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  □これまでの日記一覧

2014-03-28

[][] 「アズミハルコは行方不明」/山内マリ

アズミ・ハルコは行方不明

アズミ・ハルコは行方不明

一昨年読んだ『ここは退屈迎えにきて』(http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20121011/p1)がもうずっと忘れないだろうと思う1冊になった山内マリコさんの新刊。

『ここは退屈迎えにきて』と同じく地方都市舞台に、主に4人の登場人物視点から描かれる物語

「お前は? これからどうすんの」/p52

という問いから逃げ続けるような日々から抜け出したくて、寄り添って、また離れる。そこに杭を打ち込むことを選んだようでいて、実は表面をひたすらなでていただけ、という幾重にも重なった失望と諦念が、でも絶望になってしまわないようにぎりぎりで堪えているような状況描写が息苦しい。

一瞬だけ近づいて、すぐにすれ違い、もう二度と会わない。そんなつき合いをいろんな人と、何度も重ねてきた気がする。最近ちょっと絡んでいる的な、単発的な関係。/p193

からこそ、ラスト提示される可能性はやっぱりキラキラして見えてなんだかとてもまぶしかったし、主人公女の子が求めていたものの結論としてはとても納得がいくものでした。それは『ここは退屈迎えにきて』の多くが恋愛ではなく友情について描いているのに近く、作者のテーマひとつでもあるのかなと思います

物語大事なところに出てくる2つの映画、「イクジット・スルー・ザ・ギフトショップ」と「スプリング・ブレイカーズ」も見てみたいなと思いました。

少女ギャング都市伝説のような描き方とかはちょっと古川日出男さんの「LOVE」や「ロックンロール七部作」のわくわく感を思い出した。

[][] 最近読んだ漫画

「なないろ胞子」/日暮キノコ

「喰う寝るふたり住むふたり」が面白くて、その後読んだ「モンクロチョウ」が最初面白かったのに不完全燃焼な感じに終わってしまい、気になっていたところにでた短編集。

現実感のあるエピソードファンタジーを織り込む感じが独特なんだなと思いながら面白く読みました。

でも「モンクロチョウ」で描いたような、どう考えても最低だと思うような一線を超えてしまう人よりも、基本的には善人を描いてハッピーエンドに向かう人なんじゃないかなとおもいました。

そういうところも、久保ミツロウさんや柏木ハルコさんと近い雰囲気があるなと思ったりもした。

「星の子」/羽柴麻央

表題作は、ある男の子誕生と成長した現在を描いたお話で、赤ちゃんに声をあてているような、まだ言葉を話さないひとに言葉をあてはめるみたいなのは正直苦手なのだけど、それとフィクションは何が違うのだろうか、ということをちょっとえこんでしまいました。

でも「私日和」の最後の方よりずっと語り口が読みやすいようにも感じて、羽柴麻央さんの作品はやっぱりこれからも読みたいなと思った。個人的には最後に収録されていた兄妹の短編が好きです。

星の子 (マーガレットコミックス)

星の子 (マーガレットコミックス)

あさめしまえ」1巻/北駒生

ここ数年ですっかり定番ジャンルになった食漫画ですが、やっぱり見かけるとついつい読んでみたくなります

この「あさめしまえ」は朝食を出す食堂「アサメシマエ」を舞台にした物語

朝食と、それを食べる人の物語を絡めた展開がむかしイブニングでやっていた「思い出の味 大陸食堂」をちょっと思い出します。

朝食にしてはちょっと手のかかるものが多いようにも思いますが、朝からこんなきちんとした食事ができたらそれは素敵だろうなあとも思う。

レシピも載っているのでいつか作ってみたいです。

あさめしまえ(1) (KCデラックス)

あさめしまえ(1) (KCデラックス)

2014-03-23

[][] 「繕い裁つ人」5巻/池辺葵

繕い裁つ人(5) (KCデラックス)

繕い裁つ人(5) (KCデラックス)

