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  □これまでの日記一覧

2012-10-27

[][] 竜のかわいい七つの子/九井諒子

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

とっても楽しかった! 前作もすごく気に入ったのですが、この新刊を読んでいるあいだずっと、楽しくってそわそわして、確実に自分がいま一番好きな漫画家さんのひとりだなと思いました。それはなんでかっていうと、もう単純に、好みなんですよね!

絵柄も、扱うテーマも、シリアスコメディのバランスも構成も、自分が大好きなものがいっぱい詰まってる感じ。

ジャンルファンタジーSFっていえるのかもしれないけど、この本でいえば

「竜の小塔」「子がかわいいと竜は鳴く」はどちらかというとファンタジー寄り、「人魚禁猟区」「わたしのかみさま」「狼は嘘をつかない」「金なし百祿」「犬谷家の人々」はSF寄りかなと私は思います。なんでそう思うんだろ…区分けが自分でもよくわかってないんですが。

特に気に入ったのは「人魚禁猟区」「わたしのかみさま」「狼は嘘をつかない」「金なし百祿」の3作品です。

「わたしのかみさま」は八百万の神様が見えてしまっていると思われる小学生女の子お話。困った顔がとにかくかわいい。

人魚禁猟区」は人魚という存在が当たり前にいて、例えば手塚治虫漫画にでてくるロボットのように、人との境界線曖昧である時代お話。ただ、主人公はごく普通の進路に迷う高校生で、ある人魚とかかわっていく感じの顛末がよかった。そう簡単ではないよね、でも、ってところが好みです。

「金なし百祿」は、あまりにも画が上手いために、瞳を書き入れると描いたものが実在してしま画家と、その画家によって実在させられた贋作君のおはなし。コメディなんだけど、もう最高に切なかった。素晴らしいと思う。

「金なし百祿」は湯浅政明監督アニメ化したらいいのにな!と思います

とにかくとても読みごたえのある短編集で、とってもおすすめです!

[] アンドロイド演劇「三人姉妹

大阪大学 石黒浩教授アンドロイド「ジェミノイドF」が登場する、平田オリザ作・演出/青年団アンドロイド版三人姉妹」を見に行ってきました。

ジェミノイドFは以前デパートでの展示を見たことがあって、そのとき感覚が忘れられず、ぜひまた見たいと思っていたのでいいチャンスでした。(やってることを教えていただいたmichiakiさんの感想はこちら→ http://d.hatena.ne.jp/./michiaki/20121021/1350829727

お話のもとになっている「三人姉妹」は読んだことがないのですが、この作品は翻案であって原作とはかなり設定が異なっているそうです。

どうやら各家庭にロボットがいるのが当たり前の時代で、三姉妹は既に亡くなっているロボット研究者の娘であること。そして三女はアンドロイドであることが、物語の序盤でごく自然にわかってきます。突飛にも感じる設定を会話の中で自然に提示していくのがうまいなーと思いました。

家庭用ロボットはロボビーR3、三女のアンドロイドを演じているのがアンドロイドのジェミノイドFです。つまりアンドロイドアンドロイドの役を演じているのですが、彼女は「人間だった妹」の脳の動きをトレースして発話するアンドロイドなわけです。

ボビーについては見た目もかわいらしいロボットであるため、「そういうものだ」として受け取りやすいのか、観客の反応もかなり良くてわたしもロボビー登場シーンはかなり楽しんでみました。

しかしジェミノイドFについては、アンドロイドらしさをみるか、アンドロイドの中に元となった人間らしさを見るか、物語のなかの登場人物も手探りでいるように感じるところがありました。

これは、以前石黒教授が作った子どもアンドロイドを見た子どもがすごく怖がったというエピソードに近いと思います

ロボットが動くと、「動いた」と喜ばれるが、それが人間だと思って見てしまうと、とたんに違いが際立って人は変な感じを抱くのだという。そのために、見かけと動きの問題が工学的な目標となった

http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000923

石黒教授は、ヒトは「相手が心を持っていると信じることができる生き物である」と定義して、「見かけにこだわって」アンドロイドを作っている人です。

この定義に私はすごく興味があって、以前デパートでジェミノイドFを見たときは、その表情を間近で見ることができたせいか、心がある、と感じるところにすごく近づいた感じがしたんです。

