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  □これまでの日記一覧

2010-06-30

[] 下北沢インディーファンクラブ/2010.6.27

下北沢のライブハウス9店合同で行われたフェス*1に行って来ました!

まずはグッドラックヘイワを見るつもりで向かったのだけど、開始15分前くらいについたにも関わらずシェルター前にはすでに行列ががが。ライブ終わるまで入れないね…ということで早々にあきらめてお茶しに行く。下北に行くと大抵寄るラ・パレットケーキは安心のおいしさです。いちじくタルトを食べた。

そこからガーデンに向かって TUCKER神聖かまってちゃん

正直、かまってちゃんに関しては、せっかくだし…という気分だったのだけど、これが予想以上にぐっときた。上手いバンドではない思うんだけど、でも確かな魅力があると思ったし、ボーカルの人の声も録音で聞くよりずっと印象的でした。きっと、いままさに、岐路にいるバンドなんだろうなーとか思う。

かまってちゃん後は251に移動してイルリメイルリメー!

もう大好きです。ほんと体一杯に、楽しませようって気合が満ち満ちている人だなと思う。イルリメライブはいつ見ても楽しいんだけど、この日はまた格別でした。そして、周りにいるお客さんの曲熟知具合も嬉しかった!

先日書いた*2、大好きな「とらべるびいつ」の前のMCで話してた「照れくさい」と「勢い」の間でちょっとためらう感じは、個人的にすごく身につまされるところで、ちょっと頭がとばされたところに、トリミングでしめ。

ほんと楽しかったなー。そして数時間後にみかけたイルリメさんが、完全にスイッチオフになった顔で歩いてたのにも笑いました(失礼)。でも、そこが好き。

イルリメ後はキセルみたいなと思ってたんだけど、本部前の掲示板見たら早々と入場規制中って書いてあって、なんかちょっとバテ気味だしねえってことでかき氷を食べに行った。しもきた茶苑大山さんのほうじ茶かき氷! どんな味なんだろうって思ってたけど、香ばしくておいしかったー。

甘いものは一気に食べれない(好きなんだけど)私でも、あっさり完食できました。

かき氷後は、今日の目当てのひとつ SAKEROCK の様子をうかがいにシェルターへ。すでに20人くらいは並んでいて、折れそうになりつつ、ひとつ前のOLEDICKFOGGY から見ることができました。OLEDICKFOGGY さんは初めてみるバンドだったんだけど、とてもうまいバンドだなーと思いました。バンジョーが入った、アイリッシュフォークぽい音(うまく説明できない)。もうちょっと広いとこでまた見て見たいです。

そして SAKEROCK! いやー私はほんとに伊藤大地さんのドラムが大好きです。たぶんスネアの使い方が好きなんだと思うんだけど、ちょうどいいところにちょうどいいおかずが入るのがすごく気持ち良いんだよな。ってあれなんで「おかず」っていうんでしょうね。

会場は満員電車のような状態だったし、ステージはほとんど見えなかったんだけど、でもとても楽しかったです。でも次はもっと動けるゆとりのあるとこで見たい…。

ライブ後、会場に入れなかった人のためにもう一回ライブをやるので、速やかに外にでるようお願いします、というアナウンスがあった。入場規制が続いてしまったということでの急遽の対応だと思うのですが、ちょっとほっとした。

下北沢の町は小さくて回りやすく、かつ近道がたくさんあるので、ライブハウスを巡るってこと自体に苦労はなかったのだけど、どのライブハウスもそれほど大きくないので、初っ端から入場規制が続いてしまい、そこはちょっと残念だなーと思いました。それでも、私は運良く見たいものの大半は見れることができて、見たライブはどれもとてもよかった。なので、もし来年もあるなら、もうちょっと、見やすい感じになるといいなあと思いました。

ライブ中、ずっとうどん食べたいね…て言ってたのだけど、時間時間だったので帰りに駅前のマック寄って、ハンバーガーを摂取し帰宅しました。

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2010-06-26

[][] 夜想曲集/カズオ・イシグロ

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

音楽をテーマにした短編集。

カズオ・イシグロ小説を読んだのは、「わたしを離さないで」(id:ichinics:20070123:p1)が初めてで、あの小説のことは今でも度々思い出す。とても好きな小説だ。

この「夜想曲集」は「わたしを離さないで」とはかなり印象が異なるけれど、一人称で語られる視線の「偏り」によって、ミステリを読むような、緊迫感が生まれるところは共通していると思った。

例えば『降っても晴れても』という、旧友である夫妻に再会し、なぜかその妻と2人きりで過ごすことになるという話がある。ある些細なトラブルから、雪だるま式にわけのわからない状況に陥っていく、その本人の視点から描かれているので、彼にわからないことはラストまで読者にも見えないままだ。だからといってすっきりしないということはなく、読みながらあれこれ想像する余白の形を作るのがとてもうまい人なんだなということを思いました。

ところで、私は小説でも漫画でも、短編集ってその人のいろんな面が見れるようで好きのなのだけど、あとがきを読むと、イギリスでは「短編集」は長編にくらべて人気がないらしい。

同一作家でも、長編に比べて4分の1程度と書いてあって驚き、ぱっと浮かぶ短編作家はそういえば、アメリカの人ばかりだなーと思った。

ところで、マーク・ロマネク監督による「わたしを離さないで」の映画予告*1を見たのだけど、これが予想以上に雰囲気がよくて、楽しみになっている。

[] エアコンイヤホン

土曜日エアコンの修理の人の電話で目が覚めた。寝起きの電話ってなんで起きてた風を装ってしまうのか。「すみませんね朝早くに電話して」「いえ、全然だいじょうぶですし」なんて、実際は慌てて起きて布団干したりして昼、せっかく修理に来てくれたのに、そういうときに限ってエアコンは正常に作動し、結局様子見ということになった。でもまあ、それ以降正常に作動してるので、もしかしたら修理してくれたのかもしれない。

