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2013-04-09

[][] 「三文未来の家庭訪問」/庄司創

三文未来の家庭訪問 (アフタヌーンKC)

三文未来の家庭訪問 (アフタヌーンKC)

とっても面白かった。庄司創さんの作品を読むのはこれが初めてなのですが、新しくすべての作品を追いかけたい漫画家さんに出会った気がしてとても嬉しいです。

この本には3本の作品が収録されているのですが、どれも短期連載くらいの分量があるので中編集という印象です。どれも私の大好きな近未来SFで、でもSF設定を描くのではなく物語必要ものとしてその場所が描かれている感じがする。

特に気に入ったのは表題作でもある「三文未来の家庭訪問」。様々な主義主張の集団生活団体がある近未来、そのうちの1つである遺伝子改造をした人々の団体「WOLVS」で育った“女性結婚すれば子どもを生むことができる男の子”が、普通小学校入学して…というお話。彼は小学校で、別のある団体「彼方」に所属する親のもとに育った“ルール違反を見逃せない女の子”と出会う。

こうやって説明するとややこしいんだけど、読んでいると難しいところはまったくないのがすごい。「団体」は宗教のようでもあるけれど、どちらかというと育ってきた環境や意見の違いというものをわかりやすく描くための装置なのだと思います。

2人が仲良くなっていく過程を通して、一見すると「団体」というものに支配されているようで、じつは折り合うところを探り合うことができる、人々の可能性のようなものがしっかりと描かれているのがいいなあと思いました。

つづく「パンサラッサ連れ行く」もテーマは近いお話のように思います。

どのお話も、でてくる登場人物がみんな好ましく、読んでいてとても気持ちが良かった。これから活躍がとっても楽しみです!

[][] 「ザ・マスター

PTA新作というわけで大変楽しみにしていたのですがやっと見に行ってきました。

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元水兵でアルコール中毒のフレディ(ホアキン・フェニックス)は、帰還後も酒が原因で様々なトラブル引き起こし自暴自棄生活を送っていた。そんな中、忍び込んだ客船の中で「ザ・コーズ」という新興宗教団体の教祖マスター)、ランカスター(フォリップシーモアホフマン)に出会う…というお話

この「ザ・コーズ」というのは、肉体的、精神的病の原因(cause)を、探って行くカウンセリングみたいなものを活動の中心にしていて、現実にある新興宗教モデルにしているそうです。宗教(ザ・コーズ自体は宗教団体ではないって言ってたけど)が医療行為を行うとなると、そりゃそうなるよね、って想像つくようなトラブルが多々起こるんだけど、それと同時に問題児のフレディを受け入れてしまマスターは一見、すごく人格者のようにも見えるし、原因という「理由」を求める人には魅力的な場なのかもしれないと思う。

しかしフレディの場合は、ランカスター言葉を信じるというよりも、ランカスター言葉を信じたいと思って彼の傍にいるように見えました。獄中でのランカスター言葉が頭に血が上った彼をなだめたように、フレディは自らをつなぎ止めるものが欲しかっただけなのではないかと思います。だから彼の修行も結局はランカスターのためであって、フレディ自身が「よくなる」ためではなかった。

しかしフレディとランカスターの関係が近くなっていくにつれ、彼らはほとんど同じ資質を持った人間なのではないかということが浮かび上がってくるように思いました。

やがてランカスター言葉を素直に受け入れることができなくなってしまったフレディは、やがて、ぎりぎりまで迷いつつも、ランカスターの元を離れる。自分が決めた目標に向かってバイクで全力疾走する「目標設定ゲーム(だったかな)」の途中のことで、その後の展開を思うと、もしかすると「目標」を長年実現できなかった、かつての恋人のもとへ帰ることとしたからなのかもしれないけど、ともかく彼は「ザ・コーズ」とお別れする。

一度見た限りではそう解釈するのが正解なのかどうか分からない映画だった。でも人生というのは、何が原因でそうなったかなんて分からないことだらけなんじゃないかなと思うし、フレディの抱える寄る辺無さは、結局彼自身が抱えるしかないのだということを思ったりしました。

そして、とにかくホアキン・フェニックスが強烈でした。腰の悪そうな姿勢、キレる寸前の目、おでこの皺。自分自身を持て余している1人の人物とこの映画はすごく似ているように思う。

それからなんといっても、ジョニーグリーンウッドの音楽がすばらしかったです。前作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の時もすごくよかったけど、今回も冒頭からぞくぞくする音楽だった。

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