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2014-02-18

[][] 夜とコンクリート

これは一生ものだと思う物語出会うことはそう多くはないけれど、その瞬間はとてもはっきりしていて、本を閉じて立ち上がってうろうろしたあとにすごいすごい、しか言えない感じ。

この本(というかその話)を読み終えた瞬間もまさにそんな具合で、「一生ものだ」なんて、まだ一生を終えてもいないのに確信してしまうくらいこの本は自分にとっては特別な本になりました。

なので、全力でいろんな人におすすめしたいのですが、同じ町田洋さんの「惑星9の休日」とも違い、この「夜とコンクリート」についてはできるだけ、予備知識なしで読みはじめた方がしっくりくると思うので、興味のある方はぜひ以下の文章は読まずに、まず「夜とコンクリート」を読んでみて欲しいです。

夜とコンクリート

夜とコンクリート

年末ベスト10日記(id:ichinics:20131227:p1)で「惑星9の休日」について、懐かしい夢のようなSFと書いたけれど、懐かしさというのはさびしさにも似てると思うんです。まだ2冊しか読んでないですが、町田洋さんの作品の共通点はその「さびしさ」なのかもしれないなと思っています。

「夜とコンクリート」に収録されている短編4作の間に繋がりはないけれど、第1話のタイトルである夜とコンクリートという言葉からイメージするしんとしたさびしさは全てのお話に共通していて、でもそれは懐かしさを感じるものでもあって、とても安心する。

今回前もって「できるだけ予備知識なしで」と書いたのは、2つめに収録されている「夏休みの町」を読み進めていったときの驚きと納得がすばらしかったからです。

それは例えば、私の「一生もの」のうちの1冊である大島弓子「ロストハウス」(id:ichinics:20071021:p1)を読んだときの気持ちとも似ていました。まっすぐに沈んでいったところで不意に水面に顔を出すみたいな、世界がパッとはじけてまったく新しく見えるような、そんな瞬間に出会う感じ。

そして町田洋さんの漫画の特別なところは、言葉より先に、絵が懐に飛び込んでくるような気がするところだと思います。

読めてよかった。

ちなみに「夏休みの町」は第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作とのことです。

2014-02-14

[][] ウルフ・オブ・ウォールストリート

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監督マーティン・スコセッシ

面白かった! 約3時間という上映時間に若干ひるんでいたんですが思い切って行ってよかったです。なんといってもレオナルド・ディカプリオがノリノリで最高と最低を演じていたのが最高でした。

まりにもノリノリなので、見ている間ずっとディカプリオによるディカプリオのための映画……という気分で、エンドロール監督名前がでてきてちょっと驚いたくらいです。個人的にはディカプリオ&スコセッシのコンビ作はあんまり好みじゃない作品が多いんですが、今回は全然イメージが違った。コメディタッチで、テンポもよく3時間を長く感じませんでした。

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は、実在株式ブローカーの回想録(『ウォール街狂乱日記 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』/asin:4152089091)をもとにした映画

主人公が「話術」を武器のし上がっていく過程は見てて楽しいし、楽しいけどむちゃくちゃです。あちこちネジの緩んだ車でドラッグガソリンに、アクセル全開に突っ走っている感じ。ドラッグについては(脚色もあるとはいえ)相当無茶な使い方をしていて、もとになった人物がまだ生きてるのが不思議なくらいです。

さらドラッグだけでなく、自分は女中毒でもあり、でもなにより金中毒だ、と冒頭で本人が語る訳ですが、「金を得る」ことはもちろん、それ以上に金を自分の意のままに動かすことの中毒なのだろうなと感じました。いろいろ最低だしディカプリオさんもインタビューで「この映画反面教師にして欲しい」というようなことを言っていましたが、最低を楽しめるのもまた映画醍醐味ですよね。

