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  □これまでの日記一覧

2011-08-22

[][] 「I〈アイ〉」1巻/いがらしみきお

I【アイ】 第1集 (IKKI COMIX)

I【アイ】 第1集 (IKKI COMIX)

いがらしみきおさんの漫画は、ちょっと絵が苦手なこともありほとんど読んだことがなかったのですが、この「I〈アイ〉」は気になって買って、よかったと思いました。面白かった。

物語は、語り手となる主人公雅彦と、その幼なじみである一風変わった少年「イサオ」の成長とともに語られる。雅彦は幼い頃から自分世界で生きているのは自分ひとりなのではないか」という疑問を抱えていた。一方、イサオは生まれてすぐに見た、あるものを探し続けていた。

雅彦はイサオの持つ力のようなものに惹かれて行動を共にするのだけど、正直なところその道中の描写は、少しこわくて苦手に思うところもあった。

けれどこの1巻の終盤でイサオが言う「見ればそうなる」という台詞の描き方には、視界が一皮剥けるような感覚があって(p310〜312あたり)とても面白かった。

「見ればそうなる」ことに気づいた雅彦は、観測する視点である「私」にあまり重点を置いていないように見える。それは見たもの言語化していないからなのではないだろうか。物語はむしろ「見ていないもの」について語られているようにも感じるけれど、

たぶんこの物語は「I〈アイ〉」というタイトルにたどり着くことで、雅彦の抱えていた疑問になんらかの決着をつけるのだろうなと思うので、その「私」を見る存在としてイサオが描かれていることに、今後の展開のヒントがあるんじゃないかなと考えています。

続きが楽しみ。

[] 私の頭の中の8月

蝉の声がして、雨がやんだことを知る。窓を開けると、蝉の声が鈴虫の声に聞こえるような、ひんやりした空気が手に触れ、9月が終わるんだっけ、いやまだ8月か。なんだか8月っぽくないけど、と、頭の中の日付を行き来しつつ私の中のこの「8月はいつの8月を基準としているのだろうかと考える。

緑色カーペットが黄緑に見える四角。庭に置かれた丸いプールの、端を押し下げて流れ出す水、ギュッという手の感触と反動。白いシャツクリーム色のカーテン、登校日の寄り道、炭酸。濃い影とこぼしたコーラのしみ、白くて大きな雲。ヒグラシと大きな夕焼けの赤、バスの発車する音、ビー。夜になる前の薄暗い車内、花火の音、歩道橋にあつまる人の山。黒に赤を溶かしたような夜の底から鈴虫の鳴く声が聞こえる。ビールの入ったふやふやの紙コップ、ピンク色のビーサン、砂の上は暑くて歩けない。

8月」という言葉とともに思い浮かぶ風景は何層にも重なっていて、きっと思い返すたびに違う色だ。今思い浮かべるのはプールの底の水色。息をとめてもぐるときつんとする感じ。

大人になって、多くの当たり前も、二度とできなくなるときがくる、ということを知った気がするけれど、それを考えている今だって、いつかの自分が懐かしそうに見ているのだろう。「だから」○○しなければ、とは思わないんだけど、なんとなく手を振りたい気持ちにはなる。

かい飲み物を頼むか、氷の入った飲み物にするかは、28度くらいに境目があるような気がする。ホットコーヒーを頼んで文庫本を開き、いつだったかの8月、同じ店の同じ席でこんな話をしたのを思い出す。

暑い」「暑いね」「暑いって言うのを我慢するのもいやなくらい暑いね」「ね」

店内の明るさに、18時がもう暗いことを知る。蝉の声がして、雨がやんだ空に夕焼けが広がっていた。

2011-08-11

[][] 「あなたのための物語」/長谷敏司

あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA)

あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA)

とてもよかったです。SFというジャンルの、とくにイーガンの作品などは「考えてみる」ことに近いと思うのだけど、この『あなたのための物語』は、物語を通して考えることがいつのまにか読者にとっての「物語」を考えることに繋がるようなお話だと感じました。

〈“物語”の技術とは、「言語から解放される一瞬」を、どう作り出すかの方法論だと思うのです。〉p379

物語は、ITP という「人工神経制御言語」の開発者サマンサと、ITP テキストによって記述されている人工知能≪wanna be≫の関わりを中心に描かれています。

ITP とは『記述者の「悲しい」を完全に伝達する』『人間感覚し得る世界すべてを編集、整理、共有できる』技術として描かれていて、例えばイーガンの『移相夢』などと近い設定の物語だと思います。

ただ、『あなたのための物語』はそれによって人の自我のありかなどが問われる思考実験の側面よりも、その設定の上で描かれる人の感情の方に重心があると感じました。

物語の序盤で、主人公のサマンサは不治の病に侵されていることがわかる。つまり言葉によって隔てられていた「個人」の境目が曖昧になるであろう未来を目の前に、サマンサは死という「一回性」と向かい合うことになる。序文で結末はわかっているため、読者はサマンサがその葛藤苦痛と無念からどうにかして、浮かび上がろうともがく道のりを、息をのんで見つめ続けることになる。