そのときに比べると今回の演劇での仕草は「アンドロイドっぽい」と感じる部分が多かったんですが、でもそれは演出意図でもあるのだと思いますアンドロイドの役だから)。

そのあたりを終演後の質疑応答で聞いてみたかったのですが、考えてるうちに終わってしまいました…。

役者さんたちもすごくうまくて、たくさん笑ったし、ハラハラするような掛け合いもあってとても楽しかったです。あのようにアンドロイドと演技をするのはどんな気持ちがするのか、それも聞いてみたかった。

ただ、途中セリフででてくる「あなた人間だった三女)らしくない」ということを、どうにか観客の側もあらかじめ感じられるようなところがあってもいいのかなと思うところもありました。

もしも自分の目の前に、自分の身近な人のアンドロイドがいたとしたら、そのアンドロイドに心があるかどうかを自分は何で判断するんだろう。会話か、仕草か、記憶か。また別のものか。体がふたつある場合はどうか。など、いろいろ考えながら見るのも面白かったです。

とりあえず、「三人姉妹」を読んでみて、このアンドロイド版とどう違うのかも確認してみたいと思っています

関連

以前デパートでの展示を見に行ったときの日記

 アンドロイドの女の子 - イチニクス遊覧日記

2012-10-23

[][] 「女の子の食卓」/「ミシンナイフ

志村志保子さんのことは本屋さんで偶然手にとった「女の子の食卓」で知りました。

1巻を読んだ時の感想を読み返してみると、ヤングアダルト小説雰囲気が近い、とか書いてあって、そう書いたことをすっかり忘れていた私は、あー確かにとか思ったりする。それくらい長く続いた連載がついに、8巻で完結しました。

なぜかずっと買い忘れていて先週やっと読んだのですが、この最終巻もやっぱりとてもよかった。

1つひとつお話がとても丁寧に描かれているのは、巻数を重ねたこの最終巻でも変わっていません。「女の子の食卓」は、人と食べ物との間には、生活や成長とともに続く物語があるんだということを、毎回教えてくれたシリーズのような気がしています。

今は食べ物漫画がちょっとブームになっていますが、「女の子の食卓」で描かれるのはあくまでも「主人公物語」で、その切り口になるのが食べ物であるというところが新鮮なシリーズでした。だから、終わってしまうのは寂しいですが、志村志保子さんの新刊であればまた続きのように読めるとも思う。

最終巻では、ズッキーニの話と、オレンジジュースの話が特に良かったな。

志村志保子さんの新作がとても楽しみです。

これまでの感想

女の子の食卓 8 (りぼんマスコットコミックス クッキー)

女の子の食卓 8 (りぼんマスコットコミックス クッキー)

ミシンナイフ

女の子の食卓」を読み始めた頃、志村志保子さんの過去作が読みたいと思って探していた絶版コミックスが、先日文庫版になって再発売されました*1。これがほんと、すごくよかった!

女の子の食卓」だけでも、短編の上手い人だなという印象はあったのですが、「食卓」というテーマがあったからか、他にどんな作品を描く人なのか、いまいち想像できていないところもあったのです。だから特に身構えずに読んだこの「ミシンナイフ」は、いい意味で予想を裏切られる短編集でした。

日常の中にある、少し不思議な出会いや光景や人のこだわりの背後にある物語を、静かな語り口で切り開いていく様子は、そういった設定があるわけじゃないんだけどすこしSFっぽい。

物語舞台になる時間帯、季節の描き方もとても好きです。

あえて例をあげるなら吉野朔実さんの漫画を初めて読んだときの気持ちに近いような気もする(全然違うんだけど)。

この懐かしいんだけど新鮮な気持ちをなんに例えればいいのか、まだよくわからないのだけど、とてもおすすめ短編集です。

ミシンとナイフ 短編集 (集英社文庫(コミック版))

ミシンとナイフ 短編集 (集英社文庫(コミック版))

[] 緩衝材

最近立て続けに学生時代の友人と会ったらFBの話題が多くて驚いた。誰かが結婚したとか離婚したとか子どもが生まれたとか有名になったとか無職らしいとか、割と深刻な話まで。顔も思い出せないくらい会ってなくても伝わってくるってすごいな、ってたぶんmixiの時にも思った気がするけど、