20代、初めて株取引の現場に出たときのわくわくした表情、会社を立ち上げたころの野心みなぎる表情、妻以外の女性に恋してしまった表情、薬物摂取のし過ぎで顔の筋肉まで緩んでいる表情、FBIすら意のままに動かすことができると思っていた傲慢な表情、色んなものを失った表情、などなどこの映画には今までディカプリオさんが演じて来たキャラクターのほとんどがいるような気がします。例えばマシンガントークの惹き付け方の上手さは、「ジャンゴ」で出演したタランティーノ作品の影響があるのかなと思ったりもしました。

特に印象に残ったのは、最初会社を立ち上げるきっかけの部分からしても、主人公は他人をだまし続けているにもかかわらず、自分が信じた人のことは疑わないんだな、という点でした。それは主人公の唯一の美徳でもあって、

そうやって1つずつ手に入れてきたものを、彼は1つずつ失っていく。そして映画最後に描かれる「残ったもの」を見て、この映画はとてもきれいに構成されているんだなと思いました。とても面白かった。

2014-02-12

[] 秋元才加卒業宮澤佐江が選んだ「曲」のこと/2013年8月東京ドーム

大人数でステージにいたとしても、自分の目にはとびきり輝いて見えてしまうのが自分にとっての「アイドル」ということなんだと思いますが、私にとってのアイドルといえば宮澤佐江ちゃん、そして、同じくらい大好きなのが昨年AKB48卒業した秋元才加ちゃんです。

2人は同じAKB2期生チームK」メンバーとしてデビュー、2人とも背が高かったことからツインタワーと呼ばれるとても仲の良いメンバーです。私はこの2人の、かっこよくて艶やかで常にパフォーマンスに対して真摯であるところがとても好きなんです。

以前、佐江ちゃんが「(兼任ではなく)SNH48一本」を宣言したことで、才加ちゃんの卒業を「チームメイト」として見送れないんだな、というこだけがファンとして心残りということを書いたことがあります。

 AKB48@日産スタジアム/アイドル「宮澤佐江」について - イチニクス遊覧日記

そして今更ながら、その心残りはどうなったのかということを書きたいと思います。

2013年8月。48Gドームツアー最後を締めくくる東京ドーム公演が4日間行われ、その初日秋元才加ちゃんの卒業セレモニーでした。

佐江ちゃんは相変わらずビザのおりない*1SNH48」のメンバーとして参加していたため、「チームK」としては参加することができません。それはとても寂しかったけれど、覚悟していたことだったし、それ以上に2人が同じ舞台パフォーマンスする姿を久しぶりに見る事ができたので嬉しい気持ちの方強かったです。

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チームKカラーである緑に染まったドーム景色や歓声からも、秋元才加ちゃんという人がファンから愛されていたことがしみじみ伝わってくる、あたたかい雰囲気セレモニーでした。

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そして才加ちゃん“卒業後”*2となる3日めに、総選挙選抜メンバー16人が1人ずつソロで各自が選んだ曲を歌うという構成の日がありました。*3

佐江ちゃんの代表曲といえばユニットセンターをつとめる「奇跡は間に合わない」です。選抜のソロだ、という構成に気づいて、でも、佐江ちゃんのキャラクターからして3人のユニット曲をソロとして歌うとは思えないんだよね……と考えていた時、思わず鳥肌がたちました。佐江ちゃんの代表曲が「奇跡は間に合わないであるように、3日前に卒業セレモニーを終えた秋元才加ちゃんには「虫のバラード」という代表曲があります。自らを“異端児”と称した才加ちゃんならではの潔さと孤独が入り交じる楽曲で、

これを、もしかして、やる気なのでは……? そう思いついた瞬間、もう絶対それしかないと思いました。

そして佐江ちゃんが選んだ楽曲は、やはり「虫のバラード」でした。もちろん生歌です。とても丁寧な、誠実な歌声に涙腺も決壊しつつあったのですが、さらにその後のサビの部分で、才加ちゃんが歌うコーラスが聞こえてきたときはもうGO-Qでした。

後に、佐江ちゃんのアイデアで「虫のバラード」のトラックにもともと収録されているコーラス部分(才加ちゃんの声)のボリュームをあげてもらった、という仕掛けを知ったのですが、

卒業した親友ソロ曲を、1人だけど2人で歌う……

なんて熱い少年マンガ展開…!!

