過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

大豆と蕎麦

大豆の種を播いた。黄色の大豆、緑の大豆、黒大豆の三種類だ。大敵は鳩。ちゃっかりやってきてみんな食べてしまう。ので、テグスをタテ・ヨコに張り巡らす。こうすると鳩はこわくて近寄らない。さらには、たいせつなのはシカ対策。苗が育った時に、一夜にしてみんな食べられてしまう。なので、電気柵を切り巡らす。

5日目。大豆の芽が出てきた。順調に育ってきている。あとは、適当に草を取り、土を寄せるだけ。肥料も必要ない、消毒もしない。11月の収穫を待つ。昨年は10キロほどの種を播いて、収穫は200キロだった。いちばん手間のかかるのが脱穀と豆の選別だ。これは、農協の機械を借りる見通しが立ったので、安心している。

蕎麦の種も播いた。花咲爺さんのように、バラまき。土もかけていないという、ものすごくラフなやり方。8月下旬ころに播くのがよいとも聞くので、また違う品種をその頃に播くつもり。

蕎麦が無事に収穫できたらうれしいが、スプラウト(新芽野菜)がじつにおいしい。生でいただいても、蕎麦の香りもする。こちらは、シカ対策をしてないので、そこが心配なところ。

来年の田んぼの経営のことを考えている

来年の田んぼの経営のことを考えている。3反の田んぼというと、いまの無農薬・無化学肥料のやりかたでは、せいぜい700〜800キロの収穫だ。大豆も200キロくらいのものだ。仲間内で、自分たちの消費分だけをまかなうという程度で、収益を上げる農業には、ほど遠い。

課題は人手と資金だ。とにかく除草剤を使わない無農薬の稲作は、ものすごく手間がかかる。さらには、農業機械やメンテナンス代、資材、アイガモのエサ代などの資金もいろいろとかかる。

そうして、仲間内だけの農業じゃなくて、体験を通して、多くの方と交流したいという道もひろげていきたいところ。

とにかくアイガモ農法は、いろいろ手間がかかるが、やはりおもしろい。人との出会いが次々起こる。話題性がある。観光名所になっていく。ということで、来年も、つづけたいところ。

さいわい山里には、耕作放棄地はたくさんあるのだ。これは宝の山。そうして、地域に信頼が得られていくと、スムースに土地を貸してくれる。きょうも、地域の実力者の方から、「こんなアイガモ農法のような、みんなに喜ばれることをやってくれてありがとう」と感謝された。来週には、テレビでも放映される。やがて、地域でも名所になっていくだろう。なので、拡大は可能だ。機械とマンパワーがともなえば、のはなしだが。

地域に根を張って、交流していく試みとして、幼稚園と小学生に田んぼ体験をしてもらう方向がある。学校行事に組み込んでもらえると思う。泥んこ遊びと田植え、稲刈り、餅つき、さらにはしめ縄作り。なにより子どもたちが可愛い。親たちも喜ぶ。

資金の捻出の方途もかんがえてみた。会員制、あるいは準オーナー制度みたいな試み。たとえば、年間3万円での農業体験コース。代かき、田植えに放鳥、稲刈り、餅つき。玄米30キロを保証。アイガモの肉1羽もつける、とか。大豆の種まき、収穫、味噌作りというコースもできる。そばの収穫とそば打ちとか。10人の募集をすれば、30万円の資金となる。あるいは、稲刈りとか田植えとか、ひとつのワークショップとして、参加費をいただくことも可能かもしれない。

いやしかし、仲間内だけで、地道にきちんとやっていけばそれでいいじゃないか。人が増えれば、参加者が増えれば、その手間もかかる。ちがう方向で忙しくなる。人を増やさないで、なるたけお金をかけないで、手間を大切にする道もある。

あるいは、民間の助成制度の活用。トヨタ財団、イオン、セブン-イレブン、ドコモなど、いろいろな民間の助成制度がある。そちらに企画提案して、経費を補助してもらう展開もある。

この事業は、農業という枠のものではない。いろいろな切り口がある。たとえば、お年寄りと子どもたちの楽しめる場、地域の交流の場作り、美しい里山づくり、生物多様性のフィールドづくり、自然観察の宝庫、安心・安全な食の確保、過疎地の魅力発信と交流促進、観光資源づくり……。農をベースにすると、いろいろな可能性が見えてくる。