池辺葵さんの作品は、どれもとても静かなのに、引きこまれてはっとするような瞬間が必ずあるように思う。

この5巻も、主人公である市江さんの

のものはあきらめる覚悟でこの仕事をしようと自分勝手に決めたのに

一人でミシンを踏みつづける毎日を思うとき

あれもこれも手に入れているように見える人をねたましく思ってしまうこともあるんですよ

いやですねえ 満たされてることは何の罪でもないのに

という告白に始まり、すごく静かに、でも確実に市江さんの心が葛藤している様子が伝わってきて切なかった

そんな中、一瞬市江さんから視線が離れるかのような、ショーウインドウに飾られた市江さんのワンピースを眺め続ける女性の話は、昨年読んだ「どぶがわ」にも通じるような奥行のあるお話だったように思う。

画面に書き込まれていることは多くはないのに、まるで実写でみたかのような余韻の残る作品だと思います。

[][] 「誰も懲りない」/中村珍

誰も懲りない

誰も懲りない

「羣青」(id:ichinics:20120612:p1)を初めて雑誌で読んで、それから単行本出会うまでの何年かの間に、あの自分のことを「あーし」っていうキャラクターがでてくる漫画のことが妙に忘れられない、と思っていたことをこの「誰も懲りない」でも何回も思い出した。

主人公」が恋人に言われる

せんせの描くマンガ

自分のこと切り売りしてるみたいでしんどい

という言葉に全力で頷きたくなるような、しんどいけれど自分にはこれをしんどいという資格はないなと思うようなしんどさだった。そしてやっぱり、この作品のこともずっと忘れられないように思う。

アヴァール戦記」も(エッセイ漫画だし全然作風は違うけれども)忘れられないということでは共通していて、それは必ずしも「同意できる」とかそういうことではないのだけど、

アヴァール戦記」の「最後は漫画の話がしたいです!!!」という宣言があったタイミングでこの作品を読めたのはとてもよかったと思った。

ほんと独特な漫画家さんだなと思う。これからも新しい作品を楽しみにしています。

2014-03-19

[][] アナと雪の女王

吹き替えで見ました。たのしかったー!

物語は、生まれつきものを凍らせる魔法をもつ姉エルサとその妹アナお話

序盤の、姉妹の幼少期から現在までを説明する展開は短いのにすごく濃密で、特に雪だるま作ろう」の歌とともに成長を見せて行くとことか冒頭なのにちょっと泣きそうになりました。

魔法をコントロールできないことを恐れ、アナとも会わずに隠れて暮らしていたエルサは、成人の儀式の日、久しぶりに人前に姿を現すことになります。事情があって姉の魔法のことを忘れている妹アナは無邪気にはしゃいでいるのですが、この場面でのエルサの顔がね。あー疲れて切羽詰まってる人ってこういう顔するよな、っていう感じで(特に舞踏会のところ)なんだかすごく切なかった。でもアナはそんなことには気づかず、事件が起こる。

f:id:ichinics:20140319225507j:image:w300

ここから怒濤の展開でほんと笑ったり泣いたりハラハラしたり笑ったり大忙しでした。特にそりに乗ってる最中アナとクリストフのやりとりは大笑いでした。それからオラフ関連。

最初ポスターを見たときキャラクターデザインにはあんまり惹かれなかったんだけど、やっぱり見てるうちに好きになっちゃうよねー。帰りに寄ったディズニーストアでは「かわいい!!」ってなってました。買わなかったけどほしかった。

f:id:ichinics:20140319225508j:image:w300

美術もとっても綺麗だった。雪と氷の場面が多いんだけど、氷のむこうの人影とか光とかがすごくきれい。あとアナオラフとであうあたりのあの氷の雫がカーテンみたいに連なった森(上の画像のシーン)もすごくきれいでした。

それから音楽もたのしかったー。個人的には吹き替えで見てよかったです。音源も買いたい。

ピクサーディズニー映画を見ると、あまりにも悪役の扱いがひどくて後味が悪い…、と思うことも多いのですけど、そのあたりもこの作品はちょうどいいさじ加減だったと感じています。

そしてプリンセス映画ではありますが、あくまでも姉妹お話なのもよかった。つまり最後クライマックスについてなんですけど、ここが今までのディズニー映画と最も違うところだったと思います。アナとエルサ、どちらの視点で見てもいいつくりなのもよかったです。というかもう1回見に行きたい…!

