イチニクス遊覧日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

0000 | 00 | 01 |
2001 | 01 | 02 | 08 |
2005 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2007 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2008 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2009 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2010 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2013 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2014 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2015 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 11 | 12 |
  □これまでの日記一覧

2015-06-23

[][] チャッピー

監督:ニール・ブロムカンプ

f:id:ichinics:20150623220458j:image:w400

日本版ではカットされたシーンがある、という騒動があったことで、自分が感想を楽しみに読んでいるような人が見に行っていなかったりするのが寂しい「チャッピー」ですが、人工知能は好きなテーマなので公開してわりとすぐ見に行きました。そして面白かったです。

「第9地区」*1とおなじく、出て来る登場人物の誰にも感情移入できないなーと思いながら見ていて、特にチャッピーの生みの親であるディオン(メイカーって呼ばれてる)が、無邪気に傲慢だったりするのは、物語が見ている側の思ってる方向に簡単には進まないことのあらわれのようで興味深くもありました。

例えば、自分の生み出した人工知能がギャングに影響されてぐれてっちゃったらショックだよねーって思うんだけど、メイカーは意外と気にしません。探究心にのみ突き動かされている感じなのはなんとなく監督のスタンスに近いのかなとも思いました。

私が特に気に入ったのはラストシーン。いろいろあって、彼らは「自己」をデータ化することに成功し、機械の体を手に入れるわけですけども、あの「体」のどうでもよさは新鮮だった。あの状態だとオリジナルを産む事は出来ないわけですが、その後データを複製して「元自分」を大量に作る事は可能なわけですよね。そうやってあのラストの数年後には、世界は元チャッピーたちに征服されてしまうのではとも思いました(でもあのメンバーだとそんなこと考えそうもないか)。

「オリジナルデータ」のかけがえのなさと、データ化された自分の軽さのコントラストが何か面白かったので、監督が次にどういう物語を作ろうとしているのか気になります。

2015-06-10

[] 低気圧

夜、網戸越しに聞こえる空気の感じに夏の寝苦しい夜を思い出していたのもつかの間、夏前の通過儀礼である梅雨がはじまった。永遠に続くかのようだった晴天が一瞬にして曇り空へとかわり空はどんよりと重い。

このどんよりとした重さをもしかしたら低気圧というのだろうかと、思い当たったのはいつだっただろうか。

確か10年くらい前の空が白かった日、新宿で待ち合わせた友人Aと時間調整のために新宿のカフェラミルに入ったことがあった。Aの、それまでの約束と、その後の私との約束の間のつなぎのような時間で、カフェラミルには初対面の、Aの友人2人もいた。私以外の3人は少々込み入った話をしていて、私は何かしら飲み物を飲みながら、ぼんやりと薄暗い店内に眼をやっていた。

斜め前の席にいたカップル女性が「低気圧から」と言っていたのだった。低気圧のせいで頭が痛いと。その時も私は、このどんよりとした天気を低気圧というのか、と思ったのだった。

しかし連れの男性は、そんなの迷信だ、と言い切った。天気と体調が関係あるわけがない、具合が悪いと思うから悪くなる、迷信だと畳み掛けた。

彼女はずっとだまっていて、私は低気圧頭痛は起きるのだと、思ったのだった。

今、低気圧の日にtwitterのTLなどで頭が痛いと言っている人の多さを見て、あの時の男性はどう思うのだろうかと考える。けれどああいう断言の仕方をする人は、きっと自分が断言したことすら忘れているとも思う。

そもそも10年も前の、喫茶店たまたま近くの席にいた人の話など、気にし続けている方がきっとおかしい。

今日も窓の外は白かった。

2015-06-02

[][] フォックスキャッチャー

監督:ベネット・ミラー

見終わってからかなり経ってしまったけど折に触れて思い出す映画。

f:id:ichinics:20150602232907j:image:w300

兄弟でオリンピックで金メダルを獲得したものの、その栄光を集めるのは社交的で人格者の兄デイヴである、ということに、兄を慕いつつも鬱屈とした気持を抱えている弟マークが、ある大金持ち(デュポン)と出会い、その大金持ち率いるレスリングチームに参加することになる…という実話をベースにしたお話。

マークにとって安心/信頼出来る相手はデイヴだけなんだろうなと思うんだけど、自分と違って「幸せ」を体現しているデイヴに頼りたくない気持もわかるし、とはいえデュポン氏は不穏すぎる。そっちに行ってはダメだと思うのにとめられない歯がゆさと、デュポン氏の抱える底抜けの寂しさのようなものに惹かれる気持ちの両方があって、見ている間中ずっと歯を食いしばっていた気がする。

とても正しく、でも周囲の人に劣等感を与えてしまっていることには気づいていないデイヴ。承認欲求に内側から食殺されていくデュポン氏。そして自身も金メダリストだというのに、控えめで不器用で、常に寄る辺ない表情を浮かべているマーク。3人ともこれ以上ないというくらいのキャスティングだったと思う。緊張した三角関係は息苦しく、ぎりぎりまで張りつめたそれがはじける瞬間が切なかった。