流れを知らない私が聞いてもいいのかどうか、なんだか後ろめたくもあった。

そうやって、そこにいない誰かの話になってしまうのは特に話す近況も無い私のせいもあるのかもしれないけど、

学生時代に交わしたような、些細な近況というのは頻繁に顔をあわせるようなな相手でないと話しにくいものかもしれない。

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近況を話すまでもないときの、猫がかわいいとか人違いしたとか、こないだ食べた中華がおいしかったとか。冬の匂いがするとか、このくらいの季節に聴きたくなる曲とか、もう10月も終わるとか。そんな、話題が途切れたあとの緩衝剤みたいな話が好きだ。

日記のいいところは、読み手との距離感をあまり意識せずに、例えば緩衝材ばかり詰めたい気分のときにはそれができる所にあるのかもしれない。

*1:収録作品は一部異なっています

2012-10-22

[][] ロック・オブ・エイジズ

監督アダム・シャンクマン

歌手になることを夢見てハリウッドへでてきた少女ライブハウスで働く青年の恋とすれ違いに、トム・クルーズ演じるロックスター再生が交差する、というとてもシンプル物語です。

2005年初演のミュージカル映画化とのことですが、例えば「ムーランルージュ」や「シカゴ」、「バーレスク」などの、ストーリーの合間合間に音楽シーンがあるという構成のミュージカル映画よりも、冒頭シーンでいきなり歌いだすくらいにミュージカルでした。

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時代設定はたぶん70年代後半から80年代初頭のハードロック全盛期。トム・クルーズ演じるロックスターステイシー」は、アクセル・ローズモデルにしているのかなと思いますが、ガンズがデビューした1985年よりはもうちょっと前の時代設定だと思います。物語中盤で、「ハードロックはもうダサい! これからポップス(?ラップともいってた)だ」ってある登場人物がニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのようなアイドルグループを結成させられそうになったりするのが面白かったな。

自分は、60年代後半からから70年代初頭の音楽は好きでいろいろ聴いたりした頃があったのですが、そこから90年代までの間が知識としてすっぽり抜けているので、もっとこの辺りの時代を描いたお話が見てみたくなりました。

私がこの映画を見に行きたい!と思ったのは、監督アダムシャンクマンと振付のミア・マイケルズが審査員や振付師として出演しているアメリカTV番組「So You Think You can Dance」が大好きだからでした。この番組日本では「アメリカンダンスアイドル」という名前で放送されていまして、あの「アメリカン・アイドル」と似たような方式で番組が進行するダンスオーディション番組です。社交ダンスヒップホップジャズタップコンテンポラリーなど様々なダンスを専門とするダンサーたちが、毎週自分の専門外の振付けにも挑戦し、目に見えて上達していく…というのが見所でもあります。前に書いた感想http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20070111/p3

中でも特にミア・マイケルズの振付けが好きなので、主にダンスを楽しみにして見に行ったのですが、基本的にはロックミュージカルなので、あまりダンス」を見ることはできませんでした。ダンスが印象に残ったのはキャサリン・ゼタ・ジョーンズくらいかな…。

そういう意味では、正直自分の期待したところとは異なる作品だったのですが、

とにかくトム・クルーズ演じるステイシーがすごくて、あの目力でおなかいっぱいになれたので、よかったかなと思います。あと主役の女の子の声もよかったです。あとなんか???ってなる見所シーンもあります。でもやっぱりこれに出演してやりきったトム・クルーズがとにかくすごい!と思う映画でした。

[][] 「ちづかマップ」1巻/衿沢世衣子

ちづかマップ 1 (フラワーコミックス〔スペシャル〕)

ちづかマップ 1 (フラワーコミックス〔スペシャル〕)

講談社から出ていた「ちづかマップ」(http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20100127/p1)の、flowers場所を移した続編をまとめた第1巻。タイトルはかぶっていますが、内容はかぶっていません。新とか続とかついてればわかりやすいと思うのに、何もないのはなんか理由があるのかな?

ともかく好きなシリーズだったので続いているのは嬉しいです。

前作では尋ね人探偵をやっていたおじいちゃんが、多分今作では古美術店の店主になっている(のかな?)っぽくて、伏線をはってそれが解き明かされるというような構成はあまりみられなくなっていました。しかしそこには古地図をもとに街をめぐる面白さをメインに据えるという意図があるのだろうなと思います。

以前の勤め先の近辺であるお茶ノ水周辺の回とか、新たな発見がたくさんあってこの漫画を手にまた巡ってみたくなりました。

2012-10-14

[][] 〈小市民シリーズ春夏秋/米澤穂信

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

アニメ版の『氷菓』がとても面白かったという話をしていたらおすすめしてもらったので読みました。面白かった!

