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  □これまでの日記一覧

2014-08-28

[][] 思い出のマーニー

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感想を書くのがずいぶん遅くなってしまったけれど公開してすぐ見に行ったし、2回見に行ったしつまりすごく好きな映画でした。とはいえ、多くのジブリ作品のように、双手をあげておすすめ!とは言えないと思うのは、多くの人がジブリ映画に期待するであろう、冒険活劇的な要素はまるでなく、脚本も少しいびつ作品であると思うからです。

それでも自分にとって大切な作品になったのは、終盤にある、クライマックスともいえる場面が本当にすばらしかったから

主人公である少女アンナは病弱で、人を寄せ付けないところのあるおとなしい少女として登場する。おとなしいだけでなくどこか自分以外の人を見下しているようなところすらある。殻にとじこもって、でも誰かに手を差し伸べてもらうことを期待している。

ちょっと中2病…と思わなくもないのですが、こういう屈折の仕方って身に覚えがないですか?(え、ない?ならいいけど!)ともかく、そういう子が、自分を受け入れるまでのお話、なので、マーニーが実は…というところは個人的にはどうでもよく、ただひたすらにアンナマーニーに期待し、裏切られる、ということを繰り返していくうちに、主体として行動するということを獲得する場面にほんとうにぐっときました。

謎解きが、突然判明した解説員にすべて委ねられるとか、行動範囲に広がりがないとか、マーニーの魅力が伝わりにくいとか、謎がとかれすぎてファンタジーがないとかロハスとか色々あるけど

でもアンナ自分から手を差し伸べ、許すことを知るあのシーンがあるだけでこの映画大事作品になったと思います。美しく正しい心根などなくても、人は人を許すことができる。あとさやかちゃん超いい子。

ジブリの今後はとても気になるけど、この宮崎監督がほぼ関わらなくなったという*1タイミングで米林監督がいわゆるジブリヒロインとは真逆女の子を描いたのはすごくよかったと思います。

できればジブリ冒険活劇と、このような思春期もの死ぬまで交互に見て新作楽しみにしたかったですが、どうなるんだろう。

[] 相変わらずの人

先日、すごく久しぶりに人に会う、という友だちとご飯を食べた。想像していたよりは元気そうで、少しほっとしつつ、でも会っていなかった数ヶ月の間に起きた出来事を聞きながら、もっとはやく連絡していれば、力になれていたことがあっただろうか、と後悔もしていた。

なんでしばらくこちらから連絡していなかったかといえば、単純に私の近況が相変わらずすぎるので、特にネタになる話題もなく「会おうよ」と声をかけることに気後れしていたのだった(それでも会いたくなったら連絡していたけど今回はたまたま半年以上あいてしまった)。それに、学生時代の友人達はほとんどFBでやり取りをしていて、FBをやっていない私は、みんなは頻繁に連絡をとっているのだろうと思い込んでいたのもあった。

同級生の多くは、結婚妊娠出産転職起業離婚再婚などめまぐるしい変化の中にいて、私はといえば、圧倒的に相変わらずであり幸い特に悩みごともない。そんな具合で、ご無沙汰しちゃってたけどやっぱり相変わらずで特に近況もないんだけど、と友だちに話したところ

長らく人に会うことに気が進まなかったけど、確実に相変わらずな人から連絡がきて、安心して会えると思った、と笑っていて、あー相変わらずでいることにも、このような価値があるのだなと思ったりした。

近況についてだけでなく、今自分の頭を占めていることについて、学生時代夏休みみたいに、ぼんやりと長話をしながら、

言葉は選ばれて、発されて、届くまでに変化していくものだと思うけれど、今日はどうにか彼女に、会えて嬉しかったということが伝わっていればいいなと思っていた。

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*1:とはいえ「マーニー」を映画化することを提案したのは宮崎監督だそうですが

2014-08-26

[][] 「無敵の人」と「憧れ」の傲慢ヤマシタトモコ運命女の子

3本の短編が収録された作品集で、サスペンス群像SFと、それぞれ全く違うジャンルなのにそのどれもがすばらしかった。これまでのヤマシタトモコ作品らしさも感じつつ、こんなお話も描くのかという新鮮さと新境地への挑戦を感じました。

できるだけ内容を知らずに読んだ方がインパクトがあると思うので、まずは気になってるかたはぜひ、とおすすめしたいです。

運命の女の子 (アフタヌーンKC)

運命の女の子 (アフタヌーンKC)