夜は友だちの家におじゃまして、のんびり飲みをした。お刺身も食べた。安心していたせいか、調子よくビールを飲んで気づいたら結構酔っていた。

持っていったレバーペーストをおいしいといってもらえたのも嬉しかった。フードプロセッサーはあっという間に形がなくなるのですごい。すごい、という気持ち半分、でもこえー、という気持ち半分で使っている。とりあえず次は、冷たいスープとか作ってみたい。

iPhone 買ってからずっと使っていた純正のケーブルがとうとう切れた。仕方がないので、iPod のときに使ってたイヤホンを出してきて繋いだら、驚くほど音がきれいに聞こえて、最近また歩きながら音楽を聴くのが楽しい

雨上がりの夕焼けとか、夜散歩に出たりとか、ごはんがおいしくて、あじさいも咲いてて、晴れの日が好きで、麦茶は飲み過ぎるときもちわるい、とか、例えばイヤホンから流れる音の新鮮さに、何かを言いたくなるときの、嬉しいような、すこし途方に暮れたような気分は、なんだか夏みたいだなーと思う。

2010-06-23

[] 父の日日記

父の日ということで、ケーキを買った。このチョコのプレートがついてるやつ、ください。なんて、10年前の私だったらきっと恥ずかしくてできなかった。

ハート形ってやりすぎたかな…とか思いつつ、ケーキを持ち歩く時の誇らしい気分で、いつもより少し丁寧に歩く。晩ご飯どうする、手巻き寿司は? いいねー、じゃあ材料買ってきて、なんてやりとりを電車の中で済ませ、最寄のスーパーで刺身と海苔と、マリーンも欠かせないし、平目、ちょっと高いけど、なんてカゴにどんどん放りこんで、両手に大荷物で帰宅

食卓の準備が済んだ状態から風呂に入り始めるとか、相変わらずの父さんをマリーンつまみ食いしつつ大人しく待つのは私たちきょうだいにとっては日常だ。ぎりぎりまで空腹をがまんした後の、いただきますの後が各自素早いのもいつも通り。久しぶりの手巻き寿司は、酢飯3合あっという間だった。

最近パソコンが重くてね、と父さんが言うので、外付けに移したら? と答えると、繋いでるけど減らない、と言う。だからもう新しいの買おうと思って、とも言う。なぜか、新しいパワーポイント買おうかな、とも言ってた。その後、皆であれこれ言った末に「……もしかして父さん、ごみ箱空にしたことないんじゃないの?」ときいたら、それが図星で笑った。

ハート型のメッセージプレートにはもちろんノーコメントだったけど、帰り、駅まで車で送ってくれるというのは機嫌が良かった証拠だと思う。ナビがあれこれ言うので、どうしたのと訊くと、三日後に遠出する用があるので、すでにナビに登録してあるのだと言う。そういう心配性なとこは、私は似なかったな。なんて思いつつ、

別れ際、「ゴミ箱忘れずにね」と言うと舌打ちして笑い、無言で走り去って行った。

[][] 「かぶく者」1〜7巻/漫画:たなか亜希夫 原作デビッド宮原

かぶく者(1) (モーニング KC)

かぶく者(1) (モーニング KC)

友だちに貸してもらって読みました。とても面白かった!

物語の主人公は新人歌舞伎役者の、市川新九郎。彼は最初から「天才」として描かれているのですが、その才能だけでは「歌舞伎」は成り立たない。一見傲慢にも見える新九郎が、タイプの異なる様々な先輩役者たちとの演技の応酬から、多くのことを学んでいく過程が読んでいてわくわくします。

なにより、新九郎の天才であるゆえんが、まずご見物(観客のことをそう呼ぶのだそうです)の心を感じる力にあり、ご見物を満足させることを第一に考えている、っていう設定が良い。さらに、伝統と家柄を重んじる歌舞伎世界で、「血筋」という後ろ盾のない新九郎に降りかかる困難もまた物語面白くしています。いいね! こういう、努力する天才の物語大好きです。

この「かぶく者」は、いわば歌舞伎版の「ガラスの仮面」や「昴」といったイメージなのですが、例えばマヤの白目のように、やはり演技をつかむ瞬間が見せ場となっています。その多くは見開きで描かれる大ゴマなのですが、これがどれも魅力的でぐっとくる。

それから、ちゃんと素の顔と化粧を描き分けつつ、同一人物であることをわからせる作者の画力がこの作品の説得力であり、面白さの要だなとも思う。中でも、人気女形であり、新九郎のよき味方となる恋四郎の舞台は印象的でした。

続きがとても楽しみです!

かぶく者(7) (モーニング KC)

かぶく者(7) (モーニング KC)

2010-06-21

[][] 「乙嫁語り」2巻/森薫

楽しみにしていた乙嫁語りの2巻がでました!