決して明るい物語ではないのだけど、そこまでの道のりを振り返るような終盤の会話を読んで、私はこの物語を手にとってよかったと思いました。

この物語を読むきっかけになった「地には豊穣」*1を改めて読み返してみようと思います。

2011-08-08

[][] 25年目のキス

ローラーガールズダイアリー」がとてもよかったので、ドリュー・バリモア映画をいろいろ見たいと思って借りてみました。25歳の主人公、ジョジー(ドリュー)が覆面記者として高校に潜入し、17歳として生活することになる、というストーリー

高校時代、真面目グループで、派手な男子にいじられて悲しい思いをするという黒歴史のあるジョジーは、潜入捜査でも最初派手グループにばかにされているんだけど、周囲の手助けもあってなんとか「派手グループ」の仲間入りを果たす。そんな黒歴史克服物としての側面とは別に、この映画ラブストーリーでもあります。

いろいろ定番イベントをこなしながら、主人公を中心に展開する学園生活の追体験、そして最後告白…、ってつまりこれ「ときめきメモリアル」なんですよね。

というわけで、最初アメリカ高校生活とかしんどそう、と思って見てたわたしも、最終的には「ときめきメモリアルin USA」とかあったけっこう面白いかもなーとか考えながら見終わりました。

あと主人公の助手役の俳優さんが気になりました(名前確認できず)。

[] アンパンマン休日

週末、高校時代の友だちと久しぶりに集まってごはん。1年ぶりにあった友だちの娘が、いつのまにか歩けるようになっていて驚いた。

最初は緊張した顔で様子をうかがっていたけれど、お絵かきしてるうちにだんだん慣れてくれて、ラムネをわけてくれたりした。やさしい。わたしも真剣アンパンマンの絵を描いた。アンパンマンですよといったら頷いてくれたのでうまくかけたんだと思う。

その間、友人たちはずーっと切れ目なく喋っていて、毎度のことながら、相変わらずで安心した。話している内容に多少健康話が増えたくらいだろうか。わたしが相変わらずすぎて話すことがないのも相変わらずだと言われた。

ご飯の後は、友だちの娘とプレイルームみたいなところでしばらく遊ぶ。迷わずおままごとセットに向かい、フライパンハンバーグやら野菜やらを山盛りにして振りはじめるのをみて、料理人だった友だちの影響かなあとか思ってぐっとくる。そして、この子が大きくなったらその話をしてみようと思った。

そのいつかは、わたしにとってはあっという間で、この子にとってはすごく遠い先のことなんだろう。

母娘と別れた後は、近くで買い物して帰宅

くたくたになったので「HP限界」といったら「HPって何?」と聞かれるくらい、その友人とは趣味もなにもかぶらないのだけど、きっとまた数年後にあってもこんな感じなんだろうなと思いながら別れた。

[][] 「コメットさんにも華がある」/川原泉

コメットさんにも華がある (ジェッツコミックス)

コメットさんにも華がある (ジェッツコミックス)

子どものころ川原泉漫画が大好きで何度も繰り返し読んだというのに、いつからか新刊を読まなくなっていたんだけど、久しぶりに新刊棚に並んでいるのを見て読んでみたら、ちょっと驚くくらい「川原泉」の漫画で嬉しくなってしまった。

飄々としてどこか所帯じみた、まじめだけどどこか抜けている、という主人公達も、なんだかんだ丸く収まる平和お話も、読んでいて安心する。

そしてどのお話にもなんだかんだ豆知識が盛り込まれており、そういえば「カエサルものカエサルに」という言葉をわたしが覚えたのは「笑う大天使」だったなーということを思い出しました。

2011-08-03

[][] 「サウダーデ」1巻/池辺葵

サウダーデ(1) (KCデラックス)

サウダーデ(1) (KCデラックス)

同じ作者の「繕い裁つ人」がよかったのでこの新刊も買ってみました。よかった。

小さな食堂舞台にしたお話で、一見変わり者に見える主人公を、観察する語り手によって描くという物語の作り方は「繕い裁つ人」にとてもよく似ていて、じっさいちょっと繋がっている。

さばさばした主人公の物言いは読んでいて気持ちがよくて、「嫌なやつ」ではないんだけど「いいひと」にもなってしまわない絶妙なさじかげんだなーとおもいました。

それからこのひとの漫画は登場人物の目を塗りつぶして描いていることが多くて、無表情に見えることも多いんだけど、彼らの考えてることが一見わからない、ってことが、たんたんとしたお話にメリハリをつけているようにも感じました。読んでいて気持ちのいい漫画です。