『無敵』

冒頭数ページを読んで、まず思い出したのは「無敵の人」という言葉。『黒子のバスケ事件犯人意見陳述で使用した言葉として今年話題になったものです。この『無敵』は2013年末発売のアフタヌーン2月号掲載なので、その意見陳述より前のことになりますし、「無敵」という言葉の使い方が少々異なるとは思います。ただ、「無敵の人」と相対したときに一体何ができるだろう、と想像してみた時のぞっとするような無力感には近いものがあると感じました。

相手の言葉を汲み取るには、ある程度相手の気持ちに歩調をあわせようとすることが必要だと思うけれど、そもそも相手の足がどこにあるのか見えない。そんな感じの恐ろしさ。

それは例えば「ノーカントリー」のシガー通りすがり商店で賭けをもちかけるシーン*1にも似ていると思います。

反復し逸脱し途切れる時系列編集と、読み終えたときに気づく表紙の意味まであわせてとてもよく練られた短編だと思いました。

『きみはスター

ヤマシタトモコさんは漫画を読む側の第一印象や先入観をすごく計算して漫画を描いてるんだろうなと思う。例えば凝ったデザインはメインの登場人物で、シンプルに描かれた人物は脇役(「かぐや姫の物語」での捨○の奥さんとかね)などという、読者の先入観キャラクターへの「見くびり」を見越した上で描かれていることを感じる作品でした。読み進めていくうちに幾度も裏切られるのが気持ちよくて、読んでいてすごくぞくぞくした。

そして何より、「憧れ」という感情の、自分が下位に立っているかのような態度で、実はとても傲慢であったりする側面をまざまざとみせつけられて、なんだか泣きたくなりました。

憧れているのはとても楽。けれど同時に切実でもある。そのギリギリの足場に立って、最後に発される「星は落ちてこないからなのだ」という言葉は、憧れということの本質なんじゃないかと思いました。

「不呪姫と檻の塔」

まさかヤマシタトモコさんがジュブナイルSFを描く日がくるなんて!と驚いた1本。重量感のある短編が2本続いたあとにとてもさわやかな気持ちになれる作品でもありました。

そんなベタな!と思うけどそのベタさに救われることもあるよねっていう。まんまと目がぶわっとしました。

2014-08-25

[][] 「えへん、龍之介。」/松田奈緒子

えへん、龍之介。 (KCデラックス)

えへん、龍之介。 (KCデラックス)

以前TV番組で紹介されていたのを見て気になっていた作品書店でやっとみつけたので読みました。

芥川龍之介晩年を描いた物語で、室生犀星萩原朔太郎などの文人との交流も読んでいて楽しい

けれど実際にあった出来事を描いているだけに、後半は特に逸話をなぞるような展開になってしまって、もっと作者の見た(考える)芥川龍之介をみたかったなと思いました。

ところで芥川龍之介といえば中学生の頃、修学旅行で山梨県立文学館で見た芥川龍之介動画ものすごくかっこよくて、そんな動機新潮文庫を読み漁った思い出があります。この「えへん、龍之介。」を読んだあとにyoutube検索したらあっさりその動画が見つかり、そして中学生の頃のようなときめきが感じられずに、思い出のままとっておけばよかったという気持ちにもちょっとなりました。

[][] 「Away」1巻/萩尾望都

萩尾望都さんのSF新作。面白かった!

18歳未満と18歳以上の世界に別れてしまった世界物語ジャンルとしては「漂流教室」とかと近いと思う。

主役の一人である男の子が18歳の誕生日を迎えたことで、今後はこちらとあちらの世界両方が描かれていくのだと思うんだけど、大人中心の世界子ども中心の世界それぞれのパニックがわかりやすく描かれていて、続きがとても気になります。

[][] 「Deep Water 深淵」/清水玲子

Deep Water〈深淵〉 (花とゆめCOMICSスペシャル)

Deep Water〈深淵〉 (花とゆめCOMICSスペシャル)

九州舞台に、ある少女過去と次々に起こる事件との関連を探っていくミステリー。その中心になるのはドラマ「クリミナルマインド」で扱われそうな意外かつ気分の悪くなる事件なのだけど、現代でありえそう、と思ってしまうのがまたこわい。

すごく面白かったのですが、肝心のラストの「いたずら」がよくわからなかった(手前のコマとの時系列がわかりづらかった)ので最後最後で??ってなってしまったのがちょっと残念。

清水玲子さんの漫画は中学生の頃好きでよく読んでいたのですが、新刊を買うのは久しぶり。でも絵がほとんどかわっていなくてすごいなと思いました。