春夏秋というのは「春期限定いちごタルト事件」「夏期限定鳥ピカルパフェ事件」「秋期限定栗きんとん事件」の3作品のことで、小鳩君と小佐内さんという〈小市民〉を目指す高校生主人公とした学園(?)ミステリーシリーズです。

小鳩君と小佐内さんが2人そろって〈小市民〉という高校デビューを目指すのには理由があって、小鳩君のそれは1巻である春期の序章で「本当にお見事。鮮やかな推理。綺麗な証明。でも、その、まあ、なんていうか、言いづらいんだけど、はっきり言わせてもらうとさ。  きみ、ちょっと鬱陶しいんだよね」という言葉を浴びせられる悪夢を見ていることでもなんとなくわかる。しかし甘いものをこよなく愛し何よりも優先する小佐内さんのそれは何なのか? 好奇心がかきたてられたところで1巻がおわります

そして夏に事件が起こり、秋は上下巻をかけて栗きんとんに至る。

このシリーズは小鳩君と小佐内さんの関係を主軸にしつつ、彼らが不本意(と見せかけた本意なのかもしれないけど)のうちに身近な「事件」を解決していく過程と、要所要所で甘味を味わう様子が描かれています。身近なミステリーの設定と解法の描き方の面白さは『氷菓』とも共通している魅力だと思う。春期で描かれる、シンクが乾いているのにココアをどうやって作ったか問題とかすごく些細なことなんだけど面白かった。

このシリーズが『氷菓』と決定的に異なっているのは、ひとえに小佐内さんの得体の知れないキャラクターがあるためだと思います。『氷菓』は、基本的に常識的な高校生4人の物語だけど(そしてそれもすごくたのしい)、小佐内さんは春夏秋と読んできてもまだ正体がわからない。もしかして、でもいやまさか、小佐内さんならありうるの? っていうところも謎になっているので、もし冬で完結するのであれば、きっと次は小佐内のお話になるんだろうな。

続きがとても楽しみなシリーズです。ちなみに甘味の味わい方については夏期が特に秀逸で私はシャルロットが食べたいです。

「あのさ。この間、上ノ町の高架下に行ってみたんだ。で、電車が来るまで待ってた。そうしたらさ、うるさいことはうるさいんだけど、我慢できる範囲だったんだよね」

「よかったね。うるさいのが我慢できるひとは、大学に行っても部屋代が安く済むらしいよ」

「本当にね。でも僕が言いたいのは下宿先のことじゃなくて、あの夜のことなんだ」

(略)

「あの夜」

「うん。あの、五月の放火の夜」

こんな緊迫したやりとりのなかでこんな返しをしてしまう小佐内さんが好き。

氷菓』も読むよ!

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

[][] 「ぼくらのへんたい」1巻/ふみふみ

ぼくらのへんたい(1) (リュウコミックス)

ぼくらのへんたい(1) (リュウコミックス)

男の娘コミュニケーションサイト出会った3人の男の娘オフ会からはじまるお話

女装が本来の姿で、普段は男装をしているというまりか、母親のために亡くなった姉の格好をしつづけるユイ、好きになった人が女が好きだったからと話すパロウという3人の、それぞれの事情が1巻では描かれていきます

テーマは「放浪息子」に近いところがあると思うんですが、主人公3人の立ち位置がはっきりしていることで、「放浪息子」のアイデンティティに対する葛藤を見守るような雰囲気とは違って、彼らにとって女装は手段であるという印象です。今後この3人の関係が変化していくことで物語が動き出しそうな予感があり、続きが楽しみです。

それにしても、3人ともほんとにかわいくて、キャラクターの立て方がうまいなあと思う。あと絵もとっても好き。

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2012-10-11

[][] 「ここは退屈迎えにきて」/山内マリコ

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

女の子”が主人公の、少しずつ繋がった連作短編集。どの話も、自分の身近にいる誰かや友だちや自分自身の話のようで、読み終わった後、誰かに感想を話したくなる本でした。

何かのフリをしていることで、何かになった気分でいる気恥ずかしさとか、読みながら所々でフタをしていた記憶が甦り、やめてーって転がりたくなる部分もありつつ、町で偶然懐かしい人に出くわした後のような気持ちの浮き立つ読後感がどのお話にもありました。きっと今の自分だって遠くなれば気恥ずかしさの塊なのだろうけれど、その時々でこのように切実であったことを思い出す。