乙嫁語り 2巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)

乙嫁語り 2巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)

乙嫁語り」は、遊牧民の娘アミルが村に暮らす定住民一家の末息子、カルルクのもとに嫁いでそれからお話。そこに、この圧倒的な画力でもって日常のやりとりや文化が織り込まれていくわけですが、その「画」の語る部分がとても大きいというのが、この作品の第一の魅力だと思います。

リアル、っていうのとは違って、表情の豊かさと、隅々まで丁寧に描かれた情景が、がっちり噛み合って物語を演出しているマンガだなあって思う。だからこそ、登場人物たちがとても魅力的で、読んでいるとこの世界をもっと見ていたいなという気持ちになる。さらに、その布に、触ってみたいと思わせる奥行きがある。

あとがきを読んでいて、とにかく作者が描いてて楽しそうっていうのがわかるのも、読んでいて嬉しくなってしまいます。

2巻では、特に第九話のアミルのかわいさがたまりませんでした。刺繍の話もよかった。読み返すたびになんかにやにやしてしまうなー。

ほんとうに、読めて嬉しくなる漫画でした。続きも楽しみです!!

1巻の感想

http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20091027/p1

[] 映画夕焼け、面倒


告白」を見た後、もしも自分子どもの時に携帯があるのが当たり前だったとしたら、どんな毎日だったのか、ぜんぜん想像がつかないなと思った。

自分小学生の頃の共通の話題といえばやっぱりファミコン世代なんだけど、私はたしか小学校高学年くらいまでファミコンは買ってもらえなくて、時には悔し泣きした夜もあったものの、今思えばジャンプ読みつつ、友だちがドラクエやってるの見るだけでわりと満足していた。気が向いたらダンジョン地図書くのを手伝ったり、勝手地図広げてあとから文句言われたり、なんてことを思い出していたら、楽しい気分になったのでよかった。

映画を見に行きたくて定時であがった日、駅のホームから空を見上げると、山のような黒い雲の上から少しだけ青空がのぞいていて、まるで山間の駅に来たみたいだなと思う。特に思い浮かべる場所がある訳ではないけれど、駅前の喫茶店にはチェックのシャツをきた登山客が集っていそうな雰囲気だ。ふと背後をみると、雨雲が通り過ぎたせいか、こちらは見事な夕焼けが広がっていた。電車に乗る。ガラガラの車内で、窓にへばりついて、この季節のこの時間が好きだなと思う。

例えば、夕焼けがきれいだなーとか、そういうことを言いたいとき、twitter みたいな所があるのはとても楽しい。だけど、でも少しもったいないような気もしている。

つまり、好きなことは単純で、ちょっと面倒なくらいがいいなと、思うこともある。そして、面倒なことしたいのは、好きだからだなとも思う。

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2010-06-20

[][] 告白

監督中島哲也

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とても面白かったです。

もし先に原作を読まずに見たとしたら、もっと驚く映画だったのではないかと思う。その状態で見てみたかったなとも思うけれど、原作を読んだばかりで見たからこその面白さも十分にあった。

嫌われ松子の一生」を見たとき、私は監督の視線がいまいちどこにあるのかわからず、見ていて少し居心地が悪かった。でもこの「告白」はその冒頭シーンから、監督の視線がはっきりと、物語の外にあるのだということがわかる。松子でもきっとそうだったのだと思う。監督はけして登場人物に寄り添わず、むしろ登場人物に気持ちを重ねようとする視線に鏡を向けてくるような、撮り方をする人なんだな、と思った。

それはたぶん原作がやろうとしていたこととも重なっていて、その汲み取り方、映像にするうえでの補足と削除の仕方の的確さは、ちょっと怖いくらいだった。

監督特有の、おとぎ話のような画面の作り方も、物語とよくかみ合っていたと思います。

過程に面白さがある物語なので、ネタばれせずにあらすじを説明するのがむずかしいのだけど、登場人物それぞれの思惑が明かされていくその語り口も、中学生子どもたちの、自分と他者の境目が曖昧感覚を描いた作品としても、すごいと思いました。

世の中には様々な不幸がある。そして様々な不幸はすでに語りつくされてしまっている。しかし、悲しい話を聞いて涙するのと、その物語が自らのものになるのとじゃまったく話が違う。この物語には何人か主人公がいるのだけど、そこに共通するのは、その、物語が裏返る瞬間だと思った。

私がもっともぐっときたシーンは、「復讐者」である主人公が泣いて、うずくまって嗚咽し、その次の瞬間には、その涙を他人事のように振り切って立ち上がり、歩き出すシーンだ。

ここで彼女自分の不幸を「泣ける物語」にすることを、きっぱりと拒んだのだと思う。

関連

原作感想http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20100611/p1

嫌われ松子の一生」→ http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060603/p1

2010-06-18

[][] アウトレイジ

監督北野武

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黒社会もの、中でもファミリーの話になると特に好きなのでとても楽しく見ました。

見終わってすぐには、ストレートヤクザ映画だなと思ったのだけど、そもそも自分ヤクザ映画というのをあまり見たことがない。「アウトレイジ」に関して言えば、それが暴力や小指を詰めることにあるならば十分だし、義理人情にあるならば違うだろう。でもそこが面白い、と思ったし、「全員悪人」というコピーがあるからこそ、誰か例外になるのだろうかと疑いながら見るのが面白かった。裏切って当たり前、だけど、もしかしたら裏切らないやつがいるかもしれない。

その期待を一身に背負うキャラクターが、椎名桔平演じる水野だったと思う。

彼のボス警察署で取調べを受けている間、外で煙草を吸いながら待っている彼のあのいたずらっぽい笑顔。そして中華料理屋での、これから起こる暴力表面張力の中でにやつくあのふてぶてしさ。

今まであまり見る機会のなかった俳優さんなのだけど、暗がりの中で彼の目に光を当てたシーンの色っぽさなど、このアウトレイジという映画の中で、水野存在感は圧倒的だったし、格別に格好よかったと思う。