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佐江ちゃんと才加ちゃんはツインタワーと呼ばれる人気コンビとして扱われていたにもかかわらず、AKB48コンサートなどで「2人きり」のユニットをやったことはなかったんです*4。だからこの「虫のバラード」はそれを待ち望んでいたファンの夢がやっと叶ったということでもありました。

もちろん、応援の仕方はひとそれぞれですが、2人のことが好きだった自分としてはこの2日間の東京ドームコンサートと、その後に劇場で行われた卒業公演を見に行くことができたことで、もうAKB48を好きでいた気持ちは報われた気がしています。

2人とも今はそれぞれ「クザリアーナの翼」(http://www.chikyu-gorgeous.jp/vol_13/)と「国民映画」(http://www.parco-play.com/web/play/kokuminnoeiga2014/)という舞台に出演していて、どちらも見に行ったのですが、48Gで終わらずにこの人たちの活躍は今後もみることができるだろう、と感じる舞台でした(この感想は改めてかけたらいいなと思います)。

24日にまたチーム替えのイベントがあるらしく、佐江ちゃんもどうなるかわかりません。佐江ちゃんと才加ちゃんに加えてチームKトリオと呼ばれていたもう1人の大島優子ちゃんの卒業も控えています。佐江ちゃんがもしAKBに戻るとしても、もう2人はいないのかと思うとすごく寂しい気持ちもあります。

でも、その舞台を見て、AKBがどうなるかということに不安はなくなった気がしています。

2人とも、目の前の課題に精一杯食らい付きながら、まだまだこれからという気持ちでいるのがよくわかる舞台だったし、これからどう成長していくのかを見るのがとても楽しみで、やっぱりこの人たちのファンになってよかったなあと思っています。

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ちなみに佐江ちゃんと才加ちゃんと優子ちゃんは3人で月に隣同士の土地買って「おばあ ちゃんになる頃には宇宙旅行もできるだろうから、いつか3人で自分たちの土地を見に行こう」とか話してるらしくて、なんかもう本当に、夢をありがとうございます!!!

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*1:昨年末に短期ビザが一度だけ降りて初めて中国コンサートに参加できました

*2:正確にはドームセレモニー後に劇場で「卒業公演」があります

*3ドームツアーは全公演異なるセットリストです

*4:外仕事ではありましたが

2014-02-11

[][] オンリー・ゴッド

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大好きなライアン・ゴズリング出演ということで見てきました。「Only God Forgives」という原題がオープニングに出てくることで、テーマはある程度推測できるものの、超残酷映像と美しい青と赤、現実妄想が手を組んで混ざり合って別の色になっていくかのような世界、をいつのまにかそういうものだ、として見ていたしこの映画はそれでよかったんじゃないだろうかと思う。個人的にはとても気に入ったのだけど、でも人に説明しようとしたときに手をかける場所がみつからない、と思ったらそもそも腕ごと切り落とされていた感じ、

なので説明することはあきらめてゴズリングさんについて書きたいと思うのですが、正直、この映画のこの役が、ゴズリングさんである必要はあまり感じられませんでした。ドライヴでもこの監督はゴズリングさんにほとんど笑わないキャラクターを演じさせていたけれど、それでもまあロマンチックな場面もあるためにバランスはとれていたような気もしつつ、

今作は彼のチャーミングさがむしろ映画から浮いているように感じられました。それを聖性として描いているのかなあという意図も感じられなくはないのですが。個人的にゴズリングさんには「ラブ・アゲイン」のようなハッピーお話にまた出て欲しいです。