物語舞台地方都市(作者の地元富山だということなので富山モデルなのかもしれません)ということだけど、このような、どこにも行けない息苦しさは自分にも身に覚えがあるし、種類は変わっても今だってたぶんある。

友だちに貸してもらって読んだのだけど、感想を話すのが楽しみです。再読したいので自分でも買おうと思いました。

特に印象的だったのは、高校生大学生卒業後、それぞれの時期における友情の距離感の描き分けでした。

女の子同士の友情は、スパークするようにひとときの蜜月を迎え、静かにフェードアウトしていく。(略)開ききった距離を縮めようと気をつかい合って、共通の話題を探して思い出話がはじまり、「あの頃はよかったね〜」とかやりだす展開が見えて、なんだか気が重い。

私たちがすごかった栄光の話」p15

なのに結局あかねも、結婚したいだけの月並みな女になって、誰かの妻になった。あんなに完璧コミットできていたのに、今はこんなにもすれ違っている。

「やがて哀しき女の子」p74

わたしたちはお互いのアイデンティティを補完し合っているような感じで、ふたり一緒でないと全力が出せないし、うまく機能しなかった。

アメリカ人リセエンヌ」p143

薫ちゃんがいないからといってすぐさま代わりの友だちを作ろうなんて気にはなれなかった。そんなのってあんまりだ。

「十六歳はセックスの齢」p227

こうやって抜き書きすると、気のせいかもしれないけれど、本の終盤に近づくにつれて「スパークするような蜜月」の時期にかえっていく構成になっているようにも感じます。ともかく、このような温度差が、相反するものではなく一直線上に現れたり消えたり混ざったりしているものとして友情をすくいあげる描き方には、生々しい、でもけして不快ではない手触りがあった。

もちろんこの本は友情についての話だけではなくて、恋、あこがれ、諦念、それぞれの描き方に、自分にもこういう風に感じた瞬間ってあったかもと、頷いてしま読書だった。

アメリカに帰ってしまった友人の近況をフェイスブックで眺めながら「彼女は連絡をくれるだろうか?」と問いかける主人公の声が、宙に浮いたままなかなか消えない。それを眺め続けることが気まずいのは、その続きを自分は知っているような気がするからで、でもそう思うのはきっと、私のいつかに重ね合わせせているからなんだとも思う。

そういった欠落の見せ方と、でもそれを抱えたまま、人生は続くという覚悟のようなものが、この本を特別なものにしていると思いました。

読んでよかったです

[] 北海道旅行その4

間があいしまいましたが最終日!

まずは朝の散歩北海道大学へ。北海道大学は祖父が卒業した大学で、学生の頃の写真(白黒)をたくさん見せてもらっていたこともあり、いつか行ってみたいと思っていたのでした。

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おじいちゃんが使ってた当時の定期券

行くまでは観光客が中をうろうろしても大丈夫なのかな、と若干不安だったのですが、思っていた以上に広大なキャンパスで、中には犬を散歩させている近所のひともいれば家族連れがピクニックをしていたりもして、校舎に入ったりしない限りは大丈夫そうでした。そしてとにかく緑が多い。あっちもこっちも鮮やかな緑色で、こんな学校に通えたらいいなー、池のわまりで本読みたいなー、ここで昼寝したいなーっていろいろ思ったんですけど、よく考えたら北海道ですし、冬は雪が積もってるんですよね。どんな景色になるのか想像もつかないけれどいつか見てみたいです。

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北海道大学をぐるっと回った後は、大通公園まで歩いてオータムフェストhttp://www.sapporo-autumnfest.jp/)へ。オータムフェストは、北海道各地の美味しいものがあつまったほんと夢のようなお祭りでした。これやってる期間に行けたのはラッキーだったなと思います。次もこの期間中にいきたいってくらい楽しかった…!