それから鈴木慶一さんの音楽もとてもよかった。

物語はいたってシンプルながら、印象に残る場面をひとつずつ水に沈めていくかのような映画だと思いました。

ところで、巻き舌する人が少ないなあと思ったのだけど、ヤクザ映画の中では、啖呵といえば巻き舌って文化はもう廃れているのだろうか。

[][] 小さい人のお話

先日、映画館で、ジブリの新作「借り暮らしのアリエッティ」の予告を見た。まず目を惹くのは、ここに行ってみたい、って思うような魅力的な風景で、

そこでアリエッティが洗濯バサミを髪留めにし、ティッシュを引き出しているところを見てわくわくすると同時に、自分はいつから、こういうこと考えなくなったんだろう、と思っていた。

幼い頃大好きだった佐藤さとるさんの本や、ジル・バークレムののばらの村シリーズなど、小さい人(のばらはねずみだけど)のお話楽しいところは、例えば洗濯バサミが髪留めになるみたいに、もし自分が小さかったとしたら、世界はどんな風に見えるんだろうって考えることにあると思う。草むらはジャングルだし、お茶碗はお風呂だし、ニルスはモルテンに乗って空飛ぶし、三口くらいで食べちゃう南部せんべいだって三食分くらいになるかもしれない。

とか、そんなふうに、もうどっかで見たようなことしか考えられなくなってしまっている自分が残念なのだけど、映画ではアリエッティのどんな暮らしが見れるのか、見るのがとっても、楽しみです。

コロボックル物語(1) だれも知らない小さな国 (児童文学創作シリーズ)

コロボックル物語(1) だれも知らない小さな国 (児童文学創作シリーズ)

2010-06-17

[][] 最近読んだ漫画

ちはやふる」9巻/末次由紀

ちはやふる(9) (BE LOVE KC)

ちはやふる(9) (BE LOVE KC)

かるた部に新入生が入る、転機の巻。新人はこれまでに出てこなかったタイプキャラクターで、面白くなりそうです。特に男の子の方。こういう自信たっぷりでちゃんと強いキャラが好き、なのは「あひるの空」の太郎が好きなのとちょっとにてるかも、ってまだわからないですけどね。ともかく、作者はこうやって、定期的に新鮮味を足してくのがうまいなあと思った。

それから、そうなったらいいなあって思ってた、かなちゃんの夢が言葉になったのが嬉しかったです。

坂道のアポロン」6巻/小玉ユキ

坂道のアポロン (6) (フラワーコミックス)

坂道のアポロン (6) (フラワーコミックス)

こちらもまた、そうなったらなーって展開が動きだして嬉しい巻。

坂道のアポロン」は音がない漫画なのに、セッションのシーンが見せ場になっているのがいいなーと思います。そういえば音楽漫画ってあんまり読んだことないな(ぱっと思いつくのは「BECK」なんだけど読んだことない)。

同時収録の短編夜警」は映画マネキン」を思い出しました。ずっと前、下北沢にいついっても「マネキン」流してる喫茶店があったなー。

「7人のシェイクスピア」1巻/ハロルド作石

7人のシェイクスピア 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

7人のシェイクスピア 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

貸してもらって読みました。上にも書いたけど、ハロルド作石さんの漫画って今までちゃんと読んだことがなかった。

この「7人のシェイクスピア」は1巻の段階ではまだどんな話になるのかさっぱりわからず、7人というのが何を意味するのかもわかりません。

1巻の中心となる人物は、イギリスチャイナタウンに住む、不思議な力を持ったリーという少女彼女チャイナタウンを出て行くことになるまでの展開で、思わずシェイクスピアのことを忘れていたりもしたけれど、彼女が今後どのように「シェイクスピア」と関わっていくのか、楽しみです。

[] カーテンを閉めない

天気の良い日は自然に起きられる確率が高い。それは私がカーテンを開けて眠ることが多いからかもしれない。全開にしているわけじゃないけれど、夏になったら日焼けをしてしまいそうな程度には開いていて、たぶん私は、カーテンをぴったり閉めて眠るのが少しこわい。映画マンガで見かける、冷蔵庫ロッカーの類に閉じ込められて「内側からは開かない」という状況に陥るシーンもこわい。はじめてそう思ったのは、たぶん「世にも奇妙な物語」の「ロッカー」って話を見た時で、あの頃の「世にも奇妙な物語」はすごく面白かった。翌日の学校では必ず「あれ見た?」って話になった。例えば岩井俊二の「オムレツ」。見たのは1度切りなので記憶はかなり曖昧だけど、高田純次オムレツを作る話で、カメラに向ける表情と、光の溢れた台所の様子を思い出すだけで、今も少し泣きそうだ。だいぶ美化されてるとは思う。だからもう1度見ようという気にはならないままなのだけど、オムレツを作ったり食べたりするたびに、私はあの時テレビで見た高田純次の顔を思い出しているのだ。

それで何が言いたいかというと、逆に曇りの日は起きにくいということです。目が覚めて窓を見て空が白かったりすると何時だかわからなくて不便だし。それから、ソーラーパワーじゃけん、って言ってたひとは誰でしたっけね、とかそういうのGoogleに聞けばすぐわかってしまうのはちょっとつまらないなと思ったりします。

2010-06-13

[][] 「ローラーガールズ・ダイアリー

監督ドリュー・バリモア

楽しかったー! 映画館を出た後、本開くのも音楽聴くのもちょっともったいないくらいの余韻を引きずったまま、この映画のことはきっとこれからも、何度も思い出すだろうって思った。少し早足になる。楽しくて笑ってばっかりだったのに、泣きすぎて頭がガンガンしてるのもなんだか可笑しかった。