あと「オンリーゴッド」ではもう一人強烈な存在感を放つキャラクターがいて何度か歌うのですが、彼の歌に歌詞の訳がでないのはなんでなんだろう。

[] 小石

早いもの新年があけてもうひと月もたった。このひと月は、特にこれといって何もなかったともいえるし、大事件があったともいえる。気持ちの水はけがどんどんよくなって、最近はそれがどんな形をしていたのかよくわからなくなる。できるだけ穏やかに、平らかに保つというのはとても心地がいい反面、慣れてしまうとなかなか、動かすのも億劫になるので、

たまには引きあげて久しぶりに風にあて、転がしながらよく乾燥させて磨いて少々の愛着がわいた頃、再び何もない空間に思い切り投げ入れるときの、心もとなさと少しの期待みたいなものを確認しておきたいなと思う。

それをまたどこかで拾い上げたら、しばらく眺めた後、水槽にでも沈め、苔が生えたらそれを小魚がついばむ様子を眺めたりして、それが何だったか忘れた頃にいつかまた引き出して洗い、転がしながらよく乾燥させながら居眠りをするのだと思う。

2014-02-02

[] 「星を賣る店 クラフト・エヴィング商會おかし展覧会」@世田谷文学館

平日に休みをとってみてきました。

展示されているもの一つひとつ物語に通じる小さなドアで、その先をあれもこれもと次々に覗かせてもらうような展覧会でした。とても楽しかったです。

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最初の部屋は白い箱に入れられた「商品」が並ぶ展示。一つひとつに添えられた説明文をじっくり読むのが楽しい特に気に入ったのは「シガレットムーヴィー」「雲砂糖「A」などなど。上のチケットの☆の部分を使った展示もありました。それから「ヨイッパリベーカリー」などは行ったことのあるケーキ屋さんで売られていたことがあると書いてあって嬉しくなったり。本当のことも作り話も、そこにあるということで現実に繋がっているのだという感触がある。

展示を見ているうちに思い出したのは、幼い頃に入り浸っていた父の部屋のこと。仕事柄父の部屋にはたくさんの本があって、小さな部屋の奥にまた本棚で区切った人一人がようやく立てるほどのスペースがあった。幼い頃、私はよくそほこりっぽい隙間に潜り込んで、日に焼けた本をあれこれ取り出しては、その一つひとつの中に異なる世界が広がっているのだということになぜかなんでもできるような気持ちになったものだった。

そこには、ふるびたインク壺がブックエンドのように使われていて、それがインク壺であると知ったのはそれからずいぶん後のことなのだけど、あれをいつか貰い受けるということが私の密かな野望だった。インク染みのある緑のカーペット、日に焼けたカーテンキラキラとひかる石炭みたいな石。云々。

クラフト・エヴィング商會の本は、数えるほどしか読んだことがないので、これはあのお話にでてきたあれ、というような楽しみ方はなかなかできなかったのだけど、

そのような長らく思い起こさなかった光景を思い起こし、また新たな扉をいくつも頭の中に持ち帰ることができたような気持ちになれただけでもとても贅沢な展覧会だったと思います。幼い頃の私にこの展覧会を見せてあげたいとも思った。

特によかったのは展示室と展示室の間に作られた、古書店と作業室のある街角実物大ジオラマ。すごく気に入って何度も行き来してしまいました。作業室の壁には様々なメモが張り巡らされていて、思いついたことをこうやって幾度も振り返るというのは楽しそうだなあと思った。特に忘れられないのは、そのメモの中にあった

「考えるということは、そこから(ひとまず)外へ出るということ」(メモしたわけじゃないのでうろ覚えです)

というもの

ドアは外へ出るものでもあり、中に入るものでもあるんだなと思ったりしました。

本当にあれもこれも頭に記憶して帰りたいと思って離れ難かったのですが、購入した展覧会の図録がほんとうに素晴らしくて、あの展覧会の一部を持ち帰れたような気持ちです。この図録は、豪華執筆陣による「お客様の声」コーナーも読み応えがあって楽しいです。