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ラーメン響(函館のしらーめんと、紋別市の本ずわい蟹甲羅盛。

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礼文島ビールすごくおいしかった! あと鹿肉の塩麹焼きとコーンフリッター

ほかにもワイン飲んだりうにめし食べたり。

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パン屋さんがたくさん出店してたので買いあさったり、メロン熊記念撮影してもらったりしました(周囲の子どもたちがギャン泣きしていました)。混んでるんだけど、どこもちょっと並べば買えるくらいで、とても快適でした。

オータムフェストを満喫したあとは、雪印パーラーへ行って甘味。噂の白いアイスも食べましたよ。

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最終日に気づいたけど甘いものはまだ全然食べてなくて不完全燃焼でした。まだ行きたいとこいろいろあったからぜひまた北海道旅行したいなと思います。ほんと北海道はおいしいものたくさんあるな…。

そのあと、空港に行ってお土産物(主に食べ物)を買いあさった後、再び回転寿司ウニ

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空港回転寿司やさんがおいしいって母親がかなり推すので行ってみたんですが、ほんとにおいしかったです。が、いかんせん満腹過ぎてあまり食べられなかったのが心残り…。

そして満腹を抱えて帰路につきました。2泊3日ってほんとにあっという間だったけど、美味しいものたくさん食べてとても充実した旅行でした。楽しかったー!

2012-10-04

[][] 「この空の花長岡花火物語

とにかく映画館で見ておいた方がいいらしい、と耳にしたタイミングがちょっと遅く、上映館が点々とする中、やっと見に行くことができました。すごかった。見て良かったです。

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大林宣彦監督映画はほとんど見たことがなくて、「転校生」「時をかける少女」「ねらわれた学園」をまだレンタルビデオ時代に見たのと、あとはテレビで放送されているのを見た気がするのが何本かという程度です。なので、監督らしさ、みたいなものはよくわからないのですが、わからなくても映画がはじまったとたんに、なにかすごいものを見ている…! という感覚に叩き込まれるのは久々で、楽しかった。

とにかくオープニングからタイトルがいくつもでてきて、どれがこの映画タイトルなのかよくわからない。その背景に流れる、旅支度をしている主人公の部屋の外の風景は、明らかに合成なのでは? などと目を凝らしたりしているうちに、登場人物がこちら側に話しかけてきたりもする。しかしそのような「作り」の個性の強さはあくまでも演出のひとつであって、見ていると実はとても細かな構成をされた映画であることがわかります編集作業を思うと気が遠くなりそうです。

それなのに、少なくとも昨年の長岡花火大会までは決定しなかったはずの物語が、今年の4月にはこのように仕上がっていたというのは驚くべきことだと思う。

映画は、天草新聞記者をしている主人公が、かつての恋人からの連絡をうけて新潟県長岡市を訪れるところからはじまります。旅の目的は、長岡市花火大会の日に披露される「演劇」を見に行く事。そして、主人公と彼の別れの場面が回想され、主人公が発した「私たち戦争なんて関係ないのに」という言葉に含まれる謎が、放置されそうでちゃんと解き明かされるというところで、物語の軸になっていると思います

実は私は8年くらい前に、長岡花火大会を見に行ったことがありました。川の近くに座って見たのですが辺りはとても暗く、その暗さの中に打上る、視界におさまりきらないくらい大きくてくっきりとした花火がとても印象に残っています

でも、この映画で描かれるような長岡花火物語は、何一つ知りませんでした。

から、この映画を見た事で、あの花火の背景を知る事ができたというそれだけでも、見て良かったなと思っています

この物語のもう一人の主人公「花」は、物語の今とあちら側を繋ぐ存在として描かれています。常に一輪車に乗っていることで、ゆらゆらと揺れたり、上下せずに画面を横切る「浮世離れした」雰囲気を、この役に採用するアイデア面白いなと思いました。

花を演じている猪股南さんが所属している青森県豊田児童センター 一輪車クラブ」のメンバーも映画に出演していて、群舞を見せるシーンがいくつかあるんですが、旗をもって橋の上を通り抜けて行く場面などはとてもすてきでした。

「?」が浮かぶシーンや、あまりにも強烈で笑っちゃったシーン*1も多々あったのですが、

メインテーマである花火を完全に善として描くわけでもなく、かわいそうな話として描くのでもない視線は、あくの強い物語であるにもかかわらず、とても素直に響いた気がしています

一緒に長岡花火を見に行った友人に、今度この映画の話をしてみようと思いました。

*1:見たら忘れられない「痛いな! この雨、痛いな!」のとこですね