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物語は、田舎町に暮らす高校生ブリスが、ローラーゲームに出会うとこからはじまる。この、ローラーゲームをやってる女の人たちがとにかく皆タフで魅力的なのが、この映画の1番の見所だと思う。

それぞれ事情はありつつ、おしゃれをするのも、おしゃべりも、ゲームで勝ちたいのもまずは自分のため。それを、監督であるドリュー・バリモアを筆頭に、キャスト女性全員で体現しているような映画だった。ミニスカート最高! とか思う。とにかく、登場人物たちの笑顔の雄弁さといったらなくて(↑の画像笑顔とかね!)、これはもうキャスティングの力だなーと思いました。

特にライバルチームのエースを演じるジュリエット・ルイス存在は象徴的で、彼女が主人公に対して言う台詞にはいちいちぐっときてしまった。

主人公は10代の女の子だけど、年齢を偽って入団するため、チームメイトはすべて彼女より年上の女性たちだ。そうやって、10代の頃に、楽しそうな「先輩」の姿を見ることの心強さ、というのも、この映画テーマひとつなのだと思う。とはいえ、ブリス彼女たちに憧れている訳ではないだろう。むしろ、「大人」も自分も、たいして変わらないのだと知ることが彼女を身軽にしていくように感じた。

やがて、ブリスと対立してしまうかのように見えた母親もまた「同性の先輩」なのだということが、「いまは非難しないで」というギリギリ台詞をきちんとくんでくれるところでわかる。この、台所でのやりとりが、ほんとうにたまらなかったな。

お父さんもチャーミングで素敵だったし、友だちの女の子バイト先の男の子も、みんな大好きだーって言いたくなる映画でした。

ところで、この映画を見終わって真っ先に思い出したのが「ゴーストワールド」という映画のことだったのだけど、見終わって一緒にご飯を食べた友だちがまったく同じことを言っていて、なんだかすごく嬉しかった。あの映画の先に、この映画があると思うと、すごく励まされる。

楽しいこといっぱいある。自分を信じてくれる人もいる。だいじょうぶ。

そんなことを思う。ほんとうに楽しくて、わくわくする映画でした。

[] 野菜炒め、理科ピザコーク

階段で躓いて隙間にヒールを落とした。弁当を家に忘れた。ゴーヤチャンプルーを作ったつもりだったのに、なんか野菜炒めみたいな味だなって、食べ終わってから卵を入れ忘れていたことに気づいた。注意力散漫になるのは体調のわるいしるしだよね…、というわけでまんまと体調をくずして1回休みを挟んだりもしたけれど、思う存分眠りたおしたおかげで週の後半には回復。

もらった種を植えてから、朝起きていちばんにベランダを見るのが楽しみになった。天気の良かった日には、葉っぱの緑も濃くなるような気がする。最初にでた葉っぱは丸いのに、そのあとの葉っぱはなんでギザギザなんだろう、って言ったら、それは子葉と本葉の違いだって教えてもらって、ああそういえば小学生の頃にそんなこと習ったなーって思い出したりする。毎日少しずつ、ちゃんと大きくなるのが面白い

土曜日は友だちの家に集まって、念願のピザコーク(のつもりでビール)の会をした。宅配ピザなんてなかなか頼むチャンスがないので、チラシを見ながら選ぶ段階でかなり相当だいぶ楽しかった。薄かったり厚かったり耳にチーズが入ってたりウィンナーが入ってたり、生地ひとつ選ぶのにもあれこれ目移りする。メニュー開いて、なに頼むか考えてるときってほんとしあわせだ。

ピザを頼んだ後は、破を見て、届いたピザを食べて、その後ホラー映画も見た。ホラー映画の方は、死亡フラグドミノ倒しみたいで、見てる間ほとんど笑ってたような気がする。

帰り道はちょうどいい涼しさで、とても気持ちがよかった。もうちょっと歩きたいなーなんて思っていたら、まんまと駐輪場が閉まっていたので、せっかくだしと少し散歩をして帰る。

なんとなくうれしい気分だったので、そのまんま眠った。

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2010-06-11

[][] 「告白」/湊かなえ

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

映画版の評判が良いので気になって、とりあえず原作文庫を買ってみたんだけど、一度読み始めたらとまらず一気に読み終えてしまった。面白かったです。

原作感想はほとんど目にしたことがなかったんだけど(本屋大賞をとったときに見たかもしれないけどいい具合に記憶から消えている)、これからちょっと探してみようと思う。

ひとつの事件を複数視点で描くという手法も好みだし、独白調の文体もスピード感があっていい。何より「独白」であるということは、その視点には偏りがあるということだ。どこまでが本当で、どこからが「解釈」なのかという境界線が曖昧だから、登場人物の誰も「信用ならない」。それがこの物語面白さだったと思います。

ここであらためて、独白調、というのは一人称とはまったく違うのだなと思った。

ただ、どうしても腑に落ちない設定がひとつあって、乗り切れなかったところもあったんだけど、それをおいておいても、このお話がどんな風に映画になっているのか、見るのが楽しみです。

[][] 「STAND ALONE COMPLEX

自分意識的に考え事をするとき、そのほとんどは自問自答のような気がする。私は今、って書くうちに「それはもう今じゃなくなっていくじゃないですかー」、とか言ってる自分がいて、たまにめんどくさい。