余談ですが、この「サウダーデ」と「繕い裁つ人」はどちらもカバーのデザインが似ていて、だから発売を知らなかったわたしも本屋さんで手にとることができた気がします。まだそれほど有名ではないけれども、この作者の雰囲気が好きな人はきっと新刊を買うだろう、っていうときにデザインまわりが目印になるっていいなあってことを改めて考えたりもしました。

[][] 「はたらけ、ケンタウロス!」/えすとえむ

はたらけ、ケンタウロス! (ゼロコミックス)

はたらけ、ケンタウロス! (ゼロコミックス)

同時期に同じ作家さんのケンタウロスが表紙の漫画が2冊出ていたのが印象に残っていて、その後、twitterなどで感想書いてる方がいて気になって買いました。

もう1冊のほうはちょっとこってりでしたが、この「はたらけ、ケンタウロス!」は面白かったです。

先日読んだ九井諒子さんの「竜の学校は山の上」*1に収録されていた馬人シリーズとおなじく、ケンタウロスふつう人間と同じ社会で生活している世界お話

でもケンタウロスはすごく長生きだったり、馬なみに(なみに?)走るのがはやかったりなどという違いもあって、その違いの両側から手をのばすような雰囲気のお話が多いです。

とくによかったのは名前の長い大先輩に出会お話。『長生きだから名前をもらう』っていうのにぐっときた。

それにしても作者はどういうきっかけでケンタウロスが好きになったのか、ちょっと気になります。

[][] 「かよちゃんの荷物」3巻/雁須磨子

大好きな「かよちゃんの荷物」もとうとう最終巻となってしまいました。さみしい…。

かよちゃんの荷物 ? (バンブーコミックス )

かよちゃんの荷物 ? (バンブーコミックス )

「かよちゃんの荷物」を読んでいると、高校時代の友人と夜な夜な近所のファミレスに集っていた頃のことを思い出します。メンバーの配分もちょっと似てる。してた会話もちょっと似てる。なにより3人のジャンルというか、服の趣味とかがぜんぜんかぶってない感じなー、あるよなーと思う。

あとはかよちゃんたちがとっても平和なところも好きです。これは雁須磨子さんの漫画全体にいえることでそういうところがとても好き。

からきっとまた、こんな感じのシリーズを描いてくれるんじゃないかなと期待しています。

3巻で1番身につまされたのは「ボウタイは2枚まで」でした。好きなデザインの服って同じようなのもってるってわかっててもついつい買っちゃうこと、あるよね…。

2011-08-01

[][] 「スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」

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主人公のスコット・ピルグリム君が一目惚れした女の子の邪悪な元カレ軍団と戦うお話。

見所はファミコンゲーム風の(ストリートファイターとかマリオとかいろいろ混ざってる感じの)戦闘シーン。改めて、対戦相手を倒すとコインになって散らばるという表現は気持ちいいなーと思った。他にもキスしてハートが散らばったりとか、効果音が文字で表現されたりとか、画面を見てて楽しい映画でした。

主人公は、何考えてるのかよくわらないけどなぜかモテていて、強くはなさそうなのに、いざ邪悪な元カレにおそわれるとわりと強い…というところは日本のアニメっぽい設定だな…と思った。主人公補正がきてるかんじ。あとスコットピルグリムはバンドやってるんだけど、バンド対決をするシーンで、その迫力とか音圧とかを動物で表現する感じもアニメっぽかったです。

そして、そんな風に、アニメや漫画の表現を実写でやると、それだけである程度のこまかい説明はどうでもよくなるところがあるのかもしれないな、と思いました。

見終わった後、スコット・ピルグリムにいろいろとアドバイスしてくれる友人がよかった、と言ったら、マコーレー・カルキンの弟だって教えてもらって驚いた。考えてみたら同じ顔だった。

[][] 「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」

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1、2は見てないんだけど、予告がとてもかっこ良かったので気になって見に行きました。(公式HPで見れる→http://www.tf3-movie.jp/)かっこいい。

でもここでかかってる「デデデデデデデン…」ていう緊張感をあおる音楽が映画ではかからなかった(たぶん)気がして残念でした。

【以下ネタバレかもしれません】

続きを読む

[][] 「ショーシャンクの空に」

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長らく「泣ける野球映画」だと思い込んでいて見たことなかったのですが、ってことをtwitterで書いたら、「泣ける野球映画」はたぶん「フィールドオブドリームス」で、「ショーシャンクの空に」はスティーブン・キングが原作ってことを教えていただいたので見たくなって借りてきて見ました。

いやーいい映画だった…。

キングってきいてたので途中から怖い話になるのかなと思って、所々びくびくしながらみてたんだけどそんなことはありませんでした。

淡々とした物語の中にもきちんとヒントがある伏線の描き方はもちろんすばらしいんだけど、何より、長い刑務所生活の中で育まれていく友情とか、ささやかなことをすごく幸せそうに受け取る様子とかにかなりぐっときてしまい、最終的には長く生きるっていうのもいいものかもなーって思ったりしました。うん…。