巻のときには気づかなかったのですが、これ「ラヴァーズ・キス」とつながっている話なんですね。

相変わらず台詞の多い漫画で、それはたぶんこのシリーズになってからのことだと思う。舞台鎌倉だからというだけではなく、このシリーズにはどこかやっぱり保坂和志さんの小説に近いところがあって、そう感じるのはこの饒舌さも理由のひとつなのかもしれない。(むしろ小津安二郎作品意識しているような気もするけど)。

それでいてなんとなくキャラクターの温度がちぐはぐに思えたところが1作目になじめない理由でもあったのだけど、この2作目は母親違いの末娘、すずをメインに描かれているせいか、ずいぶん印象が違った。転校生であるすずが、自分のいなかった時間に気づく場面がひとつひとつ丁寧に描かれていて、とても奥行きのある物語になっていると思う。

一番印象に残ったのは、長女と母親のやりとりをメインに描いた最終話真昼の月」。気の利かない母親の言動のひとつひとつに場の空気自体が色を変えていくのが目に見えるようだった。視点になっている人物の思いと、その場にある会話が並列して描かれる場面など、やっぱりうまいなぁと思う。

それでもやはり少し台詞が多すぎるというか、説明的に感じられてしまうところもあって、どこか不協和音に思えるのはそのせいかもしれない。

2008-12-06

[][] ヤング@ハート

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1982年にアメリカのノーサンプトンという町で結成された合唱団の、年に1回のコンサートまでの日々を追ったドキュメンタリー映画。なんと、平均年齢80歳(!)という合唱団のメンバーはそれぞれほんとうに魅力的な人たちだった。

彼らはただ年配のコーラスグループというだけでなく、そのレパートリーもとても特徴的。ボブ・ディランだったりソニック・ユースだったりコールドプレイだったり、クラッシュだったり! 指揮者でグループのリーダーでもあるビル(はまだ若くて50代くらい)が新しい楽曲を持ってくるたびに、メンバーは困惑の表情を浮かべるのだけど、ほんとあっという間になじんでしまう。自分たちの側に引き寄せてしまうのだ。音がとりにくかったり歌詞を忘れたりしてもめげないし、何があっても迷わず「コンサートはでるよ」と答える。彼らの迷いのなさは、やはり「年の功」とでもいうべきもので、年をとるって素敵なことだなと改めて思いました。わたしも年をとっても毎日を楽しんでいたい。

ヤング@ハートのメンバーはみんな、まっすぐに歌うことを楽しんでいて、それがまた聞く側にもそのまま伝わってくることに、ほんとうにぐっときてしまいました。

私自身、高校時代は合唱部に所属していたので、この映画もすごく楽しみにしていたのだけど、ここにある合唱は、それこそ「息を合わせる」っていうことだったと思う。うまく歌うということよりもともかく楽しむことの結晶みたいで、私もいつかこんな合唱ができたらいいなと思った。

映画館で隣に座ったおばあさんが、映画が始まった瞬間から笑ったり手をあわせたり泣いたり歌ったりしていたのに私までちょっと嬉しくなりました。

2008-12-05

[] このマンガがすごい! 2009

このマンガがすごい! 2009

このマンガがすごい! 2009

毎年楽しみにしてた「このマンガがすごい!」に、感謝してもしたりないご縁で今年は選者として参加させていただきました。いいのか…ほんとに…私で…と恐縮しつつも(正直、今でもびびってます!)、自分の推しマンガを発表できるという魅力には抗えませんでした。そしていざランキングが発表されてみると、いろいろ意外だったり、うれしかったり、発見があったりしてとても楽しかったです。

そんなわけで、発売中の冊子には、たくさんの方のランキングとともに、私のいろいろ考えた末のベスト6×2*1も載っております。

ただ、中にはネット上でおすすめ記事を書いてくれた方がいたからこそ手に取ったマンガもあるわけで、そういった方々に感謝するとともに、私がここに書いてる感想文たちもいつかどこかで誰かのきっかけになっていたらいいなぁと思っています。