何かに腹が立った、ということを言葉にしにくいのも、「だからといってそれが全部ってわけでもなく…」とかつい言いたくなるからだし、そんな風に、どう読まれるのか心配ならば、注意書きしないでいられないならば、やっぱり口をつぐむべきなんじゃないですか…、って書いたそばから、いやいやそこは「口をつぐむべき」ではなくて、口をつぐんでいたほうが楽、でしょうという声がするし、なるほどそのとおりだなと思う。

口をつぐむというのは、たぶん頭の中でこんなふうに、喋っている自分を止めるということだ。

目の前にあることに対する反射のようなもの、練習を積み重ねた動作、などは「言葉」にする過程を省くから滑らかなのだと思う。みじん切りするときにいちいち「包丁を持ち上げて、下ろして」なんて考えていたら指を切ってしまう。

でも、その一時停止が解除できなくなったら、どうなるんだろうか。

「世の中に不満があるなら自分を変えろ、それが嫌なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ、それも嫌なら…」

攻殻機動隊S.A.C.」第1話

目と耳はインプットで口はアウトプットだから、ただ文句を言うな(喋るな)ってことなら口をつぐむだけでいい。ここで言ってるのは、つまり見聞きしたものを「不満」という言葉にする過程をやめろってことで、その「言葉にする」過程が「考える」ってことなんだと思う。

「耳と目を閉じ、口を噤んだ人間になろうと考えたんだ。ザ・キャッチャー・イン・ザ・ライ25章からの引用と言う話ね?」

「ええ、報告書にも書きましたけど、その一部を施設の中でも見つけたんです。最初小説のまんまだと自分でも思いこんでいた。でも俺が見つけた文章は、なろうと考えたんだ、の後に続きがあったんです。「 or should I?」だがならざるべきか。そう書き加えられていたんです。あれは彼自身の自問自答だったんじゃないでしょうか?(略)」

攻殻機動隊S.A.C.」第20話

この台詞に続くトグサの考察は、いま私が考えてることとはまた違う気がするんだけど、でも改めて、この「 or should I?」はすごく大切なキーワードだったんだなと思う。

止まっていると、それが結論のようで居心地がいい。たぶん。でも、と考えてしまうのは楽しいけど、たまに鬱陶しいし、それをはじめたらたぶんずっと追いかけることになる。

2010-06-08

[][] 「パスタマシーンの幽霊」/川上弘美

ちょうど手持ちの本を読み終わったので、何かないかなと思って書店に寄った。ほんとうは別の文庫本を買うつもりだったのだけど、新刊の棚に平積みになっていたこれを手にとって、もう一度ぐるっと店内をまわってから、やっぱり買うことにした。

パスタマシーンの幽霊

パスタマシーンの幽霊

読んでいて落ち着く本で、とても気に入りました。川上弘美さんの小説は、個人的には短編の方が好きなのだけど、特にこの「パスタマシーンの幽霊」は、私が初めて読んだ川上さんの本「神様」の印象にちょっと近い、でももう少しとっつきやすい短編集だった。

「クウネル」に連載されてたというのが関係あるのか、食べ物のことがよくでてくるのもよかった。繰り返しでてくる登場人物が少しだけいるのもいい。

でも何より、悲しいと楽しい面白いが穏やかにくつっいて続いていて、特に結論しない感じが好きだなと思いました。

好きなものは、おむすびと、すみれちゃんの子供たちと、潮入さん。

ほかにもいくつか、すきなものはある。

少し曇った朝。

学校チャイム。特にお昼休みが始まる時の。

バスの最後尾の座席。

きんつば

水牛の群れをテレビの画面で見ること。

タイサンボクの花。

ほりごたつではないこたつ

「少し曇った朝」p228

ついこないだ、自分が書いた好きなもの*1ひとつだけ重なっていてちょっと嬉しくなった。

特に印象に残ったのは、この本に2度でてくる、杏子という登場人物のこと。なんだか、長いこと良く知っている人のようで、たまに違和感を覚える言葉があるとほっとするくらいだった。物語を読んでこういう気分になるのは、自分にとってはとても珍しいことのように思う。

読んでよかったです。

読みながら、渡辺ペコさんが漫画にしたら似合いそう、なんて思っていたんだけど自分の日記検索したら、「変身ものがたり」の巻末で川上弘美さんと対談してたことを思い出して腑に落ちたりもした。

あと、読み終えてみて、ぱっと浮かぶことがひとつあるんだけど、それが帯にかかれていたりしなくて本当に良かったと思う。

2010-06-05

[] けいおん!!/「せーの!」の空気

けいおん!!」が面白いです。

1期も楽しみに見てたものの、主に楽しみにしてたのはライブシーンで、2期が始まる前も、新曲楽しみだな〜くらいに思っていた。

でもなんか、2期はもう、毎回がとても楽しい。なんかこう、見てるとしだいに顔がほころんでしまうんだけど、この気持ちをなんにたとえよう…って考えてみると、ちょっと難しいです。

萌え、みたいなものじゃないんですよね。や、ほんとに。ほんとですよ? って言い訳するとうそ臭くなるけど、自分にとっての「けいおん!!」は、キャラが好きってのとは違うんだよな…。まあ、強いて言うならムギが好きなんですけど、これは2期になっていちばん変わったのがムギだからなんだと思う。や、ほんとに…!