2014-03-07

[][] 新しき世界

雪と雪の間くらいに見に行きました。

かなり話題になっていると思うので、ある程度内容にも触れてしま感想になると思うのですが、どのくらいストライクかは人によるとはいえ、気になっているのならぜひとお勧めしたい映画だと思います。

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この映画を見終わってしばらくたったいまも繰り返し思い返すのは、とにかくあの、ある場面で登場する「チョー嬉しいよ」という字幕の素晴らしさです。もちろん実際の俳優さんの言っている言葉がわかればそれに越したことはないのですが、ここに関しては「チョー嬉しい」という書き方をすることによる感慨というものが確実にあったように思う。

物語に配置されたメインキャラクター3人(ジャソン、チョンチョン、ジュング)はある種記号的ともいえる描かれ方だったけれど、それを嘘っぽく見せない3人の役者さんは本当に魅力的だった。

「新しき世界」は、たぶんいろいろと比較されていると思うのだけど私が大好きな「インファナル・アフェア」と近い潜入捜査もので、でも決定的に違う、のはインファでアンソニー・ウォンが演じていた、主人公が潜入捜査官であることを「知っている」立場の人物の描き方だと思う。

この立場の人物を「新しき世界」ではチェ・ミンシクが演じているわけだけれども、主人公は潜入先の方に肩入れしてしまうという傾向は物語のはじめからあって、だからはじめからチェ・ミンシクは信用ならないやつだった。最初はせっかくの潜入操作ものなのだからもっと主人公正義心を煽ったりしなくてもいいのかな…などと思ったりもしたけれど、最終的にジャソンが下した結論の説得力を描いた映画としてこの作品成功だったのだと思います。

その説得力とはつまりあの「チョー嬉しいよ」であって、あの一言主人公がこの先繰り返し思い返すのだろうと思うとそれだけで最高に切ない。

ちなみにチェ・ミンシク以外は初めて映画を見た役者さんだったので、最初はジャソン、チョンチョン、ジュングの順で、松重豊貴乃花石井正則と覚えて見ていました。

[] クラリッサ

1、2月の締切やら楽しみにしていた予定やらがあらかた終わってしまい、気が緩んだのかそれとも花粉のせいか、今週はやたらとだるい月はじめだった。年明けから読みはじめた文庫本もまだ読み終わらない。かといって面白くないわけではなく、むしろこの2か月はずっとその視線の中にいるような気がしている。感想は改めて書くつもりだけど(といってちゃんと書きたいリストは伸びて行くばかりなのだけど)「めぐりあう時間たち」の小説を読んで*1映画*2を見て、いつかはと思っていた本なので、どうしてもその登場人物たちがこの物語に対して抱いていた思いを通して読むことになり、二十三重にフィルターがかかっているような気持ち。

本を読むのは、家の中よりも外が多いのは、本を閉じてそこに書かれていたことを思い起こしながら帰るのが好きだからだと思う。でもこの数年、駅からの帰り道はいつも自転車なので、その楽しみも半減している。自転車は便利だけどあまり考え事にむかない。考えるのスピードにはやはり歩く早さくらいがちょうどよくて、だからもっと歩かないといけない、と大雪が続いて必然的自転車に乗れなかった期間に思った。

雪の日の夜、人も車もいない道の真ん中を歩くのはとても楽しかった。舞台(「国民映画」)を見た帰り道だったので、その中の登場人物1人ずつについて、あの人はどういう人なのだろう、ということをじっくり考えることができた。その舞台の上でも外は雪で、照明が落ちる前から遠くで、吹雪の音が聞こえていた。音が近づき、照明が消えると同時に舞台が始まる。それは眠りに落ちる感覚とよく似ているように思った。

ダロウェイ夫人 (集英社文庫)

ダロウェイ夫人 (集英社文庫)