ベスト20の感想や今年読んだマンガベストもまたやりたい。

漫画アンケート企画「ナツ100」参加リンク

2006年

http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060805/p1

2007年

http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20070810/p1

2008年

http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20080818/p1

*1男性漫画誌掲載ものと女性誌掲載もので分かれてます

2008-12-01

[] 伯父のメモ

母方の伯父は、もう十年以上も日々の詳細な記録をとっているのだという。

先日、お見舞いで訪れた祖父の病室で、なにやらメモをとりだした伯父に、誰かがそれは何かと聞いた。すると伯父は、なんでもないことのように、しかしちょっと自慢げに「その日に食べたものや会った人、かかってきた電話や届いた手紙はぜんぶメモしてるんだ」と答えたのだった。伯父の持っているファイルはA4の二穴閉じ紙ファイルで、日記用紙は罫線まで手書きだったように見えた*1

私は正直、なんてめんどくさいことしてるんだろう…と思って聞いていたのだけど、たぶんこの凝り性なところが、勤勉な母方一族の共通点なのだと思う。ある日いきなり(に見えるだけなのだけど)中国語が堪能になっていた母にしても、いつのまにか(に、これも見えるだけ)画家として活動してた伯母にしても、とにかく毎日当たり前のように何かを続けている人たちなのだ。

私も、その勤勉さの一端を受け継ぎたかったなぁなどと思いながら日々漠然と過ごしているのだけど、とりあえず伯父と会った日については、それが何月何日の何時頃だったかまで、ちゃんと記録されているので安心だ。お見舞いの帰りに一緒にパン屋で買い食いしたことも、それがイカスミパンだったことも、学生時代にもらったお年玉の金額も、もしかしたら幼い頃、伯父の家に住んでた頃のことだって、そこには書かれているのかもしれなくて、つまり私のなかの「T伯父」タグはほとんどそこに集約されている、って言えるかもしれない。

でも、それだけ詳細なメモをとるっていうのはどういうことなんだろうか。

メモをとっている時間のこともメモするのかとか、メモするのが当たり前になってくると「メモしない」に意味が生まれるんじゃないかとか、メモのメモってもしかしてメモリーって意味…!? ってとこに辿り着いてついて、なんだかすごくゲシュタルトが構築*2されたような気分です。

ただ、この日記がわたしの一部であるように、伯父メモも伯父の一部であることはきっと確かなんだろうな。

[] UNCLE

ところで伯父さんといえば、UNCLE、UNCLEといえばUNKLEですけど、UNKLEといえば思い出すのは片山(仮名)君のことだったりする。

あれは確か大学の実習中で、私たちは夏の暑いさなか、機材を持って大学のそばの公園をうろついていた。片山君は長唄をやっていて一年中雪駄であるいてるような人だったんだけども、それは特に関係なくて、そのとき片山君がしきりに「今度出るおじさんのアルバムがすごい面子なんだよ」と言っていて、私はてっきり長唄のアルバムなんだろーと思い「さすが片山君…」とか思って聞いていたのだけど、それからしばらくして、バイト先に入荷されたUNKLEのアルバムみて笑った、とか、たぶん当時はそんな光景が日本のあちこちで繰り広げられていた、かどうかはわからないけれど、ジェームズ・ラヴェルにDJシャドウ、トム・ヨークにリチャード・アシュクロフト…なんてこれ以上ないほどの豪華面子を見れば、そんな気分になるくらいの盛り上がりがあったのは確かだった。

週に3回入荷される新譜は宝の山だったし、ライブのチケットとれるかどうかに必死になって早起きしたりバイトの休み時間に非常階段で電話かけたり、音楽雑誌はほとんど読んでいなかったけれど、早番のまだお客さんがいない時間帯に中古盤のライナー読み漁ったりとか、常連のおじさんのすすめるレコードを片っ端から買ってみたりとか。新旧問わず、新しく好きになるバンドがひっきりなしに現れていたような気がする。

今はそれがなくなったというわけではないけれど、わけではないんだけれど、この前大学時代の友達に会ったときに「すばらしい日々の歌詞が最近身にしみて」という話をしていて、なんかちょっと思うところもあって、なんていうか「なつかしい歌も、笑い顔も」とか、大事なものをちゃんと大事にしてくことってけっこう難しい。

でもいつだって新しく好きになるものはあるし、こうやってふと思い出すみたいに、そのやり方がかわっても、残ってくもはあるような気がする。たまに「God knows you're lonely souls〜」の歌い出しがこびりついて離れなくなるときみたいに。

*1:さすがに近づいては見なかったので、たぶんだけど

*2:なんて言い方あるのかな