けいおん2期の楽しさはまず、そうやってムギが変わったって思えるような、キャラクターと、その関係が少しずつ進んでいく様子がとても丁寧に描かれていることにあると思う。続けて見てると思い入れがうまれる、ってことだけじゃなく、そこにある空気の描き方がとてもうまい

例えば、「お留守番!」という、メインのキャラクターがほとんどでてこない後輩中心の回があったんだけど、皆でお泊まり会して、次の日どこいこうかって話で盛り上がってたのに起きたら雨で、なんとなーくつまんない感じになって、でもどうにか盛り上げたいって気持ちのキャラクターと、そういう「空気」を気にしないキャラクターとがいて、ってときのはらはらする感じとか。

そういう感覚って、ひと言であらわせるものではなく、物語の中じゃないと描けないことだと思う。

そして、そういった瞬間の乗り越え方が、どれも「ありそう」なのがいい。基本的に平和お話って安心感はあるんだけど、だからといってファンタジーにしてしまわないように、すごく気を使って作られてる気がする。

1期のライブシーン*1にあった、あの目配せして「せーの!」って呼吸を合わせる瞬間が、日常の中にも広がってるのが2期のような気がします。

2期で特にクローズアップされてるのは、後輩である梓と先輩4人の関係なんだけど、特に台詞で説明したりはないのに、梓が唯の世話をやく理由とかがなんとなーくわかる気がしてくる。

第9話、「期末試験!」を見ていて、「あずまんが大王」の、最後のちよちゃん台詞を、最後に梓が言えるならいいなあとか、思いました。

いやまだ最終回じゃないけどね!

[] アスパラジョナサンサマー

火曜日、新鮮なアスパラをおすそ分けしていただけるとのことで、喜び勇んで夜、自転車で隣の駅まで受け取りに行った。ちょうど目の前に赤い光があって、なんだろうと思いながらしばらく走り、なかなか近づかないなと思ったところでようやく月だと気がついた私はそうとう目が悪い。

いただいたアスパラは、すこし曇った緑のきれいな、すらっとしたアスパラで、どうやって食べようか悩みつつ、水曜日にバターと白ワインのソテー、木曜日ホワイトソースシチューと、土曜日の朝にバター醤油炒めを作った。アスパラはおいしい。新鮮なアスパラはすごくおいしい。

仕事で遠出をした日は、とても天気がよかった。あちこちにうとうとしている人がいて、私もつられて眠くなる。学生服の白い半袖を見て、ああ衣替えの季節なんだなと思う。「エロい話してもいい?」「ねえ!」って女子たちの背中に向かって叫び続けてる男子の群れが、完全にしかとされていて、つい笑ってしまった。そろそろ「That's summer feeling」聞きたくなる季節。

ところで、そろそろ「summer」、って書くたびに「エスユーエムエムイーアール」って頭の中で確認するのやめたい。

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2010-06-02

[][] 「平成マンガ家実存物語おはようひで次くん!」/小田ひで次

講談社ウェブマガジンMichao!」で2006年から連載されていた作品。エンターブレインから単行本ででたときいたので買って読んだ。たしか、この連載開始を知ったのは、黒田硫黄さんのファンサイトでのことだったなーと思い、そのサイトを探してみたけど、もう見つけられなくなっていた…。インターネットの4年てほんと早い…。

おはようひで次くん!」は、そのタイトル通り、主人公が作者自身のエッセイ漫画なのだけど、この1巻ではまだそのエッセイ漫画を描きはじめるところまでいかない。いかなくて思わず笑ってしまった。設定なども、大部分はフィクションとのことですが、それでも作者のこだわりとか意識とかは、ほんとうなんだろうなーと思う。人はほんとうのことを言うために、作り話をするんだっていうしな。*1

小田ひで次さんの漫画は、四季賞デビュー作から読んでいて、最初単行本「拡散」がでたときのこともよく覚えている。絵も、お話も独特で、誰かの夢の中のような作品を描く人だと思った。

けれど「夢の空地」(http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20051027/p1)あたりでなんかすごく迷っている感じはあって、この「おはようひで次くん!」を読むのは、そのとき感じたことの裏地に触れるみたいだった。

ただ、この「おはようひで次くん!」は、これまでの小田ひで次作品を読んできた人にとってはもちろん、小田ひで次さんの作品を読むのはこれが初めてって人にも面白い作品だと思う。 twitter でもちょくちょく感想を見かけます。

ただ、個人的にはこの「おはようひで次くん!」は、漫画家の拘泥を描いたエッセイ(というとぱっと思いつくのは、いましろたかしの「グチ文学 気に病む」*2)というよりは、むしろ漫画家が主人公の日常漫画みたいだなと思いました。姉妹や、編集の人や、ひで爺自身の自信など、受け皿がちゃんとあるので安心して読める。「夢の空地」の読後感がわりとしんどかったので、あの後にこれがあってよかったと思った。

毎日風呂に入りながら、ちょっとずつ読むのが楽しかったです。

とりあえず、続きは数年後、とかにならなければいいなー。

[] 最近の出来事

いつの間にか5月が終わっていた。なんてつい言いたくなるけれど、5月のはじめのことを考えると、もう半年くらい前のことみたいな気がするので、感覚的にはやっと5月が終わった、なのかもしれないし、落ち着かない気温のことを考えると、まだまだ5月はこれからですよ!って気分にもなるんだけど、ともかく5月が終わった。

タイフェスに行った日は暑かった。友だちと合流して乾杯して、ちょっと喋ったりしているうちに次々と、久しぶりの人やはじめての人、そしていつもの面々に会えて嬉しかった。人生2回目に口にしたドリアンは、ほんとうにつらかった。タイ旅行に行ったとき、スーパーで買ったドリアンバスの中で異臭を放ち始めて、宿に着く頃にはとてもじゃないけど、食べ物とは思えないオーラをまとっていたのを思い出す。全然大丈夫、という人と全然だめ、という人にはっきり分かれるのも面白い

