砂漠でサーモンフィッシング


2013年の映画初め映画。
イエメンの大富豪の「イエメンで鮭釣りをしたい」という無謀な要望を、国家プロジェクトとして叶えることを一任された英国の水産学者のお話。
砂漠で鮭釣りなんて無理に決まってる、と斜にかまえていたジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)が、依頼人であるイエメンの大富豪(アムール・ワケド)に出会い、彼と一緒に釣りをすることで彼を信用してしまう過程には説得力があって、自分は釣りをやったことがないんですけど(釣り堀をのぞく)、それはとてもいいものなんだろうなって思えたのがまずよかったです。
物語はプロジェクトの進行を主軸に、イエメンの大富豪の代理人である女性との関係や、国家プロジェクトとして動き出してしまったからこそのドタバタが絡んでいくのだけど、コメディとドラマのバランスがとてもよくて、終始とても心地よく見ることができた映画でした。
クライマックスは、鮭が方向を変えた瞬間と、そこで釣りをはじめるイエメンのイケメンの無邪気な笑顔がキラキラしてたところでしょうか。ほんとこのイエメンの大富豪は素敵な人でね…、私もあなたのために働きたい…! と思ってしまうような魅力がありました。理想の上司。
それから、鮭プロジェクトを政治利用しようと企む首相広報官と首相とのチャット(インスタントメール?)のやりとりも、小さな映画館内でも笑いが起こっていて面白かったな。
いい映画でした。

 小石

たとえば靴の中の小石のように、思い返すたびにのど元を邪魔する記憶があって、普段は避けて暮らしているのに、たまにふと甦ることがある。
取り出して白磁のすり鉢に放り入れ、ゆっくりと丁寧に、すりつぶす様子を想像する。ときおり指先でその感触が残っているか否かを確認し、ちくりとする欠片が残っていればまた、力をこめてすりこぎ棒を回す。
やがてそれに石だった形跡がなくなったのを確認できたら、風向きを確認して屋外で粉をはらう。少し茶色がかったその粉は、もしかするとすりこぎ棒の方が削れていたりして、なんて思ったりもするのだけど、ともかく
最後にすり鉢をひっくり返して底を数回たたき、水洗いしてからふきんで丁寧に、すり鉢の溝に粉が貯まらないように注意してぬぐう。ぬぐったふきんは洗って、日当りの良い庭先で干すこと。
なんて過程を逐一想像していると、しまいにはのど元の小石を忘れていたりするし、そういえば、大掃除が中掃除くらいでおわったまんまですけど、なんてことを思い出したりして、もちろん粉は散っただけで消えたわけではないのだけど、
解決しようのないことはとりあえず頭の中からはらう、その手際がよくなっていくことを時間が解決するとかいうんではないですかねとか思ったりしました。