帰りにドーナツ食べて、ひとつはお持ち帰りにした。お土産を持ってかえるのって好きだ。そういえば、帰りの電車で話した、クマの名前がまだ思い出せない。

いよかんのサングリアもおいしかった。あんまりおいしいので3口くらいで飲んでしまって、後からもっと大事に飲めばよかったと後悔した。カウンターだけのお店でぎゅうぎゅうになって、お店にいる人みんな楽しそうだった。お店の人はやさしくて、フランスパンをたくさん切ってくれた。友だちが「インターネットッ」って何度もいうのが可笑しくて良く笑った。あのお店にまた行きたい。

割引券があるから!って誘ったのに、割引券忘れた日もあったし、オクトーバーじゃないけど、オクトーバーフェストにも行った。

行ってみたかったお店で、何年も前からずっと話してみたかった人を囲んでご飯を食べたりもした。あれはあれですよね、ですよね、なんて具合に話が通じるのが面白くて、とても楽しい夜だった。

なんて思い返してみると、5月は飲んでばかりいたようだけど、平日は会社だし、1日こもって仕事をしていた日もあったし、部屋の模様替えだってした。あと、フードプロセッサーをもらったのが嬉しくて、近頃はいろんなものを粉々にしている。

6月からはもうちょっと日記を書きたいなーと思っていて、この日記は練習のつもり。

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*1:ということが、『ビッチマグネット』にも書いてあったのを思い出す

*2http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20080516/p1

2010-06-01

[][] 「シュレディンガーチョコパフェ」/山本弘

シュレディンガーのチョコパフェ (ハヤカワ文庫JA)

シュレディンガーのチョコパフェ (ハヤカワ文庫JA)

友だちに貸してもらって読みました。面白かった。

『まだ見ぬ冬の悲しみも』という本を改題し、1編追加収録した文庫版とのこと。この追加収録の短編「七パーセントのテンムー」が個人的には一番気に入りました。

人類の中には7パーセントの割合で、「I因子欠落者(テンムー)」がいるという研究が進む中、自分恋人が「テンムー」であることを知った女性が主人公の物語

I因子欠落者は自意識を持たない。これは昔から哲学者が「ゾンビ」と読んでいた概念だ。普通人間と同じように思考するが意識をもたない人間。(略)その脳の中には〈私〉という概念がない。p327

物語の進む方向が、「意識」の話になっていくのが、とても好みで面白かった。これと同じアイデアが『神は沈黙せず』にも使われているとのことなので、それも読んでみたい。

その他の短編も、自分がこれまで読んできたSF(数はかなり少ないですが)と通じるものがあったりして楽しい。以前読んだ「アイの物語」と通じるところがあったりするのも、おもしろかったです。

もうひとつ、気に入ったのが「メデューサ呪文」という短編。これは、異星人によってもたらされた数行の詩が人類を滅ぼしかける…というお話で、なんとなく『ハイペリオン』を思い出したりもした。

「本当の海も頭の中なのだ。君は本当の海を見たと思っているが、そうではない。本当の海など誰にも見えない。太陽の光が海に反射して君の眼に入り、網膜を刺激する。視神経がインパルスを脳に伝え、脳がイメージを構成する。君が見ているのはそのイメージだ。詩の完成度が高いほど、それが喚起するイメージも鮮明になる。そこにある海も、詩に描写された海も、入力の経路が異なるだけで、等価なのだ」p221

このような、作者の(といっていいのかわからないけれど)「言葉」に対する思いはとても好きだなと思ったし、確かにその通りだと思うところもある。

ただ、全ての(もしくは大多数の)人に同一のイメージをもたらすような言葉があるのかというと、それはない、ような気もするのだけど。

もうちょっと考えてみたい。

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種を送ってもらった。茶色い封筒の中に入っていたメモを読み、折りたたまれたティッシュを開くと小さな種が10粒ほど入っていた。種の寿命は5年程度、と書いてあったので、とりあえず3粒ほど埋めてみることにする。

土に指を挿して引き抜き、できた穴に種を落とす。「掘っても掘っても指先に、触れてくるのは柔らかな、思い出ばかり」という歌を思い出し、慌ててそっと土をかける。

メニューをめくりつつ「最近油っぽいものダメになってさあ」と言うので、私も揚げ物、ちょっと苦手になったかも、と答える。野菜おいしいよね、特に暑くなるとね、あ、でもモツ煮込みは食べたい、いいねえ、なんて適当に注文済ませて、ビールが手元にきたところでやっとひと息つく。

最近は魚が好きだなー。私は断然サバですね。えー脂っこいじゃん。いや、私が苦手になったのは揚げ物だし。あ、でもトンカツは食べたい。いいねえ。さっき串カツありましたよ。なんて再びメニュー開いて頼んで、でもまあ油っぽいものも食べたいよね、まあね、嫌いなモノなんてあんまりないよねえって話をする。

年をとればとるほど、どっちでもいいことが増えてくような気がする。もっと頑固になるかと思ってたけどね。なってるかもしれないけどね。でもまあ、頑固って言われたとしても、どっちでもいいよねえ。

なんて言いながら、冷奴に乗った茗荷をせっせとよけているのを見て、言ってることとやってることが違うじゃないですか、と笑ったりする。

蒔いた直後から雨が続き、気温も落ち着かないので、もしかしてだめかな、なんて思っていた種が、今朝めでたく芽をだしていた。

もしかして「芽が出る」から「めでたい」なのかな、と思って辞書をひくと、めでたいは「愛でる」が語源であると知り、拍子抜けしたけれど、めでたいはめでたいので、まあいいかと思う。

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半端に書いた日記がふたつあったので、